銘柄分析(第8回):新日本理化(4406)

株式投資
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こんにちは!

会社四季報2021年2集(2021年3月発売)の営業利益予想が、会社予想に比べ大幅に乖離(乖離率30%以上)している銘柄の中で、直近の四半期決算発表以降、上方修正を発表していない企業に絞り、今後上方修正はあるのか分析してみました。

第8回目は、化学業種から、新日本理化です。

事業内容

化学製品の製造・販売会社で、オレオケミカルの総合メーカーとして、天然の植物油・動物油を主原料に高圧還元及び選択水素化技術を駆使した高機能製品を豊富に取り揃え、工業用原料からパーソナルケア製品にいたるまで幅広く社会に製品を提供しています。

オレオケミカルは、第5回の昭栄薬品でもご紹介したように、再生産が可能で環境負荷が低い油脂化学品です。

他にも、可塑剤やプラスティック・コーティング剤、潤滑油などを製造・販売しています。

セグメント別情報は、化学製品の製造販売を主な事業とする単一セグメントのため、ありません。

直近の経営状況

2021年3月期3Q累計の経営状況は、売上高は、171.4億円(前年同四半期比16.1%減)、損益面では、営業利益1.6億円(同55.8%減)、経常利益4.9億円(同18.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益4.3億円(同11.6%減)となっています。

製品別の概要ですが、

オレオケミカル製品は、油脂製品においては前半低迷していた自動車産業の回復により合成樹脂及びタイヤ向け脂肪酸が復調。医薬向けグリセリンの販売終了の影響が大きく油脂製品は販売数量、売上高ともに前年に比べ大幅に減少しました。

アルコール製品においては、生活関連向け界面活性剤及びアルコールは堅調に推移し、低迷していた工業用油剤の販売も回復して、アルコール製品は販売数量、売上高とも前年並みでした。

可塑剤は、住宅着工件数の減などのコロナ禍の影響により主要用途先の住宅資材分野向け販売が減少し、売上は前年を大幅に下回りました。

機能化学品は、自動車産業向け原材料は自動車の生産回復から持ち直したものの、前半の需要低迷の影響が大きく前年を下回る状況。

樹脂原料製品は、自動車の生産回復により自動車用途の販売は持ち直したものの、前半の需要低迷から前年実績を下回る状況。

樹脂添加剤は、コロナ禍により国内向け販売の需要減が続いているものの、欧州向け雑貨市場において6月から需要が戻ってきており、3Qにおいても堅調に推移したことから販売数量、売上高ともに前年を上回っています。

2021年3月24日には、ビジョン及び中期経営計画策定を発表しています。

経営目標:

売上高営業利益ROE
2025年目標360億円22億円8.0%
(参考)
2021年3月期会社計画
229億円1.5億円3.1%

※ROE:自己資本利益率(return on equity)

自己資本(株主資本(払込資本金と内部保留との和))に対する当期純利益の比率。自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標。この数値が高いと効率よく稼いでいる会社であるとみることができる。

この数値を見る限り、営業利益は今期の10倍以上、ROEも2倍以上とかなりチャレンジングな数値目標を掲げています。高成長を期待できますね!

株価指標

4/26(月)終値時点の数値

株価:285円

時価総額:106.3億円

PER:23.54倍

PERは、同業で時価総額が近い、ミヨシ油脂(4404) 10.8倍 、東邦化学(4409) 17.3倍、ADEKA(4401)16.2 倍と比較して、少し高い水準です。それだけ、将来の業績期待が高いということでしょうか。

PBR:0.75倍

年間配当金(予想):3円(年1回 3月)、年間利回り:1.1%

※直近5年間では、2016年3月期 0円,2017年 0円,2018年 0円,2019年 0円,2020年 5円でした。直近では2020年12月に5円配当でそれ以外は無配になっています。配当は多くはないといえますね。

株価は、160円近辺のもみ合いから、2020年12月に280円に急激に上昇し、75%ほど株価が上昇しています。直近では280円前後で落ち着いてきています。

株価のボラティリティは高い銘柄のようです。

週足チャート(2年間):

※楽天証券サイトより抜粋

まとめ

2021年3月期は、オレオケミカル製品は自動車採算が回復、アルコール製品においては生活関連向け界面活性剤及びアルコールは堅調ですが、可塑剤は、住宅資材分野向け販売が減少しています。良くも悪くも今後の自動車や住宅業界の景気に左右されそうです。

ただ、中期経営計画でチャレンジングな目標を立てており、業績に対して意欲的な会社とも言え、2025年に向けて何らかの施策を打ってくるのは確実と思われますので、今後注目ですね!

次回決算発表予定日:5/14(金)

※株式投資は、自己判断、自己責任でお願いします。

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