こんにちは!
直近で公募増資・売出(以下、PO)を実施した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益は出たのか?
受渡期日当日と1週間後の結果を検証しました。
今回は、受渡期日が2025年1月のアズワン、丹青社、Speeeです。
最後までお付き合いいただけると嬉しいです💖
発行(売出)価格とその後の株価推移

まずは、発行(売出)価格で買って1週間(5営業日)後まで保有した場合、含み益なのか含み損なのか?確認していきましょう!
※売買手数料は考慮していません。
受渡期日の寄付又は大引けと1週間(5営業日)後の結果は、
アズワンと丹青社は、全ての段階で売出価格に対し損益プラス、
Speeeは、全ての段階で発行価格に対し損益マイナス
でした。
最も利益が出たのはアズワンで、受渡日1週間後(5営業日後)の寄付で売却した場合、12%の損益プラスでした。
POで購入し、利益が出た方おめでとうございます!
ちなみに、私は今回は購入無しでした。皆さんはいかがでしたでしょうか?
それでは個別に見ていきましょう!
要因分析:アズワン(7476)

この会社のPO発表時の評価は、表2のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐⭐ |
株式の売出数量 | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
今期(2025年3月期)2Qの業績は、卸としてハブ機能を発揮できるビジネスを深掘りし、デジタル化・省人化を求める顧客の利便性を高め、更なる事業領域の拡大を推進し、
前年同期比 増収増益で、売上高は1割増、利益面は1割弱増でした。
今期通期業績予想は、主力のラボ・インダストリー部門では、半導体製造等の国内回帰により、クリーン環境を必要とする研究や生産現場の環境構築のための消耗品・計装機器・装置等の需要の増加を見込み、
前期比 増収増益で、売上高、利益面ともに1割弱増を見込んでおり、
その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高、利益面ともに5割弱でそこそこでした。
株主還元は、配当利回り(予想)は2.38%(1/7時点) で、東証プライムの単純平均 2.47%(1/6時点) とほぼ同水準でした。
直近5年間の配当金は、年間1株あたり40~56円(2024年4月1日付の1/2株式分割換算)で推移しており、連続増配を継続中の点は魅力的でしたね。
会社の株主還元方針は、親会社株主に帰属する当期純利益より特別損益の影響を除いた額を基準として、基準額の50%を配当することを目標とする業績連動型の利益配分を行うとしていました。
また、株主優待があり、毎年9月末の年1回、100株以上400株未満保有の株主は1,000円相当のクオカードが進呈され、
100株保有の場合、配当金+株主優待(1,000円相当)で利回りは2.80%となっていました。
株価モメンタムは、2023年10月に安値(2,274円)をつけるまでは下落トレンドで推移していましたが、その後は上昇基調で推移し、翌年7月に高値(3,247円)をつけました。
そしてそれ以降は、高値切り下げ安値切り下げの下落トレンドで推移しており、直近ではすべての移動平均線を下抜けました。
直近の株価は、10/9に高値(3,167円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移し、
そして、今回のPO発表の翌営業日(1/7)は、POによる短期的な需給悪化懸念により、窓を開けて出来高を伴い前日比161.5円安(-6.33%)と急落しました。
ただ、昨年5月につけた年初来安値(2,305円)はかろうじて割り込んでいない状況でしたね。
PO発表後の株価は、年初来安値を更新せず、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO発表時の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】アズワン(7476)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表以降、売出価格決定日(1/15)の1営業日前までは下落基調で推移しましたが、
その後は、POによる需給悪化懸念が後退して上昇基調で推移し、一旦は25日移動平均線(赤線)を超えてきています。
要因分析:丹青社(9743)

この会社のPO発表時の評価は、表3のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐⭐ |
株式の売出数量 | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐⭐ (買い) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
今期(2025年1月期)3Qの業績は、主力の商業その他施設事業やチェーンストア事業の需要が回復し、新改装案件が増加したことから、
前年同期比 増収増益で、売上高は1割増、利益面は8~9割増でした。
今期通期業績予想は、良好な市場環境を背景に需要が堅調に推移したことから、主に商業その他施設事業およびチェーンストア事業において前回予想を上回る見通しとして、今3Q決算発表と同時に上方修正しており、
前期比 増収増益で、売上高は1割強増、利益面は3割弱増でした。
その通期予想に対する進捗率は3Q終了時点で、売上高、利益面ともに7割前後でそこそこでしたね。
株主還元は、配当利回り(予想)は4.34%(1/8時点) で、東証プライムの単純平均 2.46%(1/7時点) と比較すると高い水準でした。
直近5年間の配当金は、年間1株あたり26~42円で推移しており、
配当性向は、50%~300%で幅があります。
会社の株主還元方針は、収益の状況に応じた配当を行うことを基本とし、この方針に基づき配当性向等を考慮し利益の配分を行うとしています。
株価モメンタムは、2023年1月に安値(695円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、翌年7月に高値(1,068円)をつけました。
その後は、一旦は下落基調で推移しましたが、直近では上昇に転じてきていました。
直近の株価は、しばらくヨコヨコの推移でしたが、今3Qの決算と上方修正、増配を発表した翌営業日(12/16)に、これらを好感され、窓を開けて急騰しました。
そして、今回のPO発表の翌営業日(1/8)は、POによる短期的な需給悪化懸念により、窓を開けて出来高を伴い、前日比 59円安(-6.03%)と急落。
PO発表後の株価は、25日移動平均線や75日移動平均線の上をキープし、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO発表時の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】丹青社(9743)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表後、売出価格決定日までは連続陰線が続き、25日移動平均線(赤線)を割り込んで下落基調で推移しましたが、
その後は、POによる需給悪化懸念が後退して、緩やかながら上昇基調で推移しています。
要因分析:Speee(4499)

この会社のPO発表時の評価は、表4のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐ |
新株式の発行数量 株式の売出し数量 | ⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
前期(2024年9月期)通期の業績は、多くの企業におけるDXを活用した業務改善などが活発化した影響もあり、同社サービスに対するニーズが高まり、各領域における新規事業(サービス)の展開へ向けて、ソフトウエア開発等に関する投資を強化し、
前期比 増収減益で、売上高は2割弱増、利益面は営業利益と経常利益は3割前後の減益、純利益は黒字転換でした。
今期(2025年9月期)通期業績予想は、主力のレガシー産業DX事業でユーザ数増加及び提供プロダクト増加により増収ですが、金融DXでは、開発投資を拡大し積極的な人員投資を行っていくため、
前期比 増収減益で、売上高は1割強増、利益面は営業利益と経常利益はほぼ0、純利益は赤字転落を見込んでいます。
株主還元は、配当予想は無配で、かつ創業以来無配でしたが、
成長企業ゆえ、利益配分は収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながることは理解できました。
会社の株主還元方針は、今後においても当面は内部留保の充実を図る予定です。
株価モメンタムは、2024年8月に上場来安値(886円)をつけた後は、急速に値を戻して、同年12月にこの安値の6倍超の高値(5,780円)をつけていました。
直近の株価は、昨年10月に安値(2,250円)をつけた後は、上昇基調で推移し、12/16に年初来高値(5,780円)をつけました。
その後はヨコヨコで推移していましたが、今回のPO発表の翌営業日(1/15)はPOによる1株利益の希薄化と短期的な需給悪化懸念により、寄らずのストップ安で、前日比 1,000円安(-18.5%)で終了しましたね。
PO発表後の株価は、75日移動平均線や節目の3,000円程度で下げ止まり、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO発表時の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】Speee(4499)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表の3営業日後までは下落しましたが、その後は一旦上昇に転じました。
しかしその後は、再び下落基調で推移しており、なかなかPOによる1株利益の希薄化や需給悪化懸念の解消に至っていません。
まとめ

アズワン(7476)、丹青社(9743)、Speee(4499)のPO予想と1週間(5営業日)後の株価は、表5の結果になりました。
銘柄名 | 事前 予想 | 結果(損益)[円] (「受渡日の1週間 (5営業日)後始値」 ー「売出価格」) (騰落率[%]) | 判定 |
アズワン | 中立 | +277.5 (+12.0) | × |
丹青社 | 買い | +65 (+7.6) | 〇 |
Speee | 中立 | -435 (-12.4) | × |
※事前予想の「買い」は3%以上の上昇、「中立」は±3%、「見送り」は3%以上の下落を想定しています。
今回は1勝2敗、勝率0.333。反省ですm(_ _”m)
今回は、明暗が分かれ、アズワンと丹青社は売出価格等決定日又はその営業日前以降に、POによる1株利益の希薄化懸念が後退してきて、反転上昇の値動きとなりましたが、
Speeeは一旦は上昇に転じたものの、再び下落基調で推移しました。
Speeeは今まで上昇トレンドが長く続いていたため、下落に転じるとなかなか元の値に戻るのが困難な状況です。
今後の個別動向ですが、
アズワンは、25日移動平均線との攻防が続いています。
今3Qの決算発表も無事通過しましたので、3月末の配当権利取りに向けての上昇に期待です。
丹青社は、1月末の配当権利取りを通過し、ヨコヨコの展開です。
25日移動平均線を上抜けてくれば、PO発表前の株価に戻っていきそうです。
Speeeは、2月に入りやや底打ち感も見せ始めている状況です。
今1Qの決算発表が間近(予定:2/10)に控えていますので、その結果で株価は大きく動く可能性があります。
参考になればうれしいです✨
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。