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【立会外分売は買いか?】東京自働機械 (6360) <2023年8月実施>

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから機械業種の東京自働機械です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大900株まで購入できます。

早ければ8/23(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2023 年 8 月 24 日(木)
分売数量27,400 株
(発行済み株式総数 1,452,000 株の約1.88%
分売値段2,634 円
(8/23決定:終値 2,718 円)
ディスカウント率3.09 %
(8/23決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量900 株
表1:東京自働機械(6360) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約1.88%ほどほどの数量※1です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は102百株、25日平均は63百株で、流動性は低い水準です。

そして、今回の分売数量(274百株)は、1日の出来高(25日平均:63百株)の約4.3倍で、この銘柄の平均的な出来高からすると分売数量はそこそこといえます。

ご参考までに、この会社は、1年前の2022年8月に立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。

分売日分売株数
[万株]
分売値段
[円]
ディス
カウント
[%]
分売日
始値
[円]
(増減[円])
分売日
終値
[円]
(同)
一週間後の
始値[円]
(日付)
損益[円]
(騰落率

[%])
2022/
8/24(水)
6.71,5303.831,591
(+4.0)
1,562
(+2.1)
1,562
(8/31)
+32
(+2.1)
表2:東京自働機械 前回の分売価格とその後の価格

分売値段で購入し、分売日の寄付又は大引け、分売日1週間後の寄付で売却した場合全ての段階で損益プラスの結果でした。

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【ご参考】

前回の記事:【立会外分売は買いか?】東京自働機械 (6360)

前回の振り返り:【結果検証:立会外分売は買いか?】アイリックコーポレーション(7325)、モリト(9837)、東京自働機械(6360)

どんな会社?

一般各種自動包装機械たばこ製造・包装機械圧縮梱包機組立機などの開発・設計、製造、販売をしている会社です。

主要取引先は、日本たばこ産業株式会社(JT)やロッテ、森永製菓、明治などのお菓子メーカーがあります。

事業内容は、2つのセグメントに分かれており、それぞれ、

を行っています。

2023年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「生産機械」が6割強を占めています。

直近の経営概況

【2024年3月期1Q(2023年4月~6月)の経営成績】

(2023年8月4日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主
帰属する
純利益
[百万円]
(同)
2023年3月期
1Q累計
15.5
(△30.0)
△88
(ー)
△40
(ー)
△30
(ー)
2024年3月期
1Q累計
31.9
(105)
210
(黒字
転換
)
259
(黒字
転換
)
177
(黒字
転換
)
2024年3月期
通期会社予想
135
(1.5)
950
(△3.6)
1,100
(△3.4)
710
(△11.2)
通期予想に対する
1Qの進捗率[%]
23.622.123.524.9
表3:東京自働機械 2024年3月期1Q経営成績と通期会社予想

表3の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は2倍利益面は黒字転換で好調でした。

2024年3月期通期の業績予想は、前期比 増収減益で、売上高は微増利益面は微減~1割強のを見込んでおり、

その通期予想に対する進捗率は1Q終了時点で、売上高、利益面ともに1/4程度でそこそこです。

【2024年3月期1Qの状況、経営成績の要因】

当1Q累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による様々な行動規制が緩和され、徐々に回復の兆候が見られました。

しかしながら、ロシア・ウクライナ問題等不透明な国際情勢や世界的なインフレを背景に、引き続き製品・部品の調達困難な状況と価格の高止まりは継続しており、依然として先行き不透明な状況で推移しました。

このような経済情勢の下、同社は全社を挙げて業績の確保に努めた結果、生産機械部門の売上が好調に推移し、当1Q累計期間の業績は売上高31.9億円(前年同四半期15.5億円、105%増)となりました。

利益面では、原材料費や人件費、販売活動費用の増加等を好調な売上で吸収し、営業利益210百万円(前年同四半期営業損失88百万円)、経常利益259百万円(同経常損失40百万円)となりました。

四半期純利益は、法人税等調整額の増加から177百万円(同四半期純損失30百万円)となりました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表4の結果になりました。

「包装機械」減収で、赤字幅拡大

「生産機械」増収増益の結果でした。

セグメント売上高
[百万円]

(前年同期比
[%])
セグメント
利益
[百万円]
(同)

包装機械
604
(△9.4)
△153
(前年同期
△110
百万円)
生産機械2,591
(2.9倍)
518
(3.1倍)
表4:2024年3月期1Q セグメント別業績

セグメント別の状況は以下です。

包装機械

新型コロナウイルスの影響が収束しつつあり、営業訪問や展示会への出展等積極的な営業活動を行いましたが、部品調達困難な厳しい状況が継続し減収となりました。

また、利益面でも、原価率の上昇や人件費、販売活動費用の増加等による固定費負担が増加したため、赤字幅が拡大しました。

生産機械

大型プロジェクト中心の堅調な受注残により、大幅な増収増益となりました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年3月期1Q末時点で42.7%と前期末(38.6%)から4.1ポイント増加しています。

これは主に、前受金が1,504百万円減少し、流動負債が合計で1,299百万円減少したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2024年3月期通期)業績の見通し】

経済活動の活発化が期待されるものの、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や、部品調達困難な状況原材料価格の高騰等厳しい状況は継続するものと考えています。

包装機械事業は、菓子食品業界を中心に人手不足を起因とする設備投資意欲は継続しており、重点事業分野を中心に売上高を確保するとともに、販売価格の見直しや生産性の向上により利益確保する計画です。

生産機械事業は、大型プロジェクトを中心とした特定顧客の設備投資計画に強く影響されますが、前期比大幅増の受注残を確保できており、増収の見通しです。

よって、2024年3月期通期業績見通しは、売上高135億円(前年同期比1.5%増営業利益950百万円(同3.6%減経常利益1,100百万円(同3.4%減当期純利益710百万円(同11.2%減を見込んでいます。

株価指標と動向

【2023/8/10(木)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、ゼネラルパッカー(6267) 7.6倍、静甲(6286) 20.7倍と比較すると、低い水準です。

利回りは2.09%で、東証スタンダードの単純平均 2.20%(8/10時点) とほぼ同水準です。

表5のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり40~60円推移しており、

配当性向は、10%台で安定して推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年3月期4010.5
2020年3月期50
(内 記念配当
10円)
10.9
2021年3月期4010.3
2022年3月期4015.0
2023年3月期6010.5
表5:東京自働機械 年間配当金推移

この会社は、

将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保しつつ、長期的に安定した配当を継続しつつ、業績及び経営の状況を踏まえ配当を増額することを利益還元の基本方針としています。

内部留保金は、将来の事業強化に必要な新製品開発、業務効率化投資、生産設備投資等に充当しています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2023年4月下旬までは、1,500~2,000円前後で推移していましたが、

2023年3月期の業績を上方修正後一気に株価は跳ね上がりました

そしてそれ以降も順調に上昇を続け、7月下旬に上場来高値(3,420円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

7/26に上場来高値(3,420円)をつけるまで右肩上がりの上昇トレンドで推移していましたが、

それ以降は調整しており、今回の立会外分売発表時点(8/10)では、25日移動平均線(赤線)の下で推移しています。

今後は、75日移動平均線(青線)を下抜けずに上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐
(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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