こんにちは!
直近で公募増資・売出(以下、PO)を実施した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益は出たのか?
受渡期日当日と1週間後の結果を検証しました。
今回は、受渡期日が2024年7月のインヴィンシブル、8月のコンフォリア・レジデンシャル、スターアジア不動産です。
最後までお付き合いいただけると嬉しいです💖
発行価格とその後の投資口価格推移
まずは、発行価格で買って1週間(5営業日)後まで保有した場合、含み益なのか含み損なのか?確認していきましょう!
※売買手数料は考慮していません。
受渡期日の寄付又は大引けと1週間(5営業日)後の結果は、
コンフォリア・レジデンシャルとスターアジア不動産は全ての段階で損益プラス、
インヴィンシブルは受渡日の寄付や大引で売却した場合は損益プラス、受渡日1週間後の寄付の場合は損益マイナスでした。
特に、インヴィンシブルは受渡日の大引で売却した場合は、7.1%の利益が出ています。
POで購入し、利益が出た方おめでとうございます!
ちなみに私は購入なしでした。皆さんはいかがでしたでしょうか?
それでは個別に見ていきましょう!
要因分析:インヴィンシブル(8963)
このJ-REITのPO発表時の評価は、表2のように判断していました。
レベル (最低⭐~ 最高⭐⭐⭐⭐⭐) | |
ファンダメンタルズ | ⭐⭐⭐⭐ |
インカムゲイン | ⭐⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐⭐ |
投資口価格 モメンタム | ⭐⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐⭐ (買い) |
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」
ホテル及び住居をコアアセットとして重点的に投資し、中長期的な観点から、着実な成長と安定的な収益確保を目指して運用を行い、
オフィスビルや商業施設など、ホテル又は住居以外の不動産が本体又は裏付けとなっている不動産等及び不動産対応証券に対しても分散投資を行うJ-REITで、
特定地域における経済情勢の変動リスクを回避し、特定地域への集中投資に伴う震災リスク等を分散し、
着実な運用資産の成長と中長期的に安定した収益の確保を図るため、運用資産にかかる物件の所在地域が分散されたポートフォリオの構築を目指しています。
前々期(2023年12月期)の運用状況は、前期比 増収増益で、営業収益は2割弱増、利益面は2割強の増益でした。
前期(2024年6月期)の運用状況の予想は、今回のPO発表と同時に修正しており、前期比 増収増益で、営業収益は1割増、利益面は1割強の増益を見込んでいました。
今回の資金調達による資産取得により、今期(2024年12月期)の運用状況予想を前回発表予想から、営業収益は2割弱、利益面は2割前後の増額をしており、
今回の公募増資による新規取得資産は取得金額で約19.0%の増加率(5,486億円→6,530億円)で、この新規物件取得の規模の増加割合とほぼ同程度の営業収益と利益面の増額修正がされていました。
分配金の利回り(予想) 5.55%(7/19時点)は、東証プライム上場会社の単純平均2.25%(7/18時点)と比較して2倍超の高い水準で、J-REITの平均予想利回りと比べても高い水準でしたね。
直近5期の分配金は、1口当たり166~1,885円で推移しており、コロナ禍ではホテルの稼働率が落ち込んだため、分配金も極端に減少していました。
今回の増資後の2024年12月期の分配金は前回予想より50円増額し前期比 96円減、2024年6月期は同98円増の予想でした。
また、投資主優待があり、毎年6月末と12月末の投資主はシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルやマイステイズホテルグループの対象ホテルで、割引価格で宿泊できる点は魅力的でしたね。
投資口価格モメンタムは、2年間ずっと、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移しており、2024年5月に高値(73,100円)をつけていました。
直近の投資口価格は、5/7に年初来高値(73,100円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移しており、6/28に安値(64,400円)をつけました。
そして今回のPO発表の翌営業日(7/19)は1口当たり利益の希薄化懸念により、窓を開けて、前日比 1,100円安(-1.63%)と急落しましたね。
その後の投資口価格は、直近の安値(64,400円)を下抜けずに上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】インヴィンシブル投資法人(8963) <2024年7月実施>
【PO発表後の投資口価格の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表以降は下落基調で、一旦は直近の安値(64,400円)を割り込みました。
しかし、発行価格等決定日の2営業日後以降は上昇に転じ、受渡日(7/31)には発行価格(63,602円)を大きく上回って推移しました。
しかし、8月初旬のいわゆる「植田ショック」で急落し、受渡日の1週間後には発行価格を下回りました。
要因分析:コンフォリア・レジデンシャル(3282)
このJ-REITのPO発表時の評価は、表3のように判断していました。
レベル (最低⭐~ 最高⭐⭐⭐⭐⭐) | |
ファンダメンタルズ | ⭐⭐⭐ |
インカムゲイン | ⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐ |
投資口価格モメンタム | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」
2013年2月に東証に上場し、東京圏の賃貸住宅を中心に、単身・小家族世帯をターゲットとした都市型賃貸レジデンス「コンフォリア」シリーズのコンセプト、ノウハウに基づく投資及び運用を行い、「収益の安定性」と「成長性の重視」を両立しているJ-REITで、
スポンサーである東急不動産を中心とする、東急不動産ホールディングスグループ会社の事業との有機的な連携による一連の価値のバリューチェーンが、資産規模拡大(外部成長)及び資産価値の維持・向上(内部成長)の両面において同投資法人の価値を高めていました。
2024年1月期の運用実績は、前期比 減収増益で、営業収益は微減、利益面は微増でした。
2024年7月期の運用状況の予想は、前期比 増収増益で、営業収益、利益面ともに微増を見込んでおり、
2025年1月期の運用状況の予想は、今回のPO発表と同時に修正し、前期比 増収増益で、営業収益は微増、利益面は1割弱の増益を見込んでいました。
今回の資金調達による資産取得により、今期の運用状況予想を前回発表予想から、営業収益は2%強、利益面は5%弱の増額修正をしており、
今回の公募増資による新規取得資産(譲渡資産含む)は取得金額で約2.6%の増加率(3,187億円→3,271億円)で、営業収益や利益面の増額の割合とほぼ同じで、運用状況の修正は妥当といえました。
分配金の利回り(予想) 3.67%(7/12時点)は、東証プライム上場会社の単純平均2.23%と比較して高い水準で、J-REITの平均予想利回りと比べると低い水準でした。
直近5期の分配金は、1口当たり5,334~5,660円で推移しており、連続増配を継続中の点は魅力的でしたね。
そして、今回の増資後の次期(2025年1月期)の分配金は、前回予想から1口当たり80円増額し前期比 90円増の予想でした。
投資口価格モメンタムは、2023年7月に高値(358,500円)をつけるまでは上昇基調でしたが、
その後は下落に転じ、2024年3月の安値(277,900円)を底にして、278,000~355,000円程度のレンジ内で推移していました。
直近の投資口価格は、5/7に年初来高値(353,500円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移し、7/9に安値(306,000円)をつけましたが、
以降は上昇転換の兆しを見せはじめ、5日移動平均線の上に浮上しましたね。
その後の投資口価格は、今回のPO発表を受け1口当たり利益の希薄化懸念を嫌気され、下落を予想し、
直近の安値(306,000円)や3月につけた年初来安値(277,900円)を割り込まずに上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】コンフォリア・レジデンシャル投資法人(3282) <2024年8月実施>
【PO発表後の投資口価格の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表の翌営業日(7/16)は、窓を開けて下落しましたが、その後はほぼヨコヨコの展開でした。
そして、8月初旬の日経平均の大幅下落の地合いでも、年初来安値は割り込まずに、
その後は右肩上がりの上昇基調で推移しています。
要因分析:スターアジア不動産(3468)
このJ-REITのPO発表時の評価は、表4のように判断していました。
レベル (最低⭐~ 最高⭐⭐⭐⭐⭐) | |
ファンダメンタルズ | ⭐⭐⭐ |
インカムゲイン | ⭐⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐⭐ |
投資口価格 モメンタム | ⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」
オフィス、商業施設、住宅、物流施設、ホテル及び学生専用レジデンスを投資対象とする総合型REITとして、
収益の「安定性」と「成長性」を同時に取り込むことのできるポートフォリオの構築を通じて投資主の利益の最大化を目指しており、
スポンサーであるスターアジアの不動産投資戦略を背景とし、 そのノウハウと豊富な運用資産を活用した着実な成長をしています。
2024年1月期の運用実績は、前期比 増収増益で、営業収益は1割強増、利益面は1割強~2割増でした。
2024年7月期の運用状況の予想は、今回のPO発表と同時に上方修正し、前期比 増収増益で、営業収益、利益面ともに微増を見込んでおり、
2025年1月期の運用状況の予想は、今回の資金調達による資産取得により、今期の運用状況予想を前回発表予想から、営業収益は1割強、利益面は1~2割の増額修正をし、
今回の公募増資による新規取得資産は取得金額で約13.6%の増加率(2,433→2,765億円)からすると、修正された営業収益や利益面の増額の割合は、今回の取得資産の増加率とほぼ見合っており妥当といえました。
分配金の利回り(予想) 5.71%(8/20時点)は、東証プライム上場会社の単純平均2.23%(8/19時点)と比較して2倍超の高い水準で、J-REITの平均予想利回りと比べても高い水準でしたね。
直近5期の分配金は、1口当たり1,476~1,596円で推移していました。
そして、今回の増資後の2025年1月期の分配金は、前回予想から変わらずで、前期比 58円減、2025年7月期は同15円増の予想でした。
投資口価格モメンタムは、2023年3月に安値(52,300円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、
2024年5月に高値(63,100円)をつけましたが、その後は調整していました。
直近の投資口価格は、8/5に年初来安値(52,600円)をつけるまでは下落基調で推移していましたが、その後は上昇に転じ、
今回のPO発表の翌営業日(8/20)は、POによる1口当たりの希薄化懸念から、窓を開けて出来高を伴い、前日比 2,200円安(-3.91%)と急落しましたね。
その後の投資口価格は、年初来安値(52,600円)を割り込まずに、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】スターアジア不動産投資法人(3468) <2024年8月実施>
【PO発表後の投資口価格の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
年初来安値(52,600円)を割り込まず、発行価格等決定日(8/22)以降は上昇に転じ、受渡日(8/29)の前日に高値をつけました。
しかしその後は続かず、1口当たり利益の希薄化と地合いが良くなかったこともあり、下落基調で推移しています。
まとめ
インヴィンシブル(8963)、コンフォリア・レジデンシャル(3282)、スターアジア不動産(3468)のPO予想と一週間(5営業日)後の株価は、表5の結果になりました。
銘柄名 | 事前予想 | 結果(損益)[円] (「受渡日の1週間 (5営業日)後始値」 ー「発行価格」) (騰落率[%]) | 判定 |
インヴィンシブル | 買い | -1,702 (-2.7) | × |
コンフォリア・ レジデンシャル | 中立 | +14,794 (+5.0) | × |
スターアジア 不動産 | 中立 | +558 (+1.1) | 〇 |
※事前予想の「買い」は3%以上の上昇、「中立」は±3%、「見送り」は3%以上の下落を想定しています。
今回は1勝2敗、勝率0.333。反省です(__)
今回はインヴィンシブルとコンフォリア・レジデンシャルは、8月初旬の日経平均の急落に巻き込まれました。
インヴィンシブルはその影響をもろに受けましたが、
一方、コンフォリア・レジデンシャルは多少は影響があったものの、それをものともせず、その後は順調に上昇しています。
今後の個別動向ですが、
インヴィンシブルは、8月初旬の安値を割り込み、下落基調を継続中です。
ただ、分配金利回りが高いですので、12月の分配金の権利取りに向けて、いずれは上昇に転じてくるものと考えています。
コンフォリア・レジデンシャルは、右肩上がりの上昇基調で投資口価格は好調です。
このままどこまで上昇していくのか楽しみです。
スターアジア不動産は、8月初旬の安値を割り込む寸前まで投資口価格は落ち込んでいます。
ただ、分配金利回りの高さと総合型J-REITとして、「安定性」と「成長性」を同時に取り込みながらの安心感での買いが入ってくることに期待です。
参考になればうれしいです✨
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。