こんにちは!
直近で公募増資・売出(以下、PO)を実施した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益は出たのか?
受渡期日当日と1週間後の結果を検証しました。
今回は、受渡期日が2024年3月のやまみ、フォースタートアップス、明和産業です。
最後までお付き合いいただけると嬉しいです💖
発行(売出)価格とその後の株価推移
まずは、発行価格で買って1週間(5営業日)後まで保有した場合、含み益なのか含み損なのか?確認していきましょう!
※売買手数料は考慮していません。
受渡期日の寄付又は大引けと1週間(5営業日)後の結果は、
やまみは、受渡日の寄付や大引で売却した場合は損益プラス、受渡日1週間後の寄付は損益マイナス、
フォースタートアップスは、全ての段階で損益マイナス、
明和産業は全ての段階で損益プラス、
でした。
明和産業は受渡日1週間後の寄付で売却した場合、6.4%の利益が出ています。
POで購入し、利益が出た方おめでとうございます!
ちなみに、私は今回は購入無しでした。皆さんはいかがでしたでしょうか?
それでは個別に見ていきましょう!
要因分析:やまみ(2820)
この会社のPO発表時の評価は、表2のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐ |
株式の売出数量 | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐⭐ (買い) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
今期(2024年6月期)2Qの業績は、主力商圏(中四国・関西地方等)での価格改定が進み、関東エリアでの販売も好調、経費削減を図り、
前年同期比 増収増益で、売上高は2割強増、利益面は2.5倍前後の増益でした。
今期通期予想は、価格改定が浸透してきたことに加え、国内産大豆を使用した製品のセールスを強化し価格改定を行った後でも販売数量が伸びたことで、今2Q決算発表と同時に上方修正し、
前期比 増収増益で、売上高は2割弱増、利益面は7割弱~9割強の増益を見込んでいました。
その通期業績予想に対する進捗率は、2Q終了時点で、売上高は5割程度でそこそこ、利益面は6割を超えており順調でしたね。
株主還元は、配当利回り(予想)は1.58%(2/26時点) で、東証スタンダードの単純平均 2.16%と比較すると低い水準でした。
直近5年間の配当金は、年間1株当たり24~32円で推移しており、2019年6月期から2021年6月期まで3年間は同額でしたが、それ以降は連続増配していました。
また、配当性向は、20%台~30%台で安定していました。
会社の還元方針は、配当性向 30%以上または下限として DOE(株主資本配当率)2.5%を目途に、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としており、
この方針に基づき、通期の当期純利益予想を上方修正することに伴い、当期の期末配当予想を従来予想 19 円から22円増配し41 円、年間配当予想を 38 円から 60円に修正していましたね。
株価モメンタムは、2023年3月に上場来安値(1,292円)をつけた後は、しばらくヨコヨコの推移でしたが、
同年8月の2023年6月期決算発表以降は、右肩上がりの上昇トレンドで推移していました。
直近では、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移しており、今年2月15日に昨年3月につけた上場来安値の3倍超の上場来高値(4,450円)をつけました。
そして、今回のPO発表の翌営業日(2/26)は、POによる短期的な需給悪化懸念により、出来高を伴い売られ前日比 240円安(-5.97%)と急落。
この下落で25日移動平均線を下抜けましたね。
その後は、75日移動平均線の上をキープし、上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索を続けるのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】やまみ(2820)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表の翌営業日以降も下落基調で推移しましたが、75日移動平均線の上で踏みとどまり、受渡日(3/11)まではヨコヨコで推移しました。
しかしその後は、なかなかPOによる需給悪化懸念が解消されなかったのと、日経平均も調整していたこともあり、
75日移動平均線を下抜けて下落基調継続となりました。
要因分析:フォースタートアップス(7089)
この会社のPO発表時の評価は、表3のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐ |
株式の売出数量 | ⭐ |
総合判定 | ⭐⭐ (不参加) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
今期(2024年3月期)3Qの業績は、売上高はほぼ計画通りでしたが、ベンチャーキャピタル事業にて営業投資有価証券評価損として1,363百万円を計上したため、
前年同期比 増収減益で、売上高は1割増、利益面は3~5割の減益でした。
今期通期予想は、人件費が当初計画を下回る水準であることを踏まえ、営業利益・経常利益は当初予想比40百万円の増加を見込み、今3Q決算発表の数週間前に、利益面のみ上方修正し、
前期比 増収減益で、売上高は1割増、利益面は2~4割の減益を見込んでいました。
その通期業績予想に対する進捗率は、3Q終了時点で、売上高、利益面ともに7割前後でそこそこでしたね。
株主還元は、配当金は上場来無配で、
現在成長過程にあり、今後の事業の継続的な発展拡大のため、内部保留の充実が重要であることは理解でき、将来的に株価上昇につながれば、株主は恩恵を受けることができます。
会社の還元方針は、配当実施時期や配当回数等には現在のところ未定ですが、
今後は、経営成績、財政状態、内部留保とのバランス等を総合的に勘案し検討していく方針でした。
今回の株式の売出数量は、発行済み株式総数の約28.1%(OAを含めた最大の株数で約32.3%)で、直近の株式の売出のみのPOと比較すると多い数量でしたので、この点も需給悪化が長引く要因でした。
株価モメンタムは、2022年9月に高値(3,690円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落トレンドで推移し、直近の2024年2月に安値(1,300円)をつけました。
直近では、下落基調で推移しており、今回のPO発表の翌営業日(2/26)は、POによる短期的な需給悪化懸念から、出来高を伴い前日比 105円安(-7.16%)と急落し、
その翌営業日(2/27)は昨年来安値(1,300円)をつけていましたね。
その後の株価は、昨年来安値(1,300円)を下抜けずに、上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索を継続するのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】フォースタートアップス(7089)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表翌営業日以降もずるずると下落基調で推移しましたが、一旦は売出価格等決定日(3/4)に大陽線をつけて上昇しました。
しかしながらその後が続かず、受渡日(3/11)以降もPOによる需給悪化懸念が解消されずに、5日移動平均線(緑線)の下で推移しています。
要因分析:明和産業(8103)
この会社のPO発表時の評価は、表4のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐⭐ |
株式の売出数量 | ⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
今期(2024年3月期)3Qの業績は、第一事業、自動車・電池材料事業は好調、第三事業が前年同期並に推移したものの、第二事業が低調に推移し、営業利益は、売上高の減少、販売費及び一般管理費の増加により、
前年同期比 減収減益で、売上高は微減、利益面は営業利益と経常利益は微減~2割強減でしたが、純利益は微増の増益でした。
今期通期予想は、販売費及び一般管理費が想定していた水準を下回る見込みで、持分法適用会社において収益が回復して、今3Q決算発表と同時に利益面のみ上方修正し、
前期比 増収減益で、売上高は微増、利益面は営業利益は2割弱減ですが、経常利益と純利益は2割弱~4割の増益を見込んでいました。
その通期業績予想に対する進捗率は、3Q終了時点で、売上高、利益面ともに7~8割強でそこそこでしたね。
株主還元は、配当利回り(予想)は4.34%(2/28時点) で、東証プライムの単純平均 2.10%と比較すると約2倍の高い水準でした。
直近5年間の配当金は、年間1株当たり10~119円で推移しており、配当性向は、10%台~200%超でばらつきがありました。
今回の株式の売出しと同時に、株式の売出しに伴う株式需給への影響を緩和するため、自己株式の取得の発表(取得した全株は消却予定)を行っており、
今回の株式の売出数量(発行済み株式総数の最大(OA含む)約13.9%)に対し、1/3程度を市場で取得し、需給悪化の緩和を図っている点は安心材料でした。
株価モメンタムは、2022年3月に高値(1,199円)をつけた後は、同年4~5月に急落し、その後もしばらく緩やかな下落基調で推移して、2023年の年末に安値(618円)をつけました。
直近では、昨年末に昨年来安値(618円)をつけた後は、上昇基調で推移し、2/8に年初来高値(720円)をつけ、その後はしばらくヨコヨコでしたが、
今回のPO発表の翌営業日(2/27)は、POによる短期的な需給悪化懸念により、窓を開けて出来高を伴い前日比 38円安(-5.34%)と急落しましたね。
その後の株価は、昨年末につけた昨年来安値(618円)や節目の650円を下抜けずに、上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索を継続するのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】明和産業(8103)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表翌営業日以降はしばらく上昇しましたが、売出価格等決定日(3/5)の前営業日から下落に転じ、受渡日(3/12)まで下落基調が続きました。
しかし、昨年来安値(618円)は割り込まずに、需給悪化懸念が後退していき、受渡日以降は勢いよく上昇基調で推移して、
受渡日1週間後にはすべての移動平均線を上抜けています。
まとめ
やまみ(2820)、フォースタートアップス(7089)、明和産業(8103)のPO予想と一週間(5営業日)後の株価は、表5の結果になりました。
銘柄名 | 事前予想 | 結果(損益)[円] (「受渡日の1週間 (5営業日)後始値」 ー「発行価格」) (騰落率[%]) | 判定 |
やまみ | 買い | -71 (-2.0) | × |
フォー スタートアップス | 不参加 | -109 (-7.7) | 〇 |
明和産業 | 中立 | +40 (+6.4) | × |
※事前予想の「買い」は3%以上の上昇、「中立」は±3%、「見送り」は3%以上の下落を想定しています。
今回は1勝2敗、勝率0.333。反省です(__)
やまみとフォースタートアップスは受渡日以降も、地合いが良くなかったこともありますが、POによる需給悪化懸念が解消されず、なかなか上昇のきっかけを掴めていません。
一方、明和産業は、受渡日以降は明確に上昇基調に転じ、勢いよく上昇を継続しています。
昨年末につけた昨年来安値を割り込まなかったことが上昇要因の一つですね。
今後の個別動向ですが、
やまみは、PO発表をきっかけに株価は調整しており、2月に中旬につけた上場来高値(4,450円)を再度奪回するといった勢いがありません。
ただ業績は好調ですので、今後さらに業績の上振れが確認できれば、上場に転じていきそうです。
フォースタートアップスは、POによる売出株数が比較的多かったため、需給悪化解消に時間がかかりそうです。
今後の反転上昇に期待です。
明和産業は、いち早くPO発表前の株価に戻りつつあります。
自社株買いの並行実施と3月末の期末一括配当権利取りに向けて、更なる上昇に期待です。
参考になればうれしいです✨
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。