【公募増資・売出(PO)は買いか?】スターアジア不動産投資法人(3468)

オフィスビル株式投資
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こんにちは!

公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証J-REITのスターアジア不動産投資法人です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

  • 公募増資・売出(PO)とは?
既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」と「売出し」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

POの概要

東京

今回のPOは、公募による新投資口の発行です。売出価格決定期間や受渡期日、売出数量は以下です。

ディスカウント率は、「売出価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%です。

※直近のJ-REIT銘柄POのディスカウント率は、エスコンジャパンリート(2971)、サムティ・レジデンシャル(3459)はともに2.5%でした。

注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事会社(今回は野村證券とみずほ証券)をはじめ、引受人の証券会社で購入申込可能です。

早ければ、8/11(水)の夕刻に、会社側からの売出価格等のお知らせが適時開示でありますので、チェックしてくださいね💖

売出価格等決定日2021/8/11(水)
受渡期日
(POで買った場合はこの日から売却可能)
2021/8/18(水)
公募による新投資口発行
(一般募集)
115,000 口
発行済み投資口数1,674,389口の約6.9%
投資口売出(オーバーアロットメント(以下、OA)による)16,743 口(一般募集増資口数の約14.6%。実施決定しました。
※上記の「売出価格等決定日」に決定
野村證券が売出す。
発行価格57,330 円
ディスカウント率2.50%
申込単位数量1口以上1口単位
実施の目的取得予定資産(オフィス 2件、商業施設 1件、住宅 4件の計7物件 約130億円)を取得するため、市場動向、財務の健全性及び 1 口当たりの分配金水準にも留意しつつ検討を行った結果、新投資口を発行し資金調達を行う。
主幹事会社野村證券、みずほ証券

一般募集の投資口数は、発行済み口数の約6.9%(OAを含めると最大約7.9%)と、ほどほどに多い数量になっています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した投資口の数量)の5日平均は8,883口、25日平均は6,605口ですので、流動性は高いレベルです。

どんな投資法人?

大都市

オフィスや商業・物流施設などに分散投資する総合型REITです。東京圏を軸に、大都市の物件に投資し、直近保有資産は53物件、約1,667億円、稼働率 約96.4%(2021年6月末時点(稼働率))です。

【J-REITの簡単な説明】

投資信託の仲間であり、我々投資家は、東京証券取引所でJ-REIT(不動産投資法人)商品を購入し、J-REITが、商業施設やホテル、住宅などの不動産を保有・運営してその家賃収入や売却益を得て、その収益の中から分配金として投資家に配分されるもの。

※出所:一般財団法人 投資信託協会HP

J-REITは全体的に、高配当な銘柄が多く存在します。そして、分配月もばらけていますので、複数のJ-REITを保有すると分散投資にもなりますし、ほぼ毎月分配金をいただける嬉しい状況になります。

投資ポートフォリオは、

  • 東京都心5区 33.7%
  • その他東京圏 39.2%
  • その他 27.0%

となっています。

アセットタイプ別ですと、

  • オフィス 40.8%
  • 住宅 19.5%
  • 物流施設 18.2%
  • ホテル 12.3%
  • 商業施設 9.2%

となっており、オフィスへの投資が約4割と一番多いのですが、全体的にばらけています。

当面の方針としては、日本の経済・文化活動の中心であり、人口が最も集積している東京圏(東京23区、横浜市、川崎市)の不動産等に集中的に投資することにしています。

【取得予定物件数と金額】

今回の増資で取得予定の物件は、以下となっており、首都圏を中心に7物件 約130億円です。

※スターアジア不動産投資法人 発表資料より抜粋

取得後の合計の物件数と取得金額は以下になる予定です。

取得前2021年8月
取得予定
取得後の合計
(予定)
物件数[件]5360
金額[億円]1,6671301,797

直近の運用状況

経営状況

2021年1月期の運用状況と2021年7月期以降の見通し】

決算期営業収益
[百万円]
(前期比)
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
当期純利益
[百万円]
(同)
1口当たり
分配金
[円]
(同)
2020年7月期実績3,9962,1311,8571,8573,436
2021年1月期実績6,672
(67.0%増)
3,376
(58.4%増)
2,911
(56.7%増)
11,801
(535.5%増)
1,676
(1,760円減)
2021年7月期会社予想5,512
(17.4%減)
2,788
(17.4%減)
2,349
(19.3%減)
2,348
(80.1%減)
1,455
(221円減)
2022年1月期会社予想
(2021年8月2日修正)
5,898
(7.0%増)
2,988
(7.2%増)
2,412
(2.7%増)
2,411
(2.7%増)
1,455
(増減無し)
2022年7月期会社予想
(2021年8月2日発表)
5,955
(1.0%増)
3,044
(1.9%増)
2,554
(5.9%増)
2,553
(5.9%増)
1,476
(21円増)
【参考】
2021年7月期から
2022年7月期の増減率(額)
8.0%9.2%8.7%8.7%21円増

2021年7月期(2021年2月~7月)は、減収減益(予想)だったのですが、今回の公募増資を受けて、新規取得資産を組入れることで、今2022年1月期(2021年8月~2022年1月)は、営業収益は約7%の増収、利益面では2~7%の増益で、増収増益を予想しています。

今回の公募は6.9%の増資ですので、営業収益の増収と営業利益の増益の割合に近い数値となっていますが、経常利益と純利益は見劣りします。

しかしながら、 2021年7月期から2022年7月期の増減率(上の表の最下段)を見てみますと、収益面はともに8%超の増加率ということで、時間は少しかかるものの、今回の増資(6.9%)に対して効率の良い増資といえそうです。

1口当たりの分配金の予想も、増資した後の2022年1月期は前期(2021年7月期)と同じですが、 2022年7月期は21円増額を予定しています。

【前々期(2021年1月期)の運用状況】

本投資法人の保有ポートフォリオにおいては、

  1. オフィス:若干のダウンタイム(テナント不在及び賃料未発生の期間)の長期化が見られたものの、新型コロナウイルス感染症による影響は限定的、
  2. 住宅:リモートワークやリモート授業の継続等からシングルタイプ住居の稼働率が若干低い状況が継続していることを除けば、特段の影響はなし
  3. 物流施設:特段の影響はなし
  4. ホテル:従前のテナント(民事再生法の適用申請)と合意解約し、テナント不在となった1物件を除き、他の7物件のテナントからは、固定賃料を収受。(テナント不在であったホテルについては、2021年2月末に新たなテナントと定期建物賃貸借契約を締結済み)

という状況でした。

このような状況の中、内部成長に関して、ポートフォリオ全体を俯瞰し、さくら総合リート投資法人を吸収合併が実現したことにより資産規模で約1.7倍となったことから規模の経済を活かし、修繕工事の最適化、管理運営コストの削減に注力し、分配可能利益の増額に努めました。

また、外部成長に関して、前記のとおり2度の資産入替を実行し、ポートフォリオの強化を図るとともに、新たに東京圏に所在するファミリータイプの住宅に係る優先交渉権を取得し、ポストコロナにおける外部成長のための布石を打っています。

【格付けの状況】

  • 日本格付研究所(JRC):長期発行体格付「A」(安定的)(※A:債務履行の確実性は高い。)
  • 格付投資情報センター(R&I):発行体格付 「A-」(安定的)(※A:信用力は高く、部分的に優れた要素がある。)

株価指標

株価指標

8/4(水)終値時点の数値

  • 投資口価格(1口当たり):59,900円
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):ー(信用売り残無し)
  • 年間分配金(会社予想):2,931円(2022年1月 1,455円、2022年7月 1,476円)、年間利回り:4.9%

直近5営業期間の分配金は、以下のようになっています。

決算期分配金(円)
2019年7月期3,625
2020年1月期2,788
2020年7月期 3,436
2021年1月期 1,676
2021年7月期1,455
(予想)
※スターアジア不動産投資法人 直近分配金推移

上場株式の年利回り(東証1部の単純平均:1.82%(8/3時点))と比較すると、かなり高いです。

直近5期の分配金は、2020年8月1日付で投資口1口につき2口の割合による投資口分割が行われているため、2021年1月期の分配金は 2020年7月期の ほぼ半額になっています。(利回り換算すると大きな変動は無し。)

【直近の投資口価格推移】

週足チャート(直近2年間):

出所:楽天証券サイト

投資口価格は、昨年のコロナショック時の安値(30,050円)から2倍近くの値を付けており、 ずっと右肩上がりの上昇トレンドが続いています。

日足チャート(直近3か月間):

出所:楽天証券サイト

直近の日足では、7/5に高値(67,400円)を付けた後は、右肩下がりの下落基調です。

特に、先月の分配金権利落ち日(7/29)に、出来高を伴い窓を開けて大きく下げました。

今後は、下落が75日移動平均線で止まり、直近の高値(67,400円)に戻ってきて、それを上抜ければ一段高も期待できそうです。

まとめ

まとめ

【ファンダメンタルズ】

オフィスや商業・物流施設などに分散投資する総合型REITで、東京圏や大都市の物件に集中的に投資。

スターアジア投資顧問株式会社(本資産運用会社)が独自の分析に基づき、投資対象アセットタイプ(用途)毎及びエリア毎の投資スタンスを決定し、程よく分散されている。

1年後の2022年7月期には、今回の増資効果が出て、 2021年7月期比で収益は8%超の増加率ということで、すぐには結果が出ないものの、今回の増資(6.9%)に対して効率の良い増資といえる。

【インカムゲイン】

分配金の年利回りは4.9%とJ-REITの中でも高いほうで、東証1部上場の会社の単純平均(1.82%(8/3現在))と比較して、2.5倍以上の利回りである。

増資した後の2022年1月期の1口当たりの分配金の予想は、2021年7月期と同額ではあるものの、次期2022年7月期には21円増額予定である。

【流動性】

直近の出来高(売買が成立した投資口の数量)の5日平均は8,883口、25日平均は6,605口で、流動性は高いレベル

【投資口価格モメンタム】

昨年のコロナショック後、一本調子の上昇トレンドで推移している。

直近では、7/5につけた高値(67,400円)以降、短期的には下げ基調だが、週足ベースでは上昇基調はさほど崩れていない。

今後再び上昇基調に戻るか否かがポイント。

以上をふまえ、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
ファンダメンタルズ⭐⭐⭐
インカムゲイン⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐⭐⭐
投資口価格モメンタム⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐⭐ (買い)
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

参考になればうれしいです!最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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