【上方修正は買いか?】オリエンタルランド(4661)

ディズニーランド銘柄分析
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直近で今期業績予想の上方修正を発表した銘柄に関して、この発表のタイミングで株を買った場合、利益を得ることができるのか?

足元の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムからサービス業種のオリエンタルランドです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

「上方修正」とは?

企業が決算において以前掲げていた予想利益などの数字を引き上げることを指します。

売り上げ増加や環境改善など、想定していなかった要因によって従来予想以上の達成が見込まれるときに発表されます。

SMBC日興証券HPより

特に利益面が上方修正されると、1株当たり利益(EPS)が上昇する可能性が高くなりますので、

株主還元の方針で、配当性向を定めている会社は、配当性向が一定の場合、EPSが上昇すると1株あたりの配当金も高くなり投資家が直接恩恵を受けることになります。

例えば、配当性向を30%と定めている会社が、当初の配当金予想は年間1株あたり30円(EPS=100円)だったとします。

この会社が、業績が好調なため上方修正をして、EPS予想が50%増額され、150円に修正されたとしましょう。

そうなった場合、配当金は配当性向30%と定めていますので、配当金も30円から45円(=150×0.3)と15円増額となり、配当金も1.5倍に増額されることになります。

また、配当金等のインカムゲインだけではなく、キャピタルゲイン(売買益)も得られる可能性は大です。

なぜかというと、上方修正を発表した会社の株は、業績が予想していた以上に良くなったため、株を買いたい投資家が増えますので、株価上昇の大きな要因になるわけです。

ただ時より、会社発表の上方修正後の経営数値がコンセンサス予想(マーケットにおいて支配的になっている予想(数値等))を下回る場合は、「失望売り」といわれ、大きく売り込まれ株価が下落するケースがありますので注意が必要です。

それでは、見ていきましょう!

上方修正の概要

まとめ

2022年10月27日に、2023年3月期通期の業績予想の上方修正をしています。

2023年3月期通期の業績予想は表1です。

売上高
[億円]
営業利益
[億円]
経常利益
[億円]
親会社株主に
帰属する
当期純利益

[億円]
1株当たり
当期純利益
[円]
1株当たり
配当金
[円]
前回(2022/4/27)
発表予想
4,079502506352107.6130
今回修正予想4,421800806559170.7136
増減額3422983002066
増減率[%]8.459.459.358.720.0
表1:オリエンタルランド 2023年3月期通期業績予想数値の修正(2022年10月27日発表)

当初予想と比べ、売上高は1割弱増利益面は6割弱の増額修正をしています。

修正の理由は、

  • 2023年3月期2Qの実績は、商品販売が好調に推移したこと等で、売上高が予想を上回ったことに加え、固定経費が減少したこと等により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益も予想を上回った
  • 通期連結業績予想は、2Qに実績に加え、3Q以降も売上高が好調に推移する見通しであること等から、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を修正した。

としています。

加えて、配当金予想に関しても、年間1株当たり6円増配(30円→36円)しています。

配当修正の理由は、

  • 同社グループは、株主への利益還元を経営の重要政策の一つとして認識しており、安定配当を維持しつつ、「2024 中期経営計画」期間中に配当金を新型コロナウイルス感染症流行前の水準に戻すことを目指している。
  • 2023 年 3 月期2Q決算の実績と通期業績予想の見通しを踏まえ、中間配当は、前回予想の15 円から3円増配18 円とすることとした。また、期末配当も、前回予想の15 円から3円増配18 円に修正する。

としています。

どんな会社?

ディズニー

皆さんご存知の「東京ディズニーランド」や「東京ディズニーシー」等の東京ディズニーリゾートを運営している会社です。

オリエンタルランドは、1960年に「千葉県浦安沖の海面を埋め立て、商業地・住宅地の開発と大規模レジャー施設の建設を行い、国民の文化・厚生・福祉に寄与すること」を目的に設立。

浦安沖の埋め立てに始まり、ディズニーランド誘致の交渉等を経て、1983年に米国外で初のディズニーテーマパークとなる東京ディズニーランドをオープンしました。

2001年には世界で唯一“海”をテーマとした東京ディズニーシーをはじめ、ディズニーホテル、複合型商業施設、モノレールなどを一斉にオープンし、舞浜エリアを今日の東京ディズニーリゾートへと発展させています。

事業セグメントは、「テーマパーク」

ホテルの運営・経営をしている「ホテル」

イクスピアリ(ディズニーリゾート内のショップ&レストラン)の経営・運営、モノレールの経営・運営をしている「その他」があります。

2022年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

  • テーマパーク 79.3%
  • ホテル 17.2%
  • その他 3.5%

となっており、「テーマパーク」が8割弱を占めています。

直近の経営概況

経営状況

【2023年3月期2Q(2022年4月~9月)の経営成績】

(2022年10月27日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比[%])
営業利益
[億円]
(同)
経常利益
[億円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[億円]
(同)
2022年3月期
2Q累計
975
(65.0)
△193
(前年同期
赤字)
△189
(前年同期
赤字)
△141
(前年同期
赤字)
2023年3月期
2Q累計
2,040
(109)
379
(黒字転換)
385
(黒字転換)
264
(黒字転換)
2023年3月期
通期会社予想
(2022年10月27日
修正)
4,421
(60.3)
800
(935)
806
(614)
559
(593)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
46.147.447.847.3
表2:オリエンタルランド 2023年3月期2Q経営成績と通期会社予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は2倍の増収、利益面は黒字転換で好調な結果でした。

2023年3月期通期の業績予想は、上方修正後で、前期比 増収増益で、売上高は6割増、利益面は7~10倍の増益を見込んでおり、

その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上収益、利益面ともに1/2程度でそこそこです。

【2023年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

⼊園者数ゲスト1⼈当たり売上⾼の増加などから売上⾼が増加し、⿊字に転換しています。

その要因として、入園者数増加の要因は、入園者数の制限緩和による増加で、

ゲスト1⼈当たり売上⾼の増加は、

  • アトラクション・ショー収⼊の増加
    • ディズニー・プレミアアクセスの増加
    • 変動価格制による⾼価格帯チケットの構成⽐の増加
    • 東京ディズニーリゾート・バケーションパッケージの増加
  • 商品販売収⼊の増加
    • ⾷品の増加
    • ダッフィー&フレンズ新商品の増加
  • 飲⾷販売収⼊の増加
    • アルコール販売再開による増加

が要因です。

営業利益は、人件費の増加など費用は増加したものの、売上高の増加などにより黒字化しています。

ホテル事業は、販売客室数の制限を緩和したことなどにより⿊字に転換しています。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

セグメント売上高
[億円]
(前年
同期比[%])
営業利益
[億円]
(同)

テーマパーク
1,646
(119)
313
(黒字転換)
ホテル338
(87.6)
69
(黒字転換)
その他56
(28.5)
△4
(前年同期
△9)
表3:2023年3月期2Q セグメント別業績

主力の「テーマパーク」と「ホテル」ともに前年同期比増収黒字転換しており、好調でした。

「その他」に関しては、モノレール事業の増収により、営業損失が改善しています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年3月期2Q末時点で70.0%と前期末(69.6%)から0.4ポイント増加しています。

これは主に、利益剰余金が前期末比で215億円増加したことにより、株主資本が増加したことによるものです。

自己資本比率の数値としては良好なレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

株価指標と動向

株価指標

【2022/10/28(金)終値時点の数値】

  • 株価:20,050円
  • 時価総額:7兆2,919億円
  • PER(株価収益率):122倍

PERは、同業で時価総額が近い、東京都競馬(9672) 13.1倍、ラウンドワン(4680) 16.1倍、常盤興産(9675) 42.6倍と比較すると、高い水準です。

  • PBR(株価純資産倍率):8.68倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):3.66倍
  • 年間配当金(予想):36円(年2回 9月 18円(確定)、3月 18円(予想))、年間利回り:0.17%(配当性向 21.0%)
決算期1株当たり
年間配当金(円)
配当性向
(%)
2018年3月期4016.2
2019年3月期4215.3
2020年3月期4423.2
2021年3月期26
(最終赤字)
2022年3月期28113
表4:オリエンタルランド 年間配当金推移

年利回りは0.17%で、東証プライムの単純平均 2.36%(10/27時点) と低い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株当たり28~44円で推移しており幅があり

配当性向も、10%台~110%で幅があります

この会社は、

株主への利益還元を経営の重要政策の一つと認識しており、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行っています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年3月末に100株以上保有の株主「東京ディズニーランド」または「東京ディズニーシー」どちらかのパークで利用可能な1デーパスポート1枚

400株以上保有の場合は、3月末と9月末の年2回で合計2枚の1デーパスポートが進呈されます。(800株以上:4枚、1,200株以上:6枚、1,600株以上:8枚、2,000株以上:10枚、2,400株以上:12枚)

こちらは、個人投資家にとってかなり人気の株主優待になっています。

100株保有の場合の、配当金+株主優待(1デーパスポート1枚:9,000円相当とします。(日によって1デーパスポートのお値段は変わります。))で利回りは0.62%となります。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、2020年のコロナショック時の安値から高値切り上げ安値切り上げで上昇し、今年の3月に高値(24,850円)をつけました。

しかしその後は調整して、高値を切り下げています

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、8月に高値(21,175円)をつけた後は、下落基調で推移しています。

しかし今回の2023年3月期2Q決算発表と通期業績の上方修正発表の翌営業日(10/28)は、これを好感され、窓を開けて出来高を伴い買われ、前日比 980円高(+5.14%)と急騰しました。

今後は、直近の高値(21,175円)に向かって上昇を継続していくのか、直近の安値(18,740円)に向かって元の値に戻っていくのか、要注目です。

まとめ

レストラン

【上方修正のインパクト】

  • 2023年3月期2Qの実績は、商品販売が好調に推移したこと等で、売上高が予想を上回ったことに加え、固定経費が減少したこと等により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益も予想を上回った
  • 通期業績予想は、2Qに実績に加え、3Q以降も売上高が好調に推移する見通しであること等から、
    前回予想と比べ、売上高は1割弱増利益面は6割弱の増額修正をし、インパクトは大きい
  • 業績の上方修正に伴い、配当金予想も年間1株当たり6円増配(30円→36円)している。

【業績】

  • 今期(2023年3月期)2Qの業績は、テーマパーク事業は⼊園者数ゲスト1⼈当たり売上⾼の増加などから売上⾼が増加し、またホテル事業は、販売客数の制限の緩和により、
    前年同期比 増収増益で、売上高は2倍の増収利益面は黒字転換で好調な結果。
  • 今期の通期予想は、今回の上方修正後で、
    前期比 増収増益で、売上高は6割増利益面7~10倍の増益を見込んでいる。
  • その通期予想に対する進捗率は、2Q終了時点で、売上高、利益面ともに1/2程度でそこそこ

【株主還元】

  • 配当利回りは0.17%(予想)で、東証プライムの単純平均 2.36%(10/27時点) と比較すると低い水準
  • 直近5年間の配当金は、年間1株当たり28~44円で推移しており幅があが、配当性向も、10%台~110%で幅がある
  • 株主優待があり、毎年3月末に100株以上保有の株主に、「東京ディズニーランド」または「東京ディズニーシー」どちらかのパークで利用可能な1デーパスポート1枚400株以上保有の場合は、3月末と9月末の年2回で合計2枚の1デーパスポートが進呈される。
    100株保有の場合の、配当金+株主優待(1デーパスポート1枚:9,000円相当とします。)で利回りは0.62%となる。

【流動性】

  • 直近の出来高の5日平均は13,627百株、25日平均は9,287百株で、流動性はかなり高い水準。(1,000百株を平均水準とした。)

【株価モメンタム】

  • 週足ベースの株価は、2020年のコロナショック時の安値から高値切り上げ安値切り上げで上昇し、今年の3月に高値(24,850円)をつけた。
    しかしその後は調整して、高値を切り下げている
  • 直近の株価8月に高値(21,175円)をつけた後は、下落基調で推移しているが、
    今回の2023年3月期2Q決算発表と通期業績の上方修正発表の翌営業日(10/28)は、これを好感され、窓を開けて出来高を伴い買われ、前日比 980円高(+5.14%)と急騰
  • 今後の株価は、直近の高値(21,175円)に向かって上昇を継続するのか、直近の安値(18,740円)に向かって元の値に戻っていくのか要注目。

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
上方修正の
インパクト
⭐⭐⭐⭐
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(買い)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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