【立会外分売は買いか?】アズパートナーズ(160A)

立会外分売
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こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードからサービス業種のアズパートナーズです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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  • 立会外分売とは?
新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。
  • 立会外分売の魅力
    • 前日終値より安く購入可能
      • 立会外分配における買付側の購入価格は確定値段(1本値)で、分売実施日の前日終値よりディスカウントされるのが一般的。過去の例では、約3~5%のディスカウントで実施されています。
        (ディスカウント率は取引所の規定により最大10%)
    • 買付手数料はかからない
      • 立会外分売による買付は、通常の立会時間内の取引と種類が異なるため一般的に手数料はかからない。(売却時には通常の手数料が発生)
    • 即日売却OK
      • 立会外分売で取得した株式は、実施日(買付当日)から売却することが可能
  • デメリット:抽選で外れることもある
    • 買い申し込みが多いと、抽選ではずれて購入できないこともある。

立会外分売の概要

まとめ

実施日や株数は以下です。分売価格(表1参照)は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大5,800株まで購入できます。

早ければ、11/28(金)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2025年12月1日(月) ~ 3日(水)
分売数量175,000 株
(発行済み株式総数 3,580,400 株の約4.88%
分売値段(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
申込上限数量5,800 株
表1:アズパートナーズ(160A) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

  • 同社株式の分布状況の改善及び流動性の向上を図るため

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約4.88%多い数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ない、としています。

また、この銘柄の流動性は、直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は273百株、25日平均は299百株(11/25時点)で、流動性は低い水準です。(1日 1,000百株を平均的な水準としています)

そして、今回の分売数量(1,750百株)は、1日の出来高(25日平均:299百株)の約6倍で、この銘柄の平均的な出来高からすると分売数量はほどほどといえます。

どんな会社?

「私たちアズパートナーズは、『世代を超えた暮らし提案型企業』として、あらゆる世代の方々の幸せを追求し、私たちに関わる全ての人々が幸せになることを目指します。」を私たちの使命(MISSION)に掲げて、事業を展開している会社です。

事業内容は、「シニア事業」と「不動産事業」が2つがあり、それぞれ、

  • シニア事業
    介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)、デイサービス及びショートステイの運営
  • 不動産事業
    介護付きホーム等の開発、老朽不動産の再生、収益不動産保有・販売など

を行っています。

2025年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

  • シニア事業 76.7%
  • 不動産事業 23.3%

となっており、「シニア事業」が8割弱を占めています。

直近の経営概況

経営状況

【2026年3月期2Q(2025年4月~9月)の経営成績】

(2025年11月14日発表:日本基準(非連結))

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2025年3月期
2Q累計 ※2
105
(ー)
1,303
(ー)
1,328
(ー)
904
(ー)
2026年3月期
2Q累計
136
(28.5)
1,528
(17.3)
1,603
(20.7)
1,092
(20.8)
2026年3月期
通期会社予想
238
(33.2)
1,460
(11.9)
1,508
(11.7)
1,065
(11.3)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
57.0104106102
表2:アズパートナーズ 2026年3月期2Q経営成績と2026年3月期通期予想
※2:2024年3月期2Qにおいて四半期財務諸表を作成していないため、2025年3月期2Qの対前年同四半期増減率については記載なし。

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は3割弱増利益面は2割前後の増益でした。

今期(2026年3月期)通期の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高は3割強増利益面は1割強増を見込んでおり、

その通期予想に対する進捗率は、2Q終了時点で、売上高は6割弱でそこそこですが、利益面は既に通期予想を超過しており順調です。

【2026年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

シニア事業は、2Qで、今期開設の3事業所の新規開設経費を計上しましたが、

前期以前の新規開設ホームの売上高・利益の増加が寄与し、前年同期比 増収増益で着地しています。

不動産事業は、シニア開発事業について「アズハイム習志野」、「アズハイム葛飾白鳥」の土地建物販売(1Q)、ソリューション事業について計画通り販売したこと(2Q)により前年同期比 増収増益でした。

以上の結果、今2Qの経営成績は、表2の数値の前年同期比 増収増益となっています。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

セグメント売上高
[百万円]
(前年
同期比
増減率
[%])
セグメント
利益
[百万円]
同)
シニア7,562
(13.1)
913
(26.8)
不動産6,091
(52.9)
1,553
(4.6)
表3:2026年3月期2Q セグメント別業績

セグメント別の状況は以下です。

シニア事業

当2Q会計期間末における介護付きホームの事業所数合計30事業所前期末比 +1)、

デイサービスセンターの事業所数合計17事業所同 ±0)、

ショートステイの事業所数合計4事業所同 ±0)となっています。

また、介護付きホームにおける期中平均稼働率は、開設2年超の既存26事業所では93.8%(前期末比 0.8ポイント減となり、全体30事業所で90.6%( 1.0ポイント増となりました。

デイサービスの期中平均稼働率は86.7%(同 0.8ポイント増ショートステイの期中平均稼働率は106.5%(同 2.1ポイント増となっています。

不動産事業

シニア開発事業及びソリューション事業において、土地建物販売(等々力PJ、祖師谷PJ、新柏PJ、アズハイム習志野PJ、アズハイム葛飾白鳥PJ)にて売上高5,909百万円を計上しています。

特に、シニア開発事業において、2025年4月28日に自社開発による介護付きホーム「アズハイム習志野」、「アズハイム葛飾白鳥」(ともに土地・建物)の売却を予定どおり実施しました。

なお、同社を賃借人とする本物件についての賃貸借契約を締結しており、引き続き同社が介護付きホーム「アズハイム習志野」、「アズハイム葛飾白鳥」の運営を行っていく方針です。

また、収益不動産事業は王子、三橋、水戸、東尾久、木場、東日本橋、新柏、アズハイム習志野(内部取引)、アズハイム葛飾白鳥(内部取引)、アズハイム東浦和(内部取引)にて、受取賃貸料182百万円を計上しています(セグメント間の内部取引を含む)。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2026年3月期2Q末時点で24.0%と前期末(19.4%)から4.6ポイント増加しました。

主な負債と純資産の、前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

  • 負債 △1,165
    • 流動負債 +1,558
      (内訳)買掛金 +231短期借入金+867未払法人税等 +522
    • 固定負債 △2,723
      (内訳)長期借入金 △2,734
  • 純資産 +908
    • 株主資本 +906
      (内訳)利益剰余金 +895

自己資本比率の数値としては危険水域に近いレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2026年3月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

  • フリーCF(営業活動によるCFと投資活動によるCFを合計した金額 ※3)2,177百万円の収入
    • 営業活動によるCF 4,132百万円の収入(前年同期 2,202百万円の収入
    • 投資活動によるCF 1,955百万円の支出(同 2,384百万円の支出

 ※3 フリーCFの説明:

  • プラスの場合:会社が自由に使える資金が増える
  • マイナスの場合:会社が自由に使える資金が減る

前期(2025年3月期2Q累計)のフリーCF(182百万円の支出)から2,359百万円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

  • 税引前中間純利益 1,603
  • 棚卸資産の増減額(△は増加) 2,406
  • 前払費用の増減額(△は増加) 248

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

  • 有形固定資産の取得による支出 △1,854
  • 差入保証金の差入による支出 △146
  • 差入保証金の戻入による収入 37.1

【今期(2026年3月期)通期業績の見通し】

シニア事業において、2025年9月に介護付きホーム「アズハイム入間(98室)」、2025年11月に介護付きホーム「アズハイム春日部(74室)」及び「アズハイム国立(128室)」デイサービス「アズハイム春日部デイサービスセンター(定員50名)」、2025年12月に介護付きホーム「アズハイム足立六町(95室)」、2026年3月にデイサービス「アズハイム青葉台デイサービスセンター(定員50名)」開設を予定しています。

今期期末において、介護付きホーム33事業所前期末比+4)、デイサービス19事業所同+2)、ショートステイ4事業所同±0)の体制となる見込みです。

不動産事業は、シニア開発事業について「アズハイム習志野」及び「アズハイム葛飾白鳥」の土地建物の売却等のほか、

ソリューション事業土地建物販売、収益不動産事業の賃貸収益を見込んでいます。

これらの結果、今期の業績予想は、表2の数値の前期比 増収増益を見込んでいます。

なお、今2Q決算発表時には、2025年5月14日に公表された業績予想から変更はありませんでした。

株価指標と動向

株価指標

【2025/11/25(火)終値時点の数値】

  • 株価:2,561円
  • 時価総額:91.6億円
  • PER(株価収益率(今期予想)):8.60倍

PERは、同業で時価総額が近い、チャームケアコーポレーション(6062) 13.6倍、リビングプラットフォーム(7091) 14.4倍、ケア21(2373) 24.5倍と比較すると、低い水準です。

  • PBR(株価純資産倍率):1.80倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):682倍
  • 年間配当金(会社予想):65円(年1回 3月)、利回り:2.53%(配当性向 21.8%)

配当利回り(予想)2.53%で、東証スタンダードの単純平均 2.43%(11/25時点) とほぼ同水準です。

表4のように、直近3年間の配当金は、1株当たり16~55円(2023年11月14日付1/50分割後換算)で推移しており、連続増配を継続中です。

配当性向は、20~21%で安定しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2023年3月期1621.1
2024年3月期3820.4
2025年3月期5520.4
表4:アズパートナーズ 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的に業績の成長に見合った成果を配当することを基本方針としています。

この基本方針に基づき、業績の成長に応じた配当と単年度の業績に左右されない安定的な配当の両立を図る観点から、配当性向20%以上かつDOE(株主資本配当率)5%以上」を目安とする指標を導入しています。

また、剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年3月末又は9月末100株以上保有の株主は、

対象期間に株主及び株主の三親等以内の親族が同社の介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)に入居するため入居契約を締結する場合、保有株式数に応じて、表5のとおり利用料金の割り引きがされます。

保有株数月払い方式
(プランA)
入居一時金設定方式
(プランB又はプランC)
100株以上200株未満管理費2ヶ月分割引入居一時金20万円割引
200株以上管理費3ヶ月分割引入居一時金30万円割引
表5:アズパートナーズ 株主優待(利用料金値引)
※既に同社の介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)に入居されている方及び高齢者向け住まい紹介事業者(WEBサイトにより紹介する事業者を含む。)を通じて入居を申し込まれた方は対象外

お近くにアズパートナーズの施設があり、入居を検討されている方はうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2025年4月に上場来安値(1,550円)をつけるまでは、緩やかな下落基調で推移しましたが、

その後は急上昇して、同年10月に上場来高値(3,550円)をつけています。

しかしそれ以降は、連続陰線で調整しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

10月初旬に上場来高値(3,550円)をつけるまではほぼヨコヨコの展開でしたが、その後は、一直線の下落基調で推移しており、

今回の立会外分売発表の翌営業日(11/21)は、分売による短期的な需給悪化懸念により、最初は安く始まりましたが、その後は盛り返し前日比 13円高(+0.51%)で終了しました。

今後の株価は、直近の安値(2,424円)を割り込まずヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

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【業績】

  • 今期(2026年3月期)2Qの業績は、主力のシニア事業で、今期開設の3事業所の新規開設経費を計上したが、前期以前の新規開設ホームの売上高・利益の増加が寄与し、不動産事業は、計画通り土地建物販売したことにより、
    前年同期比 増収増益で、売上高は3割弱増利益面は2割前後の増益
  • 今期通期業績は、シニア事業において、今期期末に、介護付きホーム33事業所前期末比+4)、デイサービス19事業所同+2)、ショートステイ4事業所同±0)を運営し、
    不動産事業において、シニア開発事業の「アズハイム習志野」及び「アズハイム葛飾白鳥」の土地建物の売却等のほか、ソリューション事業の土地建物販売、収益不動産事業の賃貸収益を見込み、
    前期比 増収増益で、売上高は3割強増利益面は1割強増を予想。
  • その通期予想に対する進捗率は、2Q終了時点で、売上高は6割弱でそこそこですが、利益面は既に通期予想を超過しており順調

【株主還元】

  • 配当利回り(予想)は2.53%で、東証スタンダードの単純平均 2.43%(11/25時点) とほぼ同水準
  • 直近3年間の配当金は、年間1株あたり16~55で推移しており、連続増配を継続中
    配当性向は、20~21%で安定
  • 会社の還元方針は、安定的かつ継続的に業績の成長に見合った成果を配当することを基本方針とし、
    この方針に基づき、業績の成長に応じた配当と単年度の業績に左右されない安定的な配当の両立を図る観点から、配当性向20%以上かつDOE(株主資本配当率)5%以上」を目安とする指標を導入しいる。
  • 株主優待があり、毎年3月末又は9月末100株以上保有の株主は、対象期間に株主及び株主の三親等以内の親族が同社の介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)に入居するため入居契約を締結する場合、保有株式数に応じて、利用料金の割り引きがされる。

【流動性・分売数量】

  • 直近の出来高の5日平均は273百株、25日平均は299百株(11/25時点)で、流動性は低い水準
  • 分売数量は、発行済み株式総数の4.88%多い数量で、
    この銘柄の1日の平均的な出来高の約6倍であり、それからするとほどほどの数量

【株価モメンタム】

  • 週足ベースの株価は、2025年4月に上場来安値(1,550円)をつけるまでは、緩やかな下落基調で推移したが、
    その後は急上昇して、同年10月に上場来高値(3,550円)をつけている。
    しかしそれ以降は、連続陰線で調整している。
  • 直近の株価は、10月初旬に上場来高値(3,550円)をつけるまではほぼヨコヨコの展開だったが、その後は、一直線の下落基調で推移しており、
    今回の立会外分売発表の翌営業日(11/21)は、分売による短期的な需給悪化懸念により、最初は安く始まったが、その後は盛り返し前日比 13円高(+0.51%)で終了した。
  • 今後の株価は、直近の安値(2,424円)を割り込まずヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか要注目。

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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