【立会外分売は買いか?】アジア航測(9233)

航空機立会外分売
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こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから空運業種のアジア航測です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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  • 立会外分売とは?
新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。
  • 立会外分売の魅力
    • 前日終値より安く購入可能
      • 立会外分配における買付側の購入価格は確定値段(1本値)で、分売実施日の前日終値よりディスカウントされるのが一般的。過去の例では、約3~5%のディスカウントで実施されています。
        (ディスカウント率は取引所の規定により最大10%)
    • 買付手数料はかからない
      • 立会外分売による買付は、通常の立会時間内の取引と種類が異なるため一般的に手数料はかからない。(売却時には通常の手数料が発生)
    • 即日売却OK
      • 立会外分売で取得した株式は、実施日(買付当日)から売却することが可能
  • デメリット:抽選で外れることもある
    • 買い申し込みが多いと、抽選ではずれて購入できないこともある。

立会外分売の概要

まとめ

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大2,000株まで購入できます。

3/17(金)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2023 年3月 20 日(月)
分売数量196,000
(発行済み株式総数 18,614,000 株の約1.05%
分売値段813 円
(3/17決定:終値 839 円)
ディスカウント率3.10 %
(3/17決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量2,000 株
表1:アジア航測 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

  • 一定数量の売却意向があり、検討した結果、同社株式の分布状況の改善および流動性向上を図るため

としています。

また、今回の分売数量は、発行済み株式総数の約1.05%ほどほどの数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は988百株、25日平均は291百株(3/15時点)で、流動性は低い水準です。

そして、今回の分売数量(1.960百株)は、1日の出来高(25日平均:291百株)の約6.7倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量はほどほどといえます。

どんな会社?

コックピット

自社で保有する航空機と最新鋭のセンサによる空間情報の収集・解析から、活用方法の提案、実施プラン策定まで、一貫した技術サービスを提供することで、 安全・安心で豊かな社会を支えている、空間情報コンサルタント会社です。

事業内容は、「社会インフラマネジメント事業」「国土保全コンサルタント事業」の2つがあり、それぞれ、

  • 社会インフラマネジメント事業
    道路、鉄道、その他公共施設等のインフラマネジメント、行政支援サービス、エネルギー関連ビジネス等
  • 国土保全コンサルタント事業
    河川・砂防、森林・林業支援、土壌・地下水汚染対策、環境保全、災害復興再生等の各種コンサルティング等

を行っています。

2022年9月期通期の事業別売上高構成比は、

  • 社会インフラマネジメント事業 61.4%
  • 国土保全コンサルタント事業 32.1%
  • その他 6.5%

となっており、「社会インフラマネジメント事業」が6割強を占めています。

直近の経営概況

経営状況

【2023年9月期1Q(2022年10月~12月)の経営成績】

(2023年2月10日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2022年9月期
1Q累計
67.9
(0.3)
491
(7.4)
416
(13.6)
234
(14.7)
2023年9月期
1Q累計
75.1
(10.5)
542
(10.3)
485
(16.3)
312
(33.6)
2023年9月期
通期会社予想
340
(1.0)
2,440
(△1.0)
2,680
(△2.3)
1,850
(7.1)
通期予想に対する
1Qの進捗率[%]
22.022.218.016.8
表2:アジア航測 2023年9月期1Q経営成績と2023年9月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は1割増利益面は1割~3割強の増益でした。

2023年9月期通期の業績予想は、前期比 増収減益売上高は微増、利益面は営業利益と経常利益は微減の減益ですが、当期純利益は1割弱の増益を予想しています。

通期予想に対する進捗率は、1Q終了時点で、売上高、利益面ともに1/4程度でそこそこです。

【2023年9月期1Qの状況、経営成績の要因】

同社グループを取り巻く建設関連業界は、新型コロナウイルス感染症による直接的な影響は比較的少ない状況のもと、

国土強靭化・脱炭素推進・DX(デジタルトランスフォーメーション)推進等の重点施策展開による社会インフラ施設の維持管理や国土基盤情報の整備、防災・減災等、国土強靭化に向けた公共投資を受け、市場は順調に推移しました。

このような事業環境のもと、同社グループは、長期ビジョンの第3フェーズとなる中期経営計画「明日(あす)を共創(つく)る~Leading for the Future~」の最終年度を迎え、センシング技術を基盤に、「AAS-DX:Asia Air Survey – Digital Transformation」による超スマート社会の実現及び国土強靭化・脱炭素社会への対応に向けて様々な事業を推進してきました。

また当1Qには、世界各国で多くの実績をもつ国際エンジニアリングコンサルタント会社であるNIRASA/Sと洋上風力発電導入の事業化支援に向け、業務提携契約を結びました

同社はこれまで、洋上風力開発支援として空間情報技術を駆使した事業を展開しましたが、本提携により拡大する洋上風力発電の事業化支援サービスをより一層推進しています。

このほか、気候変動の影響に関する取り組みとして、同社は2022年11月に、パリ協定が定める目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標 「Science Based Targets(SBT)」を認定する機関「SBTイニシアティブ(SBTi)」に対してコミットメントレターを提出し、2年以内にSBT認定取得を目指すことを表明しました。

今後も、カーボンニュートラル実現に向けた社会づくりに貢献していく予定です。

以上の結果、当1Q連結累計期間における業績は、受注高が73億85百万円(前年同期比0.4%増となり、売上高、利益面は表2の結果となりました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年9月期1Q末時点で55.5%と前期末(57.7%)から2.2ポイント減少しました。

これは主に、短期借入金が前期末比で3,040百万円増加し、流動負債が合計で1,216百万円増加したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2023年9月期通期)業績の見通し】

今回の立会外分売発表の数日間前(2023年3月10日)に、2023年9月期2Q累計業績予想の上方修正を発表しています。

2023年9月期2Q累計の業績予想は表3です。

売上
[億円]
営業
利益
[百万円]
経常
利益
[百万円]
親会社
株主に
帰属する
当期純利益

[百万円]
1株当たり
当期利益

[円]
前回
(2022/11/11)
発表予想
2083,6303,5602,380131.57
今回修正予想2354,2004,1002,800154.78
増減額27570540420
増減率[%]13.015.715.217.6
表3:アジア航測 2023年9月期2Q累計業績予想数値の修正(2023年3月10日発表)

前回予想と比べ、売上高は1割強利益面は2割弱の増額修正をしています。

修正の理由は、

  • 国土強靭化等による官公庁等からの大型受注案件の売上が順調に推移したことから、売上高は前回発表予想を27億円上回る235億円の見込みとなった。
  • 利益面は、売上高の増加により、表3のとおり、それぞれ前回予想を上回る見込みとなった。

としています。

なお、2023年9月期通期連結業績予想は、今後2Q累計期間での業績結果等を踏まえ検討し、修正の必要が生じた場合には速やかに開示するとしています。

株価指標と動向

株価指標

【2023/3/15(水)終値時点の数値】

  • 株価:852円
  • 時価総額:158億円
  • PER(株価収益率):7.7倍

PERは、同業で時価総額が近い、パスコ(9232) 5.9倍と比較すると、高い水準です。

  • PBR(株価純資産倍率):0.84倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):191倍
  • 年間配当金(予想):30円(年1回 9月)、年間利回り:3.52%(配当性向 29.3%)

配当利回りは3.52%で、東証スタンダードの単純平均 2.22%(3/14)と比較すると高い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、1株当たり10~28円で推移しており、連続増配を継続中です。

配当性向は、20~30%で安定して推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2018年9月期1027.3
2019年9月期1220.0
2020年9月期2424.6
2021年9月期2526.1
2022年9月期2829.3
表4:アジア航測 年間配当金推移

この会社は、

株主への利益還元を重要な経営課題の一つと認識しており、継続的かつ安定的な株主還元を基本方針とし、配当性向20%~30%」を目標としています。

また、剰余金の配当は、年1回の期末配当を行うことにしています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、2021年7月に高値(1,079円)をつけた後は、下落基調で推移しましたが、

2022年3月に安値(677円)をつけた後は上昇に転じ、上昇基調で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、昨年12月に安値(744円)をつけた後は上昇基調で推移しており、

今2Q累計の業績の上方修正発表の翌営業日(3/13)に、これを好感され、窓を開けて出来高を伴い前日比 6.2%高と急伸し、年初来高値を更新しました。

そして、今回の立会外分売発表の翌営業日(3/14)は、分売による短期的な需給悪化懸念から前日比 35円安(-4.04%)と売られましたが、翌営業日(3/15)は再び上昇に転じ、5日移動平均線(緑線)を上抜けています。

今後は、この上昇トレンドをキープし、年初来高値(878円)を更新するのか、下落に転じ、直近の安値(744円)に近づいていくのか、要注目です。

まとめ

まとめ

【業績】

  • 今期(2023年9月期)1Qの業績は、社会インフラ施設の維持管理や国土基盤情報の整備、防災・減災等、国土強靭化に向けた公共投資を受け、市場は順調に推移し、
    前年同期比 増収増益で、売上高は1割増利益面は1割~3割強の増益
  • 今期通期予想は、前期比 増収減益売上高は微増、利益面は営業利益と経常利益は微減の減益だが、当期純利益は1割弱の増益を予想。
  • 通期業績予想に対する進捗率は1Q終了時点で、売上高、利益面ともに1/4程度でそこそこ
  • 今回の立会外分売発表の数日前に、2023年9月期2Q累計業績予想の上方修正を発表し、
    国土強靭化等による官公庁等からの大型受注案件の売上が順調に推移したことから、売上高は1割強利益面は2割弱の増額修正をしている。

【株主還元】

  • 配当利回り(予想)は3.52%で、東証スタンダードの単純平均 2.22%(3/14)と比較すると高い水準
  • 直近5年間の配当金は、1株当たり10~28円で推移しており、連続増配を継続中
    配当性向は、20~30%で安定して推移。
  • 会社の方針は、配当性向20%~30%」を目標としている。

【流動性・分売数量】

  • 直近の出来高の5日平均は988百株、25日平均は291百株(3/15時点)で、流動性は低い水準
  • 分売数量は、発行済み株式総数の1.05%ほどほどの数量で、
    この銘柄の1日の平均的な出来高の約6.7倍であり、それからしてもほどほどの数量

【株価モメンタム】

  • 週足ベースの株価は、2021年7月に高値(1,079円)をつけた後は、下落基調で推移したが、
    2022年3月に安値(677円)をつけた後は上昇に転じ、上昇基調で推移
  • 直近の株価は、昨年12月に安値(744円)をつけた後は上昇基調で推移しており、
    今2Q累計の業績の上方修正発表の翌営業日(3/13)に、これを好感され、窓を開けて出来高を伴い前日比 6.2%高と急伸し、年初来高値を更新
    そして、今回の立会外分売発表の翌営業日(3/14)は、分売による短期的な需給悪化懸念から前日比 35円安(-4.04%)と売られたが、翌営業日(3/15)は再び上昇に転じ、5日移動平均線を上抜けている。
  • 今後の株価は、この上昇トレンドをキープし、年初来高値(878円)を更新するのか、下落に転じ、直近の安値(744円)に近づいていくのか要注目。

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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