こんにちは!
今期黒字転換を見込んでいる会社は、一般的に株価が上がりやすいと言われています。そこで、前期赤字から今期黒字転換を見込んでいて、かつ高配当(予想利回り3%以上)銘柄をピックアップし、今買うべき銘柄なのか?事業内容や直近の経営状況、客観的な株価指標、株価モメンタム等を総合的に勘案して判断しました。
今回は、東証1部から電気機器業種のコニカミノルタです。
最後までお付き合いいただけるとうれしいです!
事業内容
1873年の創業以来培ってきた多彩な技術を活用して、情報機器や産業用光学システム、医療用画像診断システムなど、さまざまな分野の事業を展開している会社です。
事業領域としては、大きく以下の4つに分かれています。
- デジタルワークプレイス事業・・・ 複合機とITサービスとの組み合わせにより、オフィス環境の課題解決や最適化に貢献するソリューションを提供
- プロフェッショナルプリント事業・・・デジタル印刷システムに加えて、印刷業務プロセスの効率化や効果を最大化する各種サービスを提供
- ヘルスケア事業・・・病院・クリニックのデジタル化、ネットワーク化を支える革新的な画像診断ソリューションを提供
- インダストリー事業・・・世界最先端のコア技術を活かして、産業・社会の期待に応える高付加価値な材料や機器を開発・提供(計測機器、映像ソリューション(プラネタリウムなど)、機能材料(OLED、素材含む)、光学コンポーネント、インクジェットコンポーネント)
2021年3月期の売上高構成比は、
- デジタルワークプレイス事業 53.9%
- プロフェッショナルプリント事業 19.6%
- ヘルスケア事業 12.6%
- インダストリー事業 13.7%
- その他 0.2%
主力の「デジタルワークプレイス事業」が半分以上を占めています。
直近の経営状況
前期(2021年3月期)通期の経営成績は、
- 売上高 8,633億円(前年比 13.3%減)
- 営業損失 162.7億円
- 税引前損失 200.0億円
- 親会社株主に帰属する当期損失 152.1億円
でした。減収減益で、利益面は、相当な赤字を計上しました。
会社側コメントとしては、
売上高は、コロナ禍の影響のもと、2020年5月に底を打って以降回復傾向を維持し、4Q (2021年1月~3月)は前年同期並みとなった。
事業ユニット別では、ITサービス・ソリューション、ワークプレイスハブ、計測機器、画像IoTソリューション、機能材料、産業印刷、ヘルスケア、インクジェットコンポーネントが増収となった。
地域別では、3Q(2020年10月~12月)で、中国に加え日本やその他アジア地域が増収に転じたが、欧州では9割弱、米国では8割強の回復となり、また4Qでは中国、日本、その他アジアは増収基調を継続し、欧州と米国は9割強までの回復となった。
営業損失は、構造改革関連費用を約80億円計上した影響もあり、大幅な減益となったが、売上高を回復しながらも、1Q(2020年4月~6月)に抑制した販売費及び一般管理費の水準を維持した結果、4Qの営業利益は83億円となり、3Qから更に利益が増加している。
デジタルワークプレイス事業のオフィスユニットの収益力を、2018年度水準に戻すための構造改革や製造原価低減などの施策を実施し、商品の高付加価値化による販売の競争力強化を狙いとして投入した新製品への切り替えは、計画通りに進捗した。構造改革は、2021年3月期に投じた費用を上回る利益押し上げ効果が翌期に発現すると見込んでいる。
としています。
4つの事業領域の中では、唯一「インダストリー事業」だけは、増収増益(売上高 前期比 0.9%増、営業利益 同 8.3%増)となっています。
財務面では、自己資本比率(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産) ×100)が、2021年3月期末時点で43.3%と前期末(43.8%)から0.5ポイント下がっていますが、問題ないレベルです。
2021年3月期の連結キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フロー780億円の収入と、投資活動によるキャッシュ・フロー343億円の支出の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは437億円のプラスとなりました。これは、前期末のフリー・キャッシュ・フロー(マイナス199億円)から、636億円改善しています。
要因として、営業活動のキャッシュフローとして、主に減価償却費及び償却費775億円、営業債権及びその他の債権の減少による増加149億円、棚卸資産の減少による増加137億円によるものです。
今期(2022年3月期)通期の会社予想は、
- 売上高 9,400億円(前年比 8.9%増)
- 営業利益 360億円(同 +522.7億円)
- 親会社株主に帰属する当期純利益 190億円(同 +342.1億円)
としています。
会社側コメントとしては、
新型コロナウイルス感染症の完全な収束時期の見通しは立っておらず、局地的なロックダウンなどにより人々の行動が一定の制約を受けながらも、地域や業種業態によって異なる速度で経済活動が回復していくことを前提とし、事業の稼ぐ力を確実に向上させ、収益構造の変革を行っていく。
重点方針として、次の4点に取り組んでいく。
- オフィスユニットの営業利益を2018年度レベル(営業利益率水準 9%)まで一気に回復させる。
- 新規事業の収益改善を加速:ワークプレイスハブは、戦略変更により開発費を低減し、販売サービスの容易性と顧客提案の受容性の拡大を両立することで、売上の拡大と費用の抑制を行う。プレシジョンメディシン(精密医療)は、RNA検査や中枢神経系画像解析など当社の強みとする高精度な診断サービスに加え、健常者向けDNA検査やがん治験分野を強化することで売上の拡大を図るとともに、次世代シーケンサーやクラウド活用による検査コスト削減を進める。
- 2020年度の総固定費の水準を維持
- オフィスユニットに続く柱となる事業を構築:当社の強みである「イメージング」技術を発展させ、センサーデバイス・画像AI・IoTプラットフォームを三位一体とした当社独自の「画像IoT技術」として、人行動・検査・先端医療の領域で多様なサービス展開を進める。
としています。
また、当社は、2022年を最終年度とする中期経営戦略「DX2022」を、2021年3月に発表。
新型コロナウイルス感染症は、人々の働き方や生活様式、価値観に大きな変容をもたらしましたが、特に行動制限の長期化によりリモートによる働き方が定着しつつあり、予測していたオフィスプリントの減少の時期が大きく早まりました。ペーパーレス化の進展により事業環境が厳しさを増す中でも、利益を生み出し続けるオフィス事業構造改革を成し遂げると宣言しています。
株価指標
6/21(月)終値時点の数値
- 株価:615円
- 時価総額:3,091億円
- PER:16.0倍
PERは、同業で時価総額が近い、冨士フィルムホールディングス(4901) 23.6倍、キャノン(7751) 18.1倍、リコー(7752) 21.3倍と比較すると、低い水準となっています。
- PBR:0.56倍
- 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):2.62倍
- 年間配当金(会社予想):30円(年2回 9月 15円、3月 15円)、年間利回り:4.9%(配当性向 77.9%)
※直近5年間の配当金は、以下のようになっています。
決算期 | 年間配当金(円) | 配当性向(%) |
2017年3月期 | 30 | 47.1 |
2018年3月期 | 30 | 46.0 |
2019年3月期 | 30 | 35.6 |
2020年3月期 | 25 | ―(赤字) |
2021年3月期 | 25 | ―(赤字) |
配当利回りは、4.9%とかなり高い水準で、前期より5円も増配しています。配当性向は35~50%程度ですので高いほうです。株主還元に厚い会社といえるでしょう。
また、この会社は9月末の株主を対象に株主優待制度もあり、100株以上で自社オリジナルカレンダーがいただけます。こちらもうれしいですね!
週足チャート(2年間):
現在の株価は、昨年のコロナショック前の水準(620円程度)と同じくらいです。
昨年の10月末に底(250円程度)を付け、現在はその約2.5倍の水準ということで、急速に回復してきたという印象です。今は現在の株価近辺でもみ合っている状態です。
これを上抜けると、一段高もありうるという状況です。
まとめ
2021年3月期の業績は赤字でしたが、2020年5月を底に徐々にではありますが、回復しています。
特に4Qだけ見ると、営業利益は83億円と通期の赤字と対比すると回復が鮮明になってきています。
また、今年3月に中期経営計画を掲げ、ペーパーレス化の進展による事業環境の悪化の波にもまれながらも、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、改革を実行していくという意志が見られました。今後に期待ですね!
この会社は株主還元に厚く、今期は前期25円から5円増配して、30円(2019年3月期と同水準)としており、配当利回りも年4.9%になっています。
株価は、直近ではもみ合い状態ですが、これを上抜ければ上昇基調に乗る可能性もあります。
以上のことから、
レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐) | |
業績 | ⭐⭐⭐ |
配当、株主優待を含む株主還元 | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐⭐(買い) |
と判断しました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。