【立会外分売は買いか?】アール・エス・シー(4664)

立会外分売
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こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードからサービス業種のアール・エス・シーです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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  • 立会外分売とは?
新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。
  • 立会外分売の魅力
    • 前日終値より安く購入可能
      • 立会外分配における買付側の購入価格は確定値段(1本値)で、分売実施日の前日終値よりディスカウントされるのが一般的。過去の例では、約3~5%のディスカウントで実施されています。
        (ディスカウント率は取引所の規定により最大10%)
    • 買付手数料はかからない
      • 立会外分売による買付は、通常の立会時間内の取引と種類が異なるため一般的に手数料はかからない。(売却時には通常の手数料が発生)
    • 即日売却OK
      • 立会外分売で取得した株式は、実施日(買付当日)から売却することが可能
  • デメリット:抽選で外れることもある
    • 買い申し込みが多いと、抽選ではずれて購入できないこともある。

立会外分売の概要

まとめ

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大2,000株まで購入できます。

早ければ12/11(月)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2023年12月12日(火)
分売数量60,000
(発行済み株式総数 2,940,000 株の約2.04%
分売値段664 円
(12/11決定:終値 685 円)
ディスカウント率3.07 %
(12/11決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量2,000 株
表1:アール・エス・シー(4664) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

  • 株主からの売却意向があり、検討した結果、同社株式の分布状況の改善および流動性の向上を図るため

としています。

また、今回の分売数量は、発行済み株式総数の約2.04%ほどほどの数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は66.0百株、25日平均は231百株(12/6時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

そして、今回の分売数量(600百株)は、1日の出来高(25日平均:231百株)の約2.6倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量はほどほどといえます。

どんな会社?

官公庁、民間企業の事務所ビルを始め、店舗、ホテル、病院等各種建物に対する警備保障、清掃、オフィスサービス、設備管理等の建物総合管理サービス事業人材サービス事業を営んでいる会社です。

事業セグメントは、「建物総合管理サービス事業」、「人材サービス事業」の2つがあり、それぞれ、

  • 建物総合管理サービス事業
    警備保障、清掃、設備管理、オフィスサービス
  • 人材サービス事業
    情報管理、ファイリング、機器操作等の人材派遣業務、有料職業紹介業務

を行っています。

2023年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

  • 建物総合管理サービス事業 83.0%
  • 人材サービス事業 17.0%

となっており、「建物総合管理サービス事業」が8割強を占めています。

直近の経営概況

経営状況

【2024年3月期2Q(2023年4月~9月)の経営成績】

(2023年11月10日発表)

決算期売上高
[百万円]
(前年同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2023年3月期
2Q累計
2,865
(4.9)
112
(66.4)
116
(28.9)
78
(20.0)
2024年3月期
2Q累計
4,214
(47.1)
219
(95.7)
236
(103)
158
(101)
2024年3月期
通期会社予想
(2023年10月28日
修正)
7,873
(30.6)
268
(40.0)
290
(46.3)
177
(38.0)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
53.581.781.389.2
表2:アール・エス・シー 2024年3月期2Q経営成績と2024年3月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は5割弱増利益面は2倍の増益でした。

2024年3月期通期の業績は、今2Q決算発表の2週間前に上方修正しており、前期比 増収増益で、売上高は3割増利益面は4割前後の増益を予想し、

その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高は5割程度でそこそこですが、利益面は8割を超過しており順調です。

【2024年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

同社グループを取り巻く環境は、コロナ禍から緩やかに回復しているものの、企業間競争の激化に加えて、原材料価格の高騰も継続しています。

また、雇用情勢は、経済活動の再開により有効求人倍率も上昇してきており、少子高齢化に伴う労働人口の減少や賃金の上昇を受け、雇用環境は引き続き厳しい状況が続いています。

このような状況のもと、同社グループは中期経営計画の目標達成に向けて、昨年より技術力の強化のためセキュリティロボットを活用した施設警備を開始しています。

また、より一層の付加価値の向上を目指し、AI画像解析カメラ等、新たな技術の活用をすすめるとともに、開発企業との業務提携を進めました。

さらに経営基盤の強化のため内装工事業を主力業務としている友和商工株式会社をグループに迎え、同社を連結範囲に含めたことに伴い、

当2Q連結累計期間から連結損益計算書に取り込んでおり統合効果を最大化するための統合プロセスを進めています

また、「信頼されるサービスの提供」を目指した経営姿勢のもと、業務品質の向上に取り組むとともに、顧客のニーズに寄り添った提案型営業を推進し、新規業務の受託や既存先の仕様拡大等に注力しました。

この結果、当2Q累計の経営成績は、表2の数値の増収増益となりました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年3月期2Q末時点で48.7%と前期末(44.6%)から4.1ポイント増加しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

  • 負債
    • 支払手形及び買掛金160百万円減少し、流動負債が合計で205百万円減少
  • 純資産
    • 利益剰余金が128百万円増加し、株主資本が合計で135百万円増加

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2024年3月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

  • フリーCF(営業活動によるCFと投資活動によるCFを合計した金額 ※2)101百万円の収入
    • 営業活動によるCF 143百万円の収入(前年同期 179百万円の収入
    • 投資活動によるCF 41.4百万円の支出(同 9.0百万円の支出

 ※2: フリーCFの説明

  • プラスの場合:会社が自由に使える資金が増える
  • マイナスの場合:会社が自由に使える資金が減る

前期(2023年3月期2Q累計)のフリーCF(170百万円の収入)から68.2百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

  • 税金等調整前四半期純利益 236
  • 売上債権の増減額(△は増加) 93.2
  • 仕入債務の増減額(△は減少) △160

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

  • 定期預金の預入による支出 △360
  • 定期預金の預入による収入 321
  • 有形固定資産の取得による支出 △1.5

【今期(2024年3月期通期)業績予想の修正】

今2Q決算発表の2週間前に、2024年3月期通期連結業績予想の上方修正を発表しています。

2024年3月期通期の業績予想修正数値は表3です。

売上高
[百万円]
営業
利益
[百万円]
経常
利益
[百万円]
親会社
株主に
帰属する
当期純利益

[百万円]
1株当たり
当期
純利益
[円]
前回
(2023/5/11)
発表予想
7,31821822816757.61
今回修正予想7,87326829017760.73
増減額555506210
増減率[%]7.622.827.35.8
表3:アール・エス・シー 2024年3月期通期連結業績予想数値の修正(2023年10月26日発表)

前回予想と比べ、売上高は1割弱利益面は1割弱~3割弱の増額修正をしています。

修正の理由は、

  • 子会社の友和商工株式会社において、アフターコロナの環境下で経済活動が活発化してきたことから、オフィスビルにおけるレイアウト変更工事および入退去に伴う原状回復工事等、内装工事の大型案件を多数受注したことが影響し、
    売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益において当初予想を大きく上回る見込みであることから予想数値をそれぞれ修正した。

としています。

なお、配当予想に関しては修正はありませんでした。

株価指標と動向

株価指標

【2023/12/6(水)終値時点の数値】

  • 株価:718円
  • 時価総額:21.1億円
  • PER(株価収益率(予想)):8.54倍

PERは、同業で時価総額が近い、高砂熱学(1969) 14.5倍、ハリマビステム(9780) 7.8倍、エムティジェネックス(9820) 12.0倍と比較すると、中間的な水準です。

  • PBR(株価純資産倍率):1.02倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):ー(信用売り残無し)
  • 年間配当金(会社予想):17円(年2回 9月 7円、3月 10円)、利回り:2.36%(配当性向 27.9%)

配当利回りは2.36%で、東証スタンダードの単純平均2.26%(12/6時点) とほぼ同水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり5~15円で推移しており、減配無し増配傾向です。

配当性向は、10%台~30%台で推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年3月期12.6
2020年3月期14.5
2021年3月期1019.9
2022年3月期1017.5
2023年3月期1533.9
表4:アール・エス・シー 年間配当金推移

この会社は、

株主への利益還元を重要な課題として位置付けし、業績に裏付けされた成果の配分を長期にわたり安定的に行うことを基本方針としています。

今中期経営計画より、配当性向の目安を20%以上から30%以上に変更し、利益成長による増配を目指すことにより株主還元を充実させる方針です。

剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2022年6月の安値(401円)から、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、

2023年9月にこの安値の2倍の高値(852円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

9/29に年初来高値(852円)をつけた後は、高値を切り下げながら下落基調で推移し、10/26に安値(650円)をつけました。

そしてその後は、670~770円のレンジ内で推移し、今回の立会外分売発表の翌営業日(12/6)は、地合いが良かったこともあり、前日比 変わらずで終了しました。

今後は、直近の安値(650円)を割り込まずに上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

  • 今期(2024年3月期)2Qの業績は、オフィスビルにおけるレイアウト変更工事および入退去に伴う原状回復工事等、内装工事の大型案件を多数受注し、
    前期比 増収増益で、売上高は5割弱増利益面は2倍の増益
  • 今期通期予想は、今2Q決算発表の2週間前に上方修正しており、
    前期比 増収増益で、売上高は3割増利益面は4割前後の増益を見込む。
  • この通期業績予想に対する進捗率は、2Q終了時点で、売上高は5割程度でそこそこだが、利益面は8割を超過しており順調

【株主還元】

  • 配当利回り(予想)は2.36%で、東証スタンダードの単純平均 2.26%(12/6時点) とほぼ同水準
  • 直近5年間の配当金は、年間1株あたり5~15円で推移しており、減配無し増配傾向
    配当性向は、10%台~30%台で推移。
  • 会社の方針は、今中期経営計画より、配当性向の目安を20%以上から30%以上に変更し、利益成長による増配を目指すことにより株主還元を充実する方針。

【流動性・分売数量】

  • 直近の出来高の5日平均は66.0百株、25日平均は231百株(12/6時点)で、流動性は低い水準
  • 分売数量は、発行済み株式総数の約2.04%ほどほどの数量で、
    この銘柄の1日の平均的な出来高の約2.6倍であり、それからしてもほどほどの数量

【株価モメンタム】

  • 週足ベースの株価は、2022年6月の安値(401円)から、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、
    2023年9月にこの安値の2倍の高値(852円)をつけている。
  • 直近の株価は、9/29に年初来高値(852円)をつけた後は、高値を切り下げながら下落基調で推移し、10/26に安値(650円)をつけた。
    そしてその後は、670~770円のレンジ内で推移し、今回の立会外分売発表の翌営業日(12/6)は、地合いが良かったこともあり、前日比 変わらずで終了。
  • 今後の株価は、直近の安値(650円)を割り込まずに上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか要注目。

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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