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【立会外分売は買いか?】ヒップ(2136) <2023年5月実施>

David MarkによるPixabayからの画像

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードからサービス業種のヒップです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大3,000株まで購入できます。

早ければ5/18(木)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2023年5月19日(金)
分売数量198,000
(発行済み株式総数 3,975,300 株の約4.98%
分売値段899 円
(5/18決定:終値 927 円)
ディスカウント率3.02 %
5/18決定
申込単位数量100 株
申込上限数量3,000 株
表1:ヒップ(2136) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

また、今回の分売数量は、発行済み株式総数の約4.98%多い数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は221百株、25日平均は79百株(5/12時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

そして、今回の分売数量(1,980百株)は、1日の出来高(25日平均:79百株)の約25倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

ご参考までに、この会社は、2021年8月にも立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。

分売日分売株数
[万株]
分売値段
[円]
ディス
カウント
[%]
分売日
始値
[円]
(増減[円])
分売日
終値
[円]
(同)
一週間後の
始値[円]
(日付)
損益[円]
(増減率[%])
2021/
8/24
197443.13744
(±0)
744
(±0)
741
(8/31)
-3
(-0.4)
表2:ヒップ 前回の分売価格とその後の価格

分売値段で購入し、分売日の寄付や大引で売却した場合は損益トントン

分売日1週間後の寄付で売却した場合は、わずかながら損益マイナスの結果でした。

(※売買手数料は考慮していません。)

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【参考記事】

(前回(2021年8月実施)の分売):【立会外分売は買いか?】ヒップ(2136)

(前回予想の振り返り):【結果検証:立会外分売は買いか?】ヒップ(2136)、カネ美食品(2669)、ブリッジインターナショナル(7039)

どんな会社?

大手メーカーを中心とした各顧客企業に対して、その開発パートナーとして技術、設計、開発、生産技術部門等での機械設計、電子設計、ソフト開発の技術サービスを提供するアウトソーシング事業を展開している会社です。

同社の主要顧客はメーカーであり、顧客企業の事業区分は以下のとおりです。

2022年3月期通期の顧客企業別売上高構成比は、

となっており、「輸送用機器関連」が3割強で最も多くなっています。

直近の経営概況

【2023年3月期(2022年4月~2023年3月)の経営成績】

(2023年5月10日発表)

決算期売上高
[百万円]
(前期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2022年3月期
通期実績
5,188
(3.6)
453
(75.8)
587
(10.3)
403
(10.8)
2023年3月期
通期実績
5,475
(5.5)
577
(27.3)
592
(0.7)
401
(△0.5)
2024年3月期
通期会社予想
5,752
(5.1)
597
(3.5)
594
(0.3)
402
(0.2)
表3:ヒップ 2023年3月期経営成績と2024年3月期会社予想

表3の通り、前期比 増収増益で、売上高は1割弱増、利益面は営業利益と経常利益は微増~3割弱の増益ですが、純利益は微減の減益の結果で着地しました。

今期(2024年3月期)の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高は1割弱増利益面は微増を予想しています。

【2023年3月期の概況、経営成績の要因】

製造業を中心とした顧客企業は、積極的な製品開発を継続しており、同社への技術者要請も依然として活発な状況で推移しました。

同社では、新卒を含めた技術者の早期稼働を目指し、事業部間での情報共有と新規顧客への営業強化を図ることで受注量の増加に努めました

技術者採用は、採用媒体の見直しによる応募経路の拡大や学校訪問の人員を増強するなど、新卒及び中途技術者の採用強化に注力しました。

また、昨今の物価上昇を受け、昨年12月には社員とその家族の生活支援を目的とした特別手当の支給を実施し、社員が安心して業務に集中できる環境づくりに取り組んでいます。

このような状況のなか、技術者数が増加したことに加え、新卒を含めた技術者の稼働が想定よりも早く進み、稼働人員は前年同期を上回りました

稼働時間は前年同期と概ね同水準となりました。技術料金は継続的なレートアップ交渉に努めたことにより前年同期を上回りました

営業利益は採⽤費増などの販管費の増加はありつつも、売上⾼増加により増益

経常利益と当期純利益は、雇⽤調整助成⾦(営業外損益)の減少影響があるものの前期並みを維持しています。

これらの結果、当事業年度の売上高は5,475百万円(前年同期比5.5%増売上原価は4,160百万円(同3.0%増販売費及び一般管理費は737百万円(同5.9%増営業利益は577百万円(同27.3%増経常利益は592百万円(同0.7%増当期純利益は401百万円(同0.5%減となりました。

なお、各種指標の前期比較は以下になっています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年3月期末時点で63.0%と前期末(60.0%)から3.0ポイント増加しています。

これは主に、利益剰余金が前期末比で282百万円増加し、

株主資本が合計で282百万円増加したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2023年3月期累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2022年3月期累計)のフリーCF(552百万円の収入)から211百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円)

投資活動によるCFの主な内訳(百万円)

【今期(2024年3月期通期)業績の見通し】

資源価格の高騰や物価の上昇などの影響には注視が必要なものの、同社への技術者要請は底堅く、今後もこの状況が継続すると予想しています。

そのような状況のなかで、技術者が安心して働いていける環境の整備と、新卒及び中途技術者の採用の強化を推進し、優秀な技術者の確保に注力する計画です。

また、新規顧客の拡大をはじめとする営業強化を継続し、受注量の増大稼働率の向上適正レートの確保を図ることで、業績向上する予定です。

これらを踏まえ、今期の通期業績見通しは、表3の増収増益を見込んでいます。

株価指標と動向

【2023/5/12(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、アルトナー(2163) 16.6倍、アルプス技研(4641) 16.0倍、メイテック(9744) 16.4倍と比較すると、低い水準です。

配当金の利回り(予想)は5.33%で、東証スタンダードの単純平均 2.23%(5/12時点) と比較すると2倍超の高い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、1株当たり24~40円で推移しており、前期と同額の年もありますが、基本的には増配しています。

配当性向は、20%台~30%台で安定しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年3月期2428.1
2020年3月期2425.1
2021年3月期3032.7
2022年3月期3029.5
2023年3月期4039.6
表4:ヒップ 年間配当金推移

この会社の利益配分に対する基本方針は、

株主に安定的に配当を実施していくとともに、将来の事業展開と経営体質及び財務体質の強化のため、内部留保の充実を図ることが重要であると考えています。

内部留保した資金は、今後の経営環境の変化等に対応すべく、市場ニーズに応える技術力の強化や高齢化対策等、同社の永続的成長を図るために活用するとしています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

週足ベースの株価は、2022年7月に安値(696円)をつけた後は、上昇基調で推移しており、

直近の5/11に高値(970円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

直近の株価は、しばらく880円前後のヨコヨコの値動きでしたが、

2023年3月期決算発表の翌営業日(5/11)は、この決算を好感され、窓を開けて前日比 26円高(+2.86%)と急伸し、年初来高値を更新しました。

今後は、直近の地合いの良さの流れに乗って高値追いをしていくのか、立会外分売による短期的な需給悪化により、決算発表前の元の値に戻っていくのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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