【立会外分売は買いか?】明豊ファシリティワークス(1717)

建設マネイジメント株式投資
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直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

最後までお付き合いいただけると嬉しいです!

  • 立会外分売とは?
新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。
  • 立会外分売の魅力
    • 前日終値より安く購入可能
      • 立会外分配における買付側の購入価格は確定値段(1本値)で、分売実施日の前日終値よりディスカウントされるのが一般的。過去の例では、約3~5%のディスカウントで実施されています。(ディスカウント率は取引所の規定により最大10%)
    • 買付手数料はかからない
      • 立会外分売による買付は、通常の立会時間内の取引と種類が異なるため一般的に手数料はかからない。(売却時には通常の手数料が発生)
    • 即日売却OK
      • 立会外分売で取得した株式は、実施日(買付当日)から売却することが可能
  • デメリット:抽選で外れることもある
    • 買い申し込みが多いと、抽選ではずれて購入できないこともある。

第14回目は、東証1部からサービス業種の明豊ファシリティワークスです。

分売の概要

オフィス

分売実施日や株数は以下の表をご覧ください。実施日は、通常は日にちではなく期間が決まっているのですが、今回は珍しくピンポイントで6/10(木)と決まっています。

販売価格は、会社側が実施日前日に発表しますので前日にならないとわかりません。販売数量は、最低100株単位で最大1,000株まで購入できます。

6/9(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売価格のお知らせがありますので、チェックしてくださいね💖

分売実施予定日2021/6/10(木)
分売数量150,000株
発行済み株数12,775,900株の約1.2%
申込単位数量100株
申込上限数量1,000株
実施の目的一定数量の売却意向があり、発行会社として検討した結果、株式の分布状況の改善及び流動性の向上を図るため

分売株数が、発行済み株数の1.2%とやや少なめの数量です。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は212,700株、25日平均は123,800株とほどほどありますので、流動性は問題ないレベルです。

事業内容

支援

オフィスビル、庁舎、校舎、駅舎、工場、研究所、医療施設、データセンター等、各種施設及び働き方改革・オフィス移転プロジェクトにおける 「コンストラクションマネジメント(=発注者支援事業)」および「プロジェクトマネジメント」サービスの提供をしている会社です。

基本構想策定、基本計画、設計マネジメント、調達支援、コスト査定、施工監理、引越しまであらゆるステージの様々なニーズに応える、総合的ソリューションを提供しています。

事業セグメントは、

オフィスの移転・新設・改修のプロジェクト・マネジメント、ICT・データセンターの構築、ワークスタイルの変革等、オフィスづくりと運用に関するあらゆる業務をサポートしている「オフィス事業」、

ビルや学校、工場、医療施設、鉄道駅施設、商業施設、その他各種施設の建設・運用に関する業務をCM(コンストラクション・マネイジメント)手法でサポートしている「CM事業」、

企業の保有資産の最適化をサポートするCREM(コーポレート・リアル・エステート・マネジメント)として、固定資産の管理・運用業務、多拠点統廃合業務をアウトソーサーとして最適化するサービス等を提供している「CREM事業」の3つに分かれています。

2021年3月期の売上高のセグメント別比率は、

  • オフィス事業 24.6%
  • CM事業 55.2%
  • CREM事業 20.2%

です。半分以上はCM事業で占められています。

直近の経営状況

経営状況

2021年3月期通期の経営成績は、

  • 売上高 42.4億円(前年比 2.6%減
  • 営業利益 9.1億円(同 0.8%増
  • 経常利益 9.1億円(同 0.5%増
  • 親会社株主に帰属する当期純利益 6.2億円(同 3.0%減

となっており、減収増益で増減率はいずれも3%にも満たず、前期とほぼ同様の結果となっています。

経営概況としては、

CM業界へ影響を与える建設投資、設備投資については、公共投資は底堅く推移しているものの、民間投資においては新型コロナウイルス感染症拡大の影響等で慎重な姿勢が強まる状況となりましたが、CM業界における当社認知度の向上もあり、公共民間ともに当社への引き合いが増加しています。

公共分野は、経済産業省の業務効率化や生産性向上を目的としたオフィス環境の導入に関する調査事業について契約を締結したほか、国土交通省2020年度入札契約改善推進事業に係る発注者支援等業務について契約締結しました。また、福島県、愛知県、富田林市(大阪府)、国立大学法人東京大学、国立大学法人琉球大学(沖縄県)等における、庁舎や施設建設に関するプロポーザルに当社が応募し、発注者支援事業者として多数選定されました。

民間企業からは、数多くの業種をグループ内に持つ大企業や、大学などの教育機関からの新規引き合い及びリピートオーダーが継続しており、公正な調達環境の構築に基づくコストやスピードを重視した内容に加えて、プロジェクト早期立上げ支援や事業化支援といった上流工程からの引き合い案件が中心となっています。

当事業年度の社内で管理する受注粗利益、売上粗利益は、社会的にCMが普及し、CM業界における当社認知度の向上もあり、引き合いが継続し、前期を上回る結果となっています。

当事業年度の売上高は、全ての案件で顧客からピュアCM(工事原価を含まないフィーのみの契約型CM )が選択され、アットリスクCM(工事原価を含む請負契約型CM)が無かったことにより前期より減少しました。売上総利益、営業利益、経常利益は、受注粗利益の増加等により前期を上回っています。当期純利益は、予定していた事務所統合費用における特別損失の発生により前期より減少しています。

財務面は、自己資本比率(自己資本(総資本ー他人資本)÷総資産 ×100)が、2020年3月期末時点の73.5%から、2021年3月期末時点で71.0%と多少下がっていますが、全く問題ないレベルです。

2022年3月期通期の会社側予想は、

  • 売上高 42.7億円(前年比 0.7%増
  • 営業利益 9.2億円(同 1.1%増
  • 経常利益 9.2億円(同 1.0%増
  • 親会社株主に帰属する当期純利益 6.4億円(同 2.8%増

としており、いずれも微増の計画となっています。会社側のコメントとしては、

現在の新型コロナウイルス感染症拡大の影響が世界的な経済活動にも甚大な影響を与えている中、引き続き先行き不透明な状況にあり、特にCM業界へ影響を与える建設投資、設備投資は、全体的には需要の低下が想定されています。一方では発注者のニーズが多様化、複雑化していることや、コスト削減、工期短縮への強い要請等、当社が行う発注者支援事業への関心は従来にも増して高くなると予想している。

その中で大企業・公共団体においてCMを選択するメリットが浸透し、またSDGs関連(脱炭素化・環境共生・BCP・長寿命化等)ニーズの増加や、当社が得意とする働き方改革等、発注者支援事業としてより広い視野でのCMの需要創造に向けて取り組んでいくとのこと。

また、当社の競争優位性を更に高めるためのDX(システム開発)費用、増員に伴う費用を予算化した結果、上記の通期予想となっています。

株価指標

株価指標

6/4(金)終値時点の数値

  • 株価:845円
  • 時価総額:108.0億円
  • PER:15.0倍

PERは、同業で時価総額が近い、建設技術研究所(9621) 10.2倍、長大(9624) 9.8倍、ウエスコホールディングス(6091) 13.5倍と比較すると、やや高い水準となっています。

  • PBR:2.46倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):-(信用売り残無)
  • 年間配当金(会社予想):28円(年1回 3月 28円)、年間利回り:3.3%

※直近5年間の配当金は、以下のようになっています。

決算期年間配当金
2017年3月期12.5円
2018年3月期13円
2019年3月期21円
2020年3月期21.5円
2021年3月期26円
※明豊ファシリティワークス 年間配当金推移

直近5年間は、連続増配しています。連続増配している会社は、中長期で投資するのに向いていると思います。

配当性向は、ここ数年40~50%となっており、他の会社(約30%)と比較すると、高い配当性向を維持しています。会社の現在の配当方針は、配当性向を50%程度にすることになっています。

週足チャート(2年間):

出所:楽天証券サイト

株価は、昨年のコロナショック時から、値を上げて右肩上がりになっており、上昇基調です。また、コロナショック前の水準を超えており、2020年末の高値(800円程度)も越えてきています。

今後の株価も期待できそうです。

まとめ

まとめ

2022年3月期の通期計画は、微増ですが増収増益の計画となっています。また、市場競争力を高めるためということで、将来的な業績のタネとなる、競争優位性を更に高めるためのDX(システム開発)費用、増員に伴う費用を計上して、さらなる成長を図っています。

配当は、配当性向を50%程度にするという方針があり、また、昨年11月に、発行済株式総数(自己株式を除く)に対する7.8%もの自社株買いを行っており、株主還元に積極的です。

業績の伸びはそれほど期待できないものの、株価は上昇基調で安定感があります。

今回の立会外分売は、数量が発行済み株数の1.2%ほどとそれほど多くなく、分売実施発表後は短期的な需給懸念からか一時的に売られて株価は下がっているものの、今後はそれほど影響ないものと思われます。

以上の観点から、

業績△、配当を含む株主還元〇、事業の安定性〇、流動性/分売数量〇ということで、今回の立会外分売は「買い」と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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