【立会外分売は買いか?】マミーマート(9823) ※今年2回目

スーパーマーケット立会外分売
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こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証ジャスダックから小売業種のマミーマートです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

  • 立会外分売とは?
新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。
  • 立会外分売の魅力
    • 前日終値より安く購入可能
      • 立会外分配における買付側の購入価格は確定値段(1本値)で、分売実施日の前日終値よりディスカウントされるのが一般的。過去の例では、約3~5%のディスカウントで実施されています。(ディスカウント率は取引所の規定により最大10%)
    • 買付手数料はかからない
      • 立会外分売による買付は、通常の立会時間内の取引と種類が異なるため一般的に手数料はかからない。(売却時には通常の手数料が発生)
    • 即日売却OK
      • 立会外分売で取得した株式は、実施日(買付当日)から売却することが可能
  • デメリット:抽選で外れることもある
    • 買い申し込みが多いと、抽選ではずれて購入できないこともある。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大2,000株まで購入できます。

早ければ11/25(木)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2021 年 11 月 26 日(金)(11/25発表)
分売数量100,000株
発行済み株式総数 10,796,793 株の約0.9%
分売値段2,186 円(11/25発表)
ディスカウント率2.97 (11/25発表)
申込単位数量100株
申込上限数量2,000株
実施の目的一定数量の売却意向があり、発行会社として検討した結果、株式の分布状況の改善及び流動性の向上を図るため
表1:マミーマート 立会外分売概要

分売数量は、発行済み株式総数の約0.9%と少ない数量※です。

※一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は9百株、25日平均は8百株で、流動性は低い水準です。

なお、今年に入って6/3(木)にも立会外分売を実施していまして、今年に入って2回目になります。

その時の、分売値段とその後の株価は表2のようになっています。

分売実施日分売数量
分売数量の発行済み
株式総数の割合[%]
分売値段[円]ディス
カウント率
[%]
分売日始値[円]
(増減[円])
分売日終値[円]
(同)
1週間後
の始値[円]
損益[円]
(増減率[%])
6/3
(木)
5万株0.52,1842.982,225
(+41)
2,226
(+42)
2,228
(6/10)
+44
(+2.0)
表2:2021/6/3(木)実施のマミーマート 立会外分売の分売値段とその後の株価

分売日の寄付きや大引け、分売日から1週間後の寄付きで売却しても、約2%の利益が出ていました。

今回はどうなるか?ですが、ご参考まで。

ご参考(前回分売実施時の記事):【立会外分売は買いか?】マミーマート(9823)

どんな会社?

スーパー

埼玉地盤の、生鮮食料品主体のスーパーマーケットチェーンを展開している会社です。北関東1都4県(埼玉、千葉、群馬、栃木)に計78店舗(スーパーマーケット業態のみ)あります。

グループ会社としては、生鮮食品製造、加工、販売をしている「彩裕フーズ株式会社」と、清掃、設備管理、空調メンテナンス管理業務等の総合ビルメンテナンス事業、そして、温泉施設やレストラン運営管理等の健康サービス事業をしている「マミーサービス株式会社」があります。

経営方針として、

  • より良い品をより安く
  • 人、物、情報の最適な関係
  • 社員一人ひとりの発想が社会に活かせる「元気」な組織づくり

を掲げています。

事業セグメントは、「スーパーマーケット事業」と「その他事業」があり、2021年9月期通期の売上高構成比率は、

  • スーパーマーケット事業 99.7%
  • その他事業 0.3%

となっており、ほとんどがスーパーマーケット事業の売上です。

直近の経営概況

経営状況

2021年9月期通期(2020年10月~2021年9月)の経営成績】(2021年11月12日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年同期比[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する純利益
[百万円]
(同)
2020年9月期通期実績1,243
(14.1)
4,747
(189)
5,132
(143)
2,613
(275)
2021年9月期通期実績1,353
(8.9)
5,962
(25.4)
6,376
(24.1)
3,931
(50.5)
2022年9月期通期会社予想(営業収益)
1,290
(ー※)
4,000
(△32.8)
4,500
(△29.4)
2,800
(△28.8)
表3:マミーマート 2021年9月期通期経営成績と2022年9月期会社予想 ※2022年9月期の期首より「収益認識に関する会計基準」等を適用するため、当該基準に基づいた予想。そのため、2021年9月期の営業収益に対する増減率は記載していない。

2021年9月期通期の業績は、前年同期比 増収増益で、売上高は1割増、営業利益と経常利益は2割強、純利益は5割増で好業績でした。

ただ、2022年9月期の通期予想は、2021年9月期と同様の基準で算出した2022年9月期の売上高予想は1,385億円(2.3%増)ですので、前期比 増収減益の予想です。

特に、利益面は前期比3割程度減と、前期(2021年9月期)、前々期(2020年9月期)と比較すると勢いが落ちる予想となっています。

【2021年9月期通期の状況、経営成績の要因】

当会計年度の連結営業成績は、コロナ禍による内食需要のみならず、新規出店、改装の実施により、連結売上高は前年同期比8.9%増加しました。

利益面では作業効率の改善、販売施策の見直しにより、人件費、広告宣伝費が低減し、連結経常利益は前年同期比24.1%増加、親会社株主に帰属する当期純利益は50.5%増加となりました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表4の結果になりました。

セグメント売上高[億円]
(前年同期比[%])
セグメント利益
[百万円](同)
スーパーマーケット1,349
(8.9)
5,960
(25.0)
その他事業377
(△4.9)
△8
(前期△22百万)
表4:2021年9月期通期  セグメント別業績

主力の「スーパーマーケット事業」は、前期比 増収増益の結果で好調でした。

「その他事業」は売上高は微減セグメント損失ですが赤字幅は前期より縮小しています。

設備投資は、(株)マミーマートにおいて2021年5月に生鮮市場TOP高麗川店(埼玉県日高市)、同6月に関東5県目進出となる生鮮市場TOPガーデン前橋店(群馬県前橋市)、同7月に生鮮市場TOP前橋リリカ店(同)の3店舗を開店しました。

また、2020年10月に生鮮市場TOP足利店(栃木県足利市)、同11月に生鮮市場TOP北上尾店(埼玉県上尾市)、2021年9月に生鮮市場TOP白岡西店(同白岡市)、生鮮市場TOP蓮田山ノ内店(同蓮田市)の4店舗を改装オープンしました。当期末の店舗数は、温浴事業・葬祭事業を含め81店舗です。

【財政面の状況】

自己資本比率

2021年9月期末時点で51.1%と前期末(46.3%)から4.8ポイント増加しました。

これは主に、利益剰余金が33.6億円増加し、株主資本が増加したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(目安として、20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー

2021年9月期累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況は、営業活動によるCF 69.3億円の収入、投資活動によるCF 19.5億円の支出の結果、営業活動によるCFと投資活動によるCFを合計したフリーCF※は49.8円のプラスとなりました。

フリー・キャッシュ・フロー:プラスの場合、会社が使える資金があることを意味し、マイナスの場合、会社が自由に使うことができる資金が少ないことを意味する。

前期(2020年9月期)のフリーCF(プラス56.7億円)と比較すると、6.9億円減少しています。

これは主に、有形固定資産の取得による支出が前年比で2.7億円増加し、投資CFの支出が増加したことが要因です。

【今期(2022年9月期)の見通し】

経営環境は、新型コロナウイルス感染症の影響により、今後の景気、個人消費や業績動向は極めて不透明な状況であり、また小売業界においては、業種業態を超えた競合との競争激化、人手不足による労働力不足、物流コストの高騰など、引き続き厳しい経営環境が予測されます。

同社グループでは「圧倒的地域一番店作りと高生産性店舗の構築」をスローガンに、2022年9月期は「圧倒的な地域一番店作り」、「製造小売業への脱却」、「定番商品の活性化」、「売れて儲かる重点商品拡販」、「高値入で安定した粗利の実現」、「適正な人員配置の確立」、「人材育成」を7つの重点項目と定め各施策を進めて、消費者の多様なニーズに対応し、お客様の生活に寄り添ったサービスの提供に努めていく予定です。

また、今後の更なる成長のために、下記のような投資を計画しています。

  1. 食の専門店化
    • 強いカテゴリーの創出、単品1番化を目指すほか、他店にない買い物体験を提供するため、新規出店や既存店の改装も積極的に行う。
  2. 惣菜・精肉の最新製造工場新設による生産体制の増強と品質向上
    • 2022年春に予定している製造工場の新設に合わせ、原材料や仕入方法の変更、製造の拡大を図っていく。また、アウトパック構成拡大により店舗作業量削減を進める。
  3. 商流・物流改革
    • 2022年夏、埼玉県下に新規物流センターの稼働を予定し、さらなる改革を実行することで高生産性店舗の構築を目指す。

以上より、表3の2022年9月期通期の業績を見込んでいます。

株価指標

株価指標

【11/22(月)終値時点の数値】

  • 株価:2,301円
  • 時価総額:248億円
  • PER:8.7倍

PERは、同業で時価総額が近い、ヤマナカ(8190) 19.2倍、ヤマザワ(9993) 38.0倍と比較すると、低い水準となっています。

  • PBR:0.83倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):ー(信用売り残無し)
  • 年間配当金(会社予想):50円(年2回 3月 25円、3月 25円)、年間利回り:2.2%

配当は年利回り 2.2%で、東証ジャスダックの単純平均1.67%(11/22時点) と比較すると少し高い水準です。

決算期1株当たり
年間配当金(円)
配当性向(%)
2017年9月期2011.8
2018年9月期20ー(赤字)
2019年9月期3655.7
2020年9月期4819.6
2021年9月期6016.2
表5:マミーマート 年間配当金推移

表5のように、今期は減配予想ですが、直近5年間の配当金は年々増配傾向です。

配当性向は10~50%台と、ばらつきがあります。

この会社は、

株主に対する利益還元を経営の最重要政策として位置づけており、小売業界にける競争激化に対応した積極的な新規出店と魅力ある売り場づくりを維持・強化するとともに、業績に裏付けられた成果配分を行うことにしています。

また、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。

【株主優待】

この銘柄は株主優待制度があり、年2回(3月末、9月末)、100株以上保有の株主に、以下のものが贈呈されます。

出所:マミーマートHP IR情報より

100株保有の場合、株主優待券が年間4,000円いただけますので、株主優待+配当利回り=3.9%となります。こちらは嬉しいですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

株価は、2019年の12月の安値(1,715円)から、コロナショックにはあまり影響されずに上昇してきて、昨年の8月に高値(2,699円)をつけました。

その後は一旦は下落したのですが、現時点は、安値切り上げ高値切り上げの動きで緩やかながら上昇基調で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、9/27に高値(2,468円)をつけた後は、株主優待の権利落ちとともに、高値切下げの下落トレンドで推移しています。

11月に入り、2021年9月期決算発表の翌営業日(11/15)に、決算を好感されてか、出来高を伴い前日比 43円(+1.9%)上げました。

そして今回の立会外分売発表の翌営業日(11/19)には、短期的な需給悪化懸念から下げると思いきや、前日比 9円高(+0.4%)となりました。

出来高が少ないので何とも言えないところもありますが、今後現在のもみ合い状態から、直近の高値(2,468円)に戻る動きになるのか、高値切り下げの動きを継続するのか要注目です。

まとめ

スーパーマーケット

【業績】

  • 2021年9月期通期の業績は、コロナ禍による内食需要のみならず、積極的な新規出店、改装の実施により、前年同期比 増収増益で、売上高は1割増、営業利益と経常利益は2割強、純利益は5割増で好業績。
  • 2022年9月期の通期予想は、2021年9月期と同様の基準で算出した2022年9月期の売上高予想は1,385億円(2.3%増)で前期比 増収減益の予想。特に、利益面は前期比3割程度減と、前期(2021年9月期)、前々期(2020年9月期)の業績と比較すると勢いが落ち減速感がある。

【株主還元】

  • 配当は年利回り 2.2%で、東証ジャスダックの単純平均1.67%(11/22時点) と比較すると少し高い水準。
  • 株主優待制度があり、100株保有の場合、同社の店舗で使用可能な株主優待券が年間4,000円いただけ、株主優待+配当利回りは3.9%となる。

【流動性】

  • 直近の出来高の5日平均は9百株、25日平均は8百株で、流動性は極端に低い水準。
  • 分売数量は、発行済み株式総数の約0.9%と少ない数量。

【株価モメンタム】

  • 週足ベースの株価は、2019年の12月の安値(1,715円)から、コロナショックにはあまり影響されずに上昇し、昨年の8月に高値(2,699円)をつけた。その後は一旦は下落したのですが、現時点は、安値切り上げ高値切り上げの動きで緩やかながら上昇基調で推移。
  • 直近の株価は、9/27に高値(2,468円)をつけた後は、株主優待の権利落ちとともに、高値切下げの下落トレンドで推移。
  • 11月に入り、2021年9月期決算発表の翌営業日(11/15)に、決算を好感されてか、出来高を伴い前日比 43円(+1.9%)上げた。そして今回の立会外分売発表の翌営業日(11/19)には、前日比 9円高(+0.4%)となった。今後現在のもみ合い状態から、直近の高値(2,468円)に戻る動きになるのか、高値切り下げの動きを継続するのか要注目。

以上のことから、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐⭐
株主還元(配当、株主優待等)⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性
分売数量⭐⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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