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【立会外分売は買いか?】岡谷鋼機(7485)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、名証プレミアから卸売業種の岡谷鋼機です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大1,000株まで購入できます。

早ければ10/9(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定2024 年 10 月 10 日(木)
分売数量150,000
(発行済み株式総数 19,440,000 株の約0.77%
分売値段7,081 円
(10/9決定:終値 7,300 円)
ディスカウント率3.00 %
(10/9決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量1,000 株
表1:岡谷鋼機(7485) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約0.77%少ない数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は11.2百株、25日平均は24.2百株(10/1時点)で、流動性は極端に低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

そして、今回の分売数量(1,500百株)は、1日の出来高(25日平均:24.2百株)の約62倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

鉄鋼、特殊鋼、非鉄金属、電機・電子部品、化成品、機械・工具、配管住設機器、建設関連、食品などの国内販売・輸出入(三国間取引含む)を、

岡谷鋼機グループのグローバルネットワークを通じて多面的に展開している会社です。

事業セグメントは、「鉄鋼」「情報・電機」「産業資材」及び「生活産業」の4つがあり、主な製品またはサービスはそれぞれ以下のようになっています。

2024年2月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「鉄鋼」が最も多く4割弱を占めています。

直近の経営概況

【2025年2月期2Q(2024年3月~8月)の経営成績】

(日本基準(連結):2024年9月30日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[億円]
(同)
経常
利益
[億円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益

[億円]
(同)
2024年2月期
2Q累計
5,445
(16.2)
160
(1.6)
177
(6.9)
117
(4.4)
2025年2月期
2Q累計
5,398
(△0.9)
172
(7.6)
190
(6.9)
123
(5.2)
2025年2月期
通期会社予想
11,500
(3.4)
310
(△4.4)
340
(△5.2)
225
(△4.9)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
46.955.655.955.0
表2:岡谷鋼機 2025年2月期2Q経営成績と2025年2月期通期予想

表2の通り、前年同期比 減収増益で、売上高は微減利益面は1割でした。

今期(2025年2月期)通期の業績予想は、前期比 増収減益で、売上高は微増利益面は微減を見込んでいます。

そして、その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高、利益面ともに5割前後でそこそこです。

【2025年2月期2Qの状況、経営成績の要因】

当中間連結会計期間における世界経済は、地政学リスクの継続や金利・為替の変動等により、不透明な状況が続きました。

こうした中、米国経済個人消費の回復設備投資等により堅調に推移しましたが、中国・アセアン経済低調でした。

日本経済は、個人消費に改善がみられましたが、人手不足の影響等によりやや力強さを欠きました

このような環境において、今2Qの経営成績は、表2の前年同期比 減収増益となっています。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

主力の「鉄鋼」前年同期比 減収増益

「情報・電機」増収増益

「産業資材」減収減益

「生活産業」増収減益でした。

セグメント売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
鉄鋼2,062
(△2.2)
5,488
(19.6)
情報・電機1,570
(3.2)
4,757
(0.2)
産業資材1,484
(△4.5)
4,175
(△14.8)
生活産業281
(7.7)
1,169
(△11.4)
表3:2025年2月期2Q セグメント別業績

セグメント別の状況は以下です。

鉄鋼

鉄鋼部門は、製造業向けは順調でしたが、建材関連が減少しました。

特殊鋼部門は、自動車向けは堅調に推移しましたが、産機向けが減少しました。

海外は、アジア向けは減少しましたが、欧米向けが増加しました。

情報・電機

エレクトロニクス部門は、情報インフラ関連は増加しましたが、車載部品、FA関連は減少しました。

非鉄金属部門は、材料価格の上昇に加え、環境配慮型材料が増加しました。

産業資材

メカトロ部門は、航空機向け部材は増加しましたが、設備及び工具が減少しました。

化成品部門は、国内外ともに堅調でした。

生活産業

配管建設部門は、配管資材・エネルギー関連及び分譲マンションが増加しました。

食品部門は、鶏肉及び水産物の輸入取引が増加しました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2025年2月期2Q末時点で44.0%と前期末(46.2%)から2.2ポイント低下しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2025年2月期)通期業績の見通し】

エネルギー・素材価格の動向や、金利・為替の変動等による経済への影響に加え、

労務費・物流費等コストの上昇が懸念され、先行き不透明な状況を予想しています。

このような経済環境において、表2の数値の前期比 増収減益を見込んでいます。

なお、今2Q決算発表時には、2024年3月28日の決算短信で公表された通期連結業績予想に変更はありません

株価指標と動向

【2024/10/2(水)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、阪和興業(8078) 4.8倍、豊田通商(8015) 8.0倍と比較すると、中間的な水準です。

配当利回り1.82%で、東証スタンダードの単純平均2.44%(10/1時点) と比較すると低い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり112.5~130円で推移しており、2022年2月期以降は連続増配を継続中です。

配当性向は、10%台で低めで推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2020年2月期11514.1
2021年2月期112.517.4
2022年2月期117.511.7
2023年2月期122.510.0
2024年2月期13010.6
表4:岡谷鋼機 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する利益還元を企業経営の重要政策の一つと考えており、競争力を維持・強化して株主資本の充実に努めつつ、配当を行うことを基本方針としています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、以下が進呈されます。

加えて、長期保有優待として、毎年8月末と2月末の年2回、200株以上、同一株主番号で連続6回以上記載されていること(2.5年以上継続保有)を条件として、図書カード2,000円相当が進呈されます。

個人投資家にとってはうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2024年5月に上場来高値(9,170円)をつけるまでは、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移しましたが、

その後は調整しており、現時点では全ての移動平均線の下で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

7/5に高値(9,040円)をつけた後は調整し、7月末からの急落で安値(6,800円)をつけました。

その後は8月下旬にかけて一旦は上昇しましたが、再び調整しています。

そして今回の立会外分売と今2Q決算発表が9/30のザラバ(取引時間)中にあり、それを受けて、分売による短期的な需給悪化懸念により売られ前日比 130円安(-1.74%)と下落しました。

今後は、8月につけた安値(6,800円)を割り込まずに、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐
流動性
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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