【立会外分売は買いか?】日本インシュレーション(5368)

プラント立会外分売
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こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードからガラス・土石製品業種の日本インシュレーションです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

  • 立会外分売とは?
新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。
  • 立会外分売の魅力
    • 前日終値より安く購入可能
      • 立会外分配における買付側の購入価格は確定値段(1本値)で、分売実施日の前日終値よりディスカウントされるのが一般的。過去の例では、約3~5%のディスカウントで実施されています。
        (ディスカウント率は取引所の規定により最大10%)
    • 買付手数料はかからない
      • 立会外分売による買付は、通常の立会時間内の取引と種類が異なるため一般的に手数料はかからない。(売却時には通常の手数料が発生)
    • 即日売却OK
      • 立会外分売で取得した株式は、実施日(買付当日)から売却することが可能
  • デメリット:抽選で外れることもある
    • 買い申し込みが多いと、抽選ではずれて購入できないこともある。

立会外分売の概要

まとめ

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大5,000株まで購入できます。

11/21(月)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2022 年11 月22 日(火)
分売数量430,000 株
(発行済み株式総数 8,707,200株の約4.93%
分売値段810 円
(11/21決定:終値 835円)
ディスカウント率2.99 %
11/21決定
申込単位数量100 株
申込上限数量5,000 株
表1:日本インシュレーション 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

  • 一定数量の売却意向があり、検討した結果、同社株式の分布状況の改善及び流動性の向上を図るため

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約4.93%多い数量※1です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は23百株、25日平均は19百株(11/16時点)で、流動性は低い水準です。

そして、今回の分売数量(4,300百株)は、1日の出来高(25日平均:19百株)の約226倍ですので、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

建築

建築分野とプラント分野で,1000℃ー3時間の耐火性能を有するゾノトライト系けい酸カルシウムを基材とする耐火・断熱材料の製造・販売・施工を行っている会社です。

事業セグメントは、「建築関連」と「プラント関連」の2つがあり、それぞれ、

  • 建築関連
    不燃建築材料の製造、販売並びに、鉄骨耐火被覆工事等の設計、施工
  • プラント関連
    保温保冷断熱材の製造、販売並びに保温、保冷、断熱、耐火工事の設計、施工

を行ってます。

2022年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

  • 建築関連 35.4%
  • プラント関連 64.6%

となっており、「プラント関連」が6割強を占めています。

直近の経営概況

経営状況

【2023年3月期2Q(2022年4月~9月)の経営成績】

(2022年11月11日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
純利益

[百万円]
(同)
2022年3月期
2Q累計
71.9
(8.0)
837
(△10.3)
873
(△4.9)
450
(187)
2023年3月期
2Q累計
58.3
(△19.0)
508
(39.3)
497
(43.1)
319
(△28.9)
2023年3月期
通期会社予想
129
(△8.6)
1,451
(△22.0)
1,449
(△23.4)
894
(△22.0)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
45.235.034.235.6
表2:日本インシュレーション 2023年3月期2Q経営成績と通期会社予想

表2の通り、前年同期比 減収減益で、売上高は2割弱減利益面は3~4割の減益の結果でした。

2023年3月期通期の業績予想は、前期比 減収減益で、1割弱の減収利益面は2割強の減益を見込んでいて、

その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高は1/2程度でそこそこですが、利益面は1/3程度で遅れ気味です。

【2023年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

当2Q連結累計期間におけるわが国経済は、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、緩やかながらも景気の持ち直しが期待される一方で、

原料、燃料の価格高騰や供給面での制約等の影響が景気を下押しするリスクとなっています。

同社グループは、建築関連では、物流施設を中心に耐火被覆工事が微減で推移しましたが、耐火被覆材の販売需要は回復しつつあることから、売上高は前年同期比で増加しました。

プラント関連では、保温材の販売需要が徐々に回復しつつあるものの、当初想定していたように、ここ数年続いていた電力プラント等の大型建設工事案件が一服したことから、売上高は前年同期比で減少しました。

なお、原料・燃料費が高騰し製造原価を押し上げている状況を踏まえ、今期当初、さらには今夏にも顧客等への製品価格の値上げを実施し、浸透を図っていますが、それを上回る原料・燃料費の著しい上昇が収益を圧迫している状況です。

その結果、

  • 売上高 5,833百万円前年同期比19.0%減
  • 営業利益 508百万円同39.3%減
  • 経常利益 497百万円同43.1%減
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益 319百万円同28.9%減

となっています。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

セグメント売上高
[百万円]
(前年同期比
[%])
営業利益
[百万円]
(同)

建築関連
2,448
(3.1)
477
(△18.2)
プラント関連3,385
(△29.8)
480
(△35.9)
表3:2023年3月期通期2Q セグメント別業績

主力の「プラント関連」は減収減益

「建築関連」は増収減益の結果でした。

セグメント別の状況は以下です。

建築関連

工事部門は、オフィス、データセンター、工場等の耐火被覆工事が比較的堅調に推移したものの、物流関係の大型工事案件の受注がやや振るわず工事売上高は前年同期比で微減となりました。

一方、販売部門は、煙突用断熱材は振るわなかったものの、耐火被覆材、内装仕上げ材等は徐々に回復し、販売売上高は前年同期比で増加しました。

プラント関連

販売部門は、国内一般顧客向け製品及び海外子会社製品等の需要が徐々に回復しており、価格転嫁の寄与もあって、販売売上高は前年同期比で増加しました。

しかしながら工事部門は、電力、石油、鉄鋼等のメンテナンス関係は比較的堅調に推移しているものの、

想定していたように、ここ数年続いていた大型建設工事等が一服したことから、工事売上高は前年同期比で減少しました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年3月期2Q末時点で75.0%と前期末(73.4%)から1.6ポイント増加しています。

これは主に、工事未払金が158百万円減少し、流動負債が減少したことによるものです。

自己資本比率の数値としては良好なレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2023年3月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

  • フリーCF(営業活動によるCFと投資活動によるCFを合計した金額 ※2)1,124百万円の収入
    • 営業活動によるCF 1,309百万円の収入(前期 880百万円の収入
    • 投資活動によるCF 184百万円の支出(同 321百万円の支出

 ※2 フリーCFの説明:

  • プラスの場合:会社が自由に使える資金が増える
  • マイナスの場合:会社が自由に使える資金が減る

前期(2022年3月期2Q累計)のフリーCF(559百万円の収入)から565百万円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

  • 税金等調整前四半期純利益 493
  • 売上債権及び契約資産の増減額(△は増加) 1,329
  • 仕入債務の増減額(△は減少) △267

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

  • 定期預金の預入による支出 △15.0
  • 有形固定資産の取得による支出 △123
  • 投資有価証券の取得による支出 △72.3

【今期(2023年3月期通期)業績の見通し】

2022年5月12日に公表された連結業績予想は、販売における受注の回復製品価格の値上げ合理的な原価管理の徹底等により、上期における

  • 売上高予想5,542百万円に対し実績5,833百万円(予想比105.3%
  • 営業利益予想435百万円に対して実績508百万円(同116.9%
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益予想243百万円に対して実績は319百万円(同131.6%

と予想を上回る結果となりました。

通期の連結業績予想は、原料、燃料の価格高騰や供給面での制約等の影響が今後も業績に与えるリスクがあるため、2022年5月12日に公表された予想数値からの変更はありません

株価指標と動向

株価指標

【2022/11/16(水)終値時点の数値】

  • 株価:897円
  • 時価総額:78.1億円
  • PER(株価収益率):8.69倍

PERは、同業で時価総額が近い、品川リフラクトリーズ(5351) 5.3倍、エーアンドエーマテリアル(5391) 6.5倍、ニチアス(5393) 7.1倍と比較すると、高めの水準です。

  • PBR(株価純資産倍率):0.64倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):ー(信用売り残無し)
  • 年間配当金(予想):37円(年1回 3月)、年間利回り:4.12%(配当性向 35.8%)
決算期1株当たり
年間配当金(円)
配当性向
(%)
2018年3月期3015.7
2019年3月期3224.9
2020年3月期3518.5
2021年3月期3529.7
2022年3月期3728.1
表4:日本インシュレーション 年間配当金推移

年利回りは4.12%で、東証スタンダードの単純平均 2.23%(11/15時点) と比較すると高い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株当たり30~37円で安定して推移しており、

前の年と同額の年もありますが、基本的には増配を継続しています。

配当性向は、10%~20%台で安定しています。

この会社は、

株主への還元を第一として、配当原資確保のための収益力を強化し、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としています。

剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、2021年4月に上場来高値(1,300円)をつけた後は急激に調整し、今年2月に安値(834円)をつけました。

しかしその後の株価は落ち着いて、現在は900円前後でもみ合って推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、860~910円のレンジ内で推移しています。

今回の立会外分売の発表は11/14のザラバ(取引時間)中にありましたが、直近の安値(861円)をつけたものの、引けにかけて上昇し、前日比 2円高(+0.22%)で終了しました。

今後は、レンジの上限(910円)を上抜け上昇していくのか、レンジの下限(860円)を下抜け下落基調で推移するのか要注目です。

まとめ

【業績】

  • 今期(2023年3月期)2Qの業績は、主力のプラント関連での電力プラント等の大型建設工事案件が一服したことや、製品価格の値上げを実施したもののそれを上回る原料・燃料費の上昇が収益を圧迫し、
    前年同期比 減収減益で、売上高は2割弱減利益面は3~4割の減益の結果。
  • 今期通期予想は、前期比 減収減益で、1割弱の減収利益面は2割強の減を見込んでいる。
  • その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高は1/2程度でそこそこだが、利益面は1/3程度で遅れ気味

【株主還元】

  • 配当利回り(予想)は4.12%で、東証スタンダードの単純平均 2.23%(11/15時点) と比較すると高い水準
  • 直近5年間の配当金は、年間1株当たり30~37円で推移して安定しており、前の年と同額の年もあるが、基本的には増配を継続している。
  • 配当性向は、10%~20%台で安定して推移

【流動性・分売数量】

  • 直近の出来高の5日平均は23百株、25日平均は19百株(11/16時点)で、流動性は低い水準
  • 分売数量は、発行済み株式総数の約4.93%多い数量で、
    この銘柄の1日の平均的な出来高の約226倍であり、それからすると多めの数量

【株価モメンタム】

  • 週足ベースの株価は、2021年4月に上場来高値(1,300円)をつけた後は急激に調整し、今年2月に安値(834円)をつけた。
    しかしその後の株価は落ち着いて、現在は900円前後でもみ合って推移
  • 直近の株価は、860~910円のレンジ内で推移しており、
    今回の立会外分売の発表は11/14のザラバ(取引時間)中にあり、直近の安値(861円)をつけたものの、引けにかけて上昇し、前日比 2円高(+0.22%)で終了。
  • 今後の株価は、レンジの上限(910円)を上抜け上昇していくのか、レンジの下限(860円)を下抜け下落基調で推移するのか要注目。

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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