【立会外分売は買いか?】橋本総業ホールディングス(7570)

建設立会外分売
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こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証1部から卸売業種の橋本総業ホールディングスです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

  • 立会外分売とは?
新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。
  • 立会外分売の魅力
    • 前日終値より安く購入可能
      • 立会外分配における買付側の購入価格は確定値段(1本値)で、分売実施日の前日終値よりディスカウントされるのが一般的。過去の例では、約3~5%のディスカウントで実施されています。(ディスカウント率は取引所の規定により最大10%)
    • 買付手数料はかからない
      • 立会外分売による買付は、通常の立会時間内の取引と種類が異なるため一般的に手数料はかからない。(売却時には通常の手数料が発生)
    • 即日売却OK
      • 立会外分売で取得した株式は、実施日(買付当日)から売却することが可能
  • デメリット:抽選で外れることもある
    • 買い申し込みが多いと、抽選ではずれて購入できないこともある。

立会外分売の概要

キッチン

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。分売数量は決まっていて、100株単位で最大500株まで購入できます。

早ければ、8/26(木)の夕刻に、会社側からの適時開示で実施日と分売値段のお知らせがありますので、チェックしてくださいね💖

分売実施予定期間2021年8月27日(金)(8/26発表)
分売数量300,000株
発行済み株数(自己株式を除く)10,124,155株の約3.0%
分売値段2,111 円 (8/26発表)
ディスカウント率2.49 % (8/26発表)
申込単位数量100株
申込上限数量500株
実施の目的一定数量の売却意向があり、発行会社として検討した結果、当社株式の分布状況の改善及び流動性の向上を目的とするもの

分売株数が、発行済み株数(自己株式を除く)の約3.0%とほどほどに多い数量です。

この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は420百株、25日平均は101百株で流動性は低いレベルです。

どんな会社?

住宅

管材類、衛生陶器・金具類、住宅設備機器類(給湯、厨房関連等)、空調機器・ポンプの卸売りを、全国展開している会社です。

2021年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

  • 管材類 28.4%
  • 衛生陶器・金具類 30.4%
  • 住宅設備機器類 17.2%
  • 空調機器・ポンプ 22.7%
  • その他 1.3%

「管材類」と「衛生陶器・金具類」がそれぞれ3割を占めています。

直近の経営概況

経営状況

2022年3月期1Q(2021年4月~2021年6月)の経営成績】(2021年7月28日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年同期比)
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社の所有者に
帰属する純利益
[百万円]
(同)
2021年3月期1Q累計285.2339583383
2022年3月期1Q累計310.6
(8.9%増)
359
(6.0%増)
653
(12.0%増)
815
(112.5%増)
2022年3月期通期会社予想1,350
(2.9%増)
2,600
(4.6%増)
3,400
(3.2%増)
2,300
(2.8%増)
通期予想に対する1Qの進捗率23.0%13.8%19.2%35.4%
表1:橋本総業ホールディングス 2022年3月期1Q経営成績


2022年3月期1Qの業績は、前年同期比 増収増益となっています。

純利益が、経常利益よりも大幅に増加したのは、固定資産売却益を465百万円計上したためです。

通期予想に対する進捗は、売上高はそこそこですが、利益面は少し足りていない状況です。

【2022年3月期1Qの状況、経営成績の要因】

当1Q期間は、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響により景気は依然として厳しい状況にあり、当建設業界においても民間住宅投資は、持家・貸家で着工減が予想され、民間非住宅投資についても前年比マイナスで推移が予想されます。公共投資もマイナスで推移し、業界全体としてマイナスの中で推移すると予想されます。

このような経済状況のなか、当社グループは中長期的な経営戦略に沿って、重点施策を着実に推進するとともに、積極的な営業活動を展開してきました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表2の結果になりました。

「衛生陶器・金具類」「住宅設備機器」がそれぞれ2桁%伸びており、好調です。

セグメント売上高[百万円]
(前年同期比)
管材類9,158
(6.1%増)
衛生陶器・金具類9,315
(14.8%増)
住宅設備機器類5,325
(14.9%増)
空調機器・ポンプ6,891
(1.2%増)
表2: 2022年3月期1Q  セグメント別売上高

管材類

主に、金属管材を中心とした建築設備製品の需要が減少した一方で、製品値上げによる仮需要の発生および新築・リフォームの住宅関連需要が回復したことにより樹脂管材類の需要が増加したことによるものです。

衛生陶器・金具類

主に、昨年同時期に新型コロナウイルスの影響で新築・リフォームの需要が低迷しましたが、今年度は新築・リフォーム共に需要が回復したことによるものです。

住宅設備機器類

主に、昨年同時期に新型コロナウイルスの影響で新築・リフォームの需要が低迷し、今年度も引き続き非住宅物件の需要はやや低迷しましたが、住宅物件は新築・リフォーム共に需要が回復したことによるものです。

空調機器・ポンプ

主に、巣篭り需要で家庭用空調機が伸長した一方で、業務用空調機の需要が減少し、空調分野としては前年並みで推移したことおよび、設備用・工場用のポンプの更新需要が増加したことによるものです。

【財政面の状況】

自己資本比率(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産) ×100)は、2022年3月期1Q末時点で32.1%と前期末(38.4%)から6.3ポイント減少しました。

これは主に、短期借入金が前期末と比較し157億円増加して負債が増えたためです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期の見通し】

2021年5月7日に開示されている、2022年3月期通期の業績予想から変更はありません。

株価指標

株価指標

【8/23(月)終値時点の数値】

  • 株価:2,302円
  • 時価総額:245.1億円
  • PER:10.1倍

PERは、同業で時価総額が近い、クリエイト(3024) 39.7倍、オーテック(1736) 8.3倍と比較すると、低めの水準になっています。

  • PBR:0.95倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):0.75倍
  • 年間配当金(予想):65円(年2回 9月 33円、3月 32円)、年間利回り:2.8%(配当性向 28.6%) 

今期の配当年利回りは、東証1部単純平均の1.92%(8/20時点) からすると高いほうです。

直近5年間の配当金と配当性向は、表3のようになっています。

決算期年間配当金(円)配当性向(%)
2017年3月期29.121.1
2018年3月期31.818.9
2019年3月期36.420.6
2020年3月期5023.9
2021年3月期6027.2
※表3 橋本総業HLDGS 年間配当金推移

直近5年間は連続増配されています。

配当性向は20~30%と一定ですので、安定した配当金を見込めそうです。

この会社は、

利益配分については、収益力の向上を図ることにより、株主に対し安定した配当を行うとともに、業績に応じた利益還元を行うことを基本方針としています。

内部留保金は、経営環境の変化に対応できる企業体質の確立と、経営基盤の維持に努める。としています。

【株主優待制度】

この会社は、株主優待制度があり、3月末に100株以上保有の場合、1,000円相当のクオカードが贈呈されます。

配当金+ 株主優待(1,000円相当)の年利回りは3.3%になります。こちらはうれしいですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

株価は、昨年のコロナショック時の安値(1,366円)を付けた後は、ずっと52週移動平均線を下回らずに、右肩上がりの上昇トレンドを継続しており好調です。

<日足チャート(直近3カ月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、高値(7/2:3,035円)を付けた後、2,700円~3,000円のレンジでもみ合っていましたが、今回の立会外分売を発表した翌営業日(8/23)に、短期的な需給悪化懸念からか、出来高を伴い大きく下げました。

昨年の12月初めの2,300円付近に節目がありますので、これを下抜けてくると、もう一段下げる可能性があります。

まとめ

まとめ

【業績】

  • 2022年3月期1Qの経営成績は、新築・リフォームの住宅関連需要が回復したことにより、前年同期比 増収増益となっており好調。特に純利益は、固定資産売却益があったため前年同期比2倍以上となっている。
  • 通期計画に対する進捗率は、1Q終了時点で、営業利益と経常利益は20%に達していないということで、季節性要因で四半期によって売上が偏っている可能性もあるが、この遅れは少し気になる。

【株主還元】

  • 直近5年間で配当金は連続増配されている。
  • 株主優待制度もあり、3月末の100株以上保有の株主に、クオカード1,000円相当が贈呈され、配当金と合わせた年利回りは3.3%になっている。

【流動性】

  • 直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は420百株、25日平均は101百株。流動性は低いレベル。
  • 分売数量は、発行済み株数(自己株式を除く)の約3.0%とほどほどに多い数量。

【株価モメンタム】

  • 昨年のコロナショック以降、ずっと右肩上がりの上昇トレンドを継続している。
  • 直近では、立会外分売発表後、短期的な需給悪化懸念からか急に値を下げた。2020年12月につけた安値(2,300円)を下抜けてくると、もう一段下げる場面もありそう。

以上のことから、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐⭐
配当を含む株主還元⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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