【公募増資・売出(PO)は買いか?】大和ハウスリート投資法人(8984)

物流株式投資

こんにちは!

公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証J-REITの大和ハウスリート投資法人です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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  • 公募増資・売出(PO)とは?
既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」と「売出し」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

POの概要

まとめ

今回のPOは、公募による新投資口の発行です。売出価格決定期間や受渡期日、売出数量は以下です。

ディスカウント率は、「売出価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%です。

※直近のJ-REITのPO4銘柄のディスカウント率は、全て(エスコンジャパン、サムティ・レジデンシャル、イオンリート、スターアジア不動産)2.5%でした。

注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事会社(今回は野村證券、大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券)をはじめ、引受人の証券会社で購入申込可能です。早ければ、8/25(水)の夕刻に、会社側からの売出価格等のお知らせが適時開示でありますので、チェックしてくださいね💖

発行価格等決定日2021年月25日(水)
受渡期日
(POで買った場合はこの日から売却可能)
2021 年9月2日(木)
公募による新投資口発行
(一般募集)
115,000 口(国内一般募集 72,300 口及び海外募集 42,700 口を目途に、発行価格等決定日に決定する。)
発行済み投資口数 2,196,000口の約5.2%
投資口売出し(オーバーアロットメント(以下、OA)による)9,000 口(一般募集増資口数の約7.8%。実施決定(8/25)
※上記の「売出価格等決定日」に決定
 野村證券が売出す。
発行価格301,791 円
ディスカウント率2.00%
申込単位数量1口以上1口単位
新投資口発行の目的新たな特定資産(物流施設 3物件、オフィスビル 1物件(既存物件の持分比率の増加) 計724億円)を取得することで分配金の成長及びポートフォリオの質の向上を図るため、マーケット動向、本投資法人の LTV(総資産有利子負債比率)水準及び分配金水準等に留意しつつ検討を行った結果、新投資口の発行を決定した。
主幹事会社 野村證券、大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券
引受人SMBC日興証券、みずほ証券

一般募集の投資口数は、発行済み口数の約5.2%(OAを含めると最大約5.6%)と、多い数量になっています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した投資口の数量)の5日平均は4,383口、25日平均は5,035口ですので、流動性はほどほどに高いレベルです。

どんな投資法人?

都心

中核資産である物流施設、居住施設、商業施設、ホテルに加え、オフィスやヘルスケア施設等も投資対象とした「総合型リート」として、三大都市圏を中心に全国に立地する不動産等への投資・運用を行っているJ-REITです。

スポンサーの大和ハウスグループの総合力とノウハウを最大限に活用しながら、安定収益の確保と運用資産の着実な成長を通じて、投資主価値の最大化を実現を目指しています。

保有物件(2021年4月1日現在)は、227物件 8,243億円となっており、稼働率(2021年7月末現在)は99.3%です。

【J-REITの簡単な説明】

投資信託の仲間であり、我々投資家は、東京証券取引所でJ-REIT(不動産投資法人)商品を購入し、J-REITが、商業施設やホテル、住宅などの不動産を保有・運営してその家賃収入や売却益を得て、その収益の中から分配金として投資家に配分されるもの。

※出所:一般財団法人 投資信託協会HP

J-REITは全体的に、高配当な銘柄が多く存在します。そして、分配月もばらけていますので、複数のJ-REITを保有すると分散投資にもなりますし、ほぼ毎月分配金をいただける嬉しい状況になります。

【ポートフォリオ構築方針】

中核資産(物流施設 、居住施設 、商業施設、ホテル)と中核資産以外の用途の不動産(オフィス、ヘルスケア施設等)にも投資可能としており、

中核資産 80%以上、その他資産 20%以下

としています。

投資地域は、

三大都市圏の以下の地域を70%以上としています。

  • 首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)
  • 中部圏(愛知県・岐阜県・三重県)
  • 近畿圏(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・滋賀県)

その他にも、物件の用途別に詳細の投資基準を設定して厳選投資しています。

【用途別と地域別投資比率】

2021年4月1日時点の、用途別投資比率は以下です。

  • 物流施設 50.5%
  • 居住施設 29.4%
  • 商業施設 14.9%
  • ホテル 2.3%
  • その他 3.3%

物流施設が5割を占めています。

地域別は、以下です。

  • 首都圏 64.0%
  • 中部圏 3.7%
  • 近畿圏 8.5%
  • その他 23.8%

首都圏が6割以上を占めています。

【取得予定の物件数と取得金額】

取得前2021年9~10月
取得予定
取得後の合計
(予定)
物件数[件]227230
取得金額[億円] 8,2437248,967
※表1:新規資産取得物件数と金額
取得物件の内1件(オフィスビル)は既存物件の持分比率の増加のため、
所有物件数には加算していない。

今回のPOによる資金調達により、2021年9月~10月に取得予定の物件を合わせると、表1のようになります。

取得金額で8.8%の資産増加予定です。

直近の運用概況

経営状況

2021年2月期の運用状況と2021年8月期以降の見通し】

決算期営業収益
[億円]
(前期比)
営業利益
[億円]
(同)
経常利益
[億円]
(同)
当期純利益
[億円]
(同)
1口当たり
分配金
[円]
(同)
2021年2月期実績281
(5.6%増)
126
(8.6%増)
111
(11.7%増)
111
(11.7%増)
5,856
(429円増)
2021年8月期会社予想
(2021年4月20日公表)
294
(4.7%増)
130
(3.2%増)
115
(3.3%増)
115
(3.3%増)
6,050
(194円増)
2022年2月期会社予想
(2021年8月18日修正)
301
(2.5%増)
133
(2.5%増)
115
(0.5%増)
115
(0.5%増)
5,750
(300円減)
2022年8月期会社予想
(2021年8月18日公表)
292
(3.2%減)
127
(4.8%減)
110
(4.4%減)
110
(4.4%減)
5,600
(150円減)
表2: 2021年2月期の運用状況と2021年8月期以降の見通し

今期の2021年8月期(2021年3月~8月)は増収増益ですが、微増の予想です。

今回の公募増資により、新規取得資産を組入れることで、2022年2月期(2021年9月~2022年2月)は、営業収益と営業利益は2.5%増を予想しています。

新規資産の取得前の予想よりは、営業収益は6.1%、営業利益は8.8%増加しています。

新規取得資産は金額で8.8%の増加ですので、それなりの増益予想です。

1口当たりの分配金の予想は、増資した後の2022年2月期は前期(2021年8月期)から300円減ということで、投資家にとって少し寂しい内容です。

【前期(2021年2月期)の運用状況】

本投資法人は、借入金及び手元資金により、2020年9月に大和ハウスグループのパイプラインからホテル1物件を取得価格31億円で取得しました。また、2020年12月及び2021年1月に、居住施設2物件を譲渡価格合計27億円で売却しました。

この結果、本投資法人の当期末現在のポートフォリオは、物件数227物件、資産規模8,201億円となりました。

【今期(2021年8月期)の見通し】

不動産市況は、国土交通省が2021年3月に公表した公示地価が大都市圏の商業地等を中心に落ち込む等、全国平均で6年ぶりの下落となったものの、低金利環境が継続していること等を背景に、売買市場では引続き活発な取引が見受けられます。

本投資法人は、総合型REITへの転換により、幅広いアセットタイプの物件取得の機会が拡大したことを契機として、資産規模の着実な成長を図るとともに、長期的な安定収益を確保することにより投資主価値の最大化を目指しています。

ポートフォリオは、総合型REITへの転換により、リスク・リターンの特徴が異なる多様な資産が含まれるようになり、保有資産は高い稼働率を維持しています。

多様な資産への投資により、ポートフォリオの分散が進展するとともにテナント集中リスクが低減し、ポートフォリオの収益性及びキャッシュ・フローの安定性の更なる向上を図ることができると本投資法人は考えています。

本投資法人は、主に大和ハウスグループのパイプラインから、投資主価値向上に資する資産を厳選して取得しており、今後も厳選投資の方針を維持する予定です。

また、継続的な物件入替を通じて、ポートフォリオの質の向上を図り、投資主価値向上の実現を目指しています。

【2022年2月期の運用状況及び分配金の予想の修正】

今回の公募増資の発表と同時に、9~10月に予定している資産取得に伴い、次期(2022年2月期)の運用状況と分配金予想の修正をしています。

<次期(2022年2月期)の運用状況予想>

営業収益
[億円]
営業利益
[億円]
経常利益
[億円]
当期純利益
[億円]
1 口当たり
分配金

[円]
前回発表予想2841221071075,700
今回修正予想3011331151155,750
増減額171150
増減率6.1%8.8%7.7%7.7%0.9%
表3:2022年2月期の業績予想(2021年8月18日発表)

2021年9月~10月に予定している資産取得に伴い、次期(2022年2月期)の運用状況と分配金予想の修正をしています。

次期の予想を、営業収益は6%、利益面は7~9%増額をしています。

9月~10月に予定されている新規取得資産の金額は、全体の約8.8%でしたので、今回の上方修正は妥当な数字といえるでしょう。

分配金の増加率は、少し物足りないといったところでしょうか。

投資口価格の動向

株価指標

8/20(金)終値時点の数値

  • 投資口価格(1口当たり):329,000円
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):1.60倍
  • 年間分配金(会社予想):11,800円(2021年8月 6,050円、2022年2月 5,750円)、年間利回り:3.6%

直近5営業期間の分配金は、表4のようになっています。

決算期分配金(円)
2019年2月期5,427
2019年8月期5,773
2020年2月期6,040
2020年8月期5,427
2021年2月期5,856
※表4:大和ハウスリート 直近分配金推移

上場株式の年利回り(東証1部の単純平均:1.92%(8/20時点))と比較すると、かなり高い利回りとなっています。

直近5期の分配金は、5,400円~6,000円で推移しており、運用状況によって多少ばらつくようです。

【直近の投資口価格推移】

週足チャート(直近2年間):

出所:楽天証券サイト

投資口価格は、昨年のコロナショック時の安値(181,100円)から、ずっと上昇トレンドを継続しており、現在はその安値の1.8倍もの値を付けています。

J-REIT全般に言えることですが、コロナショック時に下げ過ぎたということもあると思います。

日足チャート(直近3か月間):

出所:楽天証券サイト

直近では、8/10に高値(341,000円)を付けた後は、下落傾向にあります。

今回のPO発表の翌営業日(8/19)は、少し下げましたが、出来高もそれほど多くならず、反応はあまりありませんでした。

今後は、直近の安値(317,500円)を下抜けず、安値を切り上げて高値も切り上げていけば、上昇トレンドの継続が期待できます。

まとめ

まとめ

【ファンダメンタルズ】

  • 中核資産である物流施設、居住施設、商業施設、ホテルに加え、オフィスやヘルスケア施設等も投資対象とした「総合型リート」で、リスク・リターンの特徴が異なる多様な資産への投資により分散したポートフォリオを構築している。
  • メインスポンサーの大和ハウスグループのサポートの総合力によるバリューチェーンの活用や、強固なパイプライン・サポートを最大限に活用し、競争力の高い資産の取得により資産規模の着実な成長を図っている。
  • 今回の公募増資による物件取得後の2022年2月期には、当初予想から、営業収益は6%、利益面は7~9%増額しており、取得金額の増加率 8.8%に見合った収益予想となっている。

【インカムゲイン】

  • 分配金の年利回り(3.6%)は、東証1部上場の会社の単純平均(1.92%(8/20時点))と比較してかなり高い。
  • 増資した後の2022年2月期の1口当たりの分配金の予想は、2021年8月期から300円減額、2022年8月期はさらに150円減額としており、今回の増資により分配金が減るのは納得できない。

【流動性】

  • 直近の出来高(売買が成立した投資口の数量)の5日平均は4,383口、25日平均は5,035口で、流動性はほどほどに高いレベル。

【投資口価格モメンタム】

  • 昨年のコロナショック後、一本調子の上昇トレンドで推移してきており、中長期的に上昇トレンドが継続中。
  • 直近の日足ベースでは、直近は少し下げているが、まだ安値切り下げはしていないため、今後、安値切り上げ高値切り上げで推移すれば、上昇トレンドが継続の可能性大。

以上をふまえ、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
ファンダメンタルズ⭐⭐⭐⭐
インカムゲイン⭐⭐
流動性⭐⭐⭐⭐
投資口価格モメンタム⭐⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐⭐買い
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

ただし、直近の下値(7/9::317,500円)を下抜けてくると、下げが加速する可能性もあります。

参考になればうれしいです!最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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