【立会外分売は買いか?】キムラ(7461) <2024年5月実施>

立会外分売
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こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから卸売業種のキムラです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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  • 立会外分売とは?
新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。
  • 立会外分売の魅力
    • 前日終値より安く購入可能
      • 立会外分配における買付側の購入価格は確定値段(1本値)で、分売実施日の前日終値よりディスカウントされるのが一般的。過去の例では、約3~5%のディスカウントで実施されています。
        (ディスカウント率は取引所の規定により最大10%)
    • 買付手数料はかからない
      • 立会外分売による買付は、通常の立会時間内の取引と種類が異なるため一般的に手数料はかからない。(売却時には通常の手数料が発生)
    • 即日売却OK
      • 立会外分売で取得した株式は、実施日(買付当日)から売却することが可能
  • デメリット:抽選で外れることもある
    • 買い申し込みが多いと、抽選ではずれて購入できないこともある。

立会外分売の概要

まとめ

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大3,000株まで購入できます。

早ければ5/22(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2024 年 5 月 23 日(木)
分売数量80,000
(発行済み株式総数 15,180,000 株の約0.52%
分売値段490 円
(5/22決定:終値 505 円)
ディスカウント率2.97 %
(5/22決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量2,000 株
表1:キムラ(7461) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

  • 一定数量の売却意向があり、検討した結果、同社株式の分布状況の改善および流動性の向上を図るため

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約0.52%少ない数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は143百株、25日平均は44.6百株(5/20時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

そして、今回の分売数量(800百株)は、1日の出来高(25日平均:44.6百株)の約18倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

ご参考までに、この会社は、2023年1月にも立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。

(※売買手数料は考慮していません。)

分売日分売株数
[万株]
分売値段
[円]
ディス
カウント
[%]
分売日
始値
[円]
(騰落率[%])
分売日
終値
[円]
(同)
1週間後の
始値[円]
(日付)
損益[円]
(騰落率

[%])
2023/
1/17
155382.89532
(-1.1)
534
(-0.7)
539
(1/23)
+1
(+0.2)
表2:キムラ 前回の分売価格とその後の価格

分売値段で購入し、分売日の寄付大引売却した場合損益マイナス分売日1週間後の寄付の場合損益プラスの結果でした。

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【ご参考】

前回(2023年1月)の記事:【立会外分売は買いか?】キムラ(7461)

前回の振り返り:【結果検証:立会外分売は買いか?】巴川製紙所(3878)、キムラ(7461)、ニューテック(6734)

どんな会社?

1946年(昭和21年)の創業以来、住宅資材総合商社として、

住宅資材の卸売業、不動産事業のほか、子会社におけるホームセンターの経営、住宅足場リースなど、住まいに関する幅広い分野で事業展開している会社です。

事業セグメントは、「卸売事業」「小売事業」「不動産事業」「足場レンタル事業」「サッシ・ガラス施工事業」の5つがあり、それぞれ、

  • 卸売事業
    住宅用資材及びビル用資材等の販売
  • 小売事業
    建築資材、DIY用品、日用雑貨等の販売を行うホームセンターの運営
  • 不動産事業
    不動産の賃貸及び販売
  • 足場レンタル事業
    建築足場のレンタル
  • サッシ・ガラス施工事業
    アルミサッシなどのガラス製品の販売、加工及び施工

を行っています。

2024年3月期通期のセグメント別売上高売上高構成比は、

  • 卸売事業 29.6%
  • 小売事業 63.6%
  • 不動産事業 1.2%
  • 足場レンタル事業 1.7%
  • サッシ・ガラス施工事業 3.8%

となっており、ホームセンター運営の小売事業が6割強を占めています。

直近の経営概況

経営状況

【2024年3月期通期(2023年4月~2024年3月)の経営成績】

(日本基準:2024年5月13日発表)

決算期売上高
[億円]
(前期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2023年3月期
通期実績
351
(2.3)
2,194
(4.6)
2,356
(5.1)
1,297
(8.9)
2024年3月期
通期実績
339
(△3.3)
1,814
(△17.3)
1,983
(△15.8)
1,031
(△20.5)
2025年3月期
通期会社予想
350
(3.0)
1,850
(2.0)
2,030
(2.4)
1,090
(5.7)
表3:キムラ 2024年3月期通期経営成績と2025年3月期通期予想

表3の通り、前年同期比 減収減益で、売上高は微減利益面は2割前後の減益で着地しました。

今期(2025年3月期)通期の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高は微増利益面は微増~1割弱の増益を見込んでいます。

【2024年3月期通期の状況、経営成績の要因】

住宅業界においては、新設住宅着工戸数は減少傾向で推移しており、とりわけ持家は大きく落ち込んでいます

新型コロナ感染症拡大の影響から住宅展示場の集客が減少したことに加え、資材価格の高騰による住宅価格の上昇が消費者マインドを低下させているものと同社は考えています。

個人消費は、外食や旅行などのサービス消費が牽引して回復基調にありますが、電気代や生活必需品などの物価上昇による消費者の生活防衛意識の高まりもあり、厳しい経営環境が続いています。

このような状況のもと、同社グループでは、卸売事業における新商品開発と販売強化小売事業における各種サービスの拡充による顧客満足度の向上に努めました。

これらの結果、当期の業績は、表3の数値の前期比 減収減益となりました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表4の結果になりました。

主力の「小売事業」と「卸売事業」「不動産事業」減収減益

「足場レンタル事業」減収増益

「サッシ・ガラス施工事業」増収増益の結果でした。

セグメント売上高
[億円]
(前期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
卸売100
(△7.3)
799
(△13.2)
小売216
(△1.3)
1,027
(△24.9)
不動産4.2
(△9.2)
274
(△2.4)
足場レンタル5.8
(△23.6)
31
(10.2)
サッシ・
ガラス施工
13.4
(13.8)
95
(683)
表4:2024年3月期通期 セグメント別業績

セグメント別の状況は以下です。

卸売事業

2023年度3月累計の全国における新設住宅着工戸数は800,176戸(前年同月比7.0%減、同社の主力市場である北海道では28,419戸(同3.9%減と前年を下回る水準で推移しています。

その中で同社の業績に大きく影響を及ぼす持家は、全国で219,622戸(前年同月比11.5%減)、北海道で8,157戸(同14.1%減)と全国、北海道ともに前年を大きく下回る水準で推移しています。

このような状況のもと、ダクトレス全熱交換換気システム「Air save」などの換気関連商品の販売強化適正価格による販売に努めました。

小売事業

ホームセンター業界は、コロナ特需の反動もあり、個人の節約志向は根強く、同業他社、他業種との競争の激化が続いています。

このような状況のもと、顧客満足度の向上接客力の強化による他店との差別化に努めました。

不動産事業

賃貸資産の適切な管理と効率的な運用を行いました。

足場レンタル事業

業務の効率化経費節減に努めました。

サッシ・ガラス施工事業

工事現場での設計、監理、施工の基本を徹底することで業務の効率化に努めています。

商業施設の受注が好調でした。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年3月期末時点で57.0%と前期末(54.8%)から2.2ポイント増加しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

  • 負債
    • 未払法人税等287百万円減少短期借入金600百万円増加し、流動負債が合計で156百万円増加
    • 長期借入金730百万円減少し、固定負債が合計で587百万円減少
  • 純資産
    • 利益剰余金824百万円増加し、株主資本が合計で824百万円増加

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2024年3月期累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

  • フリーCF(営業活動によるCFと投資活動によるCFを合計した金額 ※2)897百万円の収入
    • 営業活動によるCF 2,006百万円の収入(前期 1,901百万円の収入
    • 投資活動によるCF 1,108百万円の支出(同 641百万円の支出

 ※2 フリーCFの説明:

  • プラスの場合:会社が自由に使える資金が増える
  • マイナスの場合:会社が自由に使える資金が減る

前期(2023年3月期累計)のフリーCF(1,259百万円の収入)から361百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

  • 税金等調整前四半期純利益 1,986
  • 減価償却費 816
  • 売上債権の増減額(△は増加) 216

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

  • 有形固定資産の取得による支出 △828
  • 無形固定資産の取得による支出 △292
  • 投資有価証券の売却による収入 10.0

【今期(2025年3月期通期)業績の見通し】

各事業別分野における施策は以下の通りです。

卸売事業

人口減少が進む国内では住宅需要の低迷は避けられず、原材料価格やエネルギー資源の高騰も生じており、コスト面で厳しい状況が続くものと見込んでいます。

このような環境において、換気関連商品を中心に販路拡大・売上増強に注力した営業活動を進める計画です。

小売事業

本州系大型店の出店や業態を超えた販売競争もあり、依然として厳しい経営環境が続くものと思われます。

このような環境において、顧客へ価値あるサービスを提供し、リアル店舗の強みを活かして売場の進化を図る計画です。

全ての部門で顧客からの要望に応える専門知識の提供に努める計画です。

不動産事業

不動産動向の情報収集を行うとともに、所有不動産を活性化させて収益確保を目指しています。

足場レンタル事業

戸建住宅向けから中高層向け足場施工への営業戦略上のシフトにより、幅広い顧客へ安心・安全を提供し更なる事業拡大に努める計画です。

また、施工の標準化と技術指導安全パトロールを強化して施工力の向上を図っています。

サッシ・ガラス施工事業

キムラグループとしてのシナジー効果を十分に発揮し、業容拡大を図る計画です。

以上により、今期の業績見通しは、表3の数値の前期比 増収増益を見込んでいます。

株価指標と動向

株価指標

【2024/5/20(月)終値時点の数値】

  • 株価:505円
  • 時価総額:76.6億円
  • PER(株価収益率(今期予想)):6.87倍

PERは、同業で時価総額が近い、クワザワホールディングス(8104) 18.6倍、杉田エース(7635) 9.6倍、北恵(9872) 10.4倍と比較すると、低い水準です。

  • PBR(株価純資産倍率):0.48倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):ー(信用売り残無し)
  • 年間配当金(会社予想):14円(年1回 3月)、利回り:2.77%(配当性向 19.1%)

配当利回りは2.77%で、東証スタンダードの単純平均2.30%(5/20時点) と比較すると高い水準です。

表5のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり10~14円で推移しており、

配当性向は、10%台~20%台で安定して推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2020年3月期1018.7
2021年3月期1216.9
2022年3月期1316.2
2023年3月期1416.0
2024年3月期1420.1
表5:キムラ 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する安定的な利益還元を経営の重要課題と考えており、経営基盤の強化・拡大に努めることにより、業績に応じた適正な配当を継続的に行うことを基本方針としています。

また、期末配当として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2022年の年末に高値(635円)をつけるまでは上昇基調で推移していましたが、その後は調整しており、

500~570円のレンジ内で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

560円前後のヨコヨコの推移でしたが、

今回の立会外分売発表の翌営業日(5/16)は、分売による短期的な需給悪化懸念により、窓を開けて出来高を伴い前日比 38円安(-7.06%)と急落しました。

この下落で年初来安値(495円)をつけています。

今後は、年初来安値を再び更新せず、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、更新して下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

  • 前期(2024年3月期)の業績は、卸売事業における新商品開発と販売強化小売事業における各種サービスの拡充による顧客満足度の向上に努め、
    前年同期比 減収減益で、売上高は微減利益面は2割前後の減益で着地。
  • 今期(2025年3月期)通期予想は、顧客へ価値あるサービスを提供し、リアル店舗の強みを活かして売場の進化を図り、
    前期比 増収増益で、売上高は微増利益面は微増~1割弱の増益を見込む。

【株主還元】

  • 配当利回り(会社予想)2.77%で、東証スタンダードの単純平均 2.30%(5/20時点) と比較すると高い水準
  • 直近5年間の配当金は、年間1株当たり10~14で推移しており、
    配当性向は、10%台~20%台で安定して推移。
  • 会社の株主還元方針は、経営基盤の強化・拡大に努めることにより、業績に応じた適正な配当を継続的に行うことを基本としている。

【流動性・分売数量】

  • 直近の出来高の5日平均は143百株、25日平均は44.6百株(5/20時点)で、流動性は低い水準
  • 分売数量は、発行済み株式総数の約0.52%少ない数量で、
    この銘柄の1日の平均的な出来高の約18倍であり、それからすると多めの数量

【株価モメンタム】

  • 週足ベースの株価は、2022年の年末に高値(635円)をつけるまでは上昇基調で推移していたが、
    その後は調整しており、500~570円のレンジ内で推移。
  • 直近の株価は、560円前後のヨコヨコの推移だったが、
    今回の立会外分売発表の翌営業日(5/16)は、分売による短期的な需給悪化懸念により、窓を開けて出来高を伴い前日比 38円安(-7.06%)と急落した。
    この下落で年初来安値(495円)をつけている。
  • 今後の株価は、年初来安値を再び更新せず、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、更新して下値模索をするのか要注目。

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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