【公募増資・売出(PO)は買いか?】エスコンジャパンリート(2971)

株式投資
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こんにちは!

直近で公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?ファンダメンタルズや客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

  • 公募増資・売出(PO)とは?
既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」と「売出し」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

今回は、東証J-REITのエスコンジャパンリートです。

POの概要

今回のPOは、公募による新投資口の発行です。売出価格決定期間や受渡期日、売出数量は以下です。

ただし、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事会社(今回は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券、SMBC日興証券)をはじめ、引受人の証券会社で購入申込可能です。

早ければ、7/19(月)の夕刻に、会社側からの売出価格等のお知らせが適時開示でありますので、チェックしてくださいね💖

売出価格等決定日2021/7/19(月)
受渡期日8/3(火)
募集投資口数65,700 口
発行済み投資口数282,982口の約23.2%
売出投資口数(オーバーアロットメント(以下、OA)による)3,285 口(公募増資口数の5%)
※実施決定しました。2021/7/19(月)
発行価格145,282
ディスカウント率2.50%
※7/19終値(152,500 円)から 2021 年7月期の1口当たりの予想分配金 3,492 円を控除した上で、上記のディスカウント率にて算定
申込単位数量1口以上1口単位
実施の目的新たな特定資産を取得することによるポートフォリオの収益力向上と財務基盤の強化・安定性の向上を目的として、マーケット動向及び1口当たり分配金の水準等を勘案した結果、新投資口の発行を決定したもの。
主幹事会社三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券、SMBC日興証券
引受人SBI証券、大和証券

売出数量が、発行済み口数の約23.2%(OAを含めると24.4%)とかなりの数量になっています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した投資口の数量)の5日平均は1,104口25日平均は966口ですので、流動性はほどほどのレベルです。

どんな投資法人?

ドラッグストア

人々の暮らしを開発する“ライフ・デベロッパー”である、中部電力グループの日本エスコン(8892)がスポンサーのJ-REITです。

日本エスコンが総合デベロッパーとして培った不動産開発・運営の経験を活かし、 運用資産の着実な成長を目指すことによって、投資主価値の最大化を図っています。

【J-REITの簡単な説明】

投資信託の仲間であり、我々投資家は、東京証券取引所でJ-REIT(不動産投資法人)商品を購入し、J-REITが、商業施設やホテル、住宅などの不動産を保有・運営してその家賃収入や売却益を得て、その収益の中から分配金として投資家に配分されるもの。

※出所:一般財団法人 投資信託協会HP

J-REITは全体的に、高配当な銘柄が多く存在します。そして、分配月もばらけていますので、複数のJ-REITを保有すると分散投資にもなりますし、ほぼ毎月分配金をいただける嬉しい状況になります。

昨年の3月のコロナショック時にJ-REITの株価が、日経平均以上(下落前の半値以上)下落している銘柄もありましたが、現在はコロナショック前の水準に戻しつつあります。

エスコンジャパンリートは、2021年6月25日現在で、保有物件数は、28物件 519億円、稼働率99.5%となっており、

投資方針は、

  • 物件タイプ
    • 暮らし密着型商業施設:80%以上、その他用途(ホテル・住居・物流施設等):20%未満
    • 底地(他の人に土地を貸す):50%程度、土地建物:50%程度
  • 投資対象エリア
    • 四大都市圏(首都圏、近畿、中京、福岡)75%以上、その他地域 25%未満

としています。

【今回の公募増資による資金調達のハイライト】

  1. 投資主価値向上に資するスポンサーサポートを活用した機を見た外部成長
    • 取得予定資産11物件 計176.2億円
    • 上記取得予定を合わせた ポートフォリオ 38物件、696億円
  2. 長期の安定性を誇るスポンサー開発案件を中心とした底地8物件(ディスカウントスーパー、ドラッグストア、ガソリンスタンド)の取得
    • 底地は、建物がないため、修繕費や維持費がかからず、また減価償却費もかからないため、投資家への還元率が大きくなる。
  3. 日常生活に欠かせない暮らし密着型商業施設3物件の取得
    • 国内のショッピングセンター全体と比較して、本投資法人の商業施設の売上は安定性を発揮し、長引くコロナ禍の影響においても、テナントからの新たな支払い猶予、減賃要請は限定的。
  4. スポンサーとサポート会社の資本関係強化による強固なサポート体制の継続
    • 中部電力による日本エスコンの連結子会社化により、サポート体制を一層拡充
  5. 財務戦略の強化及び安定性の向上
    • 格付けの取得(R&I) 「A(ーマイナス)」(安定的)

の5点を挙げています。

本リートは、暮らし密着型の商業施設への投資と底地の割合が多いということで、安定的な運用と投資家への還元率が高いことがポイントです。

直近の運用状況

経営状況

前期(2021年1月期)の運用状況と今期(2021年7月期)以降の見通し】

決算期営業収益
[百万円]
(前期比)
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
当期純利益
[百万円]
(同)
1口当たり
分配金[円]
2020年7月期実績1,9021,1109719703,430
2021年1月期実績1,922
(1.1%増)
1,111
(0.1%増)
1,019
(5.0%増)
1,018
(5.0%増)
3,599
2021年7月期会社予想1,908
(0.7%減)
1,084
(2.5%減)
989
(3.0%減)
988
(3.0%減)
3,492
2022年1月期会社予想
(2021年7月9日修正)
2,469
(29.4%増)
1,506
(38.9%増)
1,255
(26.9%増)
1,254
(26.9%増)
3,565
(73円増)
2022年7月期会社予想
(2021年7月9日発表)
2,466
(0.1%減)
1,379
(8.4%減)
1,257
(0.2%増)
1,256
(0.2%増)
3,570
(5円増)

2021年7月期(2021年2月~7月)は、減収減益の予想だったのですが、今回の公募増資を受けて、不動産を取得することで、来期の2022年1月期(2021年8月~2022年1月)は、営業収益は約30%の増収、利益面では25%~40%弱の増益で、増収増益を予想しています。

今回の公募が最大23.2%の増資からすれば、それ以上の増収増益を計画しており、妥当な増資といえそうです。

1口当たりの分配金の予想も、増資した後の2022年1月期の予想は3,365円としており、増資前の2021年7月期より、73円増えています。

また、今回の発表と同時に、2022年7月期の予想も発表しており、営業収益と営業利益は、前期比で少し下がっていますが、経常利益と純利益、分配金は微増の予想となっています。

株価指標

株価指標

7/12(月)終値時点の数値

  • 投資口価格(1口当たり):149,500円
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):3.57倍
  • 年間分配金(会社予想):7,057円(2021年7月 3,492円、2022年1月 3,565円)、年間利回り:4.7%

直近3営業期間の分配金は、以下のようになっています。

決算期分配金(円)
2020年1月期3,728
2020年7月期3,430
2021年1月期3,599
※エスコンジャパンリート 直近分配金推移

直近では、投資口価格が上がったために、分配金の利回りは下がっていますが、それでも、他の日本株(東証1部の単純平均は1.82%(7/9時点))と比較すると、かなり高いほうです。

また、J-REITは収益が安定していますので、分配金の増減は上場会社の配当金と比較すれば、あまりないです。

週足チャート(直近2年間):

出所:楽天証券サイト

投資口価格は、昨年のコロナショック前の水準(131,700円)を軽々超え、右肩上がりの上昇基調です。

コロナショック時の安値(70,900円)から、現在は2倍以上の価格を付けており、この上げの勢いは止まりそうもない感じです。

まとめ

まとめ

【投資法人のファンダメンタルズ】

本リートは、暮らし密着型の商業施設への投資と底地の割合が多いということで、安定感があり収益性の高さが期待できる。

今回の増資についても、増資した分以上の収益の増加が期待できるので、納得感がある。

【インカムゲイン】

今回の増資で、分配金の増加が期待でき、またJ-REIT共通だが、分配金の増減は上場会社の株よりは安定感がある。

【流動性】

直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は1,104口、25日平均は966口。流動性はほどほどにある。

【投資口価格モメンタム】

昨年のコロナショック後、ほとんど押し目もなく一本調子で上昇しており、全く下がる気配がない。

今回の公募増資の発表後、多少投資口価格は下がると予想していたが、逆に2,500円(1.7%)上昇し、勢いは継続している。

J-REIT共通だが、分配金が安定しているため、コロナショックのようなことがなければ、今後も投資口価格の安定又は上昇が期待できる。

以上をふまえ、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
投資法人のファンダメンタルズ⭐⭐⭐⭐
インカムゲイン⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐⭐
投資口価格モメンタム⭐⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐⭐(買い)
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

参考になればうれしいです!最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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