【公募増資・売出(PO)は買いか?】三井海洋開発(6269)

公募増資・売出(PO)
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こんにちは!

公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムから機械業種の三井海洋開発です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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  • 公募増資・売出(PO)とは?
既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」「売出」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

POの概要

まとめ

今回のPOは、大株主(株式会社三井 E&S)からの株式の売出しです。売出価格等決定日や受渡期日、売出数量等は表1のようになっています。

ディスカウント率は、「売出価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%です。

ちなみに、直近の主なPOのディスカウント率は、JR西日本(9021) 3.01%、日本郵政(6178) 2.01%、クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387) 3.09%となっており、ほぼほぼ2~5%程度です。

ただ、ディスカウント率が大きいPOもあり、直近ではENECHANGE(4169)の8.1%が最大です。

注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事(今回は野村證券大和証券)はじめ、引受人の証券会社で購入申込可能です。

早ければ、5/22(水)の夕刻に、会社側から売出価格等のお知らせが適時開示であります。

このブログ記事も更新しますので、チェックしてくださいね💖

売出価格等決定日2024 年5月 22 日(水)
受渡期日
(POで買った場合はこの日から売却可能)
2024 年5月 29 日(水)
①株式の売出し
(引受人の買取引受けによる売出し)
数量
普通株式 21,908,400
発行済み株式総数 68,345,300 の約32.0%
②株式の売出し
(オーバーアロットメントによる売出し)
数量
普通株式 3,286,200 株実施決定(5/22)
野村證券が売出す。
売出価格2,636 円
(5/22決定:終値 2,718 円)
ディスカウント率3.02 %
(5/22決定)
申込単位数量100 株
主幹事野村證券、大和証券
表1:三井海上開発(6269) PO概要

【株式売り出しの目的】

  • 同社は、「イノベーションで持続可能な未来を拓く」を中期経営計画 2024-2026 のスローガンとし、同社の重要課題である FPSO(※1)脱炭素化、新事業の育成につき、中期経営計画期間に一定の取組を進めることを、ビジョン 2034 のあり姿である「海洋と人をつなぐグローバル・リーディング・プレイヤー」実現への布石としている。
    ※1:FPSO
    “Floating Production, Storage and Offloading system”の略で、日本語では「浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備」と呼ばれ、洋上で石油や天然ガスを生産し、生産したものを設備内のタンクに貯蔵して、直接輸送タンカーへの積出を行う設備をいう。
  • 同社は、この目標を実現するために、中核事業である FPSOの収益力の更なる強化に努め、戦略的に FPSO の脱炭素化と新事業育成、並びに人的資本を含めた将来のための事業基盤の強化を進めており、また、サステナビリティ経営の推進にも注力している。
  • 今後、中長期でこのような戦略を推進する中、コーポレートガバナンスの充実を図ることも経営にとって重要と考え、適切な株主構成の在り方について検討し、同社株主と継続的に議論を重ねてきた。
    その議論の中で、今回売出人から同社株式の流動性向上株主層の拡大及び拡充のため、売出しによる売却について同意を得られたことから、この機会を通じて同社の長期的な戦略を支援してもらえる株主層の拡大及び拡充によって、株主構成の再構築を図ることを目的として、本株式売出しを実施する。
  • また、本株式売出しにより、流通株式比率が改善し、プライム市場の上場維持基準の適合につながると考えている。
  • なお、本株式売出し完了後も、売出人との取引関係への影響はなく、今後も同社は売出人である株式会社三井 E&S と良好な事業関係を維持していく。
  • あわせて、売出人、三井物産株式会社及び株式会社商船三井の三社の合計で、発行済株式総数の3分の1超を保有しており、それぞれが中長期的に保有することを予定している旨の説明を受けている。

としています。

2024年3月15日に開示された「上場維持基準の適合に向けた計画について」によると、

同社は、2023 年12 月31 日時点における東証プライム市場の上場維持基準への適合状況として、基準の一つである「流通株式比率」のみ充たしておらず基準が35.0%以上のところ29.3%となっていました。

このため、今回の大株主からの株式の売出しにより、ゆうに「流通株式比率」の基準をクリアすることになります。

また、今回の株式の売出数量は、発行済み株式総数の最大約36.8%(OAを含む)で、

直近の株式の売出を含むPOの売出株数比率(OAを含む)は、SBIインシュアランスグループ 9.26%、三洋貿易 9.05%、エフ・コード 3.07%ですので、それらと比較するとかなり多い数量です。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株の数量)の5日平均は24,434百株、25日平均は6,293百株(5/16時点)で、流動性は高い水準です。(1日 1,000百株を平均的な水準としています。)

どんな会社?

長期間にわたる海洋石油・ガス生産プロジェクトにおいて、

洋上で安全に石油・ガスを生産し続けるためのトータルサービスを提供する日本で唯一の企業です。

難度の高い海洋開発プロジェクトにも対応し、半世紀以上にわたり世界の海洋石油・ガス業界をリードしています。

石油開発事業は「探鉱」「開発・生産」「精製・販売」という3つの段階に大きく分けられ、同社の事業領域である「開発・生産」の分野は商業採算性の評価が得られた後に行われる安定した事業です。

事業内容は、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一セグメントです。

直近の経営概況

経営状況

【2024年12月期1Q(2024年1月~3月)の経営成績】

(国際会計基準(IFRS):2024年5月14日発表)

決算期売上
収益
[億円]
(前年
同期比
[%])
営業
利益
[億円]
(同)
税引前
利益
[億円]
(同)
親会社の
所有者に
帰属する
当期利益
[億円]
(同)
2023年12月期
1Q累計
994
(22.3)
27.5
(黒字
転換)
27.5
(黒字
転換)
4.1
(黒字
転換)
2024年12月期
1Q累計
1,245
(25.2)
116
(321)
124
(351)
94.6
(22.9倍)
2024年12月期
通期会社予想
5,531
(9.1)
283
(3.7)
297
(△2.2)
170
(24.3)
通期予想に対する
1Qの進捗率[%]
22.540.941.755.6
表2:三井海洋開発 2024年12月期1Q経営成績と2024年12月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は3割弱増利益面は4~22.9倍の増益でした。

2024年12月期通期の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高は1割増、利益面は営業利益と当期利益は微増~2割強の増益ですが、税引前利益は微減を見込んでいます。

通期予想に対する進捗率は、1Q終了時点で、売上高は2割強でそこそこ利益面は5割前後で順調です。

【2024年12月期1Qの状況、経営成績の要因】

当1Q連結累計期間におけるわが国経済は、経済社会活動の正常化が進み、雇用や所得環境が改善するにつれて、緩やかに回復しました。

海外は、米国経済は底堅く推移したものの、中国経済の停滞中東地域をめぐる情勢といった地政学リスクへの警戒感が高まり、先行き不透明な状況が続いています。

原油価格は、2023年末以降1バレル70米ドル台で推移していましたが、ウクライナによるロシア製油所へのドローン攻撃でロシア産原油の供給懸念が増大したこと、

国際エネルギー機関(IEA)が世界の原油需要見通しを上方修正したこと、中東情勢をめぐる警戒感が強まったこと、などを背景に1バレル80米ドルまで上昇しました。

脱炭素の流れと並存しつつ、安定したエネルギー供給を維持することは依然重要な課題であり、石油会社による深海油田開発プロジェクトは継続して進められています。

同社グループの主要事業である浮体式海洋石油・ガス生産設備に関する事業、特に同社グループが強みを持つ超大水深大型プロジェクトに対する需要も堅調に推移しています。

こうした状況のもと、当1Q連結累計期間の連結業績は、FPSO建造プロジェクトの設計変更等により、受注高は233,209千米ドル(前年同期は239,641千米ドル)となりました。

売上収益FPSO建造工事の進捗により822,866千米ドル(前年同期は744,888千米ドル)となりました。

利益面では、建造工事の順調な進捗による収益計上及び安定したチャーター事業からの持分法投資利益により、営業利益は、76,803千米ドル(前年同期は営業利益20,665千米ドル)となりました。

また、建造工事の前受金による一時的な現金及び現金同等物の増加に伴い利息収入を計上したことから、金融収益が前年同期と比べて増加し、税引前四半期利益は、82,117千米ドル(前年同期は税引前四半期利益20,634千米ドル)となりました。

これらにより、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、62,535千米ドル(前年同期は親会社の所有者に帰属する四半期利益3,096千米ドル)となりました。

円建ての経営数値は表2のとおりです。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年12月期1Q末時点で27.2%と前期末(25.5%)から1.7ポイント増加しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

  • 負債
    • 契約負債188百万米ドル増加営業債務及びその他の債務200百万米ドル減少し、流動負債が合計で23.1百万米ドル減少
    • 社債及び借入金14.0百万米ドル減少し、非流動負債が合計で15.4百万米ドル減少
  • 純資産
    • 利益剰余金が53.3百万米ドル増加し、親会社の所有者に帰属する持分が合計で76.5百万米ドル増加

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては危険水域に近いレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2024年12月期通期)業績予想】

原油価格は、1バレル70米ドルから80米ドル前後での比較的高位で推移しており、石油会社による深海域を中心とした開発は継続的に行われると同社は考えています。

2024年12月期の連結業績見通しは、FPSOの建造工事が進捗することなどにより売上収益を3,900百万米ドル(553,137百万円、1米ドル=141.83円で換算。以下同じ)と予想しています。

利益は、建造工事及びチャーターサービスの提供により営業利益を200百万米ドル(28,366百万円)税引前利益を210百万米ドル(29,784百万円)親会社の所有者に帰属する当期利益を120百万米ドル(17,019百万円)と予想しています。

株価指標と動向

株価指標

【2023/5/16(木)終値時点の数値】

  • 株価:2,898円
  • 時価総額:1,980億円
  • PER(株価収益率):11.6倍

PERは、同業で時価総額が近い、日揮ホールディングス(1963) 13.7倍、千代田化工建設(6366) 5.0倍と比較すると、中間的な水準です。

  • PBR(株価純資産倍率):1.40倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):7.87倍
  • 年間配当金(会社予想):40円(年2回 6月 10円、12月 30円)、利回り:1.38%(配当性向 16.1%)

配当利回りは1.38%で、東証プライムの単純平均2.28%(5/16時点) と比較すると低い水準です。

表3のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり0~45円で推移しており、

配当性向は、無配や最終赤字の年を除くと10%です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年12月期45
(最終
赤字)
2020年12月期45
(最終
赤字)
2021年12月期15
(最終
赤字)
2022年12月期
2023年12月期2010.0
表3:三井海洋開発 年間配当金推移

この会社は、

将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保しつつ、株主に対する適正かつ安定的な配当を行うことを基本方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2022年6月に安値(1,069円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、

2024年5月に高値(3,460円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

5/14に年初来高値(3,460円)をつけるまで、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移していましたが、

今回のPO発表と今1Q決算発表の翌営業日(5/15)は、POによる短期的な需給悪化を懸念され、出来高を伴い窓を開けて前日比 420円安(-12.6%)と急落しました。

この下落で、75日移動平均線(青線)を割り込みその翌営業日も続落しています。

今後は、75日移動平均線を回復し、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、安値を切り下げながら下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

  • 今期(2024年12月期)1Qの業績は、同社グループが強みを持つ超大水深大型プロジェクトに対する需要が堅調に推移し、
    前年同期比 増収増益で、売上高は3割弱増利益面は4~22.9倍の増益
  • 今期通期予想は、FPSOの建造工事が進捗し、建造工事及びチャーターサービスの提供により、
    前期比 増収増益で、売上高は1割増、利益面は営業利益と当期利益は微増~2割強の増益ですが、税引前利益は微減を見込む。
  • この通期業績予想に対する進捗率は、1Q終了時点で、売上高は2割強でそこそこ利益面は5割前後で順調

【株主還元】

  • 配当利回り(会社予想)1.38%で、東証プライムの単純平均 2.28%(5/16時点) と比較すると低い水準
  • 直近5年間の配当金は、年間1株当たり0~45で推移。
    配当性向は、無配や最終赤字の年を除くと10%
  • 会社の還元方針は、将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保しつつ、株主に対する適正かつ安定的な配当を行うことを基本方針としている。

【流動性・株式の売出数量】

  • 今回の株式の売出数量は、発行済み株式総数の発行済み株式総数の最大36.8%で、
    直近の株式の売出を含むPOの売出株数比率(OAを含む)(SBIインシュアランスグループ、三洋貿易、エフ・コード)と比較するとかなり多い数量
  • 直近の出来高の5日平均は24,434百株、25日平均は6,293百株で、流動性は高い水準

【株価モメンタム】

  • 週足ベースの株価は、2022年6月に安値(1,069円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、2024年5月に高値(3,460円)をつけた。
  • 直近の株価は、5/14に年初来高値(3,460円)をつけるまで、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移していたが、
    今回のPO発表と今1Q決算発表の翌営業日(5/15)は、POによる短期的な需給悪化を懸念され、出来高を伴い窓を開けて前日比 420円安(-12.6%)と急落
    この下落で、75日移動平均線を割り込みその翌営業日も続落した。
  • 今後の株価は、75日移動平均線を回復し、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、安値を切り下げながら下値模索をするのか要注目。

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐⭐⭐
株式の売出数量⭐⭐
総合判定⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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