【自社株買い銘柄は買いか?】アイネス(9742)

まとめ株式投資
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こんにちは!

直近で自社株式の取得を発表した銘柄に関して、この発表のタイミングで株を買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証1部から情報・通信業種のアイネスです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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  • 「自社株買い」とは?

上場企業が自らの資金を使って、株式市場から自社の株式を買い戻すことをいう。

日本証券業協会HP 金融・証券用語集

自社の株を買った後は、

  1. 買い戻した株式を消却する。(無効とする。)
  2. 金庫株としてそのままにしておき、いずれ資金調達などの目的で売却する。

の2通りあります。

自社株買いのメリットとデメリット

<メリット>

  1. 発行済み株式数が減るため、会社の利益総額が変わらなければ、1株当たり利益(EPS)が増えるので、企業価値が上がる=株価が上がる可能性がある。(配当とともに株主還元の一つ)
  2. 配当金の支払いが少なくて済む。(企業側のメリット)
  3. 敵対的買収の防衛策(株価が上がって敵対企業が株を買いにくくなることと、市場に出回る株数の割合が少なくなるため)
  4. ROE(株主資本利益率:ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本×100(%))が上がる。
    • 自社株買いを行った場合、自己資金が減りますので、分母の「自己資本」が少なくなりROEが上がります。
  5. 自社の株価は割安だとメッセージを送ることができる。
    • 自社の株が安い時に買った方が、購入資金が少なくて済みます。(企業側のメリット)

<デメリット>

  1. 自己資金が減り、設備投資などの自社の成長に回せる資金が少なくなる。
  2. 自己資本比率(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産) ×100)が下がる。

などがあります。

それでは、見ていきましょう!

自己株式取得の概要

システム

会社から発表された自社株買いの概要は以下です。

株数と金額の上限が設定されていますが、株価が上がれば、取得に必要な金額も大きくなりますので、予定の取得株数よりも少なくなることが多いです。

自社株買いの理由資本効率の向上と株主還元の充実を図るために資本政策を遂行する。
自社株買い発表日2021年7月30日(金)
取得期間2021年8月2日~ 2021年12月30日
取得株式の総数普通株式 250万株(上限)
発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合:10.5%
取得金額の総額30億円(上限)
取得方法自己株式取得に係る取引一任契約に基づく市場買付

取得数量は、発行済み株数(自己株式除く)の10.5%とかなり多い数量です。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は1,565百株、25日平均は694百株ですので、流動性は少し低いレベルです。

どんな会社?

コンサルテーション

独立系のシステムインテグレーターとして、地方自治体、金融、流通業、製造業などに幅広く、ITコンサルティング・企画からシステム設計・開発、稼働後の運用・保守、評価までの一貫したサービスと専門性の高いソリューションを提供している会社です。

2022年3月期1Q(2021年4月~6月)の業種別売上高構成比は、

  • 公共 35.2%
  • 金融 32.5%
  • 産業 19.1%
  • その他 13.2%

となっており、公共(地方自治体)と金融への売上が多いですが、それほど偏ってほどよく分散されています。

同期間の商品・サービス別売上高構成比は、

  • システム開発 38.8%
  • 運用 33.0%
  • システム保守 14.8%
  • 情報機器販売 2.5%
  • その他 10.9%

と、システム開発と運用の比重が大きくなっています。

直近の経営状況

経営状況

2022年3月期1Q(2021年4月~2021年6月)の経営成績

決算期売上高
[百万円]
(前年同期比)
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社の所有者に
帰属する純利益
[百万円]
(同)
2021年3月期1Q累計9,247371390165
2022年3月期1Q累計8,439
(8.7%減)
38
(89.7%減)
62
(83.9%減)
△71
(ー)
2022年3月期通期会社予想43,000
(3.4%増)
3,300
(18.4%増)
3,300
(12.8%増)
2,000
(39.6%増)
通期予想に対する1Qの進捗率19.6%1.2%1.9%
 ※「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当第1四半期の期首から適用しており、上記の連結業績予想は、当該会計基準
等を適用した後の数値

2022年3月期1Qの業績は前年同期比 減収減益で、純利益は赤字に転落しています。今期から「収益認識に関する会計基準」を適用していますので、単純比較はできないものの、特に利益面は8割強減少しています。

通期計画に対する進捗率は、売上高は20%弱と少し足りない程度ですが、利益面の進捗は大幅に遅れています。

【2022年3月期1Qの状況、経営成績の要因】

前年度に引き続き、対面での営業活動の抑制など顧客、取引先、従業員への感染リスクを回避する体制を整えると同時に、社員のテレワークや時差出勤の推進、会議のオンライン化、職場におけるソーシャルディスタンスの確保、サテライトオフィスの整備など、ニューノーマル時代に対応した体制を継続してきました。

また、新型コロナ収束後に想定される本格的なDX(デジタルトランスフォーメーション)時代の到来を見据え、本年4月より新たにDXを強力に推進するための専任組織を新設、若手を中心に既存事業部門の人員大幅シフトを実施し、マーケティング活動、営業活動を推進すると共に、研究開発、人材育成にも積極的に取り組みました。

分野別では、

<公共分野>

例年と異なり2019年度、2020年度には2期連続で大型の法制度改正などにより高水準の売上高を計上しましたが、当1Q期間においては同規模の案件がなく前年同期比14.4%の減収となりました。

<金融分野・産業分野>

前年同期は新型コロナの影響により売上高が大きく減少しましたが、徐々に正常化に向かいつつあり、金融では前年同期比8.3%の増収、産業では減収幅が大幅に縮小しました。

また、グループ会社において前年同期まで売上増加に寄与していた大口入札案件が、当1Q期間には案件規模が縮小したことなどから前年同期比29.3%の減収となりました。

<損益面(全体)>

公共分野、グループ会社の減収に加え、ニューノーマル対応のための各種インフラ整備コスト増、研究開発費増などがあり、大幅な減益となりました。

また、例年、1Q期間は税金費用の算定に当たり利益水準に比し法人税負担率が高くなるため、71百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失(前年同期は165百万円の四半期純利益)となりました。

【財政面の状況】

自己資本比率(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産) ×100)は、2022年3月期1Q末時点で73.3%と前期末(75.7%)から2.4ポイント下がっていますが、問題ないレベルです。(20%以上を問題なしとしています。)

また、2022年3月期1Qのキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況は、営業活動によるCF 6,946百万円の収入、投資活動によるCF 477百万円の支出の結果、営業活動によるCFと投資活動によるCFを合計したフリーCF※は6,469百万円のプラスとなりました。

フリー・キャッシュ・フロー:プラスの場合、会社が使える資金があることを意味し、マイナスの場合、会社が自由に使うことができる資金が少ないことを意味する。

2022年3月期1QのフリーCFは、前年同期(2021年3月期1Q)のフリーCF(プラス4,042百万円)からは、2,427百万円改善されています。

【今期の見通し】

2021年4月30日に公表された、連結業績予想及び配当予想は変更されていません。

株価指標

株価指標

【8/6(金)終値時点の数値】

  • 株価:1,399円
  • 時価総額:334.4億円
  • PER:16.7

PERは、同業で時価総額が近い、DTS(9682) 14.8倍、日本システムウエア(9739) 11.7倍、SRAホールディングス(3817) 10.9倍と比較すると、少し高い水準になっています。

  • PBR:0.85倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):2.39倍
  • 年間配当金(予想):40円(年2回 9月 20円、3月 20円)、年間利回り:2.9%(配当性向 47.6%) 

※直近5年間の配当金と配当性向は、以下のようになっています。

決算期年間配当金(円)配当性向(%)
2017年3月期1828.3
2018年3月期2071.0
2019年3月期2551.0
2020年3月期4055.1
2021年3月期4082.3
※アイネス 年間配当金推移

配当は、直近5年では2020年3月期までは順調に増配されていましたが、前期(2021年3月期)は前々期と同水準でした。

会社の方針は、

収益力向上に向けて企業体質の強化を図りながら、株主への利益配分を充実させていくことが経営の重要課題と考えており、利益配当は、急速な市場の変化に対応するため財務基盤の充実を勘案しつつ、安定的な成果配分を行うことを基本としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

株価は、昨年のコロナショックの安値(1,063円)から、コロナショック前の水準(1,639円)にいったんは戻しましたが、そこからは長続きせず、直近半年ほどは、1,300円~1,450円のレンジでもみ合いが続いている状況です。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の日足ベースですと、ここ2か月ほどは上昇トレンドが続いています。

7/30に自社株買いと1Q決算が発表された翌営業日(8/2)に、出来高を伴い上げていましたが、ここ2,3日はその勢いが帳消しになり、発表前の水準に戻っています。

直近の高値(8/4:1,462円)を上抜けてくれば、上昇トレンド継続ということで、さらなる上昇が期待できそうです。

まとめ

DX

【業績】

  • 2022年3月期1Qの業績は、前年同期比 減収減益で利益面は約8割以上の落ち込みで元気がない。今期から「収益認識に関する会計基準」を適用し、単純比較はできないものの寂しい状況。
  • ただ、通期の業績予想は据え置いており、1Qだけの業績の落ち込みと仮定すると、まだ挽回の可能性はある。

【株主還元】

  • 配当の年利回りは2.9%と、東証1部平均(8/6時点)の1.85%と比較するとほどほどに高い。
  • 今回の自社株買いは、発行済株式総数(自己株式を除く) の 10.5%もの割合であるため、自己株取得後に消去すれば、相当な株主還元となる。

【流動性・自社株買い数量】

  • 直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の 5日平均は1,565百株、25日平均は694百株と流動性は少し低いレベル。
  • 自社株買いの株数は、発行済株式総数(自己株式を除く) の 10.5%とかなり多い数量。

【株価モメンタム】

  • 昨年のコロナショック後の安値から、一旦はコロナショック前の水準に戻したが、その後はまた下げている状況。
  • ここ半年ほどは、1,300円~1,450円のレンジでもみ合いが続いている状況だが、直近2か月は上昇トレンドにある。直近の高値(8/4:1,462円)を上抜けてくれば、さらなる上昇もありそう。

以上のことから、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐
配当を含む株主還元⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
自社株買い数量⭐⭐⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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