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【立会外分売は買いか?】日本創発グループ(7814) <2024年9月実施>

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードからその他製品業種の日本創発グループです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大10,000株まで購入できます。

早ければ9/10(火)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2024 年9月 11 日(水)
分売数量600,000
(発行済み株式総数 51,000,000 株の約1.17%
分売値段430 円
(9/10決定:終値 448 円)
ディスカウント率4.02 %
(9/10決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量10,000 株
表1:日本創発グループ(7814) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約1.17%ほどほどの数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

そして、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は745百株、25日平均は277百株(9/4時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

さらに、今回の分売数量(6,000百株)は、1日の出来高(25日平均:277百株)の約22倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

【過去の立会外分売の結果】

ご参考までに、この会社は、2021年6月にも立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。

分売日分売
株数
[万株]
分売
値段
[円]
ディス
カウント
[%]
分売日
始値
[円]
(増減[円])
分売日
終値
[円]
(同)
一週間後の
終値[円]
(日付)
損益[円]
(騰落率

[%])
2021/
6/22(火)
1163153.08320
(+1.6)
322
(+2.2)
343
(6/29)
+28
(+8.9)
表2:日本創発グループ 過去の分売値段とその後の株価

前回(2021年6月実施分)は、分売値段で購入し、分売日の寄付や大引、分売日1週間後の大引で売却した場合はともに損益プラス

の結果でした。

特に、分売日1週間後の大引+8.9%もの利益が出ています。

(※売買手数料は考慮していません。)

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【参考記事】

(前回(2021年6月実施)の分売):【立会外分売は買いか?】日本創発グループ(7814)

(前回予想の振り返り):【結果検証:立会外分売は買いか?】ビーアンドピー(7804)、日本創発グループ(7814)

どんな会社?

高い技術力を活かした印刷事業をはじめITメディアを組み合わせたセールスプロモーション開発や、

魅力的な商品を開発するプロダクツ開発という事業領域を持つ、「創るチカラ」が集まったプロフェッショナル・グループです。

それぞれの領域でベストを尽くしクライアントの課題解決、要望に応えていくのはもちろんのこと、各領域を横断し、豊富なノウハウと高い製造技術を合わせた新しい価値を提供しています。

事業内容は、「クリエイティブをサポートする企業集団」として、クリエイティブサービス事業を営んでおり、

クリエイティブサービス事業の単一セグメントです。

直近の経営概況

【2024年12月期2Q(2024年1月~6月)の経営成績】

(日本基準(連結):2024年8月13日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2023年12月期
2Q累計
359
(22.3)
1,670
(7.0)
2,063
(26.1)
1,375
(77.7)
2024年12月期
2Q累計
383
(6.5)
2,274
(36.2)
2,144
(3.9)
1,609
(17.0)
2024年12月期
通期会社予想
770
(2.9)
3,500
(1.1)
4,000
(0.2)
2,600
(3.7)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
49.764.953.661.8
表3:日本創発グループ 2024年12月期2Q経営成績と2024年12月期通期予想

表3の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は1割弱増利益面は微増~4割弱増でした。

2024年12月期通期の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高、利益面ともに微増を見込んでいます。

そして、その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高は5割でそこそこ、利益面は営業利益と純利益は6割強で順調経常利益は5割強でそこそこです。

【2024年12月期2Qの状況、経営成績の要因】

同社企業グループの事業の環境は、電気・ガスの燃料や、紙・インクなどを含めた原材料価格が未だ高水準で推移する厳しい状況が続きました。

一方、インバウンド需要やサービス関連消費が順調に回復し、企業の広告宣伝活動が順調に回復販促ツール・サービスの需要が増加しました。

同社企業グループは、顧客により付加価値の高いサービスを提供するため、事業環境の変化や事業戦略に基づき将来の成長分野に事業資産を機動的に集中させています。

当中間連結会計期間において、印刷関連事業では、創業以来110余年の業歴を通して蓄積したノウハウに基づく高品質な造本技術を持ち、

厚物製本を含め広範な営業品目をそろえ、アッセンブリーサービス・輸送納品まで含めたワンストップサービスを提供して事業を展開する共同製本株式会社

埼玉県を地盤として地域に根差した印刷事業を展開する望月印刷株式会社が連結子会社として参画しました。

また、ITメディア セールスプロモーション分野では、1996年8月に設立され、主にビジネスや経済・健康・教養・生活実用等のジャンルの書籍出版事業を展開する株式会社アスコムが連結子会社として参画しました。

同社企業グループは、企画提案・製造・製作からメディアによる配信までをトータルでカバーできるユニークな企業体として、クリエイティブサービス事業の領域拡大に取り組みました。

その結果、当2Qの経営成績は、表3の数値の前年同期比 増収増益となりました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年12月期2Q末時点で20.1%と前期末(20.4%)から0.3ポイント低下しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては危険水域に近いレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2024年12月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※1 フリーCFの説明:

前期(2023年12月期2Q累計)のフリーCF(2,156百万円の収入)から4,369百万円増加しています。

【今期(2024年12月期)通期業績の見通し】

同社企業グループが属するクリエイティブサービス業界においては、IoT、AI、ビッグデータ分析、シェアリングエコノミーモデルなど、

高度なIT技術、進化した印刷技術、モバイルネットワークの5Gへの高速化を含めたネットワーク環境の利便性向上に対応し4KディスプレイやVR機器等が普及するなか、

クライアントが要望するクリエイティブの表現方法、表現技術、表現手段は、さらに多種・多様化するものと考えています。

同社企業グループは、伝統的な印刷製造技術のみならず、什器等のプロダクトを含む多様なデザイン力3D-CAD・3D-CGを軸とする映像クリエイティブ立体音響AR・VRを含むIT構築力を持つ企業の集合体です。

同社企業グループは、トータルで専門技術を保持しつつ、環境変化に応じて事業資産の配分を変更させることで企業間競争において優位性を維持しています。

今期の業績は、需要の回復による既存事業会社の業績が安定化することに加え、

当連結会計年度において連結子会社とした飯島製本株式会社及び株式会社グレートインターナショナルが年間を通じて業績に寄与し、

また、共同製本株式会社、望月印刷株式会社及び株式会社アスコムが連結子会社となる見込みであることなどから、売上高770億円を見込んでいます。

また、営業利益は35億円経常利益は40億円親会社株主に帰属する当期純利益は26億円前期比 増収増益を見込んでいます。

なお、今2Q決算発表時には、2024年2月14日付「2023年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」で公表された通期連結業績予想に変更はありません

株価指標と動向

【2024/9/4(水)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、ヨシムラ・フード・HLDGS(2884) 32.0倍、セレンディップ・HD(7318) 8.5倍、 テー・オー・ダブリュー(4767) 9.0倍と比較すると、低めの水準です。

配当利回り2.66%で、東証スタンダードの単純平均2.40%(9/3時点) と比較するとやや高い水準です。

表5のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり7.5~12円で推移しており、連続増配を継続中です。

配当性向は、20%台~2,800%で幅があります

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年12月期7.528.6
2020年12月期102,807
2021年12月期10.555.5
2022年12月期1126.5
2023年12月期1223.6
表5:日本創発グループ 年間配当金推移

この会社は、

配当金については、安定配当の継続を基本としつつ、業績及び財務状況、配当性向、内部留保などを総合的に勘案して決定することを基本方針としています。

このうち内部留保金は、経営基盤の強化を図るとともに、事業拡大の観点から成長が見込まれる分野への投資などに有効活用していくとしています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2023年8月に上場来高値(725円)をつけるまでは、上昇トレンドで推移していましたが、

その後は調整しており、500~600円程度のレンジ内で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

560円前後のヨコヨコで推移していましたが、8月初旬のいわゆる「植田ショック」の急落で安値(479円)をつけました。

その後は、一旦は値を戻していましたが、今回の立会外分売発表の翌営業日(9/4)は、分売による短期的な需給悪化懸念日経平均株価の急落が重なり、出来高を伴い窓を開けて、前日比 50円安(-9.29%)と急落しました。

この下落で、年初来安値を更新しています。

今後は、この日つけた年初来安値(474円)を割り込まずに、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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