直近で公募増資・売出(以下、PO)を実施した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益は出たのか?
受渡期日当日と受渡期日1週間後の結果を検証しました。
今回は、受渡期日が9/2(木)のサンケイリアルエステート、大和ハウスリート、9/6(月)のオービックビジネスコンサルタントです。
最後までお付き合いいただけると嬉しいです💖
発行価格とその後の株価比較
まずは、発行価格で買って1週間(5営業日)後まで保有した場合、含み益なのか含み損なのか?を確認していきましょう!
受渡期日の寄付又は大引けと1週間(5営業日)後の結果は、
3つの全ての銘柄は損益プラスの結果でした。受渡日の寄付き又は大引けで売却しても、利益は出ていましたね。
中でも、大和ハウスリートとオービックビジネスCは1週間後に約13%の大幅上昇となりました。
POで購入された方おめでとうございます!
この期間は、日経平均の地合いが良かったことも要因の一つではないかと思います。
ちなみに私は、開設している証券口座は募集していなかったので、今回のPOは購入なしでした。
要因分析:サンケイリアルエステート(2972)
このJ-REITは、
東京23区内をメインとしたオフィスビルに特化して、循環的な不動産市場に対応できる収益の安定性と成長性を兼ね備えた強固なポートフォリオを構築していましたが、
昨今のコロナ禍で、在宅勤務等のテレワークが進み、オフィス移転の取止めや拠点の集約等に伴う解約の動きがあり、前期(2021年2月)末の稼働率(99.9%)から、2021年6月末の稼働率は99.4%と0.5ポイント下げているところが気になりました。
今回の公募増資による物件取得後の2022年2月期には、当初予想から、営業収益は約3割、利益面は4割程度増額しており、公募の増資比率約29.4%より大きい増額率の予想であったため、納得性がありました。
分配金の年利回りは4.4%(8/17時点)と高く、増資した後の2022年2月期の1口当たりの分配金の予想は、2021年8月期から101円増額ということで、投資口主にはうれしい内容でしたね。
投資口価格は当初、128,500~136,000円のレンジで推移していたため、上に行くのか下に行くのか微妙だったのですが、地合いが良かったせいか、下に行くことは避けられました。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】サンケイリアルエステート(2972)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
投資口価格は、PO発表の翌営業日(8/17)から下げ、一旦発行価格等決定日(8/25)で底値を付けた後、上昇に転じました。
受渡日にも窓を開けて下落したのですが、その後は7営業日ほど上昇基調で推移しました。
要因分析:大和ハウスリート(8984)
この投資法人は、
中核資産である物流施設、居住施設、商業施設、ホテルに加え、オフィスやヘルスケア施設等も投資対象とした「総合型リート」で、リスク・リターンの特徴が異なる多様な資産への投資により分散したポートフォリオを構築しており、収益性の安定感がありました。
また、今回の公募増資による物件取得後の2022年2月期は、当初予想から、営業収益は6%、利益面は7~9%増額しており、取得金額の増加率 8.8%にほぼ見合った収益予想となっており、納得性がある増資でした。
分配金の年利回りは3.6%(8/20時点)で、東証1部の上場会社の平均よりは(1.92%(8/20時点))とかなり高いのですが、J-REITの中では少し見劣りする感じでした。
そして、増資した後の2022年2月期の1口当たりの分配金の予想は、2021年8月期から300円減額、2022年8月期はさらに150円減額としており、今回の増資により分配金が減るのは納得できませんでした。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】大和ハウスリート(8984)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
投資口価格は、今回のPO発表の翌営業日(8/19)から下げ始め、発行価格等決定日(8/26)まで下落しました。
しかしその後は、9月中旬まで上昇し続け、PO発表前の価格まで値を戻しています。
要因分析:オービックビジネスC(4733)
この会社のPOは売出のみで、来年4月からの東証再編における「プライム市場」の基準を充足するため、流通株式比率を 35%以上にするということで、目的が明確でした。
今期1Q(2021年4月~2021年6月)の経営成績は、売上は会計基準を変更しているため、単純比較はできませんが、
前年同期比で増収増益で、利益面は25%程度の増益になっており好調でした。
配当は年利回り1.2%(8/24時点)と、あまり高くはないのですが、直近5年間では毎年5円増配を重ねており、株主還元は厚いという印象でした。
また株主優待制度があり、3月末に100株以上保有の株主は、3,000円相当のクオカードがいただける点も魅力的でしたね。
懸念材料としては、日足ベースの株価が、直近の高値(6/23:6,750円)を付けた後は、下降トレンドで推移していたので、上昇基調に転じるには少し時間がかかるのではと予想していました。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】オービックビジネスC(4773)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
株価は、PO発表の翌営業日(8/18)に窓を開けて売られ、その後は少し回復したのですが、発行価格等決定日の翌営業日(8/31)まで下げました。
しかし、その8/31を底にして受渡日(9/6)以降上げ基調が続いています。
まとめ
サンケイリアルエステート(2972) 、大和ハウスリート(8984)、オービックビジネスC(4733)のPO予想と一週間(5営業日)後の株価は、
銘柄名 | 事前予想 | 結果(損益) (「1週間後終値」 ー「発行価格」) | 判定 |
サンケイリアルエステート | 中立 | +6,073円 (+5.0%) | × |
大和ハウスリート | 買い | +40,209円 (+13.3%) | 〇 |
オービックビジネスC | 買い | +689円 (+13.4%) | 〇 |
でした。
大和ハウスリートとオービックビジネスCは「買い」予想でしたので、判定「〇」、 サンケイリアルエステートは「中立」予想でしたので、判定は「×」の結果でした。
予想以上に、 大和ハウスリートとオービックビジネスCの株価は上昇しましたが、9月前半は地合いがよかったところもありますね。
また、受渡日以降、どの銘柄も上昇したのは、POによる需給悪化懸念が解消し始めたということもあると思います。
今後の株価(投資口価格)の動向ですが、
サンケイリアルエステートは、9月中旬までの投資口価格は上昇基調だったのが、直近では25日移動平均線に跳ね返され、下げ基調になっています。
今後は、25日移動平均線を上抜いてくるかどうか要注目です。
大和ハウスリートは、9月中旬までの上昇が一服している感があります。
25日移動平均線より上をキープしていけるかがポイントですね。
オービックビジネスCは、直近では、75日移動平均線に抑えられ、上昇が止まってきています。
75日移動平均線を上抜けて上昇してくれば、もう一段高が狙えそうです。
参考になればうれしいです✨
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。