今回は、5月末権利確定で分配金がいただける、20万円以下で購入可能なJ-REIT(多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品)を3つご紹介します。
※利回りは5/14(金)終値で計算しています。
【J-REITの簡単な説明】
投資信託の仲間であり、我々投資家は、東京証券取引所でJ-REIT(不動産投資法人)商品を購入し、J-REITが、商業施設やホテル、住宅などの不動産を保有・運営してその家賃収入や売却益を得て、その収益の中から分配金として投資家に配分されるものです。
J-REITは全体的に、高配当な銘柄が多く存在します。そして、分配月もばらけていますので、複数の銘柄を保有すると分散投資にもなりますし、ほぼ毎月分配金をいただける嬉しい状況になります。
昨年の3月のコロナショック時にJ-REITの株価が、日経平均以上(下落前の半値以上)下落している銘柄もありましたが、現在はコロナショック前の水準に戻しつつあります。
3472 大江戸温泉リート投資法人 配当利回り 4.7%
主として大江戸温泉物語グループが運営する、大江戸モデルが導入された温泉・温浴関連施設へ重点投資を行っているユニークなJ-REITです。
大江戸モデルが導入された温泉・温浴関連施設は、シニア層を中心とする幅広い顧客層からの継続的な支持により、安定収益と持続的成長を見込むことができます。
保有物件(2020年11月30日現在)は、14物件 361億円となっており、
地域別投資比率は、
- 東海 31.1%
- 四国 27.0%
- 関東 20.0%
が上位を占めています。
取得価格別投資比率は、
- 大江戸温泉物語 レオマリゾート(香川県丸亀市) 27.0%
- 鬼怒川観光ホテル(栃木県日光市) 10.7%
- 大江戸温泉物語 伊勢志摩(三重県志摩市) 10.1%
が上位です。
本投資法人の保有施設におけるテナント業績は、足元の新型コロナウイルス感染症再拡大に伴う消費マインド低下や自粛の動きにより楽観視はできない状況となっていますが、一方で、感染防止対策の徹底による安心感の高まりと、「大江戸モデル」が近隣固定客をメインターゲットとしていることから、顧客回帰の動きも見られています。
これらのことから、本投資法人の投資対象である余暇活用型施設は、インバウンド需要や遠距離からの観光需要等への依存度が高い施設と比較して、相対的により早く集客を回復できる可能性があり、効果的なワクチンやウイルス治療薬の普及に目途がつくなど、感染状況が収束の兆しを見せれば、大きく業績回復する可能性もあるものと本投資法人は考えています。
ただ、2021年5月期は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が取られていることもあり、業績はあまり期待できないかもしれません。
【前期 2020年11月期の運用状況】
- 営業収益 13.6億円(前期(2020年5月期)比 5.2%減 )
- 営業利益 5.9億円(同 12.4%減)
- 経常利益 4.7億円(同 14.4%減)
- 当期純利益 4.7億円(同 14.4%減)
【今期 2021年5月期の運用状況の予想】
- 営業収益 13.4億円(前期(2020年11月期)比 1.0%減 )
- 営業利益 5.8億円(同 1.8%減)
- 経常利益 4.5億円(同 4.0%減)
- 当期純利益 4.5億円(同 4.0%減)
前期の実績は微減ですが減収減益、今期も減収減益の予想となっています。
投資法人が発表した分配金(予想)は、以下のようになっています。
決算期 | 一口当たり分配金 |
2021年5月期 | 1,922円 |
2021年11月期 | 1,875円 |
年間 | 3,797円 |
株価(5/14終値) | 81,200円 |
年配当利回り | 4.68% |
- 週足チャート(2年間):
株価は、昨年のコロナショック前の水準に戻し切れていません。ただコロナショック以降は、上昇基調が続いていますので、ワクチンやウィルス治療薬の普及が進んでくれば、今後の株価も期待できそうです!
8977 阪急阪神リート投資法人 配当利回り 3.9%
阪急阪神ホールディングスグループがスポンサーのJ-REITで、商業用施設、事務所用施設及び複合施設に投資を行っています。原則としてポートフォリオ全体の投資額合計における商業用途区画への投資額を、各決算期現在において50%以上(取得価格ベース)としています。
有名な所では、大阪梅田のグランフロント大阪やHEPファイブが投資先となっています。
重点エリアとしては、関西圏が50%以上としています。
保有物件(2021年1月21日現在)は、31物件 1,695億円、稼働率(2021年3月31日現在)は99.7%となっています。
用途区画別投資比率は、
- 商業用途区画 63.3%
- 商業用途区画(ホテル用使用部分) 5.8%
- 事務所用途区画 30.6%
- その他 0.3%
となっています。
地域別投資比率は、
- 梅田エリア 23.7%
- 阪急阪神路線エリア 42.3%
- その他関西圏 7.7%
- 東京都 21.5%
- その他地域 4.8%
となっています。
本投資法人は、中長期にわたる安定的な収益の確保と投資主利益の最大化を目指しています。優良物件取得に関する競争環境は依然として厳しいものがありますが、個別物件の収益性及びポートフォリオ全体のバランスの両面を考慮して慎重に投資判断を行い、着実な成長を実現を考えています。
【前期 2020年11月期の運用状況】
- 営業収益 59.5億円(前期(2020年5月期)比 7.9%減 )
- 営業利益 25.1億円(同 6.9%減)
- 経常利益 21.5億円(同 7.9%減)
- 当期純利益 21.5億円(同 8.0%減)
【今期 2021年5月期の運用状況の予想】
- 営業収益 58.0億円(前期(2020年11月期)比 2.5%減 )
- 営業利益 23.9億円(同 4.9%減)
- 経常利益 20.6億円(同 4.2%減)
- 当期純利益 20.6億円(同 4.2%減)
前期の実績は減収減益、今期も減収減益の予想となっています。
本投資法人が保有する一部の商業施設やホテルでは、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、大幅に売上が減少したテナントが存在しており、事業継続を支えるため一時的な賃料減額又は支払猶予を受け入れ対応を行っています。
投資法人が発表した分配金(予想)は、以下のようになっています。
決算期 | 一口当たり分配金 |
2021年5月期 | 2,960円 |
2021年11月期 | 2,980円 |
年間 | 5,940円 |
株価(5/14終値) | 151,100円 |
年配当利回り | 3.93% |
- 週足チャート(2年間):
こちらのリートも、コロナショック前の水準には戻していませんが、上昇基調にあります。コロナワクチンや治療薬の普及により、商業施設の業績が戻ってくれば、株価も上昇してくるものと考えます。
8960 ユナイテッド・アーバン投資法人 配当利回り 3.9%
丸紅がスポンサーの、首都圏や全国主要都市とその周辺部を投資地域とし、商業施設、オフィスビル、ホテル、住居等に投資する、総合型J-REITです。用途・地域にかかわらず、中長期にわたり安定的な収益を確保できる不動産に投資しています。
保有物件(2021年3月31日現在)は、133物件 6,714億円、稼働率(2021年3月31日現在)は96.8%となっています。
地域比率は、
- 東京都心6区 21.2%
- 東京23区 7.1%
- 首都圏地域 33.6%
- 地方 38.1%
となっています。
用途別投資比率は、
- 商業施設 28.7%
- オフィスビル 29.5%
- ホテル 24.0%
- 住居 7.7%
- その他 10.2%
となっており、均等に分散されていますね!
本投資法人のポートフォリオは、特定のアセットタイプに偏ることなく構成されていますが、世界各国でCOVID-19の感染拡大、それに伴う経済活動の低迷が長期化しつつある状況において、本投資法人の運用に対し、今期はCOVID-19の影響が継続する見通しです。
そんな中、不動産売買市場の動向を注視しながら、多種・多様な不動産への投資機会を積極的に捉え、多様な取得手法を駆使した厳選投資を継続していくということになっています。
【前期 2020年11月期の運用状況】
- 営業収益 239.5億円(前期(2020年5月期)比 1.6%増 )
- 営業利益 106.4億円(同 0.2%増)
- 経常利益 96.5億円(同 0.2%増)
- 当期純利益 96.5億円(同 0.2%増)
【今期 2021年5月期の運用状況の予想】
- 営業収益 242.2億円(前期(2020年11月期)比 1.1%増 )
- 営業利益 106.5億円(同 0.1%増)
- 経常利益 96.8億円(同 0.3%増)
- 当期純利益 96.8億円(同 0.3%増)
前期の実績は微増ながら増収増益、今期も増収増益の予想となっています。安定した運営をしているというイメージです。
投資法人が発表した分配金(予想)は、以下のようになっています。
決算期 | 一口当たり分配金 |
2021年5月期 | 3,130円 |
2021年11月期 | 3,100円 |
年間 | 6,230円 |
株価(5/14終値) | 160,600円 |
年配当利回り | 3.88% |
- 週足チャート(2年間):
株価は、まだコロナショック前の水準に戻っていません。しかし、ここのところ日足、週足ともに上昇基調となっており、今後の上昇も期待できそうです。
まとめ
7月権利J-REITと比較し、配当利回りに関しては少し見劣りしますが、高配当で安定した不動産収益が見込めるところは変わらずメリットです!
どれも甲乙つけがたいですが、関西圏に集中投資し、現在はコロナ禍の影響を受けテナントの収益が落ち込んでいますが、その後が楽しみな「阪急阪神リート投資法人(8977)」、安定的な運用を目指すのなら、ポートフォリオが分散されている「ユナイテッド・アーバン投資法人(8960)」、少額投資をしたいなら高配当狙いで「大江戸温泉リート投資法人(3472)」でしょうか。
※株式投資は、自己判断、自己責任でお願いします。