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【立会外分売は買いか?】ヤマザキ(6147) <2024年5月実施>

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから機械業種のヤマザキです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大3,000株まで購入できます。

早ければ5/22(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2024 年 5 月 23 日(木)
分売数量200,000
(発行済み株式総数 4,579,000 株の約4.36%
分売値段324 円
(5/22決定:終値 334 円)
ディスカウント率2.99 %
(5/22決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量3,000 株
表1:ヤマザキ(6147) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約4.36%多い数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は221百株、25日平均は5,683百株(5/20時点)で、流動性は平均的な水準です。(1,000百株を平均水準としています)

そして、今回の分売数量(2,000百株)は、1日の出来高(25日平均:5,683百株)の約0.35倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は少なめといえます。

ご参考までに、この会社は、2022年5月、2023年5月、2023年12月にも今回と同じ株数で立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。

(※売買手数料は考慮していません。)

分売日分売株数
[万株]
分売値段
[円]
ディス
カウント
[%]
分売日
始値
[円]
(騰落率[%])
分売日
終値
[円]
(同)
一週間後の
始値[円]
(日付)
損益[円]
(騰落率

[%])
2022/
5/25
203792.82366
(-3.4)
373
(1.6)
362
(6/1)
17
(-4.5)
2023/
5/25
204382.88439
(+0.2)
420
(-4.1)
406
(6/1)
-32
(-7.3)
2023/
12/6
203262.98336
(+3.1)
336
(+3.1)
337
(12/13)
+11
(+3.4)
表2:ヤマザキ 前回と前々回の分売価格とその後の価格

2022年5月実施時は、分売値段で購入し、分売日の寄付大引分売日1週間後の寄付で売却した場合のいずれも損益マイナス

2023年5月実施時は、分売日の寄付で売却した場合損益プラスでしたが、分売日の大引分売日1週間後の寄付で売却した場合は損益マイナスの結果でした。

2023年12月実施時は、いずれの場合も損益プラスの結果でした。

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【ご参考】

前回(2023年12月)の記事:【立会外分売は買いか?】ヤマザキ(6147) <2023年12月実施>

前回の振り返り:【結果検証:立会外分売は買いか?】みらいワークス(6563)、ヤマザキ(6147)、アール・エス・シー(4664)

前々回(2023年5月)の記事:【立会外分売は買いか?】ヤマザキ(6147) <2023年5月実施>

前々回の振り返り:【結果検証:立会外分売は買いか?】ヤマザキ(6147)、みらいワークス(6563)、精工技研(6834)

どんな会社?

2020年に創立60年を迎えた、工作機械メーカーです。

主に、標準化された「ユニット」によるオーダーメイド設備を製造・販売しており、

設備を構成する「ユニット」は、600種類以上を品ぞろえし、多品種少量生産などカスタマイズ化にも対応しています。

事業セグメントは、主にヤマハ発動機が顧客の「輸送用機器事業」と、自動車業界向けの「工作機械事業」があり、

事業内容は、

を行っています。

2024年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、ほぼ半々で、若干「輸出用機器事業」が多くなっています

直近の経営概況

【2024年3月期通期(2023年4月~2024年3月)の経営成績】

(日本基準:2023年5月10日発表)

決算期売上高
[百万円]
(前期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2023年3月期
通期実績
2,655
(0.8)
△228
(赤字幅
縮小)
△213
(赤字幅
縮小)
△111
(赤字幅
縮小)
2024年3月期
通期実績
2,496
(△6.0)
△97
(赤字幅
縮小
)
△86
(赤字幅
縮小
)
△33
(赤字幅
縮小
)
2025年3月期
通期会社予想
3,000
(8.9)
50
(黒字
転換
)
30
(黒字
転換
)
10
(黒字
転換
)
表3:ヤマザキ 2024年3月期通期経営成績と2025年3月期通期予想

表3の通り、前期比で、売上高は1割弱減利益面は赤字幅縮小で着地しました。

今期(2025年3月期)の業績予想前期比 増収増益で、売上高は1割弱増利益面は黒字転換を見込んでいます。

【2024年3月期通期の状況、経営成績の要因】

当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進み緩やかな回復基調が続いたものの、原材料価格やエネルギー価格の高騰等による物価の上昇為替変動による影響等、先行きの不透明な状況が続いています。

このような状況のもと、同社グループは、工作機械の販売は増加したものの、国内及びベトナムの子会社において、販売先の生産調整の影響により輸送用機器の販売が減少したことから、当連結会計年度における売上高は2,496百万円(前期比6.0%減となりました。

利益面は、工作機械事業固定費の圧縮等の効果により前連結会計年度に比べ損失幅を縮小したものの、輸送用機器事業における販売の減少等により、

営業損失は97百万円(前期:営業損失228百万円)、経常損失は86百万円(同経常損失213百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は33百万円(同親会社株主に帰属する当期純損失111百万円)となりました。

【セグメント別の業績】

表4のとおり、「輸送用機器」は前期比 減収で、赤字転落

「工作機械」は減収赤字幅縮小でした。

セグメント売上高
[百万円]
(前期比
増減率
[%])
セグメント
利益
[百万円]

(同)
輸送用機器1,323
(△11.7)
△26
(赤字
転落
)
工作機械1,224
(3.5)
△77
(赤字幅
縮小
)
表4:2024年3月期通期  セグメント別業績

各セグメントの状況は以下です。

輸送用機器

国内及びベトナムの子会社YAMAZAKI TECHNICAL VIETNAM CO.,LTD.の販売が減少しました。

工作機械

専用工作機械の販売が増加しました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年3月期末時点で36.1%と前期末(34.1%)から2.0ポイント増加しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

したことによるものです。

自己資本比率の数値としてはまだ問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2024年3月期のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2023年3月期)のフリーCF(179百万円の収入)から124百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2025年3月期通期)の見通し】

原材料価格やエネルギー価格の高騰や工作機械業界の価格競争が続く等、先行きの不透明な状況が続くものの、

今後新たに半導体製造装置の受注自動車量産部品の販売が増加する見込みであり、

社内における原価低減により、原価率も回復見込みであることから、今期の業績予想は、表3の数値の増収黒字転換を見込んでいます。

【継続企業の前提に関する重要事象等】

同社グループでは、主として工作機械事業における個別受注型の業務において新型コロナウイルスの世界的感染拡大等を端緒としたサプライチェーンの混乱等を背景に、

顧客の操業及び投資スケジュールが変更となるといった外部要因により、営業赤字となっています。

また、輸送用機器事業は、販売先による生産調整の影響により売上が減少し、当連結会計年度においては、前連結会計年度の営業黒字から営業赤字となりました。

この結果、4期連続の営業損失及び経常損失並びに当期純損失を計上し、本格的な業績回復に至っていないことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しています。

同社グループでは、当該事象又は状況の解消に向けて、原材料や仕入価格の上昇に伴う一部販売製品への価格転嫁による増収

役員報酬及び管理職の賞与等の減額並びに人員の適正化や再配置による固定費の圧縮原価管理の精度向上による受注損失の減少等により、収益性が大きく改善しその結果、当連結会計年度の4Qは営業利益の黒字化を達成しました。

これにより通期でも前連結会計年度の営業損失228百万円に対して、当連結会計年度は営業損失97百万円まで回復しています。

セグメント別では、工作機械事業は、従来からの専用工作機械については引き続き原価管理に注力し、原価率の改善に取り組んでいます。

また、新たに取り組んでいる半導体製造装置については受注が順調に推移しており、来期以降の収益拡大につながる見込みです。

輸送用機器事業は、従来の二輪車量産部品に加えて、自動車量産部品の受注増加により、収益規模を拡大するとともに、価格転嫁の効果とあいまって原価率もさらなる改善に取り組んでいく計画です。

これらの効果により、今期は各セグメントおよび同社グループ全体として営業利益の黒字化を達成できる見込みです。

なお、当連結会計年度末において現金及び預金1,022百万円を保有しており、主要取引銀行との間での特段の財務制限条項等はなく当座貸越契約による追加の資金調達余力もあることから、

事業運営に必要な資金については十分に確保しており、資金繰りに重要な懸念はありません

以上のことから、現時点で同社グループは、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しています。

株価指標と動向

【2024/5/20(月)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、岡本工作機械(6125) 5.3倍、ミロク(7983) 19.3倍、ソディック(6143) 52.1倍と比較すると、高い水準です。

配当利回りは2.86%で、東証スタンダードの単純平均2.32%(5/17時点) と比較すると高い水準です。

表5のように、直近5年間の配当金は、1株あたり10~15円で推移しており、2021年3月期の記念配当分を除くと10円で一定です。

配当性向は、最終赤字の年を除き、50%程度です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2020年3月期1051.8
2021年3月期15
(内
記念配当
5円)

(最終
赤字)
2022年3月期10
(最終
赤字)
2023年3月期10
(最終
赤字)
2024年3月期10
(最終
赤字)
表5:ヤマザキ 年間配当金推移

この会社は、

創立以来株主への優遇政策を経営上の最重要項目の一つと考えており、

安定基盤の確立に努めるとともに、将来にわたり収益に対応した配分を行うことを基本方針としています。

剰余金の配当は、中間配当および期末配当の年2回を基本的な方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

基本的には、320~400円程度のレンジ内での動きですが、

2023年5月に急騰し高値(647円)をつけました。

しかしその後は続かず、すぐに急騰前の元の値に戻っています

<日足チャート(直近3か月間)>

4/17に年初来安値(338円)をつけた後、急騰してその2営業日後に年初来高値(490円)をつけました。

しかしその後は急騰前の元の値に戻しており、今回の立会外分売発表の翌営業日(5/14)はそれほど反応はなく、前日比 1円高(+0.29%)で終了しました。

今後は、年初来安値(338円)を割り込まずに、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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