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【立会外分売は買いか?】ビーブレイクシステムズ(3986) <2025年11月実施>

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証グロースから情報・通信業種のビーブレイクシステムズです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大2,500株まで購入できます。

早ければ11/27(木)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2025 年11 月28日(金) ~ 12月5日(金)
分売数量76,800
(発行済み株式総数 1,536,960 株の約4.99%
分売値段(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
申込上限数量2,500 株
表1:ビーブレイクシステムズ(3986) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約4.99%多い数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

そして、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は17.8百株、25日平均は19.5百株(11/21時点)で、流動性はかなり低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

さらに、今回の分売数量(768百株)は、1日の出来高(25日平均:19.5百株)の約39倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

【過去の立会外分売結果】

ご参考までに、この会社は、今年8月にも立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。

(※売買手数料は考慮していません。)

分売日分売
株数
[万株]
分売
値段
[円]
ディス
カウント

[%]
分売日
始値
[円]
(騰落率

[%])
分売日
終値
[円]
(同)
1週間後の
始値[円]
(日付)
損益[円]
(騰落率

[%])
2025/
8/28
7.51,2993.061,294
(-0.4)
1,307
(+0.6)
1,410
(9/4)
+111
(+8.5)
表3:ビーブレイクシステムズ 過去の分売値段とその後の株価

分売値段で購入し、分売日の寄付や大引分売日1週間後の寄付で売却した場合の騰落率-0.4+8.5%でした。

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【参考記事】

(前回(2025年8月実施)の分売):【立会外分売は買いか?】ビーブレイクシステムズ(3986)

(前回予想の振り返り):【2025年第3四半期 立会外分売】騰落率ランキング✨

どんな会社?

「世界が認めるシステム構築の仕組を世に広め、社会の発展に貢献する」という理念のもと、

ドイツのERPベンダーであるSAP社の日本法人のシステムコンサルタントであった2名を中心に起業し、

現在は、主にクラウドERP(※2)の開発および販売を行うパッケージ事業と、

主に顧客が構築するシステムの受託開発IT人材の派遣を行うシステムインテグレーション事業を行っています。

※2:クラウドERP

ERP(Enterprise Resource Planning)は、経営資源の有効活用の観点から企業全体を統合的に管理し、経営の効率化をはかるための手法・概念のこと。

また、これを実現するための統合型基幹業務パッケージを指す。

クラウドERPは、クラウド技術を用いて提供されるERP、またはその提供サービスのこと

2025年6月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、2つの事業でほぼ半々となっています。

直近の経営概況

【2026年6月期1Q(2025年7月~9月)の経営成績】

(日本基準(非連結):2025年11月12日発表)

決算期売上高
[百万円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
当期
純利益
[百万円]
(同)
2025年6月期
1Q実績
341
(△7.5)
18
(△71.7)
18
(△71.5)
14
(△71.7)
2026年6月期
1Q実績
323
(△5.2)

(△58.9)
10
(△43.2)

(△43.2)
2026年6月期
通期会社予想
1,408
(2.2)
142
(29.3)
140
(24.8)
110
(19.8)
通期予想に対する
1Qの進捗率[%]
22.94.97.17.2
表3:ビーブレイクシステムズ 2026年6月期1Q経営成績と2026年6月期通期会社予想

表3の通り、前年同期比 減収減益で、売上高は1割弱減利益面は4割強~6割弱減でした。

今期(2026年6月期)通期の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高微増利益面は2~3割増を見込んでおり、

その通期予想に対する進捗率は1Q終了時点で、売上高は2割強でそこそこですが、利益面は1割弱で遅れ気味です。

【2026年6月期1Qの状況、経営成績の要因】

同社が属する市場および顧客においては、企業のシステム投資ニーズは安定しており、エンジニアの需要も高水準を維持しているものの、業界内の人手不足が常態化するなど今後の状況は予断を許さないと同社は認識しています。

こうした環境の中、同社は、“ITで経営の今を変える、未来を変える”のコンセプトメッセージを掲げ、クラウドERP「MA-EYES」を中心としたパッケージ事業や、システムインテグレーション事業の強化に努めました。

この結果、当1Qの業績は、表3の数値の前年同期比 減収減益となりました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表4です。

「パッケージ事業」「システムインテグレーション事業」ともに、前年同期比 減収減益でした。

セグメント売上
[百万円]
(前期比
増減率
[%])
セグメント
利益
[百万円]
(同)
パッケージ166
(△7.1)
64
(△14.5)
システム
インテグレーション
157
(△3.2)
34
(△8.1)
表4:2026年6月期1Q セグメント別業績

セグメント別の概況は以下のとおりです。

パッケージ事業

主力製品であるクラウドERP「MA-EYES」が、主に一括導入版の新規導入に関する売上が前期を下回ったことから、前年同期比 減収減益となりました。

システムインテグレーション事業

堅調なIT需要を背景に安定的に推移しましたが、

本事業よりも研究開発プロジェクトへのアサインを優先させる方針としたことから、前年同期比 減収減益となりました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2026年6月期1Q末時点で74.3%と前期末(74.8%)から0.5ポイント低下しています。

主な負債と純資産の、前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2026年6月期)通期業績の見通し】

「働き方改革」や「DX」などの社会的要請・日本政府の方針、コロナ禍の影響より広く定着したリモートワーク、及び今後深刻化が予想される人手不足などから、今後ますます生産性向上の取り組みが活発となり、

ERP導入市場の更なる拡大が予想される中、需要動向を捉えた既存パッケージへの機能拡張・改善や、現在主要ターゲットとなっていない新業種向け機能の開発を行っていく方針です。

また、マーケティング活動・販売体制の強化全国での拡販、および、パッケージ関連商材の拡販等により売上高および利益の拡大を目指していく方針です。

さらに、優秀なエンジニア・プロジェクトリーダー・プロジェクトマネージャーの確保および育成も重要課題のひとつであるとの認識のもと、今後も採用および教育に関する投資を行っていく計画です。

以上により、2026年6月期の業績見通しは、表3の数値の前期比 増収増益を見込んでいます。

なお、今1Q決算発表時に、主力製品であるクラウドERP「MA-EYES」において、前期に受注した大規模案件の開発は順調に進捗していますが、

それ以降の一括導入版の新規受注及び既存ユーザーからの追加開発に関する受注が計画を下回る見通しとなり、2Q累計の業績予想を当初予想から下方修正しています。

ただ、通期の業績予想は、パッケージ事業において前期に受注した大規模案件の開発規模が下期に拡大することに加え、

受注見込の新規案件が複数あることなどから下期の業績は上向く見通しであるため、前回発表の予想は据え置くとしています。

株価指標と動向

【2025/11/21(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、ラクス(3923) 36.8倍、オービック(4684) 31.7倍、サイボウズ(4776) 24.5倍と比較すると、低い水準です。

配当利回り2.13%で、東証グロースの単純平均 0.87%(11/21時点)と比較すると高い水準です。

表5のように、直近5年間の配当金は、1株当たり12~18円で推移しており、2024年6月期以降は連続増配しています。

配当性向は、10%台~30%で推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2021年6月期1220.2
2022年6月期1215.8
2023年6月期1213.5
2024年6月期1516.7
2025年6月期1829.8
表5:ビーブレイクシステムズ 年間配当金推移

この会社は、

以前は、配当性向「20%~30%程度を目標」にしていましたが、

前期からに、株主還元をさらに推し進め、配当性向「30%~45%程度を目標」とする方針に変更しています。

なお、剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2024年6月に高値(1,787円)をつけるまでは、上昇基調で推移していましたが、

その後は急落し、同年8月に安値(1,261円)をつけました。

そしてそれ以降、一時的に急騰や急落する場面もありましたが、1,300~1,600円程度のレンジ内で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

8月下旬に年初来安値(1,291円)をつけた後は、一気に上昇して9月中旬に高値(1,627円)をつけました。

しかしその後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移しており、今回の立会外分売発表の翌営業日(11/21)は、分売による短期的な需給悪化を懸念され前日比 35円安(-2.43%)と急落しました。

今後の株価は、節目の1,300円や直近の安値(1,291円)程度で下げ止まりヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐
(見送り)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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