こんにちは!
直近で公募増資・売出(以下、PO)を実施した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益は出たのか?
受渡期日当日と1週間後の結果を検証しました。
今回は、受渡期日が2024年6月のニッコンホールディングス、7月のカゴメ、大倉工業です。
最後までお付き合いいただけると嬉しいです💖
売出(処分)価格とその後の株価推移
まずは、発行価格で買って1週間(5営業日)後まで保有した場合、含み益なのか含み損なのか?確認していきましょう!
※売買手数料は考慮していません。
受渡期日の寄付又は大引けと1週間(5営業日)後の結果は、
全ての銘柄は、全ての段階で損益プラス、
でした。
特に、ニッコンホールディングスは受渡日1週間後の寄付で売却した場合、何と26.3%の利益が出ており、その他も10%超の利益です。
POで購入し、利益が出た方おめでとうございます!
ちなみに、私は今回は購入無しでした。皆さんはいかがでしたでしょうか?
それでは個別に見ていきましょう!
要因分析:ニッコンホールディングス(9072)
この会社のPO発表時の評価は、表2のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐ |
株式の売出数量 | ⭐⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
前期(2024年3月期)の業績は、業務量の回復などにより、
前期比 増収増益で、売上高は微増、利益面は微増~1割弱増で着地しました。
今期(2025年3月期)通期予想は、3カ年の中期経営計画の2026年3月期の目標である、売上高 2,800億円、営業利益 280億円、営業利益率 10%、ROE 8%に向けて、
前期比 増収増益で、売上高は1割強増、利益面は1割前後の増益を見込んでいましたね。
株主還元は、配当利回り(予想)は3.68%(6/7時点) で、東証プライムの単純平均 2.31%と比較すると高い水準でした。
直近5年間の配当金は、年間1株あたり67~105円で推移しており、2022年3月期以降は連続増配を継続している点は魅力的で、
配当性向は、30~40%で安定していました。
会社の還元方針は、連結配当性向 40%を目途として配当を実施することに加え、通期の合計配当金額は原則として前年度実績から減配をせず、配当の維持もしくは増配を行う累進配当を基本方針としており、安心感がありました。
今回の株式の売出しと同時に、自己株式の取得の発表を行っており、
今回の株式の売出数量に対し、約6割を市場で取得し、需給悪化の緩和を図っていましたね。
また、2024年9月30日最終の株主の所有普通株式の1/2分割も発表され、こちらも株価上昇の材料となっていました。
株価モメンタムは、2022年6月に安値(2,017円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、2023年9月に高値(3,417円)をつけました。
ただ、2018年につけた上場来高値(3,440円)を更新できておらず、その後は緩やかだが、高値切り下げ安値切り下げの下落トレンドで推移していました。
直近では、4/3に年初来安値(2830.5円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移し、5/10に高値(3,200円)をつけました。
PO発表後の株価は、POによる短期的な需給悪化が予想されましたが、4月につけた年初来安値(2,830.5円)を下抜けずに、ヨコヨコから上昇に転じるのか、下抜けて下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO発表時の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】ニッコンホールディングス(9072)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表の翌営業日(6/10)は最初は安く始まりましたが、その後は大陽線をつけて上昇し、大きくは売り込まれませんでした。
そして翌営業日以降は、しばらくヨコヨコの展開でしたが、
受渡日(6/20)には、空売りが積み上がっていたため、窓を開けて出来高を伴い大幅高し、その後も上昇基調が継続しています。
要因分析:カゴメ(2811)
この会社のPO発表時の評価は、表3のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐ |
自己株式の処分数量 | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
今期(2024年12月期)1Qの業績は、国際事業において、トマトペーストの販売価格の上昇やフードサービス企業向けの販売が好調に推移し、
また、持分法適用会社であったIngomar社 の持分を2024年1月に追加取得し、連結子会社化したことにより、売上収益が純増となり、
前年同期比 増収増益で、売上収益は4割弱増、利益面は8割弱~5.7倍の増益でした。
今期通期予想は、今1Q決算発表と同時に上方修正し、
前期比 増収増益で、売上収益は3割強増、利益面は2割弱~2倍の増益を見込み、
その通期予想に対する進捗率は、1Q終了時点で、売上収益は2割強でそこそこ、利益面は事業利益は3割弱でそこそこですが、営業利益と当期利益は5割前後で順調でしたね。
株主還元は、配当利回り(予想)は1.42%(6/14時点) で、東証プライムの単純平均 2.28%と比較すると低い水準でした。
直近5年間の配当金は、年間1株あたり35~41円で推移しており、連続増配を継続している点は魅力的で、
配当性向は、30%台~40%台で安定していました。
株主還元方針は、2022年から2025年の4ヵ年で進めていた中期経営計画期間中において、「連結業績を基準に、総還元性向40%」を目指すとし、
合わせて「年間配当金額38円以上を安定的に現金配当する」ことにしています。
また、株主優待があり、毎年6月末に100株以上保有の株主は、半年以上継続保有を条件に、同社商品の詰合せ2,000円相当(1,000株以上保有の場合6,000円相当)が進呈され、
100株を半年以上継続保有の場合、配当金+株主優待(2,000円相当)で利回りは1.97%となっていましたね。
株価モメンタムは、2022年10月に安値(2,866円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで、2024年4月に高値(4,297円)をつけていました。
直近では、年初から高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移し、今1Q決算と今期業績の上方修正発表翌営業日(4/30)に、これらを好感され年初来高値(4,297円)をつけました。
しかしその後は失速し調整しており、直近では3,600円前後のヨコヨコで推移していましたね。
PO発表後の株価は、1株利益の希薄化懸念により株価下落が予想され、
3月につけた安値(3,285円)や年始につけた年初来安値(3,105円)を割り込まずに、ヨコヨコから上昇に転じるのか、割り込んで下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO発表時の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】カゴメ(2811)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表の翌営業日(6/17)は窓を開けて出来高を伴い急落し、その後はしばらくヨコヨコで推移しました。
そして、1株利益の希薄化懸念が後退してきて、受渡日の安値を底にして、それ以降は上昇基調で推移しています。
要因分析:大倉工業(4221)
この会社のPO発表時の評価は、表4のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐ |
株式の売出数量 | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
今期(2024年12月期)1Qの業績は、新規材料事業において中小型用途の光学フィルムの需要が増加したものの、合成樹脂事業において販売数量が減少し、
前年同期比 減収増益で、売上高は微減、利益面は微増~2割弱増でした。
今期通期予想は、物価上昇により個人消費が低調に推移していることや金利上昇に伴う住宅市場低迷の影響を受け、販売数量が減少していることなどにより、2024年6月に下方修正し、
前期比 増収増益で、売上高は微増、利益面は営業利益と経常利益は1割弱の増益だが、純利益は微減を見込み、
その通期予想に対する進捗率は、1Q終了時点で、売上高は2割強でそこそこ、利益面も2割前後でそこそこでしたね。
株主還元は、配当利回り(予想)は3.96%(6/21時点) で、東証プライムの単純平均 2.29%と比較する高い水準でした。
直近5年間の配当金は、年間1株あたり55~110円で推移しており、連続増配を継続している点は魅力的でした。
配当性向は、20~30%で安定していました。
株主還元方針は、安定的な配当を行うことを基本方針とし、配当性向30%以上の継続を目指しています。
また、株主優待があり、毎年12月末に100株以上保有の株主は、株数に応じて、クオカードと自社グループホテルの利用券が進呈され、
100株保有の場合、配当金+株主優待(3,000円相当)で利回りは5.04%となっていた点も魅力的でしたね。
そして、今回の株式の売出しと同時に、自己株式の取得の発表を行っており、
今回の株式の売出数量に対し、ほぼ全株を市場で取得し、需給悪化の緩和を図っていました。
株価モメンタムは、2022年6月に安値(1,649円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、2024年3月に高値(3,320円)をつけました。
直近では、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移しており、今回のPOと自社株買い発表日(6/21)に直近の安値を更新しました。
PO発表後の株価は、株式売出しによる短期的な需給悪化が予想されましたが、
1月につけた年初来安値(2,500円)を割り込まずに、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO発表後の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】大倉工業(4221)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
結局、PO発表の翌営業日(6/24)の始値を底にして、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移しました。
今回の株式の売出数量に対し、ほぼ全株の自社株買いを発表し、POによる需給悪化の緩和を図っていましたので、株価の戻りも早かったですね。
まとめ
ニッコンホールディングス(9072)、カゴメ(2811)、大倉工業(4221)のPO予想と一週間(5営業日)後の株価は、表5の結果になりました。
銘柄名 | 事前予想 | 結果(損益)[円] (「受渡日の1週間 (5営業日)後始値」 ー「発行価格」) (騰落率[%]) | 判定 |
ニッコン HLDGS | 中立 | +762 (+26.3) | × |
カゴメ | 中立 | +140 (+4.3) | × |
大倉工業 | 中立 | +159 (+5.7) | × |
※事前予想の「買い」は3%以上の上昇、「中立」は±3%、「見送り」は3%以上の下落を想定しています。
今回は0勝3敗、勝率0.000。大反省です(__)
どの銘柄も需給悪化や1株利益の希薄化懸念が早くから後退しはじめ、遅くとも受渡日以降は上昇に転じました。
どの銘柄も連続増配を継続しており、また、ニッコンホールディングスと大倉工業はPOと同時に自社株買いも発表していましたので、この点も株価上昇の追い風になったと考えられます。
今後の個別動向ですが、
ニッコンホールディングスは、受渡日以降の株価上昇率が高く、直近でも上場来高値を更新中です。
自社株買いも株価の下支えになりそうなので、今後も更なる上昇に期待です。
カゴメは、上昇基調の中、75日移動平均線に接近中です。
75日移動平均線を上抜ければ、一段高も期待できそうです。
大倉工業は、株主還元が充実しており、まだ株価の戻りが足りていない印象です。
直近で、75日移動平均線にタッチして戻される場面が続いていますので、これを突破して上昇気流に乗っていきたいところです。
参考になればうれしいです✨
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。