【黒字転換銘柄は買いか?】バイタルKSKHD(3151)

医薬品株式投資
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こんにちは!

今期黒字転換を見込んでいる会社は、一般的に株価が上がりやすいと言われています。そこで、前期赤字から今期黒字転換を見込んでいて、かつ高配当(予想利回り3%以上)銘柄をピックアップし、今買うべき銘柄なのか?事業内容や直近の経営状況、客観的な株価指標、株価モメンタム等を総合的に勘案して判断しました。

今回は、東証1部から卸売業種のバイタルケーエスケー・ホールディングスです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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事業内容

動物

医薬品卸売事業(株式会社バイタルネット、株式会社ケーエスケー)をコアビジネスにし、それぞれの事業会社において、事業で培ったノウハウ、物流機能を活かし、医療経営コンサルティング事業、介護関連事業、調剤薬局事業、動物薬卸売事業、関連ビジネスを展開している会社です。

決算報告は、

医薬品卸売事業・・・病院、開業医、薬局等の医療機関に、医薬品・診断薬・医療機器・材料等の販売

動物用卸売医薬品事業・・・農場、牧場、動物病院、診療所等に、動物用医薬品・飼料等の販売

その他事業

の3つに分かれており、2021年3月期通期の売上高構成比は、

  • 医薬品卸売事業 94.3%
  • 動物用医薬品卸売事業 1.8%
  • その他事業 3.9%

となっており、医薬品卸売事業が90%以上を占めています。

直近の経営状況

経営状況

前期(2021年3月期)の経営成績は、

  • 売上高 5,370億円(前年同期比 4.5%減
  • 営業損失 22.6億円
  • 経常利益 6.9億円(同 82.9%減
  • 親会社株主に帰属する当期純利益 11.7億円(同 74.8%減

でした。減収減益で、営業利益は赤字ですが、経常利益、純利益は黒字を確保しています。

会社側コメントは、

医薬品卸売事業において、国の医療費抑制政策により2020年4月の薬価改定により平均4.38%の薬価基準の引き下げが行われた。今後も薬剤費の抑制政策は継続されることを予想。

このような中、当社グループは2020年3月期から2022年3月期までの3年間にわたる第4次中期経営計画の2年目を終了。2025年に目指す姿としての長期ビジョン「医療・介護を支える商品やサービスを戦略的に提供することにより、地域・コミュニティのヘルスケアになくてはならない存在となる」に引き続き取り組んでいる。

そして、この長期ビジョンの下、第4次中期経営計画の中期ビジョンを「選ばれる企業集団になる」とし、実践課題として

  1. 低成長下においても利益を創出し続ける医療用医薬品卸売事業体制の確立
  2. エマージングビジネス(医療用医薬品卸売事業以外の事業)の成長・拡大による収益増
  3. グループ経営体制の強化

を掲げた。

さらに、当該中期ビジョンを実現するため、4つの基本方針

  1. 効果的・効率的グループ経営によるグループ総合力の発揮
  2. 提供機能の拡充・整備と成長領域へのフォーカス
  3. 地域のヘルスケアのコーディネートとサポートやソリューションの提供
  4. 強み・リソースを活用した新たな収益策や事業の展開

に取り組んでいるとのこと。

個別事業では、

医薬品卸売事業

新型コロナウイルス感染拡大の影響による患者の受診抑制や手術等の治療延期により、医薬品の需要が大きく減少し、また、2019年10月および2020年4月の2回の薬価改定による薬価引き下げの影響もあり売上高は大幅な減少となった。加えて、同業他社との価格競争の影響もあり、売上総利益も大きく減少し、人件費削減など販売管理費の抑制にも努めたが補えず、東日本大震災が発生した2011年3月期以来の営業赤字。

その結果、売上高 5,064億円(前年同期比 5.1%減)、セグメント損失(営業損失)25.4億円(前年同期は31.6億円の利益)となった。

動物用医薬品卸売事業

売上高は微増ながら、販管費の抑制に努めた結果、売上高 98.1億円(前年同期比 1.0%増)、セグメント利益(営業利益)は4.0億円(同 13.7%増)となった。

その他事業

調剤薬局事業の連結会社が1社増えたことにより、売上高 208.3億円(前年同期比 7.5%増)となったが、新型コロナウイルスの影響により、セグメント損失(営業損失) 1.7億円(前年同期 0.2億円のセグメント損失)となった。

動物用医薬品卸売事業のみ、営業利益が黒字となっています。

財務面は、

自己資本比率(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産) ×100)は、2021年3月期末時点で33.1%と前期末(31.3%)から1.8ポイント上がっており、問題ないレベルです。

2021年3月期のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フロー13.9億円の支出と、投資活動によるキャッシュ・フロー5.5億円の収入の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フロー※は8.4億円のマイナスとなりました。これは、前期末のフリー・キャッシュ・フロー(マイナス61.2億円)から、52.8億円改善しています。

※フリー・キャッシュ・フロー:プラスの場合、会社が使える資金があることを意味し、マイナスの場合、会社が自由に使うことができる資金が少ないことを意味する。

今期(2022年3月期)通期の会社予想は、

  • 売上高 5,422億円(前年比 1.0%増
  • 営業利益 16.0億円(黒字転換
  • 経常利益 42.0億円(同 505.7%増
  • 親会社株主に帰属する当期純利益 40.0億円(同 241.4%増

としています。増収増益で営業利益は黒字転換の見通しです。

会社側コメントは、

売上高は、主たる事業の医薬品卸売事業において、新型コロナウイルスの感染拡大の影響や薬価改定の影響のため、市場全体の成長は殆どないものと想定している。

利益面は、2021年3月期では売上総利益を大きく減少させたが、今期(2022年3月期)は、流通改善ガイドラインに則り製品価値に見合った価格形成の徹底を図る。また、新型コロナウェルス感染拡大を踏まえ、ニューノーマル時代に向け「業務プロセス・提供機能の見直し・適正化による効率化推進」「事業モデルの変革」にも取り組んでいく。

とのことです。

なお、この今期の見通しは、「第4次中期経営計画」から目標経営指標を下方修正した、2021年3月23日公表の「第4次中期経営計画の修正に関するお知らせ」の数値から、変更されていません。

株価指標

株価比較

6/28(月)終値時点の数値

  • 株価:733円
  • 時価総額:448.8億円
  • PER:12.3倍

PERは、同業で時価総額が近い、メディパルHD(7459) 15.8倍、スズケン(9987) 40.4倍、東邦ホールディングス(8129) 16.1倍と比較すると、低い水準となっています。

  • PBR:0.39倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):4.9倍
  • 年間配当金(会社予想):24円(年2回 9月 12円、3月 12円)、年間利回り:3.3%(配当性向 33.1%)

※直近5年間の配当金は、以下のようになっています。

決算期年間配当金(円)配当性向(%)
2017年3月期2023.6
2018年3月期2025.2
2019年3月期2224.4
2020年3月期2428.8
2021年3月期1256.4
※バイタルケーエスケー・ホールディングス 年間配当金推移

配当は、20円~24円で安定しています。前期は業績悪化の為、期末は無配となり、予定の半額の12円でした。配当金性向は、前期を除き直近5年は25%前後と比較的安定しています。

会社の方針としては、

株主への利益還元を経営の重要課題と位置づけ、継続的かつ安定的な配当を行なうとともに、長期的な視点による企業価値の最大化のため内部留保の充実にも努めていくとのことです。

また、この会社は株主優待があり、3月末の1,000株以上保有の株主は、3,000円相当の自社又は自社関連商品がいただけます。1,000株以上なので少しハードルが高いですね!

週足チャート(2年間):

出所:楽天証券サイト

株価は、昨年10月初め頃までは、昨年のコロナショック前の水準を上回っていたのですが、その後は陰線続きでずっと下げ続けています。

直近では、コロナショック前の水準(1,028円)から30%ほど下げ、ようやく700円近辺で底を打った感が多少あります。

ただ、上昇基調に乗ってきたとはなかなか判断できない状況です。今後底値固めをして、下落基調を脱するのかがポイントになってきます。

まとめ

まとめ

2021年3月期は、営業赤字だったのが、今期は黒字に復活する計画になっています。

ただ、2019年4月から展開している「第4次中期経営計画」が、コロナショック前に作成されたものであるため、かなり高い数値目標になっています。そのため、現状では、このハードルが高くなっていることは否めません。

株主還元としては、配当金は一昨年の2020年3月期と同水準になり、配当利回りも3.3%と高いですので、こちらは株主にとってうれしいですね。

株価モメンタムとしては、昨年のコロナショックの水準からさらに下げているということで、市場からの評価が低くなっていると言わざるを得ません。ただ、直近では、下げ続けてきた株価が底を打った感もあり、これから上昇してくると可能性があると見れば、楽しみですね!

以上をふまえ、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐
配当、株主優待を含む株主還元⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

参考になればうれしいです!最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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