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【立会外分売は買いか?】ダブルスタンダード(3925) <2025年8月実施>

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムから情報・通信業種のダブルスタンダードです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大5,000株まで購入できます。

早ければ8/20(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2025年8月21日(木)~ 25日(月)
分売数量600,000
(発行済み株式総数 13,580,000 株の約4.41%
分売値段(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
申込上限数量5,000 株
表1:ダブルスタンダード(3925) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

同社が2025年6月27日に開示した、IR資料「上場維持基準の適合に向けた計画(改善期間入り)について」によると、

2025 年3月末時点において、東証プライムの上場維持基準の指標の内、「流通株式時価総額」の基準が100億円のところ98.7億円この基準を満たしておらず、各種取組みを行い、2026年3月末までに上場維持基準の適合を目指すとしています。

今回の立会外分売により、約11億円(8/15終値 1,945円×60万株)流通株式時価総額が増加しますので、これによりプライム上場基準を充たす見込みです。

【分売数量】

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約4.41%多い数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

そして、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は1,187百株、25日平均は384百株(8/15時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

また、今回の分売数量(6,000百株)は、1日の出来高(25日平均:384百株)の約15倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

【過去の立会外分売の結果】

ご参考までに、この会社は、2021年12月にも立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。

(※売買手数料は考慮していません。)

分売日分売
株数
[万株]
分売
値段
[円]
ディス
カウント

[%]
分売日
始値
[円]
(騰落率

[%])
分売日
終値
[円]
(同)
一週間後の
終値[円]
(日付)
損益[円]
(騰落率

[%])
2021/
12/8
403,2443.023,395
(+4.7)
3,450
(+6.4)
2,965
(12/15)
-279
(-8.6)
表2:ゼロ 過去の分売値段とその後の株価

分売値段で購入し、分売日の寄付や大引で売却した場合は4.7~6.4%の損益プラスでしたが、

分売日1週間後の寄付で売却した場合は8.6%の損益マイナスでした。

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【参考記事】

(前回(2021年12月実施)の分売):【立会外分売は買いか?】ダブルスタンダード(3925)

(前回予想の振り返り):【結果検証:立会外分売は買いか?】ダブルスタンダード(3925)、エスビー食品(2805)、進学会ホールディングス(9760)

どんな会社?

2012年の創業来「ビッグデータを活用した事業支援カンパニー」として、顧客企業の戦略立案・営業効率向上・業務改善をサポートし、収益改善に繋がるサービスを提供している会社です。

コアコンピタンスであるビッグデータを活用した企業向けサービス事業を武器に、継続的な収益確保を実現するストックコミッションモデルを構築、実現

ユーザーから選ばれるサービスづくりを企画・提供することで、ユーザーの購買活動・顧客企業の販売活動に最も大きな影響を与える「情報」について、顧客企業とユーザー間の最適化を具現化しています。

同社は、「WEBマーケティング事業」の単一セグメントで、事業としてはビッグデータ関連事業」と「サービス企画開発事業」の2つあり、それぞれ、

を行っています。

直近の経営概況

【2026年3月期1Q(2025年4月~6月)の経営成績】

(2025年8月13日発表:日本基準(連結))

決算期売上高
[百万円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2025年3月期
1Q累計
1,762
(16.9)
513
(4.1)
512
(39.2)
354
(4.8)
2026年3月期
Q累計
1,408
(△20.1)
327
(△36.3)
327
(△36.2)
211
(△40.5)
2026年3月期
通期会社予想
(2025年8月13日
修正)
7,200
(△10.0)
2,100
(△19.4)
2,080
(△20.3)
1,456
(△18.3)
通期予想に対する
1Qの進捗率[%]
19.515.515.714.4
表3:ダブルスタンダード 2026年3月期1Q経営成績(連結)と2026年3月期通期予想

表3のように、前年同期比 減収減益で、売上高は2割減利益面は割前後の減益でした。

今期(2026年3月期)通期の業績は、今1Q決算発表と同時に上方修正(表4参照)しており、前期比 減収減益で、売上高は1割減利益面は2割前後の減益を予想しています。

その通期予想に対する進捗率は、1Q終了時点で、売上高は2割でそこそこ利益面は1割強~2割弱でやや遅れ気味です。

【2026年3月期1Qの状況、経営成績の要因】

同社グループの情報サービス事業においては、ビッグデータの活用、情報セキュリティ強化、ITインフラ整備といった「成長」と「変革」を促進する戦略的投資と、

自動化・省力化による業務効率改善・生産性の向上を目的としたDX投資が、引き続き堅調に持続しました。

このような経営環境において、同社グループは顧客の業務効率化を支援する各種サービスの提供を中心に、既存顧客のみならず新規顧客の獲得に注力した結果、前期に引き続き新規顧客の拡大しました。

また、今後の注力商材となりうる新たなサービスの開発を進めるとともに、受注に向けた営業活動を精力的に実施しました。

しかしながら、主要取引先との取引が2025年3月末日をもって概ね終了となった影響により、前年同期比で減収減益となりました。

ただ、通期予想数値に対する1Q進捗は概ね計画通りで、

しています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2026年3月期1Q末時点で91.8%と前期末(84.8%)から7.0ポイント増加しています。

主な負債と純資産の、前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

自己資本比率の数値としては良好なレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2026年3月期)通期業績予想の修正】

今1Q決算発表と同時に、2026年3月期通期の業績予想を従来予想から売上高は1割増利益面は1割弱の増額修正をしています。

2026年3月期通期の業績予想は表4です。

売上高
[百万円]
営業
利益
[百万円]
経常
利益
[百万円]
親会社株主に
帰属する
当期純利益

[百万円]
1株当たり
当期純利益

[円]
前回(2025/5/13)
発表予想
6,5002,0001,9801,386102.55
今回修正予想7,2002,1002,0801,456107.73
増減額70010060070
増減率[%]10.85.05.15.1
表4:ダブルスタンダード 2026年3月期通期業績予想数値の修正(2025年8月13日発表)

修正の理由は、

としています。

なお、配当金予想変更はありませんでした。

株価指標と動向

【2025/8/15(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、オプティム(3694) 33.1倍、ULSグループ(3798) 20.6倍、コムチュア(3844) 15.9倍と比較すると、中間的な水準です。

配当利回り3.59%で、東証プライムの単純平均2.47%(8/15時点) と比較すると高い水準です。

表5のように、直近5年間の配当金は、1株当たり40~60円で推移しており、

配当性向は、50%前後で高め目で安定しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2021年3月期5550.0
2022年3月期4050.2
2023年3月期5041.8
2024年3月期5545.1
2025年3月期6045.5
表5:ダブルスタンダード 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する利益還元は重要な課題であると認識しており、内部留保による財務体質の強化を図りつつ、業績及び財政状態の推移を見ながら、剰余金の配当を行っていく方針です。

また、年1回の剰余金配当期末に行うことを基本方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2025年8月に高値(2,342円)をつけた後は1,200円台まで急落しました。

その後は、1,200~2,000円程度のレンジ内で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

5/22に安値(1,514円)をつけた後は、ヨコヨコで推移していましたが、

今回の立会外分売と今1Q決算、そして今期業績の上方修正発表の翌営業日(8/14)は、決算と上方修正が好感され、窓を開けて出来高を伴い急騰しました。

その翌営業日も続伸年初来高値を更新しています。

今後の株価は、勢いが止まらず上値追いをしていくのか、失速して急騰前の元の値に戻っていくのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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