【立会外分売は買いか？】テンアライド(8207)

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、買った場合、利益を得ることができるのか？直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証１部から小売業種のテンアライドです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです！

• 立会外分売とは？

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外（＝立会外）に売り出されることからこのように呼ばれる。

• 立会外分売の魅力
  • 前日終値より安く購入可能
    • 立会外分配における買付側の購入価格は確定値段（1本値）で、分売実施日の前日終値よりディスカウントされるのが一般的。過去の例では、約3～5％のディスカウントで実施されています。（ディスカウント率は取引所の規定により最大10％）
  • 買付手数料はかからない
    • 立会外分売による買付は、通常の立会時間内の取引と種類が異なるため一般的に手数料はかからない。（売却時には通常の手数料が発生）
  • 即日売却OK
    • 立会外分売で取得した株式は、実施日（買付当日）から売却することが可能
• デメリット：抽選で外れることもある
  • 買い申し込みが多いと、抽選ではずれて購入できないこともある。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。分売数量は決まっていて、100株単位で最大 10,000株まで購入できます。

8/25(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で実施日と分売値段のお知らせがありますので、チェックしてくださいね💖

分売株数が、発行済み株数（自己株式を除く）の約2.9%とほどほどに多めの数量です。

この銘柄の直近の出来高（売買が成立した株式の数量）の５日平均は242百株、25日平均は157百株で流動性は少し低いレベルです。

どんな会社？

旬鮮酒場「天狗」、和食れすとらん「天狗」、「テング酒場」といった居酒屋を首都圏を中心に全国展開している会社です。

その他にも、「ミートキッチンlog50」「大衆スタンド神田屋」「あげてけや」「てんぐ大ホール」を運営しています。

2022年３月期１Q末時点での、当社の店舗数は、

• 旬鮮酒場天狗 13店舗
• 和食れすとらん天狗（「旬鮮だいにんぐ天狗」「あげてけや」含む） 31店舗
• テング酒場 39店舗
• 神田屋（「てんぐ大ホール」「ミートキッチンlog50」含む）」16店舗

の合計99店舗です。

直近の経営状況

【2022年３月期１Q（2021年４月～2021年６月）の経営成績】（2021年８月10日発表）

2022年３月期１Qの業績は前年同期比減収で、利益面は赤字幅を縮小しています。

通期予想は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、適正かつ合理的な算出が困難であることから、現時点では未定とし、見通しが可能となった時点で、速やかに公表する。としています。

【2022年３月期１Qの状況、経営成績の要因】

外食産業においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた休業要請や酒類提供の制限に加え、外出自粛による来店客数の激減により極めて厳しい経営環境となっています。

当社は、「良いものを安く、早く、清潔に、最高の雰囲気で」という企業理念を体現するために、良質な食材等の仕入、低価格による提供、人材教育、衛生管理を徹底してきました。

こうした観点からも、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対する政府及び自治体からの各種要請に応えるため、店舗の休業・営業時間の短縮等の対応を行い、お客様と従業員の安全・健康を最優先し、衛生管理を徹底してきました。

また、消費者ニーズの変化に対し、弁当等のテイクアウト販売の拡充、宅配サービスの開始、セントラルキッチンにおけるオリジナル製造品の外部販売（スーパー等の小売業者向け販売、楽天による通信販売、自社ホームページによる通信販売「天狗キッチン」及びセントラルキッチン敷地内にある「天狗こだわりマーケット」による直接販売）等の施策を実行しており、本格的に小売業の売上拡大に着手しています。

以上の結果、表１のように、売上高は前期比 約17%減、利益面は、販売費及び一般管理費を削減したものの、売上減の影響により、営業赤字（前期比は赤字幅縮小）となりました。

【財政面の状況】

自己資本比率（自己資本（総資本－他人資本）÷総資産） ×100）は、2022年３月期１Q末時点で21.4%と前期末(11.2%)から10.2ポイント増加しました。

これは主に、本年６月にＤＢＪ飲食・宿泊支援ファンド投資事業有限責任組合に対して、総額15億円の第三者割当増資をし、自己資本の増強をしたためです。

財政的にも厳しい状況が続いています。

株価指標

【８／20(金)終値時点の数値】

• 株価：335円
• 時価総額：93.7億円
• PER：０倍

PERは、同業で時価総額が近い、チムニー(3178) 33.9倍、 ワタミ(7522) ０倍、 大庄(9979) ０倍となっており、チムニー以外は赤字で０倍ですので、比較不可です。

• PBR：12.5倍
• 信用倍率（信用買い残÷信用売り残）：0.09倍
• 年間配当金（予想）：０円（無配）※普通株式の配当。当社が発行する普通株式と権利関係の異なる種類株式（非上場）の配当は別にある。

直近５年間の配当金は、いずれの年も無配です。

【株主優待制度】

100以上保有の株主に、年２回（９月末、３月末）1,000円相当の当社の店舗で使える無料飲食券がいただけます。

※500株以上：5,000円相当、1,000株以上：10,000円相当

100株保有した場合は、1,000円×年２回＝2,000円で年利回りは6.0%となります。店舗がお近くにある方はうれしいですね！

【直近の株価動向】

＜週足チャート（直近2年間）＞

株価は、一昨年の９月につけた高値(455円)から、高値を切り下げて下降トレンドで推移しています。

安値は、昨年のコロナショック時の295円(4/6)でそれ以降切り下がってはいません。

＜日足チャート（直近3か月間）＞

直近の株価は、330～350円のレンジでもみ合いが続いています。

今回の分売発表の翌営業日(8/19)は、多少出来高が増加して株価は下がりましたが、まだこのレンジ内に収まっています。

今後、このレンジを上抜けるのか下抜けるのかがポイントです。

まとめ

【業績】

• 2022年３月期１Qの経営成績は、前年同期比減収で利益面は赤字幅を縮小している。
• 今期(2022年３月期)の会社通期業績予想は、コロナ禍の影響が見通せないため未定。
• コロナ禍による緊急事態宣言発出で、時短営業や酒類提供自粛を強いられており、居酒屋業態は経営が厳しい。現状はこの状況から、出口が見えない。

【株主還元】

• 配当金は無配だが、株主優待制度があり無料飲食券がいただける。100株保有で年利回り6.0%にもなり、近隣に店舗がある場合はお得感がある。

【流動性】

• 直近の出来高（売買が成立した株式の数量）の５日平均は242百株、25日平均は157百株。流動性は低いレベル。
• 分売数量は、発行済み株数（自己株式を除く）の約2.9%とほどほどに多めの数量。

【株価モメンタム】

• 直近２年間では、２年前の９月につけた高値(455円)をずっと超えられていない状態で、低迷が続いている。
• 日足では、330～350円のレンジでもみ合いが続いており、このレンジを上抜けるのか下抜けるのかがポイント。

以上のことから、

と判断しました。

ただし、株主優待狙いで９月末の権利をゲットしたい方は、参加もありと考えます。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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