こんにちは!
直近で公募増資・売出(以下、PO)を実施した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益は出たのか?
受渡期日当日と1週間後の結果を検証しました。
今回は、受渡期日が2024年3月の東映アニメーション、きちりホールディングス、静岡ガスです。
最後までお付き合いいただけると嬉しいです💖
発行(売出)価格とその後の株価推移
まずは、発行価格で買って1週間(5営業日)後まで保有した場合、含み益なのか含み損なのか?確認していきましょう!
※売買手数料は考慮していません。
受渡期日の寄付又は大引けと1週間(5営業日)後の結果は、
東映アニメーションは、全ての段階で損益マイナス、
きちりホールディングスは、受渡日の寄付や大引で売却した場合は損益プラス、受渡日1週間(5営業日)後の寄付は損益マイナス、
静岡ガスは全ての段階で損益プラス、
でした。
日本シイエムケイは受渡日の大引で売却した場合、4.2%の利益が出ています。
POで購入し、利益が出た方おめでとうございます!
ちなみに、私は今回は購入無しでした。皆さんはいかがでしたでしょうか?
それでは個別に見ていきましょう!
要因分析:東映アニメーション(4816)
この会社のPO発表時の評価は、表2のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐ |
株式の売出数量 | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
今期(2024年3月期)3Qの業績は、主力作品群からの安定的な収益の確保・拡大しましたが、利益面は「聖闘士星矢 The Beginning」の棚卸資産の評価損を計上したことにより、
前年同期比 増収減益で、売上高は微増、利益面は1~2割の減益でした。
今期通期予想は、前年度に公開した映画の波及効果が継続し、国内における配信権販売や商品化権販売、並びに商品販売事業が期初見込みを上回り好調に推移したことから、今3Q決算発表と同時に上方修正し、
前期比 減収減益で、売上高は1割弱減、利益面は3割弱の減益を見込んでいました。
その通期業績予想に対する進捗率は、3Q終了時点で、売上高は8割弱でそこそこでしたが、利益面は9割前後に達しており順調でしたね。
株主還元は、配当利回り(予想)は0.70%(2/19時点) で、東証スタンダードの単純平均 2.18%と比較すると低い水準でした。
直近5年間の配当金は、年間1株あたり70~155円で推移しており、2021年3月期までは70円で一定でしたが、その後は連続増配を継続中でした。
また、株主優待があり、毎年3月末の年1回、100株以上保有の株主に、株主優待オリジナル「キャラクターQUO カード」が株数に応じて進呈され、アニメファンにとって魅力的でしたね。
100株保有の場合、配当金+株主優待(1,200円相当)で利回りは0.78%となっていました。
株価モメンタムは、2022年5月に安値(8,920円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、2023年12月に高値(20,770円)をつけていました。
直近では、昨年11月に安値(14,740円)をつけた後は、右肩上がりで上昇し、翌月に年初来高値(20,770円)をつけましたが、その後は、しばらくもみ合いの値動きで、
今回のPO発表の翌営業日(2/15)に、POによる短期的な需給悪化懸念から、窓を開けて出来高を伴い、前日比 1,560円安(-8.40%)と急落しました。
その後も連続陰線で下落が続き、75日移動平均線を下抜けましたね。
その後は、昨年11月につけた直近の安値(14,740円)を割り込まずに上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】東映アニメーション(4816)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表以降、5連続陰線で下落していきましたが、その後は一旦は上昇に転じました。
そして、受渡日(3/5)の2営業日前から、POによる短期的な需給悪化懸念により下落基調で、売出価格を割り込んで推移しています。
要因分析:きちりホールディングス(3082)
この会社のPO発表時の評価は、表3のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐ |
新株式の発行数量 株式の売出数量 | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
今期(2024年6月期)2Qの業績は、来店客数は対前期比を上回って推移しており、既存店売上高は 21 ヶ月連続で対前年同月比を上回り、
前年同期比 増収増益で、売上高は3割強増、利益面は黒字転換でした。
今期通期予想は、3Q以降も堅調な来店客数推移を見込むとともに、徹底したコストコントロールを含めた各種施策により利益率が上昇する見通しであることから、2Q決算発表の数週間前に上方修正し、
前期比 増収増益で、売上高は3割弱増、利益面は黒字転換を見込んでいました。
その通期業績予想に対する進捗率は、2Q終了時点で、売上高は5割でそこそこ、利益面は営業利益と純利益は5割前後でそこそこでしたが、経常利益は3割強で遅れ気味でしたね。
株主還元は、配当利回り(予想)は0.77%(2/21時点) で、東証スタンダードの単純平均 2.18%(2/20時点) と比較すると低い水準でした。
直近5年間の配当金は、年間1株あたり0~7.5円で推移しており、配当性向は、無配や最終赤字の年を除き、30%台~40%台で推移していました。
また、株主優待があり、毎年12月末と6月末の年2回、100株以上保有の株主は、同社の運営する店舗で使用できる金券(1,500円分)1枚(500株以上保有の場合は6枚、1,000株以上は13枚)が進呈され、
100株保有の場合、配当金+株主優待(1,500円×年2回=3,000円相当)の利回りは3.86%で魅力的でしたね。
株価モメンタムは、2022年10月に上場来安値(294円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移していました。
直近では、昨年12月に年初来高値(1,194円)をつけた後は、下落基調で推移しており、
今回のPO発表の翌営業日(2/19)は、前日比 7円安(-0.7%)と小幅な値動きでしたね。
その後は、節目の900円を割り込まずに上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】きちりホールディングス(3082)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表以降、なかなかPOによる1株利益の希薄化懸念が解消されず、下落基調で推移しています。
2022年11月から1年以上も上昇トレンドで推移していましたので、その分、利益確定売りが増えているのかもしれませんね。
要因分析:静岡ガス(9543)
この会社のPO発表時の評価は、表4のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐⭐ |
株式の処分(売出) 数量 | ⭐⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
前期(2023年12月期)の業績は、ガス販売量は減少したものの原料費調整制度によるガス販売単価の上方調整などにより、
前年同期比 増収増益で、売上高は微増、利益面は2.1~2.3倍の増益で着地しました。
今期(2024年12月期)業績予想は、売上高はガス販売量の増加を見込むものの、原料費調整制度による販売単価の下方調整等により、
前期比 減収減益で、売上高は微減、利益面は6割前後の減益を見込んでいましたね。
株主還元は、配当利回り(予想)は2.92%(2/21時点) で、東証プライムの単純平均 2.15%と比較すると高い水準でした。
直近5年間の配当金は、年間1株あたり16~25円で推移しており、連続増配を継続中でした。
また、2024年2月に配当方針が変更され、配当性向に関しては、目標水準の方針が示されていませんでしたが、「3割を目標水準」と水準が明確になった点も良かったです。
そして、株主優待があり、毎年12月末に300株以上保有の株主は、1,000円相当の静岡県の特産品・名産品や、同社ポイントサービス「エネリア motto ポイント」が進呈され、
300株で3年未満保有の場合、配当金+株主優待(1,000円相当)で利回りは3.29%となっていた点も魅力的でした。
株価モメンタムは、2022年5月に安値(812円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、2023年6月に高値(1,278円)をつけました。
しかしその後は、高値切り下げ安値切り下げの下落トレンドで推移しました。
直近では、年初に高値(1,093円)をつけた後は、下落基調で推移しており、
今回のPO発表の翌営業日(2/20)は、短期的な需給悪化懸念から、窓を開けて出来高を伴い、前日比 56円安(-5.80%)と急落し、この下落で前営業日につけた昨年来安値を更新しました。
その後は、この下落が止まり、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、下げ止まらず下値模索を継続するのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】静岡ガス(9543)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表の3営業日までは下落していましたが、それ以降は、POによる需給悪化懸念が後退して上昇基調で推移し、
受渡日の1週間後には25日移動平均線(赤線)を上抜けています。
株式の処分と売出を合わせた数量が比較的少なかったというのも、反転上昇が早かった要因の一つですね。
まとめ
東映アニメーション(4816)、きちりホールディングス(3082)、静岡ガス(9543)のPO予想と一週間(5営業日)後の株価は、表5の結果になりました。
銘柄名 | 事前予想 | 結果(損益)[円] (「受渡日の1週間 (5営業日)後始値」 ー「発行価格」) (騰落率[%]) | 判定 |
東映 アニメーション | 中立 | -1,449 (-8.9) | × |
きちり ホールディングス | 中立 | -3 (-0.3) | 〇 |
静岡ガス | 中立 | +33 (+3.7) | × |
※事前予想の「買い」は3%以上の上昇、「中立」は±3%、「見送り」は3%以上の下落を想定しています。
今回は1勝2敗、勝率0.333。反省です(__)
今回は、銘柄によって明暗が分かれましたね。
静岡ガスは、処分価格等決定日前の早々からPOによる需給悪化懸念が解消されてきて、その後上昇に転じましたが、
東映アニメーションときちりホールディングスは、受渡日から1週間経っても下げ止まりを見せていません。
特に、東映アニメーションは受渡日前に一旦は上昇基調で推移していただけに、反転下落は痛かったという印象です。
今後の個別動向ですが、
東映アニメーションは、直近ではまだ5日移動平均線の下で推移しており、反転上昇の気配を見せていません。
ただ、3月末に魅力的な株主優待の権利取りが控えていますので、上昇する場面もありそうです。
きちりホールディングスは、だらだらと下落基調が続いています。
POによる資金調達により、業績の伸長が見通せれば株価は上昇してきそうです。
静岡ガスは、25日移動平均線を上抜いて、上昇の波に乗ってきています。
今後、75日移動平均線も上抜き上昇の加速に期待です。
参考になればうれしいです✨
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。