【公募増資・売出(PO)は買いか?】ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人(3278) <2022年12月実施>

住宅公募増資・売出(PO)
この記事は約19分で読めます。

こんにちは!

公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証J-REITのケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

  • 公募増資・売出(PO)とは?
既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」「売出」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

POの概要

まとめ

今回のPOは、公募による新投資口の発行です。発行価格等決定日や受渡期日、発行数量等は表1のようになっています。

ディスカウント率は、「発行価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%(直近のJ-REITは2~2.5%)です。

参考までに、直近のJ-REITのPO銘柄のディスカウント率は、

  • ケネディクス商業リート、三菱地所物流リート、スターツプロシード、SOSiLA 物流リート:2.5%
  • GLP投資法人:2.0%

でした。

注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事(今回は、SMBC日興証券、みずほ証券、野村證券)はじめ、引受人(三菱UFJモルガン・スタンレー証券、大和証券)の証券会社で購入申込可能です。

早ければ、12/1(木)の夕刻に、法人側から発行価格等のお知らせが適時開示であります。このブログ記事も更新しますので、チェックしてくださいね💖

発行価格等決定日2022年12月1日(木)
受渡期日
(POで買った場合はこの日から売却可能)
2022年12月8日(木)
公募による新投資口の発行
(一般募集)数量
23,500
発行済み投資口数 1,045,758 口 の約2.24%
②投資口の売出し
(オーバーアロットメントによる売出し)数量
1,175 実施決定(12/1)
※上記の「発行価格等決定日」に決定SMBC日興証券が売出す。
③第三者割当による新投資口の発行
数量
1,175(最大の口数であり、全く行われないこともある。)
SMBC日興証券に割当
調達資金手取り概算額(上限)50.0 億円
発行価格201,630 円
(12/1決定)
ディスカウント率2.50 %
(12/1決定)
申込単位数量1 口
主幹事SMBC日興証券、みずほ証券、野村證券
引受人三菱UFJモルガン・スタンレー証券、大和証券
表1:ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人 PO概要

新投資口発行の目的及び理由

  • 資産規模の拡大と分散の進展を通してポートフォリオ収益の安定性の強化を図るため、新たな特定資産(居住用施設2物件、ヘルスケア施設5物件の計7物件)取得を予定している。
  • かかる特定資産取得のための資金調達の方法を検討するにあたり、金融市場の動向資金調達が財務の健全性、投資口の流動性及び 1 口当たり分配金水準に与える影響等を勘案した結果、新投資口の発行による資金調達を行うことを決定した。

としています。

今回の資金調達によって、居住用施設2物件、ヘルスケア施設5物件の計7物件取得予定価格 109億円)を2022年12月~2023年3月に取得予定です。

取得後のポートフォリオの合計は、2022年12月に譲渡予定の居住用施設1物件を含めると、181物件、取得金額は3,027億円に拡大します。

今回増資される投資口数は、発行済み口数の約2.24%(第三者割当を含めると、最大約2.35%で、

直近の住宅に投資しているJ-REITの、公募増資の発行済み総口数に対する割合(第三者割当を含む)は、

サムティ・レジデンシャル 8.9%、大和証券リビング 2.5%、スターツプロシード 11.3%でしたので、それらと比較すると小規模の増資です。

ご参考までに、この投資法人の前回(受渡日:2022年2月25日)のPOの結果はどうだったかというと、

表2の結果となっており、POで購入した場合、受渡日の寄付と大引で売却した場合1~2%の損益マイナス1週間後の寄付は2.6%の損益プラスの結果でした。

受渡期日発行価格
[円]
ディス
カウント率
[%]
受渡日
始値[円]
(増減率[%])
受渡日
終値[円]

(同)
1週間後
の始値[円]
(日付)
損益[円]
(増減率[%])
2022/
2/25
191,4902.50187,900
(-1.9)
189,200
(-1.2)
196,400
(3/4)
+4,910
(+2.6)
表2:ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト 前回のPO銘柄の発行価格とその後の価格

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した投資口の数量)の5日平均は2,587口、25日平均は2,453口で、流動性は平均的な水準です。

どんな投資法人?

老人ホーム

2012年4月に上場した、人が居住・滞在する空間である「居住用施設」及び「ヘルスケア施設」への投資を通じて、安定した賃貸収益の獲得と資産規模の着実な成長を実現し、投資主利益の最大化を目指すJ-REITです。

ケネディクス株式会社の理念と人材を受け継ぐケネディクス不動産投資顧問株式会社にその資産運用を委託し、

最適と考えられる投資機会及び収益機会を「柔軟」に追求し、的確な情報収集と意思決定に基づき「機動的」に投資及び運用を行うことを通じて、投資主利益の最大化を目指しています。

【J-REITの簡単な説明】

投資信託の仲間であり、我々投資家は、東京証券取引所でJ-REIT(不動産投資法人)商品を購入し、J-REITが、商業施設やホテル、住宅などの不動産を保有・運営してその家賃収入や売却益を得て、その収益の中から分配金として投資家に配分されるもの。

※出所:一般財団法人 投資信託協会HP

J-REITは全体的に、高配当な銘柄が多く存在します。そして、分配月もばらけていますので、複数のJ-REITを保有すると分散投資にもなりますし、ほぼ毎月分配金をいただける嬉しい状況になります。

ーー

【投資方針】

社会・経済構造の変化を的確に把握の上、人が居住、滞在する空間である「居住用施設」及び「ヘルスケア施設」への投資を通じて、安定した賃貸収益の獲得と資産規模の着実な成長を実現し、投資主利益の最大化を目指しています。

【ポートフォリオ構築方針】

主に人が居住、滞在する空間である居住用施設ヘルスケア施設及び宿泊施設を投資対象とし、これらに投資を行っています。

投資にあたっては、個別不動産等の特性や立地等を踏まえた地域分析や個別分析に基づき、

テナント又は利用者からの底堅い需要が見込め、長期安定的な収益の獲得が見込める不動産等に厳選して投資を行っています。

用途別投資比率

  • 居住用施設60%以上
    • 賃貸住宅
    • 施設運営者付き住宅
      サービスアパートメント、社宅、学生寮・学生マンション、短期滞在型マンション等
  • ヘルスケア施設30%以下
    • シニアリビング施設
      有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、シニア向けマンション、認知症高齢者グループホーム、小規模多機能施設、デイサービス施設等
    • メディカル施設
      病院、診療所、医療モール、介護老人保健施設等
  • その他 10%以下
    上記に定める建物が所在する借地権が設定された土地(底地)、宿泊施設又は保育施設等

地域別投資比率

国内最大の経済・人口集積エリアである東京経済圏(東京都、神奈川県、埼玉県及び千葉県の1都3県の主要都市)に所在する不動産等、並びに

地域経済や不動産マーケットの変動、地震及び台風等の自然災害、人口変動等の地域偏在リスクの軽減を目的として、地方経済圏(政令指定都市を始めとする地方都市)に所在する不動産等に分散投資を行っています。

  • 東京経済圏 50%以上
    東京都、神奈川県、埼玉県及び千葉県の1都3県の主要都市
  • 地方経済圏(政令指定都市をはじめとする地方都市)、上記以外の地域 50%以下

【ポートフォリオの概要】

ポートフォリオの合計 物件数:175件取得価格:2,927億円 (2022年9月28日現在) 、稼働率:98.0%(2022年10月末日現在)

物件タイプ別比率

  • 居住用施設 74.9%
  • ヘルスケア施設 23.4%
  • その他 1.7%

となっており、「居住用施設」が3/4を占めています。

エリア別比率

  • 東京経済圏 66.2%
  • 地方経済圏 33.3%
  • その他 0.5%

となっており、東京経済圏が2/3を占めています。

直近の運用概況

経営状況

【2022年7月期の運用状況と2023年1月期以降の見通し】

決算期営業収益
[百万円]
(前期比
[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
当期
純利益
[百万円]
(同)
1口当たり
分配金
[円]
(同[円])
2022年7月期
実績
9,447
(3.3)
4,850
(0.2)
4,122
(0.1)
4,122
(0.1)
4,101
(±0)
2023年1月期
法人予想
(2022年11月28日
修正)
9,916
(4.9)
5,211
(7.4)
4,512
(9.4)
4,511
(
9.4)
4,181
(80)
2023年7月期
法人予想
(2022年11月28日

修正)
9,932
(0.1)
5,110
(△1.9)
4,385
(△2.8)
4,385
(△2.7)
4,140
(△41)
表3: ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト 2022年7月期の運用状況と2023年1月期以降の見通し

表3のとおり、前期(2022年7月期)は、前期比 増収増益で、営業収益利益面ともに微増の結果でした。

今期(2023年1月期)は、今回のPOによる資産取得により修正しており(表4参照)、前期比 増収増益で、営業収益は微増利益面は1割弱増を見込んでいます。

次期の2023年7月期(2023年2月~2023年7月)は、前期比 増収減益で、営業収益は微増、利益面は微減の減益を見込んでいます。

1口当たりの分配金の予想は、増資後の2023年1月期は前期比 80円増2023年7月期は同41円減の予想となっています。

【2022年7月期の運用概況】

運用環境

同投資法人の主たる投資対象の一つである居住用施設は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、居住エリアや間取りへの選好の多様化といった運用環境の変化はありますが、

全般的に稼働率は安定的に推移しており、賃料についても、広い間取りのタイプを中心に賃料が上昇する傾向が見られました。

ヘルスケア施設を取り巻く環境については、我が国では、男女とも平均寿命において世界最高水準に達し、総人口に占める高齢者の割合及び高齢者人口が増加する「高齢化」は、今後も続いていくものと予想されています。

それに呼応するように、近年においては有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などの高齢者向け施設が増加していますが、高齢者向け施設への需要は引き続き増加していくものと、同投資法人は考えています。

宿泊施設については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて宿泊需要が大幅に減少しており、宿泊施設のオペレーターにとっては厳しい運営環境が続いています。

今後、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に和らいでいくにつれて、宿泊需要も回復していくことが見込まれますが、コロナ禍以前の状況に戻るには一定の時間を要するものと考えています。

不動産売買市場については、投資家による不動産への投資意欲は旺盛であり、足もとにおいては活発な取引が行われています。同投資法人の主な投資対象である賃貸住宅については依然として期待利回りは低水準のままであり、厳しい物件取得環境が続いていくものと考えています。

運用実績

当期において、ポートフォリオ全体の資産構成、将来における収益力等を総合的に勘案した結果、

居住用施設5物件(取得価格の総額83.3億円)、ヘルスケア施設3物件(取得価格の総額48.2億円)合計8物件(取得価格の総額131億円)を取得しました。

その結果、当期末(2022年7月31日)現在の保有物件は居住用施設が140物件(取得価格の総額219億円)ヘルスケア施設が31物件(取得価格の総額664億円)宿泊施設が2物件(取得価格の総額49.6億円)の計173物件(取得価格の総額2,907億円)となりました。

また、当期末(2022年7月31日)現在の保有物件の稼働率は、ポートフォリオ全体で97.5%(前期末比 0.2ポイント増)となりました。

【資金調達の概要】

資金調達に際しては、中長期にわたる安定的な収益の確保及び運用資産の持続的な成長を目的として、財務の安定性と資金調達コストのバランスを考慮したうえで実行しています。

新投資口の発行

当期は、2022年2月24日に特定資産の取得資金等への充当を目的として、公募増資により47,500口の新投資口の発行を行い、88.0億円の資金を調達しました。

また、2022年3月10日に特定資産の取得資金等への充当を目的として、第三者割当増資により2,375口の新投資口の発行を行い、4.4億円の資金を調達しました。

これらの結果、当期末(2022年7月31日)現在の出資総額は1,255億円となっています。
借入れの状況

当期は、新規物件の取得資金として新たに38.0億円の借入れを行い、当期中に返済期日が到来した借入れの返済資金として175億円の借入れを行いました。

この結果、当期末(2022年7月31日)現在の借入金残高は1,519億円、投資法人債を含めた有利子負債残高は1,596億円となり、総資産有利子負債比率(LTV)は50.5%前期末比 1.0ポイント減)となっています。

【今期(2023年1月期)の見通し】

運用見通し

「目利きを活かした着実な外部成長」、「効率的な収益マネジメント」及び「新しい取組みへの挑戦」という3つの基本戦略に基づき、主として、主要な用途が賃貸住宅等の居住用施設及び有料老人ホーム等のヘルスケア施設へ投資を行っています。

今後も、居住用施設からヘルスケア施設まで「人が居住・滞在する空間」への幅広い投資を通じて、社会・経済構造の変化に沿った REIT へ進化し、「安定性」と「成長性」を高めることで投資主価値の最大化を目指しています。

なお、上記2つの主たる投資対象を前提として、同じく「人が居住・滞在する空間」であり、同投資法人のポートフォリオの中心である居住用施設との親和性が高いと考えられる保育施設を、2019年9月12日付で従たる投資対象として新たに加えています

また、新型コロナウイルス感染症拡大を契機とする運営環境の悪化を受け、相対的な収益変動リスクの大きさを認識するに至った宿泊施設について、

長期的に安定した賃貸収益の獲得と資産規模の着実な成長を実現するという観点から、ポートフォリオ構築方針上の位置づけを2021年10月27日付で従たる投資対象に変更しています。

新規物件の取得

同投資法人は、主に人が居住、滞在する空間である居住用施設、ヘルスケア施設を投資対象とし、

投資にあたっては、個別不動産の特性や立地等を踏まえた地域分散や個別分析に基づき、テナント又は利用者からの底堅い需要が見込め、長期安定的な収益の獲得が見込める不動産を厳選して投資を行っています。

居住用施設に関しては、そもそもの土地が持つ潜在的な収益力に着目して、「地位(じぐらい)の高さ」「生活利便性の高さ」「特殊マーケットの有無」といった尺度を用いて、中長期的に安定した賃貸収益を獲得できる投資機会を判別し、

東京経済圏を中心に、地方経済圏に所在する賃貸住宅等の居住用施設についても、土地が人を惹きつける力を詳細に分析した上で、その立地特性に応じて、安定的な賃貸需要が見込まれる住戸タイプを見極めながら、投資を行っています。

ヘルスケア施設に関しては、地域、規模、テナント(オペレーター)等の特性に応じた個別分析を行ったうえで、

マーケットの規模や特質、地域経済の情勢、競合施設の状況等を総合的に勘案して投資機会を判別し、三大都市圏(※1)を中心に分散投資を検討しています。

※1 三大都市圏:東京経済圏、大阪圏及び名古屋圏。また、大阪圏とは、大阪府、京都府、奈良県、兵庫県及び滋賀県の各都市、名古屋圏とは、愛知県、岐阜県及び三重県の各都市

資金調達

今後も、金利動向等の金融環境を注視したうえで、財務の安定性と資金調達コストの最適バランスを実現すべく様々な選択肢の中から、最適な資金調達手段を検討・選択し、適切な財務基盤の構築を図る計画です。

【2023年1月期と2023年7月期の運用状況及び分配金の予想の修正】

2022年12月~2023年3月に予定している資産取得(居住用施設2物件、ヘルスケア施設5物件の計7物件)、資産譲渡(居住用施設1物件)に伴い、

2023年1月期と2023年7月期の運用状況と分配金予想の修正をしています。

2023年1月期の運用状況の予想は表4です。

営業収益
[百万円]
営業利益
[百万円]
経常利益
[百万円]
当期純利益
[百万円]
1 口当たり
分配金
[円]
前回発表予想
(2022/9/13)
9,5584,9364,2334,2324,120
今回修正予想9,9165,2114,5124,5114,181
増減額35827527927961
増減率[%]3.75.66.66.61.5
表4:2023年1月期の運用状況と分配金の予想修正(2022年11月28日発表)

前回発表予想から、営業収益は4%弱利益面は5~7%増額をしています。

今回の公募増資による新規取得資産は取得金額で約3.4%の増加率(2,927億円→3,027億円)からすると、

この新規物件取得の規模に対し、営業収益と利益面の修正の割合にほぼ見合っているといえます。

なお、分配金予想に関しては、前回予想から61円増となっています。

2023年7月期の予想は、表3に記載のとおりです。

【格付けの状況】

(2022年7月31日現在)

  • 日本格付研究所(JRC):長期発行体格付「AAー」(安定的)
    (※AA:債務履行の確実性は非常に高い。)

投資口価格の動向

株価指標

【2022/11/29(火)終値時点の数値】

  • 投資口価格(1口当たり):209,300円
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):1.67倍
  • 年間分配金(会社予想):8,321円(2023年1月 4,181円、2023年7月 4,140円)、年間利回り:3.97%

分配金利回り(予想)は3.97%で、上場株式の利回り(東証プライムの単純平均:2.31%(11/28時点))と比較すると、高い水準ですが、J-REITの平均的水準(4~5%台)と比べるとそれほど高くありません

直近5営業期間の分配金は、表5のようになっています。

決算期1口当たり
分配金(円)
2020年7月期4,065
2021年1月期4,066
2021年7月期4,117
2022年1月期4,101
2022年7月期4,101
表5:ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人
直近分配金推移

直近5期の分配金は、1口当たり4,065円~4,117円で推移しており、52円の幅で安定しています。

【投資主優待】

このJ-REITは投資主優待があり、各決算期末(1月・7月)の年2回、1口以上の投資主は、

  • 「長谷工シニアウェルデザイン」日帰り(昼食付)施設見学
  • 「シニアライフカンパニー」前払金プラン入居一時金割引(3%割引)

等々の、同投資法人とパートナーシップを構築しているサポート会社及びヘルスケア施設運営事業者各社の協力を得て、数多くのヘルスケア施設で様々な特色のあるサービスを体験できます。

詳細は、こちらをご参照ください。

【直近の投資口価格推移】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの投資口価格は、2021年7月に高値(246,300円)をつけた後は調整し、今年2月に安値(185,500円)をつけました。

しかしその後はこの安値を更新しておらず、上昇基調で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の投資口価格は、9月中旬に年初来高値(228,300円)をつけた後は下落基調で推移し、10月下旬に安値(203,900円)をつけました。

そして今回のPO発表の翌営業日(11/29)は、1口当たり利益の希薄化懸念からか、前日比 5,500円安(-2.56%)と大きめの陰線をつけて売られ、全ての移動平均線を下抜けています。

今後は、直近の安値(203,900円)を割り込まずに上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

まとめ

【ファンダメンタルズ】

  • 「居住用施設」及び「ヘルスケア施設」への投資を通じて、安定した賃貸収益の獲得と資産規模の着実な成長を実現し、投資主利益の最大化を目指すJ-REITである。
  • テナント又は利用者からの底堅い需要が見込め、長期安定的な収益の獲得が見込める不動産等に厳選して投資を行っている。
  • 2022年7月期の運用状況は、前期比 増収増益で、営業収益利益面ともに微増の結果で着地。
  • 今回の資金調達による資産取得により、2023年1月期の運用状況予想を前回発表予想から、営業収益は4%弱利益面は5~7%増額修正をしており、
    今回の公募増資による新規取得資産は取得金額で約3.4%の増加率(2,927億円→3,027億円)からすると、この新規物件取得の規模に対し、修正された営業収益と利益面の増額の割合はほぼ見合っているといえる。

【インカムゲイン】

  • 分配金の年利回り(予想) 3.97%は、東証プライム上場会社の単純平均2.37%(11/28時点)と比較して高い水準だが、J-REITの平均的水準と比べるとそれほど高くない
  • 直近5期の分配金は、1口当たり4,065円~4,117円で推移しており、52円の幅で安定している。
  • 増資後の分配金は当初予想より増額しているものの、2023年1月期は前期比 80円増2023年11月期は同41円減の予想。
  • 投資主優待があり、各決算期末(1月・7月)の年2回、1口以上の投資主は、
    同投資法人とパートナーシップを構築しているヘルスケア施設で、様々な特色のあるサービスを体験可能

【流動性】

  • 直近の出来高の5日平均は2,587口、25日平均は2,453口で、流動性は平均的な水準

【投資口価格モメンタム】

  • 週足レベルの投資口価格は、2021年7月に高値(246,300円)をつけた後は調整し、今年2月に安値(185,500円)をつけた。
    しかしその後はこの安値を更新しておらず、上昇基調で推移
  • 直近の投資口価格は、9月中旬に年初来高値(228,300円)をつけた後は下落基調で推移し、10月下旬に安値(203,900円)をつけた。
    そして今回のPO発表の翌営業日(11/29)は、1口当たり利益の希薄化懸念からか、前日比 5,500円安(-2.56%)と大きめの陰線をつけて売られ、全ての移動平均線を下抜けている。
  • 今後の投資口価格は、直近の安値(203,900円)を割り込まずに上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目。

以上をふまえ、

レベル
(最低⭐~
最高⭐⭐⭐⭐⭐)
ファンダメンタルズ⭐⭐⭐
インカムゲイン⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐⭐
投資口価格モメンタム⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

参考になればうれしいです!最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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