【公募増資・売出(PO)は買いか?】グローバル・リンク・マネジメント(3486)

公募増資・売出(PO)
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こんにちは!

公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムから不動産業種のグローバル・リンク・マネジメントです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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  • 公募増資・売出(PO)とは?
既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」「売出」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

POの概要

まとめ

今回のPOは、大株主(現代表取締役 金 大仲氏)からの株式の売出しです。売出価格等決定日や受渡期日、売出数量等は表1のようになっています。

ディスカウント率は、「売出価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%です。

ちなみに、直近の主なPOのディスカウント率は、JR西日本(9021) 3.01%、ゆうちょ銀行(6178) 2.08%、デンソー(3387) 3.02%となっており、ほぼほぼ2~5%程度です。

ただ、ディスカウント率が大きいPOもあり、直近ではENECHANGE(4169)の8.1%が最大です。

注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事(今回はみずほ証券)はじめ、引受人の証券会社で購入申込可能です。

早ければ、5/28(水)の夕刻に、会社側から売出価格等のお知らせが適時開示であります。

このブログ記事も更新しますので、チェックしてくださいね💖

売出価格等決定日2025 年5月 28 日(水)~6月2日(月)までのいずれかの日
受渡期日
(POで買った場合はこの日から売却可能)
売出価格等決定日の5営業日後の日
①株式売出し(引受人の買取引受による売出し)
数量
普通株式 110 万株
発行済み株式総数 16,012,016  の約6.86%
②株式の売出し(オーバーアロットメントによる売出し)
数量
普通株式 16.5 万株(上限の数量)
みずほ証券が売出す。
売出価格(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
主幹事みずほ証券
表1:グローバル・リンク・マネジメント(3486) PO概要

【株式売出しの目的】

  • 同社は、2025年3月に創業20周年である節目を迎え、流動性向上という課題を改善し、より資本市場において評価され、次のステージへと進んでいく必要性を認識している。
  • 今後は、更なる流動性の向上及び株主層の拡大安定的かつ長期的なプライム市場の上場維持基準への適合留保金課税(特定同族会社の特別税率)の対象法人であることの解消を企図し、今回の売出しを決定した。
  • 「流動性の向上及び株主層の拡大」については、同社の浮動株比率を高めることで、新たな投資家層の参加を促進することを目的としている。
  • 「プライム市場の上場維持基準の適合」については、2025年5月14日に開示した1Q決算説明資料で示した通り、同社はプライム市場上場維持基準である流通株式時価総額100億円を超過している。
    今後も、市場環境の変化など予期せぬ事態が発生しても、安定して基準を充たし続けることを目指す
  • また、今回の売出しに伴い、「留保金課税」の対象外企業となることで、継続的な純利益基準向上が期待され、同社の株主還元基本方針である配当性向30%に基づき、株主還元の充実につながると考えている。
  • 売出人である金 大中氏は引き続き代表取締役社長として従前と変わらず、同社経営に全力を注ぐ所存である。
    なお、今回の売出しにより、同社の試算では流通株式比率は約50%となる見込み
  • 同社は、取締役会において、今回の売出しに伴う株式の需給悪化への影響を緩和するとともに、資本効率の向上と株主還元の強化を図り、自己株式の取得を実施することを決議した。

としています。

【株式の売出し数量/流動性】

今回の株式の売出数量は、発行済み株式総数の最大約7.90%(OAを含む)で、

直近の株式の売出のみのPOの売出株数比率(OAを含む)は、マツオカ 11.8%、スズキ 5.6%、テレビ朝日ホールディングス 8.32%でしたので、それらと比較すると中間的な数量です。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株の数量)の5日平均は3,063百株、25日平均は1,011百株(5/21時点)で、流動性は平均的な水準です。(1日 1,000百株を平均的な水準としています。)

【自己株式取得】

今回のPOと同時に、自己株式の取得を合わせて発表しています。

内容は表2です。

取得期間今回の株式売出しの受渡期日の翌営業日から 同年12月30日(火)まで
取得株式の総数普通株式 18 万株(上限)
(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合 1.12%
取得金額の総額3.0 億円(上限)
※取得株数の上限で割ると1株あたり1,666 円換算
取得方法東京証券取引所における市場買付け
表2:グローバル・リンク・マネジメント(3486) 自社株買い概要

(自己株式の取得の変更を行う理由)

  • 同社普通株式の売出しの実施に伴う株式需給への影響を緩和するため、また株主還元水準及び資本効率の向上を目的とする。

としています。

この自社株買いにより、今回の株式の売出数量最大約126万株)に対し、そのうちの最大約14%を市場で買い入れて一時的な需給悪化の緩和を図っているといえます。

どんな会社?

2005年の創業以来、事業を通じた環境・社会課題の解決を目指し、世の中から真に必要とされる不動産、次世代に胸を張れる持続可能なサービスの提供に尽力。

この理念のもと、地球環境や未来との「つながり」を意識し、環境配慮型不動産の開発相続問題への対応(土地企画事業)中古物件のリノベーション(不動産再生事業)など、

強みである「仕入力・企画力」を活かした環境・社会課題の解決に取り組んでいる会社です。

事業内容は、投資用不動産の開発、販売、賃貸管理までをワンストップで手掛ける不動産ソリューションを行っています。

具体的には、マンションの仕入・開発・賃貸及び販売マンションのプロパティマネジメント(PM)業務の受託土地の企画販売オフィスビルの仕入・賃貸及び販売を行っています。

同社は不動産ソリューション事業の単一セグメントです。

直近の経営概況

経営状況

【2025年12月期1Q(2025年1月~3月)の経営成績】

(日本基準(連結):2025年5月14日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2024年12月期
1Q累計
54.5
(△21.7)
163
(△63.7)
38
(△88.8)
15
(△93.9)
2025年12月期
1Q累計
164
(202)
1,814
(11倍)
1,627
(42倍)
996
(66倍)
2025年12月期
通期会社予想
(2025年5月20日
修正)
720
(11.7)
6,700
(16.9)
6,000
(16.8)
4,100
(20.1)
通期予想に対する
1Qの進捗率[%]
22.827.027.124.2
表3:グローバル・リンク・マネジメント 2025年12月期1Q経営成績と2025年12月期通期予想

表3の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は2倍利益面は11~66倍の増益でした。

今期(2025年12月期)通期の業績予想は、今回のPO発表と同時に純利益のみ上方修正(表4参照)しており、前期比 増収増益で、売上高は1割強増利益面は2割前後の増益を見込んでいます。

その通期予想に対する進捗率は1Q終了時点で、売上高利益面ともに2~3割でそこそこです。

【2025年12月期1Qの状況、経営成績の要因】

同社グループは、2025年12月期の計画において掲げたとおり、四半期ごとの業績の平準化を目指して経営を進め、当1Q連結累計期間における連結業績は、主力事業である開発事業において「レジデンス」物件の竣工および引渡しが行われたほか、

土地企画事業(土地企画販売)および再生事業(オフィスビル販売)も概ね計画どおりに進捗しました。

開発事業においては、企画・開発から販売までを手掛け、環境に配慮した「レジデンス」を東京23区内中心に展開しています。

これらの「レジデンス」は主に1棟バルク販売(まとめて販売)を主体とし、当1Q連結累計期間は、353戸の引渡しが完了しました。

土地企画事業については、当1Q連結累計期間において1件の土地企画販売を完了し、再生事業については1棟のオフィスビル販売を完了しました。

いずれの事業においても、期初に策定し公表している四半期ごとの販売契約計画通りに、概ね順調に進捗しました。

DX事業領域においてIT・AI関連事業を展開する子会社であるAtPeak社では、2025年12月期中の黒字化を目指し、国内企業向けにAIソリューションの提供に向けた準備を戦略的に進めました。

このように、各事業が順調に進捗した結果、当1Qの経営成績は、表3の数値の前期比 増収増益でした。

すべての項目において、前年同四半期比を大きく上回り過去最高の実績を達成しています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2025年12月期1Q末時点で22.4%と前期末(31.8%)から9.4ポイント低下しました。

負債及び純資産の、主な前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

  • 負債  +14,969
    • 流動負債 +8,202
      (内訳) 短期借入金 +8,781未払金 +1,7221年内返済予定の長期借入金 △1,947
    • 固定負債 +6,767
      (内訳)長期借入金 +6,768
  • 純資産 △32.7
    • 株主資本 △44.2
      (内訳)利益剰余金 △44.0
    • 新株予約権 +10.8

自己資本比率の数値としては危険水域に近いレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2025年12月期)通期業績予想の修正】

今回のPO発表と同時に、2025年12月期通期の業績予想を従来予想から、純利益のみ上方修正しています。

2025年12月期通期の業績予想は表4です。

売上高
[億円]
営業
利益
[百万円]
経常
利益
[百万円]
親会社株主に
帰属する
当期純利益

[百万円]
1株当たり
当期純利益

[円]
1株当たり
年間配当金
[円]
前回(2025/2/14)
発表予想
7206,7006,0003,800237.3372.5
今回修正予想7206,7006,0004,100256.0677.5
増減額300
増減率[%]7.86.8
表4:グローバル・リンク・マネジメント 2025年12月期通期業績予想数値の修正(2025年5月20日発表)

修正の理由は、

  • 今回の株式売出しの実施に伴い、親会社以外の支配株主の異動が見込まれ、同社は法人税法上の特定同族会社に該当しなくなるため、留保金課税(特定同族会社の特別税率)の対象外となる予定。
  • これにより、2025 年 12 月期における法人税額300 百万円減少し、親会社株主に帰属する当期純利益300 百万円増加する見通し。
    以上の理由により、2025 年 12 月期連結業績予想を上記のとおり修正する。
  • なお、2025 年中期経営計画「GLM100」にて目標として掲げている、2026 年 12 月期及び 2027 年 12 月期の純利益についても、2025 年 12 月期と同様に増加する見通し

としています。

また、配当金に関しても、同社は配当方針として、

「剰余金の配当については、安定した配当を継続することを基本とし、事業収益及びキャッシュ・フローの状況を勘案して決定する。配当性向は30%を目標とし、累進的な配当を行う。」ことを掲げているため、

この方針に基づき、2025年12月期の期末配当予想は 72 円 50 銭としていましたが、業績予想の修正に伴い5円増配し、1株当たり 77 円 50 銭(期末一括)へと修正しています。

株価指標と動向

株価指標

【2025/5/21(水)終値時点の数値】

  • 株価:1,835円
  • 時価総額:294億円
  • PER(株価収益率(予想)):7.74倍

PERは、同業で時価総額が近い、いちご(2337) 9.9倍、霞ヶ関キャピタル(3498) 11.6倍、ヒューリック(3003) 10.2倍と比較すると、低い水準です。

  • PBR(株価純資産倍率):2.53倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):16.8倍
  • 年間配当金(予想):77.5円(年1回 12月)、利回り:4.22%(配当性向 30.2%)

配当利回り4.22%で、東証プライムの単純平均2.75%(5/20時点) と比較すると高い水準です。

表5のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり17.5~65円(2025年4月1日付1/2分割後換算)で推移しており、2022年12月期以降は連続増配を継続中です。

配当性向は、20~40%台で推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
(2025年4月1日付
1/2分割後換算)
配当性向
[%]
2020年12月期17.547.7
2021年12月期17.519.2
2022年12月期26.2528.6
2023年12月期5027.7
2024年12月期6530.5
表5:グローバル・リンク・マネジメント 年間配当金推移

この会社は、

剰余金の配当については、安定した配当を継続することを基本とし、事業収益及びキャッシュ・フローの状況を勘案して決定し、

配当性向は 30%を目標とし、累進的な配当を行うとしています。

【株主優待】

この会社は創業20周年記念株主優待があり、2025年6月と12月末に200株以上保有の株主は、保有株数に応じてデジタルギフト2,500円相当(年間 5,000円相当)が進呈されます。

(600株以上保有の場合:7,500円(年間 15,000円)相当、1,000株以上保有:12,500円(年間 25,000円)相当)

200株保有の場合、配当金+株主優待(5,000円相当)利回りは5.58%となります。

個人投資家にとってうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドが長期間続いており、

2025年5月に上場来高値(2,138円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移しており、PO発表日(5/20)に上場来高値(2,138円)をつけました。

そして今回のPO発表の翌営業日(5/21)は、POによる短期的な需給悪化懸念により、窓を開けて出来高を伴い、前日比230円安(-11.1%)と急落しました。

今後の株価は、75日移動平均線(青線)や直近の安値(1,431円)を割り込まず、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

  • 今期(2025年12月期)1Qの業績は、四半期ごとの販売契約計画通りに、概ね順調に進捗し、
    前年同期比 増収増益で、売上高は2倍利益面は11~66倍の増益過去最高の実績を達成した。
  • 今期業績予想は、今回のPOにより、留保金課税(特定同族会社の特別税率)の対象外となり法人税額が減少することを見込み、今回のPO発表と同時に純利益のみ上方修正しており、
    前期比 増収増益で、売上高は1割強増利益面は2割前後の増益を見込む。
  • その通期予想に対する進捗率は1Q終了時点で、売上高利益面ともに2~3割でそこそこ

【株主還元】

  • 配当利回り(予想)は4.22%(5/21時点)で、東証プライムの単純平均 2.75%(5/20時点)と比較すると高い水準
  • 直近5年間の配当金は、年間1株あたり17.5~65(2025年4月1日付1/2分割後換算)で推移しており、
    配当性向は、20~40%台で推移。
  • 今回のPOと同時に、今回の株式売出しの需給への影響を緩和するため自社株買いを行うことを発表。
    この自社株買いにより、今回の株式の売出数量最大約126万株)に対し、そのうちの最大約14%を市場で買い入れて一時的な需給悪化の緩和を図っている。
  • 創業20周年記念株主優待があり、2025年6月と12月末に200株以上保有の株主は、保有株数に応じてデジタルギフト(200株保有の場合は2,500円相当(年間 5,000円相当))が進呈される。
    200株保有の場合、配当金+株主優待(5,000円相当)利回りは5.58%となる。

【流動性・新株式の発行株数】

  • 今回の株式の売出数量は、発行済み株式総数の最大7.90%で、
    直近の株式の売出を含むPOの売出株数比率(OAを含む)(マツオカ、スズキ、テレビ朝日ホールディングス)と比較すると中間的な数量
  • 直近の出来高5日平均は3,063百株、25日平均は1,011百株(5/21時点)で、流動性は平均的な水準

【株価モメンタム】

  • 週足ベースの株価は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドが長期間続いており、
    2025年5月に上場来高値(2,138円)をつけている。
  • 直近の株価は、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移しており、PO発表日(5/20)に上場来高値(2,138円)をつけた。
    そして今回のPO発表の翌営業日(5/21)は、POによる短期的な需給悪化懸念により、窓を開けて出来高を伴い、前日比 230円安(-11.1%)と急落した。
  • 今後の株価は、75日移動平均線や直近の安値(1,431円)を割り込まずヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか要注目。

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐
株式の売出数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐
(買い)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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