株主優待取りで株価の下落リスクを抑えるため、「つなぎ売り」という手法があります。
今日は、この「つなぎ売り」についての説明と、メリット、デメリット、私の考えについてお伝えします。
「つなぎ売り」とは?
信用取引を用い、同一銘柄を現物株式で所有して、信用の売り建てて、株価下落のリスクを抑え、株主優待の権利を取得する手法です。
同一銘柄を同時(成行き注文等)に現物買いと信用売建てを同数約定して、権利落ち日に「現渡し」をして、現物と信用売りの両方を決済します。ですので、株価下落によるリスクはほぼなく、かかるコストは株取引の手数料と信用売りの貸株料のみです。
「つなぎ売り」のリスク
ただ、制度信用の場合は、貸株の数が多くなると「逆日歩」(※1)といって追加のコストがかかります。この「逆日歩」は株を借りる人が多くなると起こる現象で、特に人気の優待株はそのリスクが高まります。
※1 信用売り残高が信用買い残高を著しく上回り、株式の貸方である証券金融会社が貸し出せる株の不足分を補うために、機関投資家などから株を借りる際に調達費用として発生するコスト。
例えば、4月人気優待銘柄の「2198 アイ・ケイ・ケイ」ですが、直近10年(2011年~2020年)では最大100株当たり2,880円(2018年)の逆日歩が付いたことがあります。優待品が、1,500円相当+α(食事等の優待券)ですので、株主優待の価値以上の費用を支払うことになり、せっかく株主優待を目的に株を購入したのに、意味ありませんね。
ただ、この「逆日歩」のリスクを抑えるための手法もあります、それは、証券会社等が用意する「一般信用」を用いつなぎ売りをするということです。通常、一般信用については逆日歩は発生しませんので、発生するコストは取引手数料+貸株料のみとなります。
※ただし、一般信用(短期)は制度信用よりも多少貸株料率が高い。
楽天証券の場合、制度信用:年1.10%、一般信用取引(短期:最大14日間):年3.90%
SBI証券の場合、制度信用:年1.15%、一般信用取引(短期:最大15営業日):年3.90%
また、一般信用を用いつなぎ売りをしようとしても、証券会社で準備できる株数には限度がありますので、人気銘柄の場合、競争率が高くなり一般信用売り可能な株数が0になって、一般信用売りができなくなることもしばしばです。
私もそのような経験がしょっちゅうですw つなぎ売り開始と同時に売り切れ状態の株も多いのです。
まとめ
「つなぎ売り」に関しては、このようにメリットもありますが、リスクも少なくありません。
そこで、私が提案したいのは、権利確定日の3か月くらい前から、現物株を購入して値上がりを待ち、株主優待+配当金の価値以上の値上がりをしたら、利確をして、株主優待+配当金以上の価値をゲットするということです。
特に、人気の優待銘柄は、権利確定日の3か月前くらいから株価が徐々に上がる傾向があるので、株式市場全体の下落トレンドに巻き込まれなければ、値上がりの確率は高まります。
株式投資の醍醐味は、やはりキャピタルゲイン(値上がり益)ですので、どうしても欲しい株主優待品であれば別ですが、「つなぎ売り」の手法にこだわらずキャピタルゲインを狙っても良いのではないでしょうか。