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【公募増資・売出(PO)は買いか?】エフ・コード(9211) <2024年4月実施>

こんにちは!

公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証グロースからサービス業種のエフ・コードです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」「売出」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

POの概要

今回のPOは、公募と第三者割当による増資大株主からの株式の売出しです。発行価格等決定日や受渡期日、発行数量等は表1のようになっています。

ディスカウント率は、「発行価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%です。

ちなみに、直近の主なPOのディスカウント率は、JR西日本(9021) 3.01%、日本郵政(6178) 2.01%、クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387) 3.09%となっており、ほぼほぼ2~5%程度です。

ただ、ディスカウント率が大きいPOもあり、直近ではENECHANGE(4169)の8.1%が最大です。

注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事(今回はSBI証券)はじめ、引受人(今回はみずほ証券J トラストグローバル証券丸三証券あかつき証券)の証券会社で購入申込可能です。

早ければ、4/23(火)の夕刻に、会社側から発行価格等のお知らせが適時開示であります。

このブログ記事も更新しますので、チェックしてくださいね💖

発行価格等決定日2024 年4月 23 日(火)
受渡期日
(POで買った場合はこの日から売却可能)
2024 年5月2日(木)
①公募による新株式の発行
一般募集
数量
普通株式 1,474,000
発行済み株式総数 10,606,600  の約13.8%
②株式の売出し
(引受人の買取引受けによる売出し)
数量
普通株式 326,000
発行済み株式総数 10,606,600  の約3.07%
③株式の売出し
(オーバーアロットメントによる売出し)
数量
普通株式 270,000 株実施決定(4/23)
SBI証券が売出す。
④第三者割当による新株式発行
数量
普通株式 270,000
(申込みのなかった株数は発行されない。)
SBI証券に割当。
調達資金手取り概算額(上限)36.7 億円
発行価格1,728 円
(4/23決定:終値 1,801 円)
ディスカウント率4.05 %
(4/23決定)
申込単位数量100 株
主幹事SBI証券
引受人みずほ証券、J トラストグローバル証券、丸三証券、あかつき証券
表1:エフ・コード(9211) PO概要

【資金調達の背景と目的】

としています。

【調達資金の使途】

今回の一般募集及び第三者割当増資に係る手取概算額合計上限約36.7億円については、

M&Aの株式取得等に係る借入金の返済に充当(支出予定時期2024年5月以降)し、具体的な充当時期までは、安全性の高い金融商品等で運用する予定です。

に充当する予定です。

具体的には、

を同社の資金計画に沿って充当するとしています。

また、今回の新株式の発行数量は、発行済み株式総数の最大約16.4%(第三者割当を含む)、

株式の売出数量は、発行済み株式総数の最大約3.07%で、

です。

新株式発行は1株利益の希薄化株式の売出しは需給悪化につながりますので、この2つの要因が株価を押し下げる可能性があります。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株の数量)の5日平均は1,732百株、25日平均は991百株で、流動性は平均的な水準です。(1日 1,000百株を平均的な水準としています。)

【(ご参考)前回のPOの結果】

ご参考までに、この会社は2023年1月にも公募増資を実施しており、その時のPOの結果はどうだったかというと、表2の結果となっており、

POで購入し、受渡日の寄付と大引や1週間後の寄付で売却した場合4.0~5.5%の損益マイナスでした。

その時の地合いの良し悪しにも左右されますが、ご参考まで。

(※売買手数料は考慮していません。)

受渡
期日
発行
価格
[円]
ディス
カウント率
[%]
受渡日
始値[円]
(増減率[%])
受渡日
終値[円]

(同)
1週間後
の始値[円]
(日付)
損益[円]
(騰落率

[%])
2023/
1/24
2,1995.012,112
(-4.0)
2,079
(-5.5)
2,083
(1/31)
-116
(-5.3)
表2:エフ・コード(9211) 前回のPO銘柄の発行価格とその後の価格
※株価は2024年3月末に実施された、1/2分割前の株価

【参考記事】

前回PO:【公募増資・売出(PO)は買いか?】エフ・コード(9211)

前回POの振り返り:【結果検証:公募増資・売出(PO)は買いか?】エスビー食品(2805)、エフ・コード(9211)、グローセル(9995)

どんな会社?

「マーケティングテクノロジーで世界を豊かに」をミッションを掲げ、

急速な成長を続けるDX市場において、顧客体験を改善するテクノロジー・SaaSを軸に、近年ニーズが増加するマーケティング・クリエイティブの領域にも展開し、ウェブサイト構築から集客、リピート促進まで一気通貫での支援を行っている会社です。

同社は、DX事業の単一セグメントで、

CX(カスタマー・エクスペリエンス)向上SaaSの提供とともに、CX領域のデータ基盤を軸とするプロフェッショナルによるDX推進の伴走型支援やデジタルマーケティング及び

クリエイティブ全般の支援を組み合わせ、企業のDX推進支援をワンストップで提供しています。

直近の経営概況

【2023年12月期通期(2023年1月~12月)の経営成績】

(IFRS(国際会計基準):2024年2月14日発表)

決算期売上
収益
[百万円]
(前期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
税引前
利益
[百万円]
(同)
親会社の
所有者に
帰属する
当期利益
[百万円]
(同)
2022年12月期
通期実績 ※1
1,071
(ー)
131
(ー)
123
(ー)
69
(ー)
2023年12月期
通期実績
2,482
(131)
651
(397)
612
(394)
484
(599)
2024年12月期
通期会社予想
4,633
(86.7)
1,350
(107)
1,274
(108)
775
(59.9)
表3:エフ・コード 2023年12月期通期経営成績と2024年12月期通期予想
※1:2023年12月期3Q連結財務諸表より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用しており、2022年12月期の数値についてもIFRSに基づき記載しているため、2022年12月期の数値に対する対前期増減率は記載なし。

表3の通り、前期比 増収増益で、売上高は2.3倍利益面は5~7倍の増益で好調でした。

今期(2024年12月期)通期の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高は9割弱増利益面は6割増~2倍の増益を見込んでいます。

【2023年12月期の状況、経営成績の要因】

同社が事業を展開するデジタルトランスフォーメーション市場及びデジタル関連IT&ビジネスコンサルティング市場においては、

コロナ禍における新たなライフスタイルの確立や消費活動のオンライン化が加速したことによって、消費者のメディア接点の多様化がよりいっそう進み、

これらに対応するためのデジタルシフトをはじめとしたDXへの取り組みが多くの企業において活発なものとなっており、高成長が期待される市場として注目されています。

このような経営環境のもと、同社グループでは、顧客体験を改善するテクノロジー・SaaS を軸に、近年ニーズが増加するマーケティング・クリエイティブ(デザインやカラー、導線など)の領域にも展開し、

ウェブサイト構築から集客、リピート促進まで一気通貫での顧客支援を行っています。

また、同社グループの提供プロダクト及びサービスの拡大とCX(Customer Experience)データの質及び量の増強を図り、競争力をより高めることを目的として、これまでに複数のM&Aを実行してきましたが、

当連結会計年度においては、2023年1月31日付で株式会社KaiU5月12日付で株式会社SAKIYOMI8月15日付でCRAFT株式会社8月21日付で株式会社JITT8月31日付で株式会社マイクロウェーブクリエイティブをそれぞれ連結子会社化しました。

この結果、当連結会計年度の経営成績は、CX SaaS及び付随するプロフェッショナルサービスの受注が順調に推移したことや、

M&Aによる獲得事業の提供プロダクトによってサービスが拡大したことにより、表3の前期比 増収増益で着地しています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年12月期末時点で29.1%と前期末(21.3%)から7.8ポイント増加しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては危険水域に近いレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2023年12月期累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2022年12月期累計)のフリーCF(1,320百万円の支出)から1,105百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2022年12月期通期)業績の見通し】

引き続き、同社グループによる各プロダクト及びサービス間のシナジーによって最適なDX推進とCXの改善を包括的に進めるための体制を構築し、

顧客価値の最大化を実現するとともに、収益力と成長の最大化を目指していくとしています。

加えて、「LTV(Life Time Value)サイエンス」事業を提供する株式会社BINKSの一部株式の取得(2024年1月17日に連結子会社化)を実行しており、新たに連結子会社しました。

これにより、同社グループのより一層の収益性の向上や競争力の強化を図っています。

株価指標と動向

【2024/4/17(水)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、KAIZENPLATFORM(4170) 0倍、エル・ティー・エス(6560) 14.5倍と比較すると、高い水準です。

表4のように、会社設立以来、無配となっています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年12月期
2020年12月期
2021年12月期
2022年12月期
2023年12月期
表4:エフ・コード 年間配当金推移

この会社は、

現在成長過程にあり、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来配当は実施していません。

同社は株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識していますが、内部留保の充実を図り、収益力強化や事業基盤整備のための投資に充当することにより、

一層の事業拡大を目指すことが、将来において安定的かつ継続的な利益還元につながると考えています。

内部留保資金は、財務体質の強化を図るとともに、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、将来の事業展開のための財源として利用していく予定です。

将来的には、経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益配分を検討していますが、配当実施の可能性及びその実施時期は現時点では未定としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

しばらく800円前後のヨコヨコの推移でしたが、2023年10月に上場来安値(502円)をつけた後は、急上昇しはじめ

半年後の2024年4月に上場来高値(2,851円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

4/10に上場来高値(2,851円)をつけるまでは、右肩上がりの上昇トレンドで推移していましたが、

その後はしばらくヨコヨコで推移し、今回のPO発表日(4/16)に大きな陰線をつけて下落しました。

そしてさらに、PO発表の翌営業日は、POによる1株利益の希薄化懸念株式の売出しによる短期的な需給悪化懸念により、窓を開けて出来高を伴い、前日比 500円安(-21.5%)と急落しました。

この下落で、75日移動平均線(青線)を下抜けています。

今後は、節目の1,600円や1,500円程度を割り込まずにヨコヨコから上昇に転じていくのか、下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・新株式の発行株数】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐
新株式の発行数量
株式の売出数量
⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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