【立会外分売は買いか?】岡谷鋼機(7485)

立会外分売
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こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、名証プレミアから卸売業種の岡谷鋼機です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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  • 立会外分売とは?
新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。
  • 立会外分売の魅力
    • 前日終値より安く購入可能
      • 立会外分配における買付側の購入価格は確定値段(1本値)で、分売実施日の前日終値よりディスカウントされるのが一般的。過去の例では、約3~5%のディスカウントで実施されています。
        (ディスカウント率は取引所の規定により最大10%)
    • 買付手数料はかからない
      • 立会外分売による買付は、通常の立会時間内の取引と種類が異なるため一般的に手数料はかからない。(売却時には通常の手数料が発生)
    • 即日売却OK
      • 立会外分売で取得した株式は、実施日(買付当日)から売却することが可能
  • デメリット:抽選で外れることもある
    • 買い申し込みが多いと、抽選ではずれて購入できないこともある。

立会外分売の概要

まとめ

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大1,000株まで購入できます。

早ければ10/9(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2024 年 10 月 10 日(木)~ 11 日(金)
分売数量150,000
(発行済み株式総数 19,440,000 株の約0.77%
分売値段(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
申込上限数量1,000 株
表1:岡谷鋼機(7485) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

  • 同社株式の分布状況の改善及び流動性の向上を図るため

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約0.77%少ない数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は11.2百株、25日平均は24.2百株(10/1時点)で、流動性は極端に低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

そして、今回の分売数量(1,500百株)は、1日の出来高(25日平均:24.2百株)の約62倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

鉄鋼、特殊鋼、非鉄金属、電機・電子部品、化成品、機械・工具、配管住設機器、建設関連、食品などの国内販売・輸出入(三国間取引含む)を、

岡谷鋼機グループのグローバルネットワークを通じて多面的に展開している会社です。

事業セグメントは、「鉄鋼」「情報・電機」「産業資材」及び「生活産業」の4つがあり、主な製品またはサービスはそれぞれ以下のようになっています。

  • 鉄鋼
    鉄屑、棒鋼、鋼矢板、H型鋼、鋼板、鋼管、機械構造用炭素鋼、合金鋼、軸受鋼、工具鋼、ステンレス鋼 他
  • 情報・電機
    銅・アルミ、レアアース、電子部材、汎用電機品、映像機器、半導体・周辺電子部品、ソフトウェア開発・販売 他
  • 産業資材
    工作機械、工具、産業用ロボット、環境・リサイクル対応設備、半導体・電子関連設備機器、航空機部材、自動車部品、合成樹脂原料、樹脂成形品 他
  • 生活産業
    配管資材、住設機器、住宅用資材、不動産開発、分譲マンション、水産物、畜産物、倉庫業 他

2024年2月期通期のセグメント別売上高構成比は、

  • 鉄鋼 38.2%
  • 情報・電機 29.0%
  • 産業資材 27.8%
  • 生活産業 5.0%

となっており、「鉄鋼」が最も多く4割弱を占めています。

直近の経営概況

経営状況

【2025年2月期2Q(2024年3月~8月)の経営成績】

(日本基準(連結):2024年9月30日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[億円]
(同)
経常
利益
[億円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益

[億円]
(同)
2024年2月期
2Q累計
5,445
(16.2)
160
(1.6)
177
(6.9)
117
(4.4)
2025年2月期
2Q累計
5,398
(△0.9)
172
(7.6)
190
(6.9)
123
(5.2)
2025年2月期
通期会社予想
11,500
(3.4)
310
(△4.4)
340
(△5.2)
225
(△4.9)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
46.955.655.955.0
表2:岡谷鋼機 2025年2月期2Q経営成績と2025年2月期通期予想

表2の通り、前年同期比 減収増益で、売上高は微減利益面は1割でした。

今期(2025年2月期)通期の業績予想は、前期比 増収減益で、売上高は微増利益面は微減を見込んでいます。

そして、その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高、利益面ともに5割前後でそこそこです。

【2025年2月期2Qの状況、経営成績の要因】

当中間連結会計期間における世界経済は、地政学リスクの継続や金利・為替の変動等により、不透明な状況が続きました。

こうした中、米国経済個人消費の回復設備投資等により堅調に推移しましたが、中国・アセアン経済低調でした。

日本経済は、個人消費に改善がみられましたが、人手不足の影響等によりやや力強さを欠きました

このような環境において、今2Qの経営成績は、表2の前年同期比 減収増益となっています。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

主力の「鉄鋼」前年同期比 減収増益

「情報・電機」増収増益

「産業資材」減収減益

「生活産業」増収減益でした。

セグメント売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
鉄鋼2,062
(△2.2)
5,488
(19.6)
情報・電機1,570
(3.2)
4,757
(0.2)
産業資材1,484
(△4.5)
4,175
(△14.8)
生活産業281
(7.7)
1,169
(△11.4)
表3:2025年2月期2Q セグメント別業績

セグメント別の状況は以下です。

鉄鋼

鉄鋼部門は、製造業向けは順調でしたが、建材関連が減少しました。

特殊鋼部門は、自動車向けは堅調に推移しましたが、産機向けが減少しました。

海外は、アジア向けは減少しましたが、欧米向けが増加しました。

情報・電機

エレクトロニクス部門は、情報インフラ関連は増加しましたが、車載部品、FA関連は減少しました。

非鉄金属部門は、材料価格の上昇に加え、環境配慮型材料が増加しました。

産業資材

メカトロ部門は、航空機向け部材は増加しましたが、設備及び工具が減少しました。

化成品部門は、国内外ともに堅調でした。

生活産業

配管建設部門は、配管資材・エネルギー関連及び分譲マンションが増加しました。

食品部門は、鶏肉及び水産物の輸入取引が増加しました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2025年2月期2Q末時点で44.0%と前期末(46.2%)から2.2ポイント低下しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

  • 負債
    • 短期借入金206億円増加その他流動負債75.4億円増加し、流動負債が合計で308億円増加
    • 長期借入金29.8億円増加繰延税金負債94.5億円減少し、固定負債が合計で52.6億円減少
  • 純資産
    • 利益剰余金110円増加し、株主資本が合計で110億円増加
    • その他有価証券評価差額金200億円減少し、その他の包括利益累計額が合計で223億円減少

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2025年2月期)通期業績の見通し】

エネルギー・素材価格の動向や、金利・為替の変動等による経済への影響に加え、

労務費・物流費等コストの上昇が懸念され、先行き不透明な状況を予想しています。

このような経済環境において、表2の数値の前期比 増収減益を見込んでいます。

なお、今2Q決算発表時には、2024年3月28日の決算短信で公表された通期連結業績予想に変更はありません

株価指標と動向

株価指標

【2024/10/2(水)終値時点の数値】

  • 株価:7,390円
  • 時価総額:1,436億円
  • PER(株価収益率(予想)):5.80倍

PERは、同業で時価総額が近い、阪和興業(8078) 4.8倍、豊田通商(8015) 8.0倍と比較すると、中間的な水準です。

  • PBR(株価純資産倍率):0.37倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):ー(信用売り残、買い残無し)
  • 年間配当金(会社予想):135円(年2回 8月 67.5円、2月 67.5円)、利回り:1.82%(配当性向 11.5%)

配当利回り1.82%で、東証スタンダードの単純平均2.44%(10/1時点) と比較すると低い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり112.5~130円で推移しており、2022年2月期以降は連続増配を継続中です。

配当性向は、10%台で低めで推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2020年2月期11514.1
2021年2月期112.517.4
2022年2月期117.511.7
2023年2月期122.510.0
2024年2月期13010.6
表4:岡谷鋼機 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する利益還元を企業経営の重要政策の一つと考えており、競争力を維持・強化して株主資本の充実に努めつつ、配当を行うことを基本方針としています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、以下が進呈されます。

  • 毎年2月末200株以上保有愛知県産米 山の幻ミネアサヒ 5Kg
  • 毎年8月末400株以上保有:同上

加えて、長期保有優待として、毎年8月末と2月末の年2回、200株以上、同一株主番号で連続6回以上記載されていること(2.5年以上継続保有)を条件として、図書カード2,000円相当が進呈されます。

個人投資家にとってはうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2024年5月に上場来高値(9,170円)をつけるまでは、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移しましたが、

その後は調整しており、現時点では全ての移動平均線の下で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

7/5に高値(9,040円)をつけた後は調整し、7月末からの急落で安値(6,800円)をつけました。

その後は8月下旬にかけて一旦は上昇しましたが、再び調整しています。

そして今回の立会外分売と今2Q決算発表が9/30のザラバ(取引時間)中にあり、それを受けて、分売による短期的な需給悪化懸念により売られ前日比 130円安(-1.74%)と下落しました。

今後は、8月につけた安値(6,800円)を割り込まずに、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

  • 今期(2025年2月期)2Qの業績は、主力の鉄鋼セグメント建材関連、特殊鋼は産機向けが減少海外は欧米向けが増加し、
    前年同期比 減収増益で、売上高は微減利益面は1割弱増
  • 今期業績予想は、エネルギー・素材価格の動向や、金利・為替の変動等による経済への影響に加え、労務費・物流費等コストの上昇が懸念され、先行き不透明な状況を予想し、
    前期比 増収減益で、売上高は微増利益面は微減を見込む。
  • その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高、利益面ともに5割前後でそこそこ

【株主還元】

  • 配当利回り(会社予想)1.82%で、東証スタンダードの単純平均 2.44%(10/1時点) と比較すると低い水準
  • 直近5年間の配当金は、年間1株あたり112.5~130で推移し、2022年2月期以降は連続増配を継続中
    配当性向は、10%台で低めで推移。
  • 株主優待があり、毎年8月末は400株以上2月末は200株以上保有の株主は、愛知県産米 山の幻ミネアサヒ 5Kgが進呈される。
    加えて、長期保有優待として、毎年8月末と2月末の年2回、200株以上、同一株主番号で連続6回以上記載されていること(2.5年以上継続保有)を条件として、図書カード2,000円相当が進呈される。

【流動性・分売数量】

  • 直近の出来高の5日平均は11.2百株、25日平均は24.2百株(10/1時点)で、流動性は極端に低い水準
  • 分売数量は、発行済み株式総数の約0.77%少ない数量で、
    この銘柄の1日の平均的な出来高の約62倍であり、それからすると多めの数量

【株価モメンタム】

  • 週足ベースの株価は、2024年5月に上場来高値(9,170円)をつけるまでは、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移したが、
    その後は調整しており、現時点では全ての移動平均線の下で推移している。
  • 直近の株価は、7/5に高値(9,040円)をつけた後は調整し、7月末からの急落で安値(6,800円)をつけた。
    その後は8月下旬にかけて一旦は上昇したが、再び調整している。
    そして今回の立会外分売と今2Q決算発表が9/30のザラバ(取引時間)中にあり、それを受けて、分売による短期的な需給悪化懸念により売られ前日比 130円安(-1.74%)と下落した。
  • 今後の株価は、8月につけた安値(6,800円)を割り込まずに、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか要注目。

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐
流動性
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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