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【立会外分売は買いか?】ピーエイ(4766) <2025年8月実施>

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードからサービス業種のピーエイです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大10,000株まで購入できます。

早ければ8/26(火)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2025 年8月 27日(水)~ 29 日(金)
分売数量500,000
(発行済み株式総数 11,229,800 株の約4.45%
分売値段(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
申込上限数量10,000 株
表1:ピーエイ(4766) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約4.45%多い数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

そして、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は384百株、25日平均は192百株(8/22時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

さらに、今回の分売数量(5,000百株)は、1日の出来高(25日平均:192百株)の約26倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

【過去の立会外分売の結果】

ご参考までに、この会社は、2022年8月と2024年8月にも立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。

(※売買手数料は考慮していません。)

分売日分売
株数
[万株]
分売
値段
[円]
ディス
カウント
[%]
分売日
始値
[円]
(増減[円])
分売日
終値
[円]
(同)
一週間後の
始値[円]
(日付)
損益[円]
(騰落率

[%])
2022/
8/25
361622.99163
(+0.6)
162
(±0)
212
(9/1)
+50
(+30.9)
2024/
8/27
502913.32290
(-0.3)
290
(-0.3)
290
(9/3)
ー1
(-0.3)
表2:ピーエイ 過去の分売値段とその後の株価

前々回(2022年8月実施分)は、分売値段で購入し、分売日の寄付や分売日1週間後の寄付で売却した場合は0.6~30%の損益プラス分売日の大引で売却した場合は損益トントン

前回(2024年8月実施分)は、分売日の寄付や大引分売日1週間後の寄付で売却した場合は0.3%の損益マイナス

の結果でした。

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【参考記事】

(前回(2024年8月実施)の分売):【立会外分売は買いか?】ピーエイ(4766) <2024年8月実施>

(前回予想の振り返り):【結果検証:立会外分売は買いか?】サンリン(7486)、南海辰村建設(1850)、ピーエイ(4766)

(前々回(2022年8月実施)の分売):【立会外分売は買いか?】ピーエイ(4766)

(前々回予想の振り返り):【結果検証:立会外分売は買いか?】カオナビ(4435)、ピーエイ(4766)、南海辰村建設(1850)

どんな会社?

「地域に人を集め 地域に賑わいを創り 地域の人が元気になる」をミッションとして、

様々な地域活性化事業を展開している会社です。

事業内容は、主に「人材ソリューション事業」「人材派遣・人材紹介事業」「子供ケアサポート事業」「地域力創造事業」の4つがあり、それぞれ、

を行っています。

2024年12月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「人材ソリューション事業」が5割強を占めています。

直近の経営概況

【2025年12月期2Q(2025年1月~6月)の経営成績】

(日本基準(連結):2025年8月14日発表)

決算期売上高
[百万円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
純利益

[百万円]
(同)
2024年12月期
2Q累計
921
(4.6)
30
(△14.3)
33
(△24.4)
24
(△27.5)
2025年12月期
2Q累計
1,001
(8.7)
87
(190)
88
(164)
52
(119)
2024年12月期
通期会社予想
2,000
(6.5)
135
(101)
135
(97.5)
110
(49.8)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
50.064.465.147.2
表3:ピーエイ 2025年12月期2Q経営成績と2025年12月期通期会社予想

表3の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は1割弱増利益面は2.1~2.9倍でした。

今期(2025年12月期)通期の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高は1割弱増利益面は5割~2倍の増益を見込んでおり、

その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高は5割でそこそこ、利益面は営業利益と経常利益は6~7割で順調純利益は5割弱でそこそこです。

【2025年12月期2Qの状況、経営成績の要因】

当2Q連結累計期間における世界経済は、

米国関税政策や地政学リスク中国の成長鈍化など懸念材料がある中でも、全体として底堅い成長を維持しました。

米国では雇用の増加を背景に個人消費が堅調に推移した一方、先行き不透明感から設備投資は鈍化しており、

欧州はインフレ鎮静化に伴う利下げや消費マインドの改善により、緩やかに回復しました。

中国では輸出環境の厳しさや不動産市況の低迷があるものの、政府の景気刺激策により内需が回復傾向にあります。

新興国では個人消費の堅調さと一時的な関税緩和に伴う輸出増加が景気を支えました。

日本は雇用・所得環境の改善により景気は持ち直しつつあるものの、物価高の影響で実質賃金は伸び悩み個人消費は横ばい傾向であり、インバウンド需要の拡大は経済を下支えしていますが、為替や物価の先行きは不透明です。

このような経営環境のなか、同社グループは「地域に人を集め 地域に賑わいを創り 地域の人を元気にする」というミッションのもと、そのミッションに合致した地域活性化に関わる様々な事業を推進しました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表4の結果になりました。

主力の「人材ソリューション事業」「地域創生事業」「こどもケアサポート事業」前年同期比 増収増益

「地域力創造事業」増収赤字幅縮小でした。

セグメント売上高
[百万円]
(前年
同期比
増減率
[%])
セグメント
利益
[百万円]
(同)

人材
ソリューション
489
(1.0)
130
(0.5)
人材派遣・
人材紹介
168
(8.1)
12.4
(17.1)
こども
ケアサポート
315
(24.6)
41.6
(3.0倍)
地域力創造36
(18.6)
△10.8
(赤字幅
縮小
)
表4:2025年12月期2Q セグメント別売上高

セグメント別の状況は以下です。

人材ソリューション事業

自社採用メディア「ジョブポストweb」を提供し、多様な人材とのマッチングを通じて、顧客企業の採用課題の解決をサポートしています。

採用需要が緩やかに回復する中、特に正社員領域において企業の採用意欲が高まっており

同社ではこの機会を捉え、営業力を強みに既存顧客の深耕および新規顧客の開拓を進めてきました。

さらに、採用管理システムの提案を強化し、顧客の採用活動を支援するとともに、業務効率の向上と人材マッチングの最適化を実現することで、顧客基盤の拡大と売上の増加につながっています。

今後も、大手求人メディアとの連携を一層強化し、新たなサービスの提供を進める一方で、積極的な採用活動と人材への投資を通じて、提案力および営業力の向上を図っていく方針です。

また、顧客基盤のさらなる拡大を図るため、クリック課金型商品を導入し、企業の費用対効果を重視した採用活動を支援していく方針です。

人材派遣・人材紹介事業

主として新潟県と長野県において展開しており、地域に特化したサービスを提供しています。

雇用関連の各種指標が持続的に改善する中で、人手不足の深刻化が続いており、企業の人材採用意欲も依然として高水準を維持しています。

このような事業環境のもと、人材派遣・人材紹介、業務請負に対するニーズは引き続き堅調に推移しました。

こうした状況を受けて、営業活動の見直しをはじめとした生産性向上への取組みを推進した結果、売上高が増加しました。

今後も、既存顧客との関係を一層強化するとともに、特定需要の確実な取り込みを図っていく方針です。

また、営業人員の増強によって対応力を高め顧客ニーズに柔軟に対応することで、更なる売上拡大を目指していく方針です。

こどもケアサポート事業

令和7年6月現在、小規模認可保育園を7施設放課後等デイサービス施設を6施設運営しています。

放課後等デイサービス事業所「ココカラLIFE西ノ内教室」(令和6年5月、福島県郡山市)、「ココカラLIFE新島教室」(令和6年7月、新潟県新潟市)、「ココカラLIFE南光台教室」(令和6年11月、宮城県仙台市)、「ココカラLIFE泉中央教室」(令和7年6月、宮城県仙台市)の計5カ所の開所に伴い、売上が増加しました。

放課後等デイサービス事業においては、利用者数の増加により稼働率が向上しました。

こどもたちが自立した日常生活を送ることができるよう、個々の特性に合わせたプログラムを提供し、集団での共生能力を育成しながら、地域社会への積極的な参加を促進しています。

さらに、新たな施設の拡大展開のために投資も推進しています。

保育事業においては、「安心・安全」な管理体制の一層の強化と人材育成を通じて、高品質な子育て支援サービスを提供することで、選ばれる保育園を目標としています。

また、地域社会の変化や保護者のニーズに応じた多様な子育て支援サービスの開発と展開を進めていく方針です。

地域力創造事業

政府のデジタル田園都市構想を背景に、自治体への移住定住の促進及び関係人口の創出を目指し、地域おこし協力隊や支援対象となる自治体への支援を通じて、事業化による課題解決と事業成長を推進しています。

令和2年11月にオープンした東急目黒線西小山駅前の「Craft Village NISHIKOYAMA」は、地域の活性化及び東京と地方自治体を結びコミュニティ施設として独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)との連携事業である「西小山駅前地区地域まちづくり支援事業」を展開しています。

新潟市万代島地区において、令和3年6月に新潟県「万代テラスにぎわい創出事業」を受託し、

国の重要文化財である萬代橋と大河・信濃川という新潟市最高のロケーションを活かし、地域交流の拠点および新たな新潟の観光拠点となる空間づくりを進めてきました。

さらに令和6年12月に同エリアの土地を今後30年間活用による「万代テラス賑わい創出のための公共還元型民間活力導入事業」の事業予定者として選定されました。

今後は各種施設の拡充を図りながら、収益施設と公共空間を一体的に整備・管理運営し、地域のさらなる賑わい創出に貢献していく計画です。

令和4年から「地域おこし協力隊支援事業」を開始し、都市部から人口減少地域への移住促進を支援しております。

本事業では、地元特産品の開発や地域ブランド強化に取り組み、地域活性化を推進しています。

また、令和5年からは「地方創生インターンシップ支援事業」を実施し、学生が地域企業や仕事への理解を深める機会を提供しています。

これらの取組により、若者の視点を活かして地域課題の解決を図り、移住・定住の促進と地域経済の再活性化、持続的な発展を支援しています。

さらに、令和7年5月には第2種旅行業免許を取得し、体験型ツーリズムの提供を開始予定です。

今後も自治体と連携し、地域活性化に資する事業を推進していく方針です。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2025年12月期2Q末時点で36.5%と前期末(34.8%)から1.7ポイント増加しています。

主な負債と純資産の、前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2025年12月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2024年12月期)2Q累計のフリーCF(9.1百万円の支出)から81.5百万円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2025年12月期)通期業績の見通し】

人材ソリューション事業及び人材派遣・人材紹介事業

企業の慢性的な人手不足に対応するため、業種を問わず多様な求人ニーズに迅速に応じる必要があります。

これに対処するために、人材登録の増加マッチング機能の向上を積極的に推進し、業績向上を図っています。

また、既存顧客の深耕と新規顧客の開拓を進め、顧客基盤と売上の拡大を目指しており、大手求人メディアとの連携等により商品力を強化し、

自社人材の採用を通じて営業販売力を増強し、より多くの顧客へのサービス提供を目指していく方針です。

こどもケアサポート事業

高品質な子育て支援サービスを提供し、選ばれる保育園を目標に設定しています。

この事業では地域と保護者のニーズに応じたサービスを展開し、安心・安全・成長を柱としています。

また、放課後デイサービスでは、子どもたちの自立支援と共生能力の育成に力を入れ、利用者数の増加に伴い堅調な成長を遂げています。

新たな施設の設立に向けた投資も進めており、地域社会への積極的な参加を促す活動を強化しています。

これらの事業を通じて、地域社会の一員としての役割を強化し、サービスの質の向上と拡張を目指していく方針です。

地域力創造事業

地域おこし協力隊支援事業を推進し、都市部から人口減少地域への移住を促進しています。

令和5年からは新たに地方創生インターンシップ支援事業を開始し、地域企業への理解を深め、若者の地域への就職を積極的にサポートすることで、地域の持続可能な発展を促しています。

新潟市の万代島地区では、「万代テラスにぎわい創出事業」を進行中で、国の重要文化財である萬代橋および信濃川の周辺を利用した観光拠点としての空間づくりが行われています。

このプロジェクトは、港湾法改正後に新設された港湾環境整備計画制度(みなと緑地PPP)を活用し、長期的な利益を生み出す施設公共部分の整備及び管理を計画しており、地域活性化に寄与することを目指しています

これらの取り組みを通じて、地域の再活性化と持続可能な発展を図っていく計画です。

このような中、今期の全体見通しは、表3の数値の前期比 増収増益を見込んでいます。

なお、今2Q決算発表には、2025年2月17日に公表された通期の業績予想に変更はありません

株価指標と動向

【2025/8/22(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、学情(2301) 11.0倍、アルバイトタイムス(2341) 50.0倍、KG情報(2408) 21.3倍と比較すると、中間的な水準です。

配当利回り2.80%で、東証スタンダードの単純平均 2.39%(8/22時点) と比較すると高い水準です。

2025年6月に設立40周年を迎えるにあたり、特別配当3円の増配を発表しています。

表5のように、直近5年間の配当金2023年12月期以前は無配でしたが、前期は2018年12月期以来の復配をしています。

配当性向は、60%台です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2020年12月期
2021年12月期
2022年12月期
2023年12月期
2024年12月期4.261.5
表5:ピーエイ 年間配当金推移

この会社は、

株主への適正かつ安定的な利益配分を、経営上の最重要課題の一つと認識し、

各期の業績と必要な投資、内部留保等を勘案のうえ、配当を通じた株主への利益配分を実施することを基本方針としています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年12月末1年以上継続で1,000株以上保有の株主は、

が進呈されます。

1,000株を1年以上継続保有の場合、配当金+株主優待(12,000円相当)利回りは6.91%となります。

少しハードルは高いですが、個人投資家にとってはうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2023年8月に安値(158円)をつけた後は、同年11月に急上昇高値(432円)をつけました。

しかしその後は、高値切り下げ安値切り下げの下落トレンドで推移し、2025年4月に安値をつけた後は、上昇に転じてきています

<日足チャート(直近3か月間)>

5月下旬に瞬間的に急騰し、高値(309円)をつけましたが、すぐに元の値に戻りました。

その後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移し、

そして今回の立会外分売と今2Q決算発表の翌営業日(8/15)は、値動きは大きかったですが、結局前日比変わらずで終了しました。

今後の株価は、25日移動平均線(赤線)や75日移動平均線(青線)の上をキープし、上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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