こんにちは!
直近で公募増資・売出(以下、PO)を実施した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益は出たのか?
受渡期日当日と1週間後の結果を検証しました。
今回は、受渡期日が2023年9月のナガセ、NSD、コアコンセプト・テクノロジーです。
最後までお付き合いいただけると嬉しいです💖
売出価格とその後の株価推移
まずは、売出価格で買って1週間(5営業日)後まで保有した場合、含み益なのか含み損なのか?確認していきましょう!
※売買手数料は考慮していません。
受渡期日の寄付又は大引けと1週間(5営業日)後の結果は、
NSDは全ての段階で損益プラス、
ナガセとコアコンセプト・テクノロジーは全ての段階で損益マイナス、
でした。
NSDは受渡日の大引で売却した場合は、4.6%の利益が出ています。
POで購入し、利益が出た方おめでとうございます!
ちなみに、私は今回は購入無しでした。皆さんはいかがでしたでしょうか?
それでは個別に見ていきましょう!
要因分析:ナガセ(9733)
この会社のPO発表時の評価は、表2のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐ |
株式の売出数量 | ⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
今期(2024年3月期)1Qの業績は、売上高は、小・中学生部門がヒューマレッジ(木村塾等)の加入やビジネススクール部門が企業向けIT・DX講座の大口受注により増収でしたが、
費用面では、ヒューマレッジの加入による経費増、また、新規校舎に係る物件費や、全国統一小学生テストのTVCM広告に伴う費用などにより、
前年同期比で、売上高は微増、利益面は赤字転落でした。
今期通期予想は、校舎運営体制の整備と、新しい教育手法や仕組みの構築の両面から取り組み、教育機関としての責務を果たしていき、
前期比 増収増益で、売上高は1割弱増、利益面は営業利益と経常利益は2割前後の増益だが、純利益は1割弱の減益を見込み、
その通期業績予想に対する進捗率は、1Q終了時点で、売上高は1/4程度でそこそこでしたが、利益面は赤字からの挽回が必要な状況でしたね。
株主還元は、配当利回り(予想)は5.01%(8/25時点) で、東証スタンダードの単純平均2.22%と比較すると2倍以上の高い水準でした。
直近5年間の配当金は、2019年3月期~2021年3月期は同額でしたが、それ以降は連続増配していましたね。
株価モメンタムは、しばらく1,880円前後で推移していましたが、2023年に入り上昇しはじめ、同年3月に高値(2,620円)をつけました。
しかしその後は、急落し、直近では2,000円前後で推移していました。
直近では、7/6に直近の高値(2,196円)をつけた後は調整しており、
今回のPO発表の翌営業日(8/23)は出来高は増加しましたが、POによる需給悪化懸念はそれほどはなく、前日比 18円安(-0.89%)と小幅な値動きでした。
その後は、この日つけた安値(1,950円)や4月につけた年初来安値(1,900円)を下抜けずに上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】ナガセ(9733)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表後はしばらくヨコヨコの値動きでしたが、9月に入り急伸し売出価格等決定日に高値をつけました。
しかし、その後は下落に転じ、受渡日(9/11)には売出価格を割り込んで、その2営業日までは下落基調で推移しました。
売出価格まで株価が上昇した分の反動で、それ以降はPOによる需給悪化懸念で下落したようです。
要因分析:NSD(9759)
この会社のPO発表時の評価は、表3のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐ |
株式の売出数量 | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
今期(2024年3月期)1Qの業績は、IT投資への旺盛な需要を背景に受注を着実に積み上げたほか、M&Aの効果もあり、
前年同期比 増収増益で、売上高は3割弱増、利益面は営業利益と経常利益は2割弱の増益でしたが、純利益は1割弱の減益でした。
今期通期予想は、新コア事業(新技術・DX関連のシステム開発事業及びソリューション事業)への取り組みに注力し、事業の拡大によるオーガニック成長に加え、M&Aによる効果を勘案し、
前期比 増収増益で、売上高は2割強増、利益面は営業利益と経常利益は1割強の増益ですが、純利益は1割強の減益を見込み、
その通期業績予想に対する進捗率は、1Q終了時点で、売上高は1/4程度でそこそこでしたね。
株主還元は、配当利回り(予想)は2.68%(8/28時点) で、東証プライムの単純平均2.25%(8/25時点) と比較すると少し高い水準でした。
直近5年間の配当金は、年間1株あたり30~67円で推移し、2020年3月期の記念配当(14円)を除くと、連続増配を継続しているところは魅力的でしたね。
また、株主優待があり、毎年9月末に100株以上保有の株主は保有株数・保有期間に応じて、カタログギフトやクオカードが進呈され、
1年未満100株保有の場合、配当金+株主優待(クオカード 1,000円相当)で利回りは3.07%になっていました。
株価モメンタムは、直近2年間は高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、2023年6月に高値(2,960円)をつけました。
直近の株価は、6/29に年初来高値(2,960円)をつけた後は調整しており、
今回のPOと自社株買い発表の翌営業日(8/28)は、POによる需給悪化を懸念され、窓を開けて出来高を伴い前日比 233円安(-8.42%)と急落。この日の下落で、全ての移動平均線を下抜けていましたね。
その後は、節目の2,400円や1月につけた年初来安値(2,187円)を下抜けずに下げ止まり、上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索を継続するのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】NSD(9759)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
売出価格決定日以降、POによる需給悪化懸念で下落基調で推移しましたが、
受渡日(9/11)以降はこれが後退し、底を打って上昇に転じています。
要因分析:コアコンセプト・テクノロジー(4371)
この会社のPO発表時の評価は、表4のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐ |
株式の売出数量 | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
今期(2023年12月期)2Qの業績は、今2Qより連結決算に移行しているため単純比較はできませんが、「DX支援」「IT人材調達支援」ともに売上が好調で、受注残高も増加し、
前年同期比 増収増益で、売上高は3割増、利益面は1割強~2割弱の増益でした。
今期通期予想は、既存顧客との取引拡大による大口取引先数の増加及び新規顧客との取引による上積み傾向が継続し、業績は順調に拡大すると見込み、
こちらも単純比較はできませんが、前期比 増収増益で、売上高は3割強増、利益面は4割前後の増益を予想し、
その通期業績予想に対する進捗率は、2Q終了時点で、売上高は1/2程度でそこそこでしたね。
株主還元は、配当金は上場来無配で、会社としては、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化、及び事業の継続的な拡大のための投資が重要であると考えていました。
また、今回の株式の売出しの一時的な需給悪化と株主還元を目的に、自社株買いを同時に発表し、自社株買いの最大の数量(約2.30%(自己株式を含む))分が、今回の市場に売り出される株式による一時的な需給悪化の緩和を図っていましたね。
株価モメンタムは、2021年9月に上場後まもなく上場来安値(1,101.2円)をつけた後は急上昇し、2022年8月に4倍強の上場来高値(5,000円)をつけましたが、
その後は調整し、直近では2,500~3,500円前後のレンジ内での動きでした。
直近の株価は、5/29につけた安値(2,428円)以降は上昇基調で推移し、8/15に高値(3,470円)をつけた後はヨコヨコで推移しており、
今回のPO発表の翌営業日(8/30)は、POによる需給悪化を懸念され、窓を開けて前日比 360円安(-10.7%)と急落しましたね。
その後は、5月下旬につけた安値(2,428円)を下抜けずに上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】コアコンセプト・テクノロジー(4371)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
売出価格等決定日以降、受渡日(9/13)までは下落基調で推移し、受渡日は売出価格を割り込んでいます。
そしてその後は、POによる需給悪化懸念が後退し上昇に転じましたが、受渡日5営業日後は売出価格を回復するまでには至りませんでした。
まとめ
ナガセ(9733)、NSD(9759)、コアコンセプト・テクノロジー(4371)のPO予想と一週間(5営業日)後の株価は、表5の結果になりました。
銘柄名 | 事前予想 | 結果(損益)[円] (「受渡日の1週間 (5営業日)後始値」 ー「発行価格」) (損益率[%]) | 判定 |
ナガセ | 中立 | -58 (-2.9) | 〇 |
NSD | 中立 | +114 (+4.6) | × |
コアコンセプト・ テクノロジー | 中立 | -13 (-0.4) | 〇 |
※事前予想の「買い」は3%以上の上昇、「中立」は±3%、「見送り」は3%以上の下落を想定しています。
今回は2勝1敗、勝率0.667。まあまあでした。
どの銘柄も、売出価格等決定日以降、受渡日~その2営業日後までに需給悪化懸念が後退し、上昇に転じました。
しかしながら、ナガセとコアコンセプト・テクノロジーは売出価格を割り込んでしまい残念な結果となりました。
今後の動向ですが、
ナガセは、受渡日の2営業日後以降、緩やかに株価は回復しています。
25日移動平均線や75日移動平均線を上抜け、更なる上昇に期待です。
NSDは、受渡日以降、上昇の勢いが止まりません。
9月末の株主優待の権利取りまで、上昇基調は続きそうです。
コアコンセプト・テクノロジーは、一旦5日移動平均を回復しましたが、勢いがなく再び下抜けています。
ただ、業績が悪くありませんので、今後、業績の更なる上ブレが確認できれば、上昇に弾みがつきそうです。
参考になればうれしいです✨
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。