こんにちは!
公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。
今回は、東証プライムから小売業種のバローホールディングスです。
最後までお付き合いいただけるとうれしいです!
- 公募増資・売出(PO)とは?
既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。 正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。 また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」と「売出」を合わせて「PO」と呼ばれます。 「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。
POの概要

今回のPOは、公募増資(第三者割当含む)です。発行価格等決定日や受渡期日、発行数量等は表1のようになっています。
ディスカウント率は、「発行価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%です。
ちなみに、直近の主なPOのディスカウント率は、JR西日本(9021) 3.01%、ゆうちょ銀行(6178) 2.08%、デンソー(3387) 3.02%となっており、ほぼほぼ2~5%程度です。
ただ、ディスカウント率が大きいPOもあり、直近では日本電子材料(6855)の9.9%が最大です。
注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事(今回は大和証券)はじめ、引受人の証券会社で購入申込可能です。
早ければ、7/8(水)の夕刻に、会社側から発行価格等のお知らせが適時開示であります。
このブログ記事も更新しますので、チェックしてくださいね💖
| 発行価格等決定日 | 2026年7月8日(水) |
| 受渡期日 (POで買った場合はこの日から売却可能) | 2026年7月16日(木) |
| ①公募による新株式発行(一般募集) 数量 | 普通株式 4,694,600 株 ※発行済み株式総数(53,987,499 株)の約8.70% |
| ②株式の売出し(オーバーアロットメントによる売出し) 数量 | 普通株式 704,100 株(上限の数量) ※大和証券が売出す。 |
| ③第三者割当による新株式発行 数量 | 普通株式 704,100 株(申込のなかった株数は発行されない。) ※大和証券に割当。 |
| 調達資金手取り概算額(上限) | 約 180 億円 |
| 発行価格 | 3,152 円 (7/8決定:終値 3,250 円) |
| ディスカウント率 | 3.02 % (7/8決定) |
| 申込単位数量 | 100 株 |
| 主幹事 | 大和証券 |
【資金調達の背景と目的】
- 同社グループは、「創造・先取り・挑戦」を経営理念に掲げ、「誠」をモットーとして事業活動を展開し、地域社会の繁栄及び社会文化の向上への貢献を基本方針としている。
この理念のもと、これまでスーパーマーケット事業を中核に、ドラッグストアやホームセンター等の複数業態を展開する総合小売グループとして、地域の多様なニーズに対応する事業基盤を構築してきた。
また、調達・製造から流通・販売までを一貫して担う「製造小売業」のビジネスモデル構築を目指すとともに、経営資源を組み合わせたグループ全体でのシナジー創出に取り組んでいる。 - 近年、人口減少や消費者ニーズの多様化に加え、原材料価格や物流コストの上昇等により同社グループを取り巻く事業環境は急速に変化している。
このような中、製造・物流インフラの整備を通じた流通経路のさらなる効率化と商品力の向上、生鮮部門の強化、プライベート・ブランド商品の磨き込み等を通じて、顧客に選ばれる店舗づくりを進めてきた。
来店動機となる商品・カテゴリーを有する「デスティネーション・ストア」(顧客が自らの意思で来店する「目的来店型」の店舗)への転換を進めるとともに、スーパーマーケット事業にとどまらず、立地や商圏を考慮し同社グループの多様な業態・カテゴリーを生かした店フォーマット設計を推進している。
エリア別では、関東・関西エリアへの新規出店に注力しつつ、東海エリアを中心とする既存商圏での効率運営にも取り組んでいる。 - 今般の新株式発行による調達資金は、主に連結子会社への投融資を通じたスーパーマーケット事業、ドラッグストア事業及びホームセンター事業の新規出店等に係る設備投資に充当する予定。
特に成長余地の大きい関東エリアを中心とした店舗網の拡充と、既存商圏におけるドミナント(※1)強化を図るとともに、品質・商品開発力のより一層の向上及び安定的な供給体制の確立につなげていく。
※1:ドミナント
ある地域内における市場占有率を向上させて独占状況を目指す経営手法 - 本資金調達により、店舗網の拡大と供給体制の強化を一体的に進め、商品力の向上と収益基盤の強化を実現していく。
あわせて自己資本の拡充により財務基盤の安定性を高めることで、成長投資を継続的かつ機動的に実行し、同社グループの中長期的な企業価値向上を目指します。
としています。
【調達資金の使途】
今回の一般募集及び第三者割当増資の手取概算額合計上限約180億円については、
- 金額 2.79億円
2027年2月末までに同社のスーパーマーケット事業の設備投資資金 - 金額 169.2億円
2028年3月末までに子会社への投融資を通じた設備投資資金(スーパーマーケット事業、ドラッグストア事業、ホームセンター事業) - 上記1,2の残額
2026年8月末までにコマーシャル・ペーパー(※2)の償還資金
※2:コマーシャル・ペーパー
企業が信用力をもとに短期資金を市場から直接調達するための無担保の約束手形
に充当する予定です。
【新株式の発行数量/流動性】
今回の新株式の発行数量は、発行済み株式総数の最大約10.0%(第三者割当を含む)で、
直近の新株式の発行をしたPOの発行株数比率(最大)は、ホットランドHD 22.0%、GMOインターネット 10.9%、リアルゲイト 13.0%でしたので、それらと比較するとやや小規模の新株式発行です。
新株式の発行は1株利益の希薄化につながりますので、短期的に株価を押し下げる可能性があります。
また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株の数量)の5日平均は4,147百株、25日平均は1,822百株(7/1時点)で、流動性はやや高い水準です。(1日 1,000百株を平均的な水準としています。)
【株式分割】
今回のPO発表と同時に、2026年10月1日付で1/2の株式分割をすることを発表しています。
この株式分割は、同社株式の投資単位当たりの金額を引き下げ、株主・投資家にとってより投資しやすい環境を整えることで、株式の流動性の向上と投資家層のさらなる拡大を図ることを目的としています。
一般的には、株式分割が発表された後は、株価が上昇しやすい傾向があります。
どんな会社?

スーパーマーケットを中核に、ホームセンター、ドラッグストア、スポーツクラブを展開するほか、
農産物の生産、食品製造・加工、物流、資材調達、保守・メンテナンス、清掃等の多様な機能をグループ企業で補完する流通システムを構築している会社です。
事業内容は、「スーパーマーケット(SM)事業」「ドラッグストア事業」「ホームセンター(HC)事業」「ペットショップ事業」「スポーツクラブ事業」及び「流通関連事業」の6つがあり、それぞれ、
- スーパーマーケット(SM)事業
スーパーマーケットの営業、食品の製造加工業及び卸売業 - ドラッグストア事業
ドラッグストアの営業及び卸売業 - ホームセンター(HC)事業
ホームセンターの営業及び卸売業 - ペットショップ事業
ペットショップの営業 - スポーツクラブ事業
スポーツクラブの営業 - 流通関連事業
商業施設の運営に付帯関連した事業
を行っています。
2026年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、
- スーパーマーケット(SM)事業 58.5%
- ドラッグストア事業 20.0%
- ホームセンター(HC)事業 13.4%
- ペットショップ事業 3.8%
- スポーツクラブ事業 1.2%
- 流通関連事業 2.4%
- その他(不動産賃貸業、クレジットカード事業、衣料品等の販売業など) 0.6%
となっており、「スーパーマーケット(SM)事業」が6割弱、「ドラッグストア事業」が2割、「ホームセンター(HC)事業」が1割強を占めています。
直近の経営概況

【2026年3月期(2025年4月~2026年3月)の経営成績】
(2026年5月13日発表:日本基準(連結))
| 決算期 | 営業収益 [億円] (前期比 増減率 [%]) | 営業 利益 [億円] (同) | 経常 利益 [億円] (同) | 親会社株主 に帰属する 当期純利益 [億円] (同) |
| 2025年3月期 通期実績 | 8,544 (5.8) | 231 (1.4) | 261 (2.2) | 136 (14.3) |
| 2026年3月期 通期実績 | 9,241 (8.2) | 275 (19.0) | 300 (14.7) | 164 (20.7) |
| 2027年3月期 通期会社予想 | 10,000 (8.2) | 280 (1.5) | 305 (1.6) | 165 (0.1) |
表2の通り、前期比 増収増益で、営業収益は1割弱増、利益面は1割強~2割増で着地しました。
今期(2027年3月期)通期の業績は、前期比 増収増益で、営業収益は1割弱増、利益面は微増を見込んでいます。
【2026年3月期通期の状況、経営成績の要因】
- 営業収益
株式会社バローの全店売上高が前年同期比10.2%増加したほか、当期に完全子会社化した株式会社ドミーの営業収益も一部加わるなど、
SM事業がグループ売上高の伸長を牽引した結果、営業収益は31期連続増収の9,241億円(前年同期比8.2%増)となりました。 - 営業利益
販売費及び一般管理費が2,461億円と前年同期比9.1%増加したものの、売上総利益率が同0.6ポイント上昇するなど、営業総利益が同10.1%増の2,737億円となりました。
その結果、営業利益は過去最高の275億円(同19.0%増)、営業収益営業利益率は前年同期比で0.3ポイント改善し、3.0%となりました。 - 経常利益
金利の上昇や有利子負債の増加などによって営業外費用が2,432百万円(前年同期比28.4%増)となったものの、経常利益は過去最高の300億円(同14.7%増)、営業収益経常利益率は前年同期比で0.1ポイント改善し、3.2%となりました。 - 親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は前年同期比21.9%増加した一方で、特別損失は同1.7%増に抑制した結果、税金等調整前当期純利益は262億円(同17.3%増)となりました。
また、法人税等の合計は8,346百万円(同10.2%増)、非支配株主に帰属する当期純利益は1,476百万円(同24.7%増)を計上したものの、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高の164億円(同20.7%増)となりました。
【セグメント別の業績】
各セグメント別の業績は、表3の結果になりました。
主力の「スーパーマーケット事業」と「流通関連事業」は前期比 増収増益、
「ドラッグストア事業」と「ペットショップ事業」は増収減益、
「ホームセンター事業」は減収増益、
「スポーツクラブ事業」と「その他の事業」は増収で黒字転換となりました。
| セグメント | 売上高 [億円] (前期比 増減率 [%]) | セグメント 利益 [百万円] (同) |
| スーパーマーケット | 5,407 (11.9) | 221 (13.6) |
| ドラッグストア | 1,844 (4.0) | 37.8 (△5.8) |
| ホームセンター | 1,240 (△2.6) | 47.7 (33.9) |
| ペットショップ | 355 (16.4) | 5.0 (△51.0) |
| スポーツクラブ | 112 (7.4) | 1.7 (黒字転換) |
| 流通関連 | 224 (5.9) | 4.6 (11.0) |
| その他 | 55.8 (35.5) | 1.8 (黒字転換) |
各セグメント別の状況は以下になっています。
<スーパーマーケット(SM)事業>
当連結会計年度より、2025年11月19日付で完全子会社化した株式会社ドミー及びその子会社の業績の一部が加わっています。
同事業は、株式会社バローが2025年4月に「SMバロー稲沢平和店」(愛知県稲沢市)、7月に「SMバロー香里園店」(大阪府寝屋川市)、9月に「SMバロー尼崎潮江店」(兵庫県尼崎市)、10月に「SMバロー東岸和田店」(大阪府岸和田市)、さらに11月には同社初の関東出店となる「SMバロー横浜下永谷店」など、8店舗を新設し、4店舗を閉鎖しました。
また、株式会社公正屋は2026年1月にSMグループとして東京都内初となる「公正屋あきる野引田店」(東京都あきる野市)を新設しました。
当期末のSM店舗数は新設12店舗、閉鎖5店舗、新たに子会社化した株式会社ドミーの32店舗を加えてグループ合計364店舗となりました。
これらの結果、人件費や施設費を中心に販売費及び一般管理費は増加したものの、営業総利益の増加で吸収し、増収増益となりました。
<ドラッグストア事業>
地域医療インフラとしての機能強化に向けた調剤薬局の併設推進により、調剤取扱店舗比率が40.0%(前期は37.9%)に達し、処方箋枚数の増加が寄与した結果、調剤部門の既存店売上高は前年同期比9.1%増加しました。
物販部門においても、ヘルスケア・ビューティーなどが堅調に推移したほか、新設店の売上高も寄与し、同事業全体では増収となりました。
しかしながら、収益面では新規採用に伴う人件費や出店費用が先行し、減益となりました。
そのため、2025年9月より組織について、本部のスリム化と、現場マネジメント層の充足を行い、MD(マーチャンダイジング)改革や在庫マネジメント、食品ロス削減といった構造改革を進めています。
下期は営業利益が前年同期比6.9%増と増益に転じるなど、回復傾向にあります。
また、個店強化を目的として、立地特性に応じた店舗フォーマットを設定し、これに基づく既存店の改装やカテゴリーの絞り込みを推進しました。
さらに、介護事業へ本格参入し、「バロー介護支援センター茜部南店」(岐阜県岐阜市)や「バロー介護支援センター岡崎医療センター前店」(愛知県岡崎市)をV・drug店舗内に開設したほか、
デイサービス事業所「バローデイサービス多治見笠原」(岐阜県多治見市)を新設するなど、薬局・ドラッグストアとの連携により在宅医療・介護を一体的に支援する体制の構築を進めています。
なお、当期末の店舗数は、新設38店舗、閉鎖5店舗及び子会社化による3店舗増により、合計571店舗(うち調剤取扱店舗228店舗)となりました。
<ホームセンター(HC)事業>
当連結会計年度に含まれるアレンザホールディングス株式会社及びその子会社の当該事業の業績は、2025年3月1日から2026年2月28日を対象としています。
客単価は前年同期比2.8%増加したものの、継続的な節約志向や前年の防災関連特需の反動により客数が同5.0%減少した結果、既存店売上高は同1.6%減となりました。
商品別では、精米価格の高騰を背景に米の売上が伸長したほか、ダイユーエイトにおける「50周年大創業祭」の開催やEC部門での即日発送対応の拡大が寄与しました。
タイムでは散水用品や自社生産植物「Time’s Farm」が好調に推移し、ホームセンターバローでは契約農家と連携した種苗や、猛暑に伴う空調服等の暑さ対策商品が売上を下支えしました。
また、中長期的な成長の柱として「介護」カテゴリー等の育成・売場改装を推進しました。
収益面は、アレンザホールディングス主導によるグループ統一商談の継続や仕入条件の見直し、ならびにPB商品の売上比率引き上げに取り組んだ結果、売上総利益率が同2ポイント増の32.8%へ改善しました。
加えて、週次単位での徹底した在庫マネジメントによるロス低減、紙媒体広告からデジタル販促へのシフト、
作業計画に基づいた人員配置の最適化による人時生産性の向上に努めた結果、販売費及び一般管理費の増加を抑制し、大幅な増益となりました。
なお、当期末の店舗数は、新設2店舗、閉鎖4店舗により、グループ合計で163店舗となりました。
<ペットショップ事業>
アレンザホールディングス株式会社及びその子会社の当該事業の業績が、当連結会計年度に含まれています。
株式会社アミーゴの既存店客数が前年同期比2.0%減、客単価は同0.6%減となり、既存店売上高は同2.6%減少したものの、
2024年12月に子会社化した株式会社犬の家の業績が通期で寄与したことに加え、生体価格の下落傾向が続く中、積極的な販売による頭数の増加や生体販売時の付帯サービス強化などに取り組んだ結果、増収となりました。
商品別では、犬・猫フード部門においてプレミアムフードやおやつの売上が堅調に推移したものの、特別療法食の取扱高減少が響き、部門全体では減収となりました。
また、サービス部門では、メニューを拡充したトリミングやドッグトレーニングに加え、プレミアムスパコース等の付加価値サービスが引き続き好調に推移しました。
社内でもトリミングコンテストなどを開催し、人材育成を継続して強化しています。
収益面では、2024年9月のペットショップ事業3社の統合に伴う商品調達の共通化や原価低減等のシナジー効果が発現し、売上総利益率は改善しました。
しかしながら、新規出店に伴う初期費用の発生やキャッシュレス決済手数料の増加に加え、深刻化する人手不足への対応で人件費が上昇した結果、減益となりました。
当期末の店舗数は、株式会社アミーゴが10店舗を新設し、2店舗を閉鎖して133店舗となり、株式会社犬の家が7店舗を新設、1店舗を閉鎖したため64店舗となった結果、グループ合計197店舗となりました。
<スポーツクラブ事業>
前年度に実施した会費改定の効果に加え、既存施設を活かしたスクール部門の強化が収益改善を後押ししました。
主力のスイミングスクールでは、AI技術を活用したスマートスイミングレッスンの導入店舗拡大により指導品質の向上を進めるとともに、
短期教室の開催や土日の開講枠拡充等を通じて地域の子供向けスクール需要を着実に取り込みました。
その結果、水泳教室参加者数は前年度の約4,500名から約6,500名へ増加し、今後10,000名を目標として取組んでいます。
また、不採算店舗の閉店による固定費の圧縮を進めるとともに、完全子会社化した株式会社アーデル・フィットネス・リゾート及び株式会社ウィングとの現場交流を通じ、
スイミングスクールの運営ノウハウを既存店へ水平展開したことも収益改善に繋がり、結果、6期ぶりに営業黒字を確保しました。
なお、当期末の店舗数は、アクトスWill_Gの17店舗閉鎖及び子会社化した株式会社ウィングの1店舗を加え、グループ合計156店舗(うちフランチャイズ33店舗)となりました。
<流通関連事業>
物流機能を担う中部興産株式会社が、SM事業の新設店舗や好調な既存店売上を背景に、物流センターにおける集荷・仕分けにかかる収益が引き続き拡大した一方で、
枚方物流センターおよび名古屋みなとドライ物流センターの稼働に伴い賃借料や減価償却費が増加したものの、
配送ルートの再設計や作業段取りの見直しによる人件費及び販売費等のコスト抑制に努めました。
また、外販拡大の一環として、コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社および株式会社スギ薬局との間で、各務原フロントセンターを拠点とした共同配送スキームを構築するなど、
メーカー・卸・同業他社との東海地方における物流網の高度化・効率化を進めました。
一方、資材・消耗品等の販売を行う中部流通株式会社では、調達機能や外販機能の強化を通じて消耗品の供給拡大などにより利益率が改善しました。
アレンザホールディングスを含めたグループ横断的な調達連携や、高利益率商品の販売強化も進み、収益性が向上しています。
結果、事業全体で増収増益となりました。
<その他の事業>
クレジットカード事業は、これまで蓄積した運営ノウハウを活かし、会員獲得効率の向上と利用単価の引き上げに注力したほか、既存会員向けの外部提携キャンペーンの実施やショッピング利用の拡大に伴い加盟店手数料収入が増加した一方、
会員獲得コストの管理徹底や入会インセンティブの最適化など販売費の抑制に努めました。
また、関東エリア初の「SMバロー横浜下永谷店」の新設に合わせ、WEBと店頭を連動させた事前募集を新たに実施するなど、
新規エリアや改装店舗を中心とした積極的な会員募集活動により、当期末現在の「Lu Vitクレジットカード」のカード申込受付件数は37万口座に達しました。
これらの結果、計画を上回る事業開始3年目で営業黒字を達成しました。
【財政面の状況】
<自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100)
2026年3月期末時点で36.0%と前期末(37.1%)から1.1ポイント低下しました。
主な負債と純資産の、前期末比の増減は以下となっています。(単位:億円)
- 負債 +390
- 流動負債 +277
(内訳) 支払手形及び買掛金 +97.7、短期借入金 +25.4、1年内償還予定の社債 +100、 1年内返済予定の長期借入金 +27.5、その他流動負債 +28.2
- 固定負債 +112
(内訳)長期借入金 +60.8、資産除去債務 +32.2
- 流動負債 +277
- 純資産 +149
- 株主資本 +125
(内訳)利益剰余金 +125 - その他の包括利益累計額 +14.6
(内訳)その他有価証券評価差額金 +14.8 - 非支配株主持分 +9.5
- 株主資本 +125
自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)
<キャッシュ・フロー>2026年3月期通期のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況
- フリーCF(営業活動によるCFと投資活動によるCFを合計した金額 ※3)52.1億円の収入
- 営業活動によるCF 521億円の収入(前期 377億円の収入)
- 投資活動によるCF 469億円の支出(前期 398億円の支出)
※3 フリーCFの説明:
- プラスの場合:会社が自由に使える資金が増える。
- マイナスの場合:会社が自由に使える資金が減る。
前期(2025年3月期)通期のフリーCF(21.2億円の支出)から73.3億円増加しています。
営業活動によるCFの主な内訳(億円):
- 税金等調整前当期純利益 262
- 減価償却費 260
- 仕入債務の増減額(△は減少) 67.1
投資活動によるCFの主な内訳(億円):
- 有形固定資産の取得による支出 △415
- 差入保証金の差入による支出 △23.4
- 連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 △33.0
【今期(2027年3月期)通期業績の見通し】
同社グループは、中期経営計画2年目の2026年3月期に営業収益、営業利益など最終年度の定量目標を一年前倒しで達成したことから、
2027年3月期は営業収益1兆円、さらにその先の1兆5千億円、SMグループ単独で1兆円に向けての土台作りと捉えています。
同社グループの事業領域である流通業界は、今後さらに寡占化が進み、小売事業側が流通全体で担う役割はより大きくなると想定しています。
そのため、同社グループも今後の競争激化を見据え、事業規模拡大による「量」への取組みと同時に、収益力を一層高めるための「質」である内部構造改革に取り組んでいく方針です。
事業規模の拡大については、関西エリアでのドミナント形成をより強固にするために、中核事業のSMやドラッグストアなどの出店、プロセスセンターや関西事務所の新設など事業基盤の確立を図る方針です。
関東エリアではSMバロー2号店、3号店と出店準備を着実に進め、知名度向上と同エリアでの売上シェアを高める計画です。
2026年2月、グループ内の経営資源の活用に加え、事業領域や強みを補完し合えるパートナーとの連携を通じて、
商品調達、物流、店舗運営、人材等の各分野における事業基盤を強化していくことが重要であるとの考えから、コーナン商事株式会社と資本業務提携に関する基本合意書を締結しました。
今後はHC業界内の高いシェアを背景に、PBなどの商品調達の共有、物流連携、ペット、プロショップ、介護などの強化に向けて、幅広く取組んでいくとともに、
SM事業を中心とした成長路線を一段と加速させるため、出店等の物件の連携や新規エリアにおける集客の相互補完などの施策について検討していく計画です。
2027年3月期の新店投資は、スーパーマーケット9店舗、惣菜専門店8店舗、ドラッグストア28店舗、ホームセンター(専門業態含む)7店舗、ペットショップ11店舗、スポーツクラブ2店舗の計65店舗の新設を計画しています。
これらにより、2027年3月期の連結業績は、表2の数値の前期比 増収増益を見込んでいます。
株価指標と動向

【2026/7/1(水)終値時点の数値】
- 株価:3,350円
- 時価総額:1,808億円
- PER(株価収益率(今期予想)):11.7倍
PERは、同業で時価総額が近い、ライフコーポレーション(8194) 11.3倍、ユナイテッドスーパーマーケットHD(3222) 1,130倍、ベルク(9974) 10.3倍と比較すると、中間的な水準です。
- PBR(株価純資産倍率):0.95倍
- 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):40.6倍
- 年間配当金(予想):80円(年2回 9月 40円、3月 40円(2026年10月1日付1/2分割後換算で20円))、利回り:2.38%(配当性向 25.5%)
今回の株式分割発表に伴い年間1株当たり4円の増配を発表しており、配当利回りは2.38%で、東証プライムの単純平均2.30%(6/30時点) とほぼ同水準です。
表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり56~74円で推移しており、連続増配を継続中です。
配当性向は、20%台~40%台で推移しています。
| 決算期 | 1株当たり 年間配当金 [円] | 配当性向 [%] |
| 2022年3月期 | 56 | 33.4 |
| 2023年3月期 | 58 | 41.0 |
| 2024年3月期 | 65 | 29.1 |
| 2025年3月期 | 68 | 26.4 |
| 2026年3月期 | 74 | 23.7 |
この会社は、
資本コストや資本収益性を意識した経営の実現に向けて、成長投資のための内部留保とのバランスに配慮しつつ、持続的な利益成長を通じて株主還元を行うことを基本方針としています。
この方針に基づき、連結配当性向30%を目処に従来からの「累進配当」を継続しています。
また、単年度の業績の影響を受けにくい株主資本配当率(DOE)を採用し、2%を下限として安定的な株主還元を目指しています。
【株主優待(一部変更)】
この会社は、今回のPO発表時に今年10/1付の1/2株式分割に伴い株主優待制度の一部変更が発表され、
毎年3月末に100株以上保有の株主は、同社が発行するプリペイド式電子マネー「Lu Vit(ルビット)カード」に保有株式数及び継続保有期間に応じた下記金額をチャージした「ギフトカード」が進呈されます。
今回の変更で、株式分割後に100株以上200株未満保有となる株主への優待が新設されました。
なお、株式分割後の200株以上保有(株式分割前は100株以上保有)の株主の優待は、今回の変更による優待額に実質的な変更はありません。
- 100株以上200株未満保有:500円(1年以上継続保有の場合 500円)
- 200株以上1,000株未満:1,000円(同 1,500円)
- 1,000株以上2,000株未満:1,500円(同 3,000円)
- 2,000株以上:3,000円分(同 6,000円)
100株(株式分割後の200株保有)で1年未満保有の場合、配当金+株主優待(1,000円分)で利回りは2.68%となります。
【直近の株価動向】
<週足チャート(直近2年間)>
2024年11月に安値(2,030円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、
2026年4月に上場来高値(3,995円)をつけています。
<日足チャート(直近3か月間)>
今年4月に上場来高値(3,995円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移し、6月初旬に年初来安値(3,190円)をつけました。
しかしその後は上昇基調で推移しましたが、今回のPO発表と株式分割発表の翌営業日(7/1)は、POによる1株利益の希薄化懸念により、大きな陰線をつけ出来高を伴い前日比 545円安(-13.9%)と急落しました。
今後の株価は、6月につけた年初来安値(3,190円)を割り込まず、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。
まとめ

【業績】
- 前期(2026年3月期)通期の業績は、株式会社バローの全店売上高が前年同期比10.2%増加したほか、当期に完全子会社化した株式会社ドミーの営業収益も一部加わるなど、SM事業がグループ売上高の伸長を牽引した結果、
前期比 増収増益で、営業収益は1割弱増、利益面は1割強~2割増で着地。 - 今期(2027年3月期)通期予想は、今後の競争激化を見据え、事業規模拡大による「量」への取組みと同時に、収益力を一層高めるための「質」である内部構造改革に取り組んでいく方針で、
前期比 増収増益で、営業収益は1割弱増、利益面は微増を見込む。
【株主還元】
- 今回の株式分割発表に伴い年間1株当たり4円の増配を発表しており、
配当利回り(予想)は2.38%(7/1時点)で、東証プライムの単純平均 2.30%(同)とほぼ同水準。 - 直近5年間の配当金は、年間1株あたり56~74円で推移しており、連続増配継続中。
配当性向は、20%台~40%台で推移。 - 2026年10月1日付1/2株式分割に伴い、株主優待制度が一部変更され、毎年3月末に100株以上保有の株主(株式分割後の株数)は、同社が発行するプリペイド式電子マネー「Lu Vit(ルビット)カード」に保有株式数及び継続保有期間に応じた金額をチャージした「ギフトカード」が進呈される。
100株(株式分割後の200株保有)で1年未満保有の場合、配当金+株主優待(1,000 円分)で利回りは2.68%となる。 - 今回のPO発表と同時に、2026年10月1日付で1/2の株式分割をすることを発表し、同社株式の投資単位当たりの金額を引き下げ、株主・投資家にとってより投資しやすい環境を整えている。
【流動性・新株式の発行株数】
- 今回の新株式の発行数量は、発行済み株式総数の最大約10.0%(第三者割当を含む)で、
直近の新株式の発行をしたPOの発行株数比率(最大)(ホットランドHD、GMOインターネット、リアルゲイト )と比較するとやや小規模の新株式発行。 - 直近の出来高の5日平均は4,147百株、25日平均は1,822百株(7/1時点)で、流動性はやや高い水準。
【株価モメンタム】
- 週足ベースの株価は、2024年11月に安値(2,030円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、
2026年4月に上場来高値(3,995円)をつけている。 - 直近の株価は、今年4月に上場来高値(3,995円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移し、6月初旬に年初来安値(3,190円)をつけた。
しかしその後は上昇基調で推移したが、今回のPO発表と株式分割発表の翌営業日(7/1)は、POによる1株利益の希薄化懸念により、大きな陰線をつけ出来高を伴い前日比 545円安(-13.9%)と急落した。 - 今後の株価は、6月につけた年初来安値(3,190円)を割り込まず、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか要注目。
以上のことから、
| レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
| 業績 | ⭐⭐⭐⭐ |
| 株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐⭐ |
| 株価モメンタム | ⭐⭐⭐ |
| 流動性 | ⭐⭐⭐ |
| 新株式の発行数量 | ⭐⭐⭐ |
| 総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
と判断しました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。




