こんにちは!
直近で公募増資・売出(以下、PO)を実施した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益は出たのか?
受渡期日当日と1週間後の結果を検証しました。
今回は、受渡期日が2024年6月の平和不動産リート、星野リゾート・リート、7月のジャパン・ホテル・リートです。
最後までお付き合いいただけると嬉しいです💖
発行価格とその後の投資口価格推移
まずは、発行価格で買って1週間(5営業日)後まで保有した場合、含み益なのか含み損なのか?確認していきましょう!
※売買手数料は考慮していません。
受渡期日の寄付又は大引けと1週間(5営業日)後の結果は、
全ての銘柄は全ての段階で損益プラスでした。
特に、ジャパン・ホテル・リートは受渡日の大引で売却した場合は、6.5%の利益が出ています。
POで購入し、利益が出た方おめでとうございます!
ちなみに私は購入なしでした。皆さんはいかがでしたでしょうか?
それでは個別に見ていきましょう!
要因分析:平和不動産リート(8966)
このJ-REITのPO発表時の評価は、表2のように判断していました。
レベル (最低⭐~ 最高⭐⭐⭐⭐⭐) | |
ファンダメンタルズ | ⭐⭐⭐ |
インカムゲイン | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐⭐ |
投資口価格モメンタム | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐⭐ (買い) |
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」
東京都区部を中心に中規模オフィスとシングル・コンパクトタイプのレジデンスへの投資・運用を行っているJ-REITで、
「運用資産の着実な成長」と「中長期的な安定収益の確保」を着実に遂行し、投資主価値の最大化に向けて取り組んでおり、
多数の物件へ投資することで、ポートフォリオの分散を図って収益変動リスクを極小化しており、安定感がありました。
前々期(2023年11月期)の運用状況は、前期比 増収増益で、営業収益は1割弱増、利益面は1割強の増益でした。
今期(2024年11月期)の運用状況の予想は、今回のPO発表と同時に修正しており、前期比 増収減益で、営業収益は微増、利益面は営業利益は微増ですが、経常利益と純利益は微減の減益を見込んでいました。
今回の資金調達による資産取得により、今期(2024年11月期)の運用状況予想を前回発表予想から、営業収益、利益面ともに微増の増額修正をしており、
今回の公募増資による新規取得資産は取得金額で約4.5%の増加率(2,309→2,415億円)からすると、この新規物件取得の規模(増加率)営業収益と利益面の増額修正の割合がほぼ見合っているといえ、資金調達の妥当性がありました。
分配金の利回り(予想) 5.07%(5/21時点)は、東証プライム上場会社の単純平均2.28%と比較して2倍超の高い水準で、J-REITの平均予想利回りと比べても高い水準でしたね。
直近5期の分配金は、1口当たり3,050~3,340円で推移しており、連続増配を継続中でこの点は魅力的でした。
今回の増資後の2024年11月期の分配金は前回予想より40円増額し前期比 60円増、2025年5月期は同25円増の予想でした。
投資口価格モメンタムは、2023年5月に高値(164,200円)をつけるまでは、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移しましたが、
その後は下落に転じ、2023年12月に安値(129,400円)をつけました。
そしてそれ以降は、130,000~140,000円のレンジ内で推移しました。
直近の投資口価格は、3/13に年初来安値(129,700円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移し、4/10に年初来高値(144,800円)をつけました。
しかしその後は調整しており、今回のPO発表の翌営業日(5/21)は、POによる1口当たり利益の希薄化懸念により、窓を開けて出来高を伴い前日比 5,600円安(-3.99%)と急落しましたね。
今後の投資口価格は、年初来安値(129,700円)を下抜けずに、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索するのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】平和不動産リート投資法人(8966) <2024年5月実施>
【PO発表後の投資口価格の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表以降は、5月末の分配権利落ちで窓を開けて大きく下落しましたが、その後はヨコヨコで、
年初来安値(129,700円)や発行価格(128,271円)を下回らず推移しています。
受渡日1週間後以降は、連続陽線をつけて上昇する場面もありました。
要因分析:星野リゾート・リート(3287)
このJ-REITのPO発表時の評価は、表3のように判断していました。
レベル (最低⭐~ 最高⭐⭐⭐⭐⭐) | |
ファンダメンタルズ | ⭐⭐⭐⭐ |
インカムゲイン | ⭐⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐ |
投資口価格モメンタム | ⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」
星野リゾートグループの運営する主要ブランド物件(「星のや」「リゾナーレ」「界」などのリゾートホテル、温泉旅館)に対し投資しているJ-REITで、
安定した収益を生み、長期的かつ安定的なキャッシュ・フローを確保することが可能であり、ビジネスモデルや運営力、立地等の優位性などで差別化された施設に投資し、
ソフトの優位性とハードの優位性という2つの観点から投資対象資産を選定し、収益性が期待できました。
前々期(2023年10月期)の運用状況は、前期比 増収増益で、営業収益は微増、利益面は営業利益と経常利益は微増の増益ですが、純利益は1割弱減でした。
今期(2024年10月期)の運用状況の予想は、今回のPO発表と同時に修正しており、前期比 増収増益で、営業収益は1割強増、利益面は2割前後の増益を見込んでいました。
今回の資金調達による資産取得により、今期(2024年10月期)の運用状況予想を前回発表予想から、営業収益は1割強増、利益面は2割前後の増額修正しており、
今回の公募増資による新規取得資産は取得金額で約14.0%の増加率(1,986→2,266億円)からすると、この新規物件取得の規模(増加率)営業収益と利益面の増額修正の割合はほぼ見合っているといえ、POによる資金調達の妥当性がありましたね。
分配金の利回り(予想) 3.45%(5/27時点)は、東証プライム上場会社の単純平均2.30%(5/24時点)と比較して高い水準ですが、J-REITの平均予想利回りと比べると低い水準でしたね。
直近5期の分配金は、1口当たり7,195~8,700円で推移しており、連続増配を継続中でこの点は魅力的でしたね。
今回の増資後の2024年10月期の分配金は前回予想より400円増額し前期比 400円増、2025年4月期は同20円増の予想でした。
投資口価格モメンタムは、2023年1月に高値(761,000円)をつけるまでは上昇基調で推移していましたが、
それ以降は高値切り下げ安値切り下げの下落トレンドで推移し、2024年2月に安値(504,000円)をつけた後は、550,000円前後で推移していました。
直近の投資口価格は、3/28に年初来高値(581,000円)をつけるまでは上昇基調で推移していましたが、それ以降はほぼヨコヨコで推移しており、
今回のPO発表の翌営業日(5/27)は、POによる1口当たり利益の希薄化懸念により、窓を開けて出来高を伴い、前日比 36,000円安(-6.38%)と急落しましたね。
今後の投資口価格は、2月につけた年初来安値(504,000円)を割り込まずに、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】星野リゾート・リート投資法人(3287) <2024年5月実施>
【PO発表後の投資口価格の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表翌営業日以降も下落基調で推移しましたが、年初来安値は割り込まずに、受渡日(6/6)の2営業日前に底打ちし、
その後はヨコヨコで推移しました。
要因分析:ジャパン・ホテル・リート(8985)
このJ-REITのPO発表時の評価は、表4のように判断していました。
レベル (最低⭐~ 最高⭐⭐⭐⭐⭐) | |
ファンダメンタルズ | ⭐⭐⭐⭐ |
インカムゲイン | ⭐⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐⭐ |
投資口価格モメンタム | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐⭐ (買い) |
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」
中長期的な観点から着実な成長と安定した収益の確保を目指し、資産の運用を行うことを基本方針とした、ホテル特化型のJ-REITで、
「国内レジャー客」及び「訪日外国人レジャー客」の需要の取込みが中長期的に期待できる地域において高い競争力を持つホテル用不動産等の取得を通じ、投資主価値の最大化を目指していました。
前期(2023年12月期)の運用状況は、前期比 増収増益で、営業収益は8割弱増、利益面は3.5~4.9倍の増益でした。
今期(2024年12月期)の運用状況の予想は、今回のPO発表と同時に修正しており、前期比 増収増益で、営業収益は2割強増、利益面は3割強の増益を見込んでいました。
今回の資金調達による資産取得により、今期の運用状況予想を前回発表予想から、営業収益は5%弱、利益面は4~6%の増額修正をしており、
今回の公募増資による新規取得資産は取得金額で約14.1%の増加率(3,969→4,531億円)でしたので、それからすると、営業収益と利益面の増額修正の割合はこれに比べて見劣りしており、やや物足りない印象でした。
分配金の利回り(予想) 4.93%(6/25時点)は、東証プライム上場会社の単純平均2.28%(6/24時点)と比較して2倍超の高い水準で、J-REITの平均予想利回りと比べてもやや高い水準でしたね。
直近5期の分配金は、1口当たり366~3,690円で推移しており、コロナ禍ではホテルの稼働率が落ち込んだため、分配金も極端に減少しましたが、前期(2023年12月期)はコロナ前に戻りつつありました。
今回の増資後の今期の分配金は、前回予想から1口当たり42円増額し前期比 749円増の予想でしたね。
投資口価格モメンタムは、2022年7月に安値(61,100円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、翌年1月に高値(86,200円)をつけました。
しかしその後は調整し、65,000~85,000円程度のレンジ内で推移しました。
直近の投資口価格は、5/15に年初来高値(86,000円)をつけるまでは、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移していましたが、それ以降は調整しており、
今回のPO発表の翌営業日(6/25)は、POによる1口当たり利益の希薄化を懸念され、出来高を伴い窓を開けて前日比 1,800円安(-2.30%)と急落しましたね。
今後の投資口価格は、3月につけた安値(71,500円)や年始につけた年初来安値(67,900円)を割り込まずに、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985) <2024年7月実施>
【PO発表後の投資口価格の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
結局、PO発表の翌営業日が底となって上昇に転じ、受渡日(7/4)までは上昇基調で推移しました。
その後は一旦は調整していますが、発行価格は下回らずに推移しています。
まとめ
平和不動産リート(8966)、星野リゾート・リート(3287)、ジャパン・ホテル・リート(8985)のPO予想と一週間(5営業日)後の株価は、表5の結果になりました。
銘柄名 | 事前予想 | 結果(損益)[円] (「受渡日の1週間 (5営業日)後始値」 ー「発行価格」) (騰落率[%]) | 判定 |
平和不動産 リート | 買い | +4,629 (+3.6) | 〇 |
星野リゾート ・リート | 中立 | +12,850 (+2.6) | 〇 |
ジャパン・ホテル ・リート | 買い | +1,442 (+1.9) | × |
※事前予想の「買い」は3%以上の上昇、「中立」は±3%、「見送り」は3%以上の下落を想定しています。
今回は2勝1敗、勝率0.667。まあまあの結果でした。
今回は全ての投資法人は、PO発表以降の値動きはまちまちでしたが、POで購入して受渡日1週間後(5営業日後)に売却した場合、損益プラスでした。
ジャパン・ホテル・リートは、受渡日までは好調でしたが、勢いが良かった分それ以降は失速してしまいましたね。
今後の個別動向ですが、
平和不動産リートは、直近では勢いよく25日移動平均線を大陽線で上抜けています。
分配金利回りが高いですので、今後の投資口価格の上昇も期待です。
星野リゾート・リートは、こちらも直近で25日移動平均線を上抜けており、今後の投資口価格上昇が期待できます。
連続増配を継続中のところは魅力的で、75日移動平均線をも上抜ければ、上昇に勢いが出てきそうです。
ジャパン・ホテル・リートは、押し目を形成しつつ再び25日移動平均線を上抜けています。
ホテル業界はコロナ禍前に戻りつつあり、インバウンドを含めて活況ですので、今後の投資口価格の上昇が楽しみです。
参考になればうれしいです✨
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。