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【立会外分売は買いか?】佐藤商事(8065) <2023年12月実施>

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムから卸売業種の佐藤商事です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大1,000株まで購入できます。

早ければ12/14(木)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2023年12月15日(金)
分売数量254,200
(発行済み株式総数 21,799,050 株の約1.16%
分売値段1,388 円
(12/14決定:終値 1,423 円)
ディスカウント率2.46 %
12/14決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量1,000 株
表1:佐藤商事(8065) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

また、今回の分売数量は、発行済み株式総数の約1.16%ほどほどの数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は637百株、25日平均は279百株(12/8時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

そして、今回の分売数量(2,542百株)は、1日の出来高(25日平均:279百株)の約9.1倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量はほどほどといえます。

ご参考までに、この会社は、2021年9月にも立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。

分売日分売株数
[万株]
分売値段
[円]
ディス
カウント
[%]
分売日
始値
[円]
(騰落率[%])
分売日
終値
[円]
(同)
一週間後の
始値[円]
(日付)
損益[円]
(騰落率

[%])
2021/
9/16
351,1712.501,195
(+2.0)
1,193
(+1.9)
1,244
(12/21)
+73
(+6.2)
表2:佐藤商事 前回の分売価格とその後の価格

どちらの分売も、分売値段で購入し、分売日の寄付大引分売日1週間後の寄付で売却した場合いずれも損益プラスの結果でした。

※売買手数料は考慮していません。

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【ご参考】

前回の記事:【立会外分売は買いか?】佐藤商事(8065)

前回の振り返り:【結果検証:立会外分売は買いか?】佐藤商事(8065)、グラフィコ(4930)、ツクルバ(2978)

どんな会社?

創業1930年の、鉄鋼・非鉄金属、電子部材、機械、工具、雑貨、貴金属宝飾品、建設資材、環境関連商材などの国内販売及び輸出入をしている会社です。

事業内容は、「鉄鋼事業」「非鉄金属事業」「電子事業」「ライフ営業事業」「機械・工具事業」「営業開発事業」の6つがあり、それぞれ、

を行っています。

2023年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、鉄鋼事業が7割弱を占めています。

直近の経営概況

【2024年3月期2Q(2023年4月~9月)の経営成績】

(2023年11月7日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2023年3月期
2Q累計
1,347
(23.6)
2,777
(15.8)
3,223
(22.6)
2,138
(23.7)
2024年3月期
2Q累計
1,355
(0.6)
2,839
(2.2)
3,123
(△3.1)
2,786
(30.3)
2024年3月期
通期会社予想
(2023年9月7日
修正)
2,770
(0.7)
6,200
(1.0)
6,500
(△3.3)
5,097
(△17.7)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
48.945.748.054.6
表3:佐藤商事 2024年3月期2Q経営成績と2024年3月期通期予想

表3の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は微増、利益面は営業利益と純利益は微増~3割増ですが、経常利益は微減でした。

2024年3月期通期の業績は、前期比 増収増益で、売上高は微増、利益面は営業利益は微増ですが、経常利益と純利益は微減~2割弱減を予想し、

その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高、利益面ともに5割程度でそこそこです。

【2024年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

当2Q連結累計期間における我が国経済は、アフターコロナにおける経済回復がみられる中、引き続き原材料の高騰や金融資本市場の変動など、依然として不透明な状況が続いていますが、

製造業の生産活動の回復が進んだことや、国内の雇用情勢及び所得環境が改善したことによる個人消費の増加などから、底堅く推移しました。

このような状況下で、同社グループは、第三次中期経営計画で掲げた経営目標の進捗状況を管理しながら各重点課題に取り組んでおり

当2Q連結累計期間の連結業績は、表3の数値の増収増益となりました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表4の結果になりました。

主力の「鉄鋼」は増収減益「電子」は増収増益「非鉄金属」と「営業開発」は減収増益

「ライフ営業」は減収減益「機械・工具」は減収赤字幅縮小でした。

セグメント売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業利益
[百万円]
(同)
鉄鋼921
(2.9)
1,814
(△0.6)
非鉄金属188
(△5.3)
284
(75.3)
電子165
(10.8)
711
(14.7)
ライフ営業36.6
(△20.5)
22
(△88.2)
機械・工具 22.4
(△32.8)
△37
(前年同期
△38百万円)
営業開発19.9
(△12.9)
45
(107)
表4:2024年3月期2Q  セグメント別業績

各セグメントの状況は以下です。

鉄鋼事業

鋼材価格の上昇による影響等により増収となりましたが、

仕入コストや販管費の増加等により減益となりました。

非鉄金属事業

地金相場の変動による価格影響等により減収となりましたが、

前期の商用車メーカーによるエンジン認証問題に伴う出荷停止が続いていた状況から、一部車種の生産が再開したこと等により増益となりました。

電子事業

主力のプリント配線基板用積層板の販売に加えて、液晶、半導体向け部材の輸出及び部品の販売が堅調に推移したこと等により、増収増益となりました。

ライフ営業事業

前期に引き続き自社商品販売を推進しましたが、

輸入品等の仕入コストが増加したこと等により、減収減益となりました。

機械・工具事業

国内の拠点網を活用しながら、取引先への販売活動を積極的に推進しましたが、減収赤字幅縮小となりました。

営業開発事業

前期に大型物件があった影響で減収となりましたが、

原価低減に努めながら主力の商材及び工事案件を適宜受注したこと等により、前年同期比2倍の増益となっています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年3月期2Q末時点で35.0%と前期末(34.0%)から1.0ポイント増加しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2024年3月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2: フリーCFの説明

前期(2023年3月期2Q累計)のフリーCF(1,947百万円の支出)から5,543百万円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2024年3月期通期)業績予想の修正】

2023年9月に、2024年3月期通期連結業績予想当期純利益のみ上方修正しています。

2024年3月期通期の業績予想修正数値は表5です。

売上高
[億円]
営業
利益
[百万円]
経常
利益
[百万円]
親会社
株主に
帰属する
当期純利益

[百万円]
1株当たり
当期
純利益
[円]
前回
(2023/5/9)
発表予想
2,7706,2006,5004,500213.08
今回修正予想2,7706,2006,5005,097241.70
増減額597
増減率[%]13.3
表5:佐藤商事 2024年3月期通期連結業績予想数値の修正(2023年9月7日発表)

前回予想と比べ、当期純利益を1割強の増額修正をしています。

修正の理由は、

としています。

なお、配当予想に関しては修正はありませんでした。

株価指標と動向

【2023/12/8(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、小野建(7414) 5.9倍、神鋼商事(8075) 6.4倍、カノークス(8076) 9.6倍と比較すると、低い水準です。

配当利回りは4.61%で、東証プライムの単純平均2.31%(12/8時点) と比較すると2倍の高い水準です。

表6のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり43~67円で推移しており、2021年3月期までは同額でしたが、2022年3月期以降は連続増配をしています。

配当性向は、30%前後で安定しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年3月期4328.6
2020年3月期4332.4
2021年3月期4333.2
2022年3月期5830.6
2023年3月期6722.8
表6:佐藤商事 年間配当金推移

この会社は、

利益配当金は、第三次中期経営計画(2026年3月期までの3か年)において、継続的な安定配当として、連結みなし利益(※3)の30%以上、かつ下限は年間55円とする」方針を掲げています。

※3 連結みなし当期利益:連結経常利益×(1-実効税率)

また、剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2022年4月に安値(1,056円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、

2023年9月に高値(1,615円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

9/20に年初来高値(1,615円)をつけた後は調整し、10/24に安値(1,398円)をつけました。

そしてその後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移していましたが、今回の立会外分売発表の翌営業日(12/7)は、分売による需給悪化懸念により、窓を開けて出来高を伴い売られ、前日比 77円安(-5.08%)と急落しました。

今後は、直近の安値(1,398円)や6月につけた安値(1,351円)を割り込まずに上昇に転じていくのか、これらの安値を割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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