こんにちは!
7月権利確定銘柄の中で高配当銘柄(年利回り4%以上)に絞り、権利確定日に向けて買うべき銘柄なのか、事業内容や直近の経営状況、客観的な株価指標や株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。
今回は、東証1部から、卸売業種の菱洋エレクトロです。
最後までお付き合いいただけるとうれしいです!
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「半導体」とコンピューター製品をはじめとする「ICT(Information and Communication Technology)」の2つの事業基盤を柱に、それぞれの強みを活かした「サービス・ソリューション」にも注力している専門商社です。
事業内容としては、
- 半導体/デバイスの販売
- ICT製品の販売
- 組み込み製品の販売
- 上記に関わる設計・開発及び技術サポート
- 上記に関わる各種サービス
をしています。
2022年1月期1Q(2021年2月~4月)の品目別の売上高構成比は、
- 半導体/デバイス 51.0%
- ICT/ソリューション 49.0%
となっており、ほぼ均等に売上があります。
同じ期間の、地域別の売上高構成比は、
- 日本 71.7%
- アジア 28.3%
となっており、7割が日本での売上です。
直近の経営状況
【2022年1月期1Q(2021年2月~4月)の経営成績と今期(2022年1月期)の見通し】
決算期 | 売上高[百万円] (前年同期比) | 営業利益[百万円] (同) | 経常利益[百万円] (同) | 四半期純利益[百万円] (同) |
2021年1月期1Q実績 | 25,000 | 511 | 525 | 371 |
2022年1月期1Q実績 | 26,459 (5.8%増) | 457 (10.6%減) | 540 (2.9%増) | 423 (14.0%増) |
2022年1月期通期会社予想 | 100,000 (4.4%増) | 2,000 (57.9%増) | 1,950 (115.4%増) | 1,350 (67.5%増) |
通期計画に対する1Qの進捗率 | 26.5% | 22.9% | 27.7% | 31.3% |
今期(2022年1月期)1Qの経営成績は、増収減益ですが、経常利益と純利益は増益となりました。
今期の通期計画に対する進捗率は、可もなく不可もなくといった進捗です。
状況や要因としては、
当社グループが属するエレクトロニクス業界は、引き続き堅調なテレワーク需要や巣ごもり需要に加え、自動車や通信分野を中心に需要回復が進む一方、昨年後半からは世界的な半導体の供給不足問題が生じており、その影響は半導体の供給だけに留まらず、パソコンやサーバー、モニターなどのITハードウェア製品の供給にも波及している状況です。
品目別の2022年1月期1Qの業績は、
<半導体/デバイス>
売上高 135.5億円で、前年同期より24.9億円(22.6%)増加。これは、主にデジタル家電向け半導体が増加したため。
<ICT/ソリューション>
売上高 129.5億円で、前年同期より10.3億円(7.4%)減少。これは、主にパソコン用ソフトウェアが減少したため。
「半導体/デバイス」の売上は20%強の増加、「ICT/ソリューション」は減少しました。
地域別では、
<日本>
パソコン用ソフトウェアが減少したことにより、売上高は189.8億円で、前年同期より10.3億円(5.1%)減少し、セグメント利益は4.3億円で、前年同期より0.7億円(14.5%)減少。
<アジア>
デジタル家電向け半導体が増加したことにより、売上高は74.8億円で、前年同期より24.9円(49.9%)増加し、セグメント利益は0.7億円で、前年同期より0.5億円(224.2%)増加。
日本向けは減収減益ですが、アジア向けは増収増益となり、特に利益は2倍以上の結果で好調です。
【財政面】
自己資本比率(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産) ×100)は、2022年1月期1Q末時点で61.1%と前期末(64.0%)から2.9ポイント下がっています。60%以上(目安:20%以上は健全としています。)ですので問題ないレベルです。減少した要因としては、配当金支払い(9.6億円)により利益剰余金が減少したためです。
【今期の見通し(の会社コメント)】
2022年1月期の通期業績予想は、新規商権の立ち上がりやオンライン資格確認の導入開始に伴う需要の取り込みなどを背景に半導体/デバイス、ICT/ソリューションともに増収を見込むほか、
前期に計上した一過性の営業外費用(自己株式取得費用)がなくなることを前提としています。
2021年3月11日会社発表時の予想数値から変更はありませんでした。
株価指標
7/7(水)終値時点の数値
- 株価:2,598円
- 時価総額:696.3億円
- PER:33.4倍
PERは、同業で時価総額が近い、リョーサン(8140) 19.0倍、新光商事(8141) 20.3倍と比較すると、高い水準となっています。
- PBR:1.18倍
- 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):4.3倍
- 年間配当金(会社予想):120円(年2回 7月 60円、1月 60円)、年間利回り:4.6%(配当性向 154%)
※直近5年間の配当金は、以下のようになっています。
決算期 | 年間配当金(円) | 配当性向(%) |
2017年1月期 | 40 | 119 |
2018年1月期 | 60 | 691 |
2019年1月期 | 60 | 144 |
2020年1月期 | 80 | 151 |
2021年1月期 | 180 | 512 |
配当は、前年と同じ年もありますが、基本的には増配傾向です。前期(2021年1月期)は、記念配当60円(会社設立60周年記念配当)ということで、普通配当120円に加え、合計 年180円配当でした。
配当性向は、100%を超えている年が多く、やや過剰に出しすぎの面もありますが、下記の会社の配当方針にもありますように、「純資産配当率(DOE):5%」を目安としており、株主資本を基準に配当金を算出していますので、問題ないと考えます。
会社の配当の基本方針としては、
安定した経営基盤の維持ならびに今後の事業拡大に取り組む一方、財政状態や経営環境等を勘案しながら株主還元を行っており、「純資産配当率(DOE):5%」を目安とした安定的な配当を実施する。としています。
またこの会社は、株主優待もあり、1月末時点の1,000株以上の株主(ただし、500株以上保有で1年以上継続の株主も含む)に、3,000円相当のギフト商品と会員限定の優待サービスがあります。
週足チャート(直近2年間):
株価は、昨年のコロナショック前の水準(1,810円)を軽く超え、その後は上昇が続き、今年の初めに倍の高値(3,600円超)を付けています。その後は下落基調で、直近1か月では2,500円~2,700円の間でもみ合っている状態です。
前期末(2021年1月末)の記念配当落ちから一気に下落した後、直近ではその下落は緩やかになってはいますが、あまり元気がない印象です。
まとめ
【業績】
今期(2022年1月期)は、特に利益面が前期比50%以上の増益を見込んでおり、1Q終了時点の進捗率は25%ほどと悪くない進捗。
【株主還元】
今期の配当は、記念配が追加された前期と比較すると見劣りはするものの、年利回り4.6%あり魅力がある。また、株数のハードルは高いが株主優待もある。
【流動性】
直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は1,417百株、25日平均は1,309百株。流動性はほどほどに高いレベル。
【株価モメンタム】
直近の株価は緩やかに下落傾向ではあるが、配当取りの権利確定日(7/28)に向けて、徐々に上げてくる可能性はある。
以上をふまえ、
レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐) | |
業績 | ⭐⭐⭐ |
配当、株主優待を含む株主還元 | ⭐⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐(中立) |
と判断しました。
参考になればうれしいです!最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。