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【立会外分売は買いか?】大東港運(9367) <2025年11月実施>

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから倉庫・運輸関連業種の大東港運です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大500株まで購入できます。

早ければ11/18(火)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2025年11月19日(水)
分売数量40,000
(発行済み株式総数 9,389,000 株の約0.42%
分売値段(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
申込上限数量500 株
表1:大東港運(9367) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

また、今回の分売数量は、発行済み株式総数の約0.42%少ない数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

そして、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は339百株、25日平均は1,061百株(11/13時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

さらに、今回の分売数量(400百株)は、1日の出来高(25日平均:1,061百株)の約0.4倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は少ないといえます。

【過去の立会外分売結果】

ご参考までに、この会社は、2024年8月にも立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。(※売買手数料は考慮していません)

分売日分売株数
[万株]
分売値段
[円]
ディス
カウント
[%]
分売日
始値
[円]
(増減[円])
分売日
終値
[円]
(同)
一週間後の
始値[円]
(日付)
損益[円]
(騰落率

[%])
2024/
8/20
2.56863.11738
(+7.6)
716
(+4.4)
712
(8/27)
+26
(+3.8)
表2:大東港運 前回の分売価格とその後の価格

分売値段で購入し、分売日の寄付又は大引、分売日1週間後の寄付で売却した場合の、全ての段階で損益プラスの結果でした。

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【ご参考】

前回(2024年8月)の記事:【立会外分売は買いか?】大東港運(9367)

前回の振り返り:【結果検証:立会外分売は買いか?】大東港運(9367)、ジィ・シィ企画(4073)、アルファポリス(9467)

どんな会社?

1957年創業で、輸出入貨物取扱事業を中心に鉄鋼物流事業およびその他周辺事業を含めた事業活動を展開している会社です。

同社は、「輸出入貨物取扱事業」「鉄鋼物流事業」「海外事業」「国内不動産賃貸事業」及び「その他事業」の4つのセグメントがあり、それぞれ、

を行っています。

2025年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「輸出入貨物取扱事業」が7割強を占めています。

直近の経営概況

【2026年3月期2Q(2025年4月~9月)の経営成績】

(日本基準(連結):2025年11月11日発表)

決算期営業
収益
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2025年3月期
2Q累計
84.1
(2.3)
372
(△5.2)
439
(△4.0)
301
(8.2)
2026年3月期
2Q累計
90.3
(7.4)
543
(45.7)
585
(33.1)
393
(30.2)
2026年3月期
通期会社予想
175
(4.4)
920
(39.2)
1,000
(22.4)
670
(8.5)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
51.659.058.558.6
表3:大東港運 2026年3月期2Q経営成績と2026年3月期通期予想

表3の通り、前年同期比 増収増益で、営業収益は微増利益面は3~5割弱増でした。

今期(2026年3月期)通期の業績予想は、前期比 増収増益で、営業収益は利益面は1割弱~4割増を見込んでいます。

そして、その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、営業収益、利益面ともに5~6割でそこそこです。

【2026年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

物流業界において、輸出および輸入は各々おおむね横ばいでの推移となりましたが、物価上昇や燃料費の高騰、ドライバー不足、2024年問題への対応と厳しい状況が続いています。

その中で、食品の輸入が大きな部分を占める同社取扱いは、農・畜・水産物に関してはいずれも増加、その他食品及び日用品については化学品取扱いが減少となりました。

また、鋼材の国内物流取扱い海外事業不動産賃貸その他事業は増加となりました。

このような状況の中、同社グループは「『ありがとう』にありがとう」のコーポレートフィロソフィーの下で、第8次中期経営計画「Be Sustainable」~サステナブルを目指して~の最終年度を迎え、その各施策一つひとつに取り組むと共に、計画達成に向け受注活動を堅実に展開しました。

その結果、当2Qの業績は、表3の数値の前年同期比 増収増益となっています。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表4の結果になりました。

主力の「輸出入貨物取扱事業」を含め「鉄鋼物流事業」「国内不動産賃貸事業」は、前年同期比 増収増益

「海外事業」は、増収黒字転換

「その他事業」は、増収赤字幅縮小

でした。

セグメント営業収益
[百万円]

(前年
同期比
増減率
[%])
セグメント
利益
[百万円]
(同)
輸出入
貨物取扱
6,618
(5.3)
913
(8.6)
鉄鋼物流1,047
(5.7)
92.6
(14.3)
海外484
(66.7)
25.6
(黒字転換)
国内不動産賃貸165
(14.2)
68.8
(40.4)
その他719
(3.4)
△15.4
(赤字幅
縮小
)
表4:2026年3月期2Q セグメント別業績

セグメント別の状況は以下です。

輸出入貨物取扱事業

農・畜・水産物に関してはいずれも増加、その他食品及び日用品については化学品取扱いが減少となりました。

鉄鋼物流事業

鉄鋼製品の取扱が増加しました。

海外事業

海外子会社の売上が増加しました。

国内不動産賃貸事業

賃貸収入が増加しました。

その他事業

連結子会社増収により、損失幅が縮小しました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2026年3月期2Q末時点で61.2%と前期末(61.9%)から0.7ポイント低下しました。

主な負債と純資産の、前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2026年3月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

2025年3月期2Q累計のフリーCF(152百万円の収入)から79.9百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2025年3月期)通期業績予想】

同社グループは「『ありがとう』にありがとう」のコーポレートフィロソフィーに加え、社会環境の変化等に伴う更なる課題を踏まえ、

持続的に成長する企業となるべく「Be Sustainable ~サステナブルを目指して~」を経営ビジョンに掲げた第8次中期経営計画のもと、同社グループはワンチームとなって、確実に歩んで行く方針です。

第8次中期経営計画の骨子は、以下のとおりです。

  1. 持続的価値の拡大
    • コア事業の更なる拡大と新たな成長へ向けた派生事業領域へ挑戦
    • 業績変化の為替感応度を下げるべく、輸出関連取引・国内取引強化等の構造改革に取り組む
  2. 営業組織力・人財力・IT力の強化
    営業力向上による付加価値提供力の強化、人・ITの連携による生産性の向上を目指す。
  3. 環境問題・社会課題に配慮した事業推進
    事業を通じ、環境課題と地域社会へ貢献する。
  4. グループの成長と発展
    グループ各社の業容拡大とシナジー強化を通じ、収益力増加を目指す。

今期の業績数値は、表3の数値の前期比 増収増益を予想しています。

なお、今2Q決算発表時には、2025年5月14日の決算短信で公表した数値に変更はありません

株価指標と動向

【2025/11/13(木)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、伏木海陸運送(9361) 7.7倍、大運(9363) 7.9倍、トレーディア(9365) 5.6倍と比較すると、高い水準です。

配当利回りは1.42%で、東証スタンダードの単純平均2.39%(11/13時点) と比較すると低い水準です。

表5のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり14~24円で推移しており、連続増配を継続中です。

配当性向は、10%台~30%台で推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2021年3月期1420.7
2022年3月期1717.5
2023年3月期2021.9
2024年3月期2133.8
2025年3月期2433.5
表5:大東港運 年間配当金推移

この会社は、

株主への長期的な利益還元を重要な課題と考え、安定的な配当を行うことを基本としています。

加えて、経営基盤の整備状況や業界動向を踏まえ、適切な配当水準を継続的に維持することにより、株主の期待に応える方針です。

なお、剰余金の配当は、中間配当および期末配当の年2回を基本としています。

【株主優待(拡充)】

2025年10月に株主優待制度の拡充が発表され、

毎年3月末200株以上保有の株主は、株数に応じて以下の金額の同社オリジナルクオカードが進呈されていたのですが、

500株以上保有の株主は、「メンバーシップクーポン株主様ご優待券」(コストコホールセールジャパン)引換券(5,280円券)が追加となりました。

少しハードルが高いですが、500株保有の場合、配当金+株主優待(クオカード+メンバーシップクーポン5,280円分=6,780円)利回りは5.43%になります。

個人投資家にとってうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

長期間、650~800円程度のレンジ内での推移でしたが、

2025年10月に株主優待の拡充が発表され急騰し、翌月に上場来高値(1,792円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

800円前後の推移でしたが、10/7に株主優待拡充(株主優待の項参照)が発表され、それに好感して、翌営業日と翌々営業日はストップ高で買われました。

そして、それ以降も上昇基調で推移し、11/4に上場来高値(1,792円)をつけています。

その後はほぼヨコヨコでの推移で、今回の立会外分売発表の翌営業日(11/13)はほとんど反応はなく、前日比 29円高(+1.75%)で終了しています。

今後の株価は、節目の1,600円や1,500円をキープし、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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