【立会外分売は買いか?】Eストアー(4304)

立会外分売
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こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから情報・通信業種のEストアーです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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  • 立会外分売とは?
新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。
  • 立会外分売の魅力
    • 前日終値より安く購入可能
      • 立会外分配における買付側の購入価格は確定値段(1本値)で、分売実施日の前日終値よりディスカウントされるのが一般的。過去の例では、約3~5%のディスカウントで実施されています。
        (ディスカウント率は取引所の規定により最大10%)
    • 買付手数料はかからない
      • 立会外分売による買付は、通常の立会時間内の取引と種類が異なるため一般的に手数料はかからない。(売却時には通常の手数料が発生)
    • 即日売却OK
      • 立会外分売で取得した株式は、実施日(買付当日)から売却することが可能
  • デメリット:抽選で外れることもある
    • 買い申し込みが多いと、抽選ではずれて購入できないこともある。

立会外分売の概要

まとめ

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大7,000株まで購入できます。

早ければ11/27(月)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2023 年 11 月 28 日(火)
分売数量237,600 株
(発行済み株式総数 5,894,111 株の約4.03%
分売値段1,152 円
(11/27決定:終値 1,188円
ディスカウント率3.03 %
(11/27決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量7,000 株
表1:Eストアー 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

  • 同社株式の流動性の向上を図るため。
    今回の分売は、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債割当先である投資事業有限責任組合インフレクションⅡ号Bによる新株予約権の一部権利行使に伴うもので、同株主からの売却意向を受け実施するもの。
    なお、今回の行使をもって第1回無担保転換社債型新株予約権付社債は株式にすべて転換済み

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約4.03%多い数量※1です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は512百株、25日平均は162百株(11/24時点)で、流動性は低い水準です。

そして、今回の分売数量(2,376百株)は、1日の出来高(25日平均)の約15倍ですので、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量はやや多めといえます。

どんな会社?

大企業から中小企業まで幅広くECを総合的に支援するサービスを展開している「EC事業」と、

HOI(ハンズオンインキュベーション(※2))事業を行っている会社です。

※2:ハンズオンインキュベーション

経営に深く関与しながら、起業および事業の創出をサポートするサービス・活動

具体的な、事業内容はそれぞれ、

  • EC事業
    ECを総合的に支援するサービスを展開しており、「中小企業向けECシステム」「大企業向けECシステム」「決済サービス」「マーケティングサービス」を提供
  • HOI事業
    秀逸な商品やコンテンツ、多くの顧客等を有しながらも、投下資金とECノウハウの不足によりチャンスを逃している企業に対し、
    同社グループが主体となって運営

を行っています。

2023年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

  • EC事業 62.8%
  • HOI事業 37.2%

となっており、「EC事業」が6割強を占めています。

直近の経営概況

経営状況

【2024年3月期2Q(2023年4月~9月)の経営成績】

(2023年11月13日発表)

決算期売上高
[百万円]
(前年同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2023年3月期
2Q累計
2,849
(0.3)
246
(△54.3)
168
(△68.9)
92
(△73.5)
2024年3月期
2Q累計
5,213
(83.0)
231
(△6.2)
333
(98.5)
167
(81.1)
2024年3月期
通期会社予想
12,498
(32.3)
835
(△7.2)

(予想無し)

(予想無し)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
41.727.6
表2:Eストアー 2024年3月期2Q経営成績と2024年3月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収減益で、売上高は8割強増、利益面は営業利益は1割弱減ですが、経常利益と純利益は8割強増~2倍でした。

2024年3月期通期の業績予想は、前期比 増収減益で、売上高は3割強増営業利益は1割弱減を予想しており、

その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高は4割強程度でそこそこですが、営業利益3割弱で遅れ気味です。

【2024年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

HOI事業として前連結会計年度中に連結子会社化した株式会社SHIFFONの売上が業績寄与し、売上高は5,213百万円(前年同期比83.0%増となりました。

営業利益は231百万円(同6.2%減となりました。

システムの先行投資(同89百万円増)を進めたこと、人材投資(一過性の臨時賞与69百万円を含む)並びにのれん及び顧客関連資産の償却費の増加(同107百万円増)等の費用増加要因がありましたが、いずれも計画どおりです。

また、EBITDA(※3)も471百万円(同32.4%増収益力も強化されました。

※3:EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費

EC事業は、売上高3,070百万円(前年同期比7.7%増セグメント利益327百万円(同32.8%増となりました。

企業のDX投資需要は引き続き旺盛であり、大型案件を中心にこれを順調に取り込んでいます

また、大型案件における経営管理の精緻化営業利益は大幅に改善しました。

EBITDAも445百万円(同25.1%増となりました。

HOI事業は、売上高2,143百万円セグメント損失98百万円となりましたが、EBITDAは23百万円とプラスになりました。

連結子会社化した株式会社SHIFFONはアパレルを中心とした事業ポートフォリオを持ちますが、その収益は下期偏重の季節性を有していることから、計画通り進捗しています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年3月期2Q末時点で21.2%と前期末(23.1%)から1.9ポイント低下しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

  • 負債
    • 短期借入金493百万円減少し、流動負債が合計で569百万円減少
    • 長期借入金1,658百万円増加し、固定負債が合計で1,509百万円増加
  • 純資産
    • 資本金が132百万円増加資本剰余金が132百万円増加自己株式が345百万円減少(自己株式数は増加)し、株主資本が合計で129百万円増加

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては危険水域に近いレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2024年3月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

  • フリーCF(営業活動によるCFと投資活動によるCFを合計した金額 ※4)593百万円の支出
    • 営業活動によるCF 557百万円の支出(前年同期 104百万円の収入
    • 投資活動によるCF 36.9百万円の支出(同 1,256百万円の支出

 ※4 フリーCFの説明:

  • プラスの場合:会社が自由に使える資金が増える
  • マイナスの場合:会社が自由に使える資金が減る

前期(2023年3月期2Q累計)のフリーCF(1,152百万円の支出)から558百万円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

  • 税金等調整前四半期純利益 333
  • 棚卸資産の増減額(△は増加) △914
  • 仕入債務の増減額(△は減少) △146

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

  • 資産除去債務の履行による支出 △1.1
  • 有形固定資産の取得による支出 △23.9
  • 無形固定資産の取得による支出 △10.8

【今期(2024年3月期通期)業績予想】

今期(2024年3月期)は、中期経営計画(2021年3月期から2025年3月期までの5ヵ年計画)の4年目にあたりますが、

M&A等によるHOI事業の拡大EC支援事業の成長により計画を推進していく方針です。

以上により、2024年3月期通期の業績予想は、前期比 増収減益を予想しています。

なお、今2Q決算発表時点では、3Q以降にEC消費の需要期を迎えること、

また子会社である株式会社SHIFFONの収益も下期偏重の季節性があるためEC事業及びHOI事業の業績は下期に大きく伸長すると見込んでおり、

連結業績予想の変更はありません

株価指標と動向

株価指標

【2023/11/24(金)終値時点の数値】

  • 株価:1,190円
  • 時価総額:70.1億円
  • PER(株価収益率(今期予想)):8.80倍

PERは、同業で時価総額が近い、GMOグローバルサイン(3788) 37.4倍、GMOぺパポ(3633) 0倍、ASJ(2351) 72.6倍と比較すると低い水準です。

  • PBR(株価純資産倍率):2.24倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):282倍
  • 年間配当金(会社予想は未定):50円(前期並みを想定、年1回 3月)、年間利回り:4.20%

配当利回りは4.20%で、東証スタンダードの単純平均2.29%(11/24時点) と比較すると高い水準です。

表3のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり29~50円で推移しており、減配はなく増配傾向です。

配当性向は、20%台~80%台で推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年3月期2936.4
2020年3月期2937.6
2021年3月期3231.9
2022年3月期4029.7
2023年3月期5081.7
表3:Eストアー 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する利益配分を経営の重要課題の一つであると認識しており、配当金は、業績を反映させるとともに、今後の事業計画、財務状況等を総合的に勘案したうえで実施することを基本方針としています。

当期も中間配当はありませんが、期末配当は引き続き、経営環境を見極めつつ、事業拡大のための資金需要等を含めて総合的に検討していくため、今2Q決算発表時点では未定としています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年9月末と3月末の年2回100株以上保有の株主1,000円相当のクオカードが進呈されます。

100株保有の場合、配当金+株主優待(1,000円×年2回=2,000円相当)で利回りは5.88%になります。

個人投資家にとってうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2022年7月に高値(1,712円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移し、2023年5月に安値(1,066円)をつけました。

しかしその後はこの安値を更新していません

<日足チャート(直近3か月間)>

9/21に高値(1,493円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移しています。

そして今回の立会外分売発表の翌営業日(11/20)は、分売による需給悪化懸念から窓を開けて出来高を伴い前日比 91円安(-7.02%)と急落しました。

今後は、5月につけた年初来安値(1,066円)を下回らずに上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

  • 今期(2024年3月期)2Qの業績は、HOI事業として前連結会計年度中に連結子会社化した株式会社SHIFFONの売上が業績寄与し、
    システムの先行投資や人材投資など費用増加要因があったが、計画通りに進捗し、
    前年同期比 増収減益で、売上高は8割強増、利益面は営業利益は1割弱減だが、経常利益と純利益は8割強増~2倍
  • 今期通期予想は、M&A等によるHOI事業の拡大EC支援事業の成長により中期経営計画を推進していく方針により、
    前期比 増収減益で、売上高は3割強増営業利益は1割弱減を予想。
  • 通期業績予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高は4割強程度でそこそこだが、営業利益3割弱で遅れ気味

【株主還元】

  • 配当利回り(予想(会社予想は未定))は4.20%(11/24時点)で、東証スタンダードの単純平均 2.29%(11/24時点)と比較すると高い水準
  • 直近5年間の配当金は、年間1株あたり29~50円で推移しており、減配はなく増配傾向が続く。
    配当性向は、20%台~80%台で推移
  • 株主優待があり、毎年9月末と3月末の年2回100株以上保有の株主1,000円相当のクオカードが進呈される。
    100株保有の場合、配当金+株主優待(1,000円×年2回=2,000円相当)で利回りは5.88%になる。

【流動性・分売数量】

  • 直近の出来高の5日平均は512百株、25日平均は162百株(11/24時点)で、流動性は低い水準
  • 分売数量は、発行済み株式総数の約4.03%多い数量で、
    この銘柄の1日の平均的な出来高の約15倍であり、それからするとやや多い数量

【株価モメンタム】

  • 週足ベースの株価は、2022年7月に高値(1,712円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移し、2023年5月に安値(1,066円)をつけた。
    しかしその後はこの安値を更新していない
  • 直近の株価は、9/21に高値(1,493円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移し、
    そして今回の立会外分売発表の翌営業日(11/20)は、分売による需給悪化懸念から窓を開けて出来高を伴い前日比 91円安(-7.02%)と急落
  • 今後の株価は、5月につけた年初来安値(1,066円)を下回らずに上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索を継続するのか要注目。

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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