【公募増資・売出(PO)は買いか?】アクシージア(4936)

化粧品公募増資・売出(PO)
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公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証グロースから化学業種のアクシージアです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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  • 公募増資・売出(PO)とは?
既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」「売出」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

POの概要

まとめ

今回のPOは、大株主からの株式の売出しです。売出価格等決定日や受渡期日、売出数量等は表1のようになっています。

ディスカウント率は、「売出価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%です。

ちなみに、直近の主なPOのディスカウント率は、JR西日本(9021) 3.01%、日本郵政(6178) 2.01%、クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387) 3.09%となってますが、ほぼほぼ2~5%程度です。

ただ、ディスカウント率が大きいPOもあり、直近ではENECHANGE(4169)の8.1%が最大です。

注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事(今回は大和証券)はじめ、引受人の証券会社(みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券、SBI証券)で購入申込可能です。

早ければ、2/7(火)の夕刻に、会社側から売出価格等のお知らせが適時開示であります。

このブログ記事も更新しますので、チェックしてくださいね💖

売出価格等決定日2023 年2月7日(火)
受渡期日
(POで買った場合はこの日から売却可能)
2023 年2月 17 日(金)
①株式の売出し
(引受人の買取引受けによる売出し)数量
普通株式 2,650,000 株
発行済み株式総数 25,824,000 株 の約10.2%
②株式の売出し
(オーバーアロットメント)

数量
普通株式 397,400 株
実施決定(2/7)
※大和証券が売出す。
売出価格1,235 円
(2/7決定:終値 1,280円)
ディスカウント率3.52 %
(2/7決定)
申込単位数量100 株
主幹事大和
引受人みずほ、三菱UFJモルガン・スタンレー、SMBC日興、SBI
表1:アクシージア PO概要

【株式の売出しの目的】

  • 同社は、 今回のPO発表の同日、東京証券取引所よりプライム市場への上場承認を得たが、
    プライム市場の新規上場基準の一つである「流通株式比率」については、新規上場基準が35%以上であるところ、現時点で当該基準を充たしていない
  • そこで、東京証券取引所プライム市場に上場市場区分が変更される予定である 2023 年2月 17 日において、流通株式比率をプライム市場の上場基準に適合させるため、本株式売出しを実施することとした。

としています。

今回の株式の売出数量は、発行済み株式総数の約10.2%OAを含めた最大の株数で約11.8%)で、

直近の株式の売出のみのPOの売出株数比率(OA含む)は、SGホールディングス 1.57%、野村総合研究所 6.95%、エスビー食品 2.86%でしたので、それらと比較すると多い数量です。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株の数量)の5日平均は6,913百株、25日平均は2,684百株で、流動性は高い水準です。(1日 1,000百株を平均的な水準としています。)

どんな会社?

アジア

「アジアの美」を日本から、世界へ発信する総合ビューティーソリューションカンパニーを目指している会社です。

事業内容は、化粧品及び健康補助食品の製造・販売を主に行っており、

販売チャネルは、エステサロン運営事業者への販売、ECサイトを通じた一般消費者への販売、百貨店運営事業者、化粧品小売店舗への販売などがあります。

また、海外(中国、香港等)へも子会社を通じて、化粧品や健康補助食品の販売を行っています。

同社グループは、化粧品事業の単一セグメントで、

2022年7月期通期の販売国別構成比は、

  • 中国 91.3%
  • 日本 7.1%
  • その他地域 1.6%

となっており、「中国」が9割強を占めています。

直近の経営概況

経営状況

【2023年7月期1Q(2022年8月~2022年10月)の経営成績】

(2022年12月12日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2022年7月期
1Q累計
17.8
(46.0)
321
(5.4)
333
(7.7)
218
(4.5)
2023年7月期
1Q累計
26.1
(46.4)
391
(21.8)
475
(42.9)
320
(46.6)
2023年7月期
通期会社予想
103
(26.0)
1,818
(11.3)
1,797
(2.9)
1,172
(5.0)
通期予想に対する
1Qの進捗率[%]
25.321.526.427.3
表2:アクシージア 2023年7月期1Q経営成績と2023年7月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は5割弱増利益面は2~5割弱の増益で好調です。

2023年7月期通期の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高は3割弱増利益面は微増~1割強の増益を見込んでおり、

その通期予想に対する進捗率は、1Q終了時点で、売上高、利益面ともに1/4程度でそこそこです。

【2023年7月期1Qの状況、経営成績の要因】

国内化粧品市場は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞は落ち着きつつあり、入国規制の緩和によるインバウンドも回復傾向にある一方で、

円安の進行等に伴う原材料の価格高騰などにより、今後の経済の先行きは、依然として不透明な状況が続くと同社は考えています。

中国化粧品市場は、新型コロナウイルス感染症に対する新規感染者数をゼロに抑えるゼロコロナ政策の影響で、各地で行動制限が発生するなど先行きは不透明な状況が続きました。

このような市場環境のもと、同社グループでは、中国市場に広告投下することにより更なる販売力の強化を図ってきました。

また、中国市場を主なターゲットとして製品開発を行い、効果・効能を謳うことができる特殊化粧品の行政認可登録を行うなど、中・高価格帯の製品もEコマースで販売できるという中国の特性を活かして、更なるブランド力の向上を目指し知名度を上げていく取り組みを進めています。

以上の結果、当1Q連結累計期間における経営成績は、売上高は越境ECを含め中国国内での売上が好調に推移し、

国内売上も、株式会社ユイット・ラボラトリーズ(化粧品の製造・販売)の連結子会社により、前年同期比プラスになったことにより前年同四半期比46.4%増となりました。

また、営業利益は同21.8%増経常利益は同42.9%増親会社株主に帰属する四半期純利益は同46.6%増となりました。

特に、営業外収益の為替差益が85百万円と利益増に寄与しています。

【地域別の売上高】

地域別の売上高は、表3の結果になりました。

セグメント売上高
[百万円]
(前年同期比
[%])

中国
2,304
(39.2)
日本279
(2.7倍)
その他地域32
(18.5)
表3:2023年7月期1Q 地域別売上高

どの地域も前年同期比増収ですが、特に「日本」は2.7倍の売上となっています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年7月期1Q末時点で84.9%と前期末(83.5%)から1.4ポイント増加しました。

これは主に、利益剰余金が前期末比で320百万増加し、株主資本が合計で339百万円増加したこと等によるものです。

自己資本比率の数値としては良好なレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2023年7月期通期)業績の見通し】

2022年9月14日に公表された「2022年7月期 決算短信」から、変更はありません

株価指標と動向

株価指標

【2023/1/31(火)終値時点の数値】

  • 株価:1,320円
  • 時価総額:340億円
  • PER(株価収益率(今期予想)):28.3倍

PERは、同業で時価総額が近い、新日本製薬(4931) 13.1倍、プレミアアンチエイジング(4934) 16.1倍と比較すると、高い水準です。

  • PBR(株価純資産倍率):4.05倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):11.3倍
  • 年間配当金(会社予想):0円(無配)、年間利回り:
決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年7月期
2020年7月期
2021年7月期
2022年7月期
表4:アクシージア 年間配当金推移

表4のように、配当金は創業以来無配となっています。

この会社は、

配当原資確保のための収益力を強化し、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としています。

しかしながら、同社は成長過程にあり、将来の事業の拡大及び財務基盤の充実のため内部留保の確保を最優先にしているため、創業以来無配となっています。

当面の間は、内部留保を充実させることを最優先にしていく方針で、将来的には事業業績及び財務状況を勘案しながら株主への継続的な利益還元を図っていく予定です。

ただ、現時点では配当実施の可能性、実施時期などについては未定です。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年7月末に100株以上保有の株主は、3,000円相当の自社製品(スキンケア等の化粧品)が進呈されます。

(500株以上:10,000円相当、1,000株以上:17,000円相当)

100株保有の場合、株主優待(3,000円相当)の利回りは2.27%となります。

個人投資家にとってうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、上場初日に上場来高値(2,440円)をつけた後は、下落トレンドで推移し、

2022年5月に上場来安値(721円)をつけました。

しかしその後は、右肩上がりの上昇基調で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、昨年11月の安値(1,201円)から急伸し、12月に昨年来高値(1,780円)をつけました。

しかしその後は、伸び悩んで1,500円近辺で推移し、

今回のPO発表の翌営業日(1/31)は、短期的な需給悪化懸念から、窓を開けて売られ、前日比 172円安(-11.5%)と急落しました。

今後は、直近の安値(1,201円)を下抜けずに上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

まとめ

【業績】

  • 今期(2023年7月期)1Qの業績は、中国市場に広告投下することにより更なる販売力を強化し、越境ECを含め中国国内での売上が好調に推移し、国内売上も、株式会社ユイット・ラボラトリーズの連結子会社により売上が伸長し、
    前年同期比 増収増益で、売上高は5割弱増利益面は2~5割弱の増益で好調。
  • 今期通期予想は、前期比 増収増益で、売上高は3割弱増利益面は微増~1割強の増益を見込む。
  • 通期業績予想に対する進捗率は1Q終了時点で、売上高、利益面ともに1/4程度でそこそこ

【株主還元】

  • 配当金は創業以来無配
    成長企業ゆえ、内部留保を優先させ、将来の事業の拡大及び財務基盤の充実のために資金を活用することは理解でき、業績伸長により、株価が上昇すれば株主に報いることができる
  • 株主優待があり、毎年7月末に100株以上保有の株主は、3,000円相当の自社製品が進呈される。(500株以上:10,000円相当、1,000株以上:17,000円相当)
    100株保有の場合の株主優待(3,000円相当)の利回りは2.27%となる。

【流動性・発行株数】

  • 今回の株式の売出数量は、発行済み株式総数の約10.2%(OAを含めた最大の株数で約11.8%)で、
    直近の株式の売出のみのPO(SGホールディングス、野村総合研究所 、エスビー食品 )の売出株数比率(OAを含む)と比較すると多い数量
  • 直近の出来高の5日平均は6,913百株、25日平均は2,684百株で、流動性は高い水準

【株価モメンタム】

  • 週足ベースの株価は、上場初日に上場来高値(2,440円)をつけた後は、下落トレンドで推移し、2022年5月に上場来安値(721円)をつけた。
    しかしその後は、右肩上がりの上昇基調で推移。
  • 直近の株価は、昨年11月の安値(1,201円)から急伸し、12月に昨年来高値(1,780円)をつけた。
    しかしその後は、伸び悩んで1,500円近辺で推移し、今回のPO発表の翌営業日(1/31)は、短期的な需給悪化懸念から、窓を開けて売られ、前日比 172円安(-11.5%)と急落
  • 今後の株価は、直近の安値(1,201円)を下抜けずに上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索をするのか要注目。

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐⭐⭐
株式の売出数量⭐⭐
総合判定⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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