きよりん堅実投資

【立会外分売は買いか?】日本創発グループ(7814)

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

最後までお付き合いいただけると嬉しいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

第18回目は、東証ジャスダックからその他製品業種の日本創発グループです。

分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と販売価格は、会社側が実施日前日に発表しますので前日にならないとわかりません。分売数量は決まっていて、100株単位で最大10,000株まで購入できます。

早ければ、6/21(月)の夕刻に、会社側からの適時開示で実施日と分売価格のお知らせがありますので、チェックしてくださいね💖

分売実施予定日2021/6/22(火)~2021/6/25(金)
分売数量1,164,800株
発行済み株数55,271,736株の約2.1%
申込単位数量100株
申込上限数量10,000株
実施の目的一定数量の売却意向があり、当社として検討した結果、立会外分売による当社株式の分布
状況の改善および流動性の向上を図るため

分売株数が、発行済み株数の2.1%とそれほど多くない印象ですが、分売数量は1,164,800株と多いです。当選確率が上がるかもしれないですね!

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は15,000株、25日平均は26,300株ですので、流動性は低いレベルです。

事業内容

DTP(Desktop publishing、デスクトップパブリッシング)を中心として、主に印刷関連サービスをしている会社を擁す持ち株会社です。

DTPとは?

日本語で卓上出版を意味し、書籍、新聞などの編集に際して行う割り付けなどの作業をパーソナルコンピュータ上で行い、プリンターで出力を行うこと。

ウィキペディア(Wikipedia)より

日本創発グループの存在意義/めざすこと(ビジョン)は、以下です。

お客さまが羽ばたかせるご自身のイマジネーション。
私たちは、多様なリソースと先進技術を駆使して、それを確かなカタチにするお手伝いをしていきます。

日本創発グループHP 企業情報より

前期(2020年12月期)通期の、事業分野別の売上高構成比は、

となっています。前年比で伸びている事業は、デジタルコンテンツ事業(前年比 14%増)です。それ以外の事業は、売上高は減少しています。

直近の経営状況

2021年12月期1Qの経営成績は、

でした。増収減益ですが、経常利益と純利益は増加しています。

経常利益と純利益が増えているのは、助成金収入 2.0億円、持分法による投資利益 1.1億円が加算されているためです。

会社側コメントとしては、

定期出版物など継続的な受注は比較的安定していたが、持ち直しの兆しが見えだしていた企業の広告・販売促進活動も、GO TOキャンペーンの停止、緊急事態宣言の再発令などにより、サービス消費が減退し、各種イベント等の先送りや中止、商業施設、娯楽施設等の休業など、サイン・ディスプレイ等の販促ツール制作の受注が大幅に減少した。

一方で、感染拡大防止を目的としたアクリル板や、フェイスガード、ソーシャルディスタンスを守るための床面シールなどの備品類の需要増加に対応し、コロナ禍での新しい社会生活に即したサービス消費への対応を目的とした、リアルを含めたデジタル販促ツールの需要拡大、その作成に向けた企画提案などに積極的に取り組んだ。しかしながら、結果としては新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けた形になった、いうことです。

この結果には、前会計年度に連結子会社となった株式会社FIVESTAR interactive(海外ブランドWEBサイトの構築・コンテンツ開発)、株式会社アプライズ(商業印刷・出版印刷・WEB制作)、研精堂印刷株式会社(商業印刷・出版印刷・WEB制作)及び新日本工芸株式会社(縁起物、授与品の製造販売)の業績が加わっています。

2021年12月期通期予想に対しての1Qの進捗率は、

となっています。売上高はほどほどの進捗ですが、営業利益は通期計画の70%近く達成しており好調です。前年は営業利益が赤字(△4.7億円)だったので、それに比べればかなり回復してきているという印象です。

財務面は、自己資本比率(自己資本(総資本ー他人資本)÷総資産 ×100)が、2020年12月期末時点の18.1%から、2021年12月期1Q末時点で19.6%と1.5ポイント上がっています。健全な状態といわれるレベル(30~70%)と比べて低い状態です。

株価指標

6/14(月)終値時点の数値

PERは、同業で時価総額が近い、光陽社(7946) 0倍、サンメッセ(7883) 26.8倍、ヨシムラ・フード・HLDGS(2884) 53.2倍と比較すると、中間的な水準となっています。

※直近5年間の配当金は、以下のようになっています。

決算期年間配当金(円)配当性向(%)
2016年12月期651.7
2017年12月期621.7
2018年12月期6-(赤字)
2019年12月期7.528.6
2020年12月期1025倍
※日本創発グループ 年間配当金推移

配当性向は一定ではありませんが、ここ数年は増配傾向にあります。

この会社は、四半期毎に配当がありますので、その点は嬉しいですね!

週足チャート(2年間):

出所:楽天証券サイト

株価は、昨年のコロナショック前の水準(340円程度)を上抜けて右肩上がりの上昇基調でした。

しかしながら、本日(6/15)は、昨日の立会外分売の発表を受けて、短期的な需給悪化懸念から売られ、コロナショック前の水準にほぼ戻ってしまいました。

6/15(火)の終値は341円となり、結局前日比マイナス11.66%です。

まとめ

2021年12月期1Q累計の経営成績は、営業利益は、前期比マイナスとなっているものの、経常利益、純利益は雇用調整助成金などの収入の営業外収益によって助けられ、何とか前期比プラスとなっています。

しかしながら、前期の営業利益の赤字から脱する今期の通期計画に対する進捗は悪くなく、順調です。

株主還元については、年4回配当金をいただけるところが良いところで、配当年利回りも2.6%(ジャスダック銘柄単純平均:1.57%(6/14現在))とまずまず高いです。

株価は、今回の立会外分売の発表を受け、前日比マイナス11.7%と大きく下げました。

分売数量は、発行済み株数の2.1%ですので、極端に多くないのですが、短期的に売られる恰好になっています。分売価格はこれよりさらにディスカウントされる可能性がありますので、今が買い時という考えもできます。

以上のことから、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐⭐
配当を含む株主還元⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐⭐(買い)
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

モバイルバージョンを終了