【8月権利:高配当銘柄は買いか?】東京個別指導学院(4745)

学習塾銘柄分析
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こんにちは!

8月権利確定銘柄の中で高配当銘柄(年利回り4%以上)に絞り、権利確定日に向けて買うべき銘柄なのか、事業内容や直近の経営状況、客観的な株価指標や株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証1部から、サービス業種の東京個別指導学院です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

どんな会社?

黒板

ベネッセホールディングス傘下の、生徒1人ひとりの「目的別」「能力別」「性格別」に対応した学習指導塾を運営している会社です。

強みとして、

  1. 多様なニーズに対応できる完全オーダーメイドの個別指導
  2. 講師の質・指導力の高さ
  3. 全教室直営の高い顧客満足度

が挙げられます。

2021年2月期末時点では、

  • 個別指導塾事業 計261教室
    • 首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)202教室
    • 関西地区(大阪府、兵庫県、京都府)45教室
    • 東海地区(愛知県)8教室
    • 九州地区(福岡県)6教室
  • ベネッセサイエンス教室・ベネッセ文章表現教室事業(全16教室。うち、12教室は個別指導教室との併設)
    • 東京都10教室
    • 神奈川県5教室
    • 埼玉県1教室

首都圏の教室数が多いですね。

教室展開としては、業容拡大に向けて都心部を中心にドミナント出店地域を特定し、その特定地域内に集中した店舗展開を行うことで経営効率を高める一方で、地域内でのシェアを拡大し、他小売業の優位に立つこと)をして、地域内のブランド力強化を推進しています。

連結子会社として、人財開発に関する研修の企画及び実施人事・人財開発に関するコンサルティングをしている「HRBC株式会社」があります。

2021年2月期の売上高構成比は、

  • 個別指導塾 計 98.4%
    • 小学生 9.7%
    • 中学生 33.8%
    • 高校生 54.9%
  • その他事業 1.6%

となっており、個別指導塾の高校生の割合が半分以上を占めています。

直近の経営状況

経営状況

【2022年2月期1Q(2021年3月~5月)の経営成績と今期(2022年2月期)の見通し】

決算期売上高[百万円]
(前年同期比)
営業利益[百万円]
(同)
経常利益[百万円]
(同)
四半期純利益[百万円]
(同)
2021年2月期1Q実績2,134△1,762△1,753△1,389
2022年2月期1Q実績4,322
(102.5%増)
△621
(-)
△620
(-)
△451
(-)
2022年2月期通期会社予想22,132
(15.6%増)
2,204
(259.3%増)
2,205
(240.4%増)
1,413
(458.5%増)
通期計画に対する1Qの進捗率19.5%

今期(2022年2月期)1Qの経営成績は、前年度同期比で増収で利益面は赤字幅が縮小しました。

今期の通期計画に対する進捗率は、売上高は20%に届かず、利益面は通期計画と相当な差がありますので、あまり良くないという印象です。

状況や要因としては、

4月25日から4都府県に緊急事態宣言が発出され、その後、期限の延長や対象地域が追加される等、感染状況に引き続き注意が必要な状況で推移し、

当社は、お客様や従業員の安全・安心を第一に、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底しながら、すべての教室を通常通り開校しています。

また、生徒がご自宅にいながら個別指導授業を受講できるオンライン個別指導サービスも引き続き提供。さらに、学校や部活の予定などお客様のご希望に合わせてオンラインと対面指導を切り替えられるハイブリッド個別指導として、安全や安心はもちろん、利便性や学習効率の向上といった付加価値を提案しています。

生徒募集について、新型コロナウイルス感染症の影響により変化するお客様の塾検討行動を想定したマーケティング活動を実施し、問合せは堅調に推移しました。一人ひとりに合わせた質の高い教育サービスをお客様に評価され、退会率についても低水準で推移した結果、2021年5月末時点の在籍生徒数は30,358名(昨年同月比118%)となりました。一昨年の2019年5月末の在籍生徒数(29,866名)に対しては101.6%となり、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前の水準を回復しています。

拠点開発については、都市部を中心としたドミナント戦略を軸に、地域内でのブランド力強化を目指しました。2021年3月に東京個別指導学院千歳烏山南口教室(東京都)、同国領教室(東京都)を新規開校。2021年6月にも東京個別指導学院武蔵中原教室(神奈川県)、同三田教室(東京都)を新規開校しました。

これらの結果、売上高は、在籍生徒数の増加による授業料売上高の増収や春期講習会売上高の堅調な推移などにより、前年同期比 102.5%増の増収。

営業損失は、賃料や人件費など固定費の支出や講師給与の増加があったものの、増収による増益で、前年同期比より赤字幅を縮小しています。

当社の業績は教育事業の性質上、夏期・冬期講習会等が実施される2Q(2021年6月~8月)と4Q(2021年12月~2022年2月)に売上高が大きくなります。一方で、1Q(2021年3月~5月)は、新学年を迎える時期に合わせて生徒募集活動を活発に行い、広告宣伝に係る投資を集中的に実施することから、季節変動要素として一時的に損失を計上する傾向にあります。

【財政面】

自己資本比率(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産) ×100)は、2022年2月期1Q末時点で73.1%と前期末(72.2%)から0.9ポイント上がっており、問題ないレベルです。(目安:20%以上は健全としています。)

【今期の見通し】

2021年4月12日に発表された、2022年2月期の通期業績予想は今のところ変更はされていません。

【中期経営計画】

昨年2020年10月に、中長期ビジョン「VISION2030」及び、2022年2月期からスタートする3ヵ年の新中期経営計画「ホスピタリティ経営2023」を公表しています。

「VISION2030」では、2030年に創業以来 35 年かけて積み重ねてきた KPI 数値(講師数、在籍生徒数、個別指導事業売上高)を今後 10 年間で 2 倍にすることを目標としています。

東京個別指導学院 VISION2030
東京個別指導学院HPより抜粋

「VISON2030」を実現するためのファーストステップとして、2022 年 2 月期~2024 年 2 月期の 3 か年の新中期経営計画「ホスピタリティ経営 2023」の数値計画は、以下になっています。

東京個別指導学院HPより抜粋

特に、営業利益と営業利益率は、前期(2021年2月期)より大幅にアップする計画ですので、こちらの数値は高い目標になっています。

株価指標

株価指標

【7/19(月)終値時点の数値】

  • 株価:620円
  • 時価総額:336.6億円
  • PER:24.0倍

PERは、同業で時価総額が近い、明光ネットワーク(4668) 20.8倍、リソー教育(4714) 31.0倍と比較すると、中間的な水準です。

  • PBR:3.99倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):18.8倍

【株主還元】

<配当>

年間配当金(会社予想):26円(年2回 8月 13円、2月 13円)、年間利回り:4.2%(配当性向 99.9%)

※直近5年間の配当金と配当性向は、以下のようになっています。

決算期年間配当金(円)配当性向(%)
2017年2月期2698.1
2018年2月期2680.9
2019年2月期2673.1
2020年2月期2672.9
2021年2月期26500
※東京個別指導学院 年間配当金推移

配当金は、直近では5年連続26円と安定しています。

株主還元方針は、

  • 配当性向50%以上を維持する。
  • 今後の業績推移や成長投資、事業継続性等を勘案しながら、安定的な利益還元に努めていく。

としています。

<株主優待>

2月末の100株以上保有の株主に株主優待品(お米、紅茶、タオルセット、図書カード等、1,500円相当)が贈呈されます。

100株保有の場合は、配当金+優待(1,500円相当)の利回りは6.6%です。

【直近の株価の値動き】

週足チャート(直近2年間):

出所:楽天証券サイト

株価は、昨年のコロナショック前の水準(630円)にすでに戻っており、今年1月に高値701円を付けました。

その後は、高値切り下げ安値切り上げで、三角持ち合いの状況です。

今後は、この三角持ち合いを上抜けるのか下抜けるのかが、ポイントでしょうか。

まとめ

まとめ

【業績】

今期(2022年2月期)1Qは、前年同期比で2倍以上の売上があり、営業損失は縮小している。

今期からスタートする3ヵ年の新中期経営計画を掲げ、今期の計画は営業利益率10%と高い目標(前期は営業赤字)を設定しており、

また、夏期・冬期講習が実施される2Q(2021年6月~8月)と4Q(2021年12月~2022年2月)に売上高が大きくなるという業態のため、今期2Q以降の業績に期待感がある。

【株主還元】

直近5年の配当は、年間26円と安定している。また、会社の方針は配当性向50%以上を掲げており、安心感がある。

【流動性】

直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は1,601百株、25日平均は1,216百株。流動性は平均的なレベル。

【株価モメンタム】

高配当であることから8月権利の配当取りで、直近の三角持ち合いを上側に抜けくる可能性があり、株価上昇が期待できる。

以上をふまえ、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐⭐
配当、株主優待を含む株主還元⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐⭐(買い)
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

参考になればうれしいです!最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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