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【立会外分売は買いか?】NaITO(7624) <2023年2月実施>

機械工具

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから卸売業種のNaITOです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大10,000株まで購入できます。

2/15(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2023 年 2 月 16 日(木)
分売数量1,784,600
(発行済み株式総数 54,789,510 株の約3.25%
分売値段149 円
(2/15決定:終値 154 円)
ディスカウント率3.25 %
(2/15決定
申込単位数量100 株
申込上限数量10,000 株
表1:NaITO 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約3.25%多い数量※1です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は479百株、25日平均は379百株(2/10時点)で、流動性は低い水準です。

そして、今回の分売数量(17,846百株)は、1日の出来高(25日平均:379百株)の約47倍ですので、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

ご参考までに、この会社は、昨年10月にも立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。

分売日分売株数
[万株]
分売値段
[円]
ディス
カウント
[%]
分売日
始値
[円]
(増減率[%])
分売日
終値
[円]
(同)
一週間後の
始値[円]
(日付)
損益[円]
(増減率

[%])
2022/
10/11
1601572.48157
(±0)
155
(-1.3)
156
(10/18)
-1
(-0.6)
表2:NaITO 前回の分売価格とその後の価格

分売値段で購入し、分売日の寄付で売却した場合は損益トントンでしたが、分売日の大引、分売日1週間後の寄付で売却した場合は、わずかに損益マイナスの結果でした。

(※売買手数料は考慮していません。)

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【参考記事】

(前回の分売):【立会外分売は買いか?】NaITO(7624)

(前回予想の振り返り):【結果検証:立会外分売は買いか?】アトラエ(6194)、NaITO(7624)、セキチュー(9976)

どんな会社?

切削工具・計測・産業機器・工作機械等の多品種におよぶ取扱商品群を、国内外の事業パートナーに「最適な商品、最高のサービス」として提供し、

製造業の技術革新を通して産業全体の発展に寄与していくことを経営理念としている機械工具の専門商社です。

同社は、切削工具、計測、産業機器、工作機械等の販売及びこれらの付帯業務の単一セグメントで、

2022年2月期通期の商品分類別の売上高構成比は、

となっており、「切削工具」と「産業機器・工作機械等」の売上が多くほぼ半々の割合になっています。

直近の経営概況

【2023年2月期3Q(2022年3月~11月)の経営成績】

(2022年12月26日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
純利益

[百万円]
(同)
2022年2月期
3Q累計 ※2
329
(ー)
517
(ー)
549
(ー)
373
(ー)
2023年2月期
3Q累計
335
(2.1)
669
(29.4)
709
(29.0)
587
(57.4)
2023年2月期
通期会社予想
485
(11.2)
780
(24.2)
800
(19.6)
660
(47.1)
通期予想に対する
3Qの進捗率[%]
69.285.788.688.9
表2:NaITO 2023年2月期3Q経営成績と通期会社予想
※2:2022年2月期3Qの対前年同四半期増減率は、会計方針の変更に伴い遡及適用が行われたため記載なし

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は微増利益面は3割~6割弱の増益でした。

2023年2月期通期の業績予想は、今3Q決算発表と同時に純利益のみ上方修正しており、前期比 増収増益で、売上高は1割強増利益面は2割~5割弱の増益を見込んでおり、

その通期予想に対する進捗率は3Q終了時点で、売上高は3/4程度でそこそこですが、利益面は9割弱で順調です。

【2023年2月期3Qの状況、経営成績の要因】

当3Q連結累計期間(2022年3月1日~11月30日)における同社を取り巻く経済環境は、設備投資・生産活動に持ち直しの動きが見られたものの、

新型コロナウイルス感染症の感染状況、円安の進行、物価高騰、ロシア・ウクライナ情勢及び中国ロックダウンによる部品調達の困難化自動車工場の減産・稼働停止など下振れリスクにより景気の先行きは不透明な状況で推移しました。

このような状況のもと、同社グループは「中期経営計画 Achieve2025(2021年3月1日~2026年2月28日)の2年目として重点施策の着実な実行に努めました。

当3Q連結累計期間は、計測及び産業機器・工作機械の物件の納期遅延等の影響があったものの、

NICE-NET(商品注文システム)の利便性向上や機会損失の回避等を目的として在庫拡充による品揃えを強化するとともに、計測分野に関するWebセミナー等を実施し、拡販に努めています。

3月には、工作機械、ロボット及び工場ライン周辺の設備販売を強化するために設備販売部を新設

6月には、ロボットテクノロジージャパン2022に出展し、「NaITO Revolution ~NaITOからの再提案~」をテーマとして、協働ロボットやIoT関連の商材等を展示しました。

11月には、JIMTOF2022において新製品の同社オリジナルブランド「Victory エンドミル(※3)」の発売を発表しました。

また、海外展開は、ベトナム・タイ・中国において同感染症の影響はあったものの拡販に努めました

以上の結果、当3Q連結累計期間における売上高は前年同期比2.1%増営業利益は同29.4%増経常利益は同29.0%増

親会社株主に帰属する四半期純利益投資有価証券売却益の計上もあり、同57.4%増増収増益になりました。

※3 エンドミル:切削加工に用いる工具(切削工具)であるフライスの一種。ドリルに類似した外観を持つが、ドリルは軸方向に推進し、円形の穴を空ける用途であるのに対して、エンドミルは側面の刃で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられる。

【商品分類別の業績】

商品分類別の売上高は、表3の結果になりました。

商品分類売上高
[億円]
(前年
同期比[%])

切削工具
168
(2.9)
計測29.3
(0.3)
産業機器・
工作機械等
137
(1.5)
表3:2023年2月期3Q 商品分類別売上高

どの商品も前年同期比 微増の増収となっています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年2月期3Q末時点で69.6%と前期末(71.2%)から1.6ポイント低下しました。

これは主に、前期末比で支払手形及び買掛金が213百万円増加し、流動負債が合計で532百万円増加したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2023年2月期通期)業績の見通し】

2023年2月期3Q連結期間に、特別利益(投資有価証券売却益)を158百万円計上し、

親会社株主に帰属する当期純利益のみを当初予想の550万円から110百万円増額して、660百万円に修正しています。

株価指標と動向

【2023/2/10(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、山善(8051) 8.3倍、トラスコ中山(9830) 15.3倍、杉本商事(9932) 10.9倍と比較すると、中間的な水準です。

年利回りは1.91%で、東証スタンダードの単純平均 2.23%(2/9時点) と比較すると低い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株当たり2~4円で推移しており、

配当性向は、20%台~30%台で安定しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2018年2月期25.1
2019年2月期26.9
2020年2月期31.9
2021年2月期39.8
2022年2月期36.6
表4:NaITO 年間配当金推移

この会社は、

企業体質の強化や将来の事業展開に備えて、内部留保を図りつつ、株主への利益還元に努めることを基本としながら、業績推移と今後の経営環境等を勘案して決定する方針です。

配当の回数は、年1回の期末配当を行うことを基本方針としてます。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、2021年9月に高値(204円)をつけるまでは上昇していましたが、

それ以降は下落トレンドで推移し、2022年11月に安値(152円)をつけました。

そしてそれ以降は、この安値を割り込んでいません

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、昨年11月に昨年来安値(152円)をつけた後は上昇基調で推移し、昨年末に高値(166円)をつけました。

そして今回の立会外分売発表の翌営業日(2/10)は、立会外分売による短期的な需給悪化懸念で、出来高を伴い窓を開けて売られ、前日比 4円安(-2.48%)で終了しました。

今後は、75日移動平均線(青線)の上をキープし、分売発表前の値に戻っていくのか、昨年来安値(152円)に向かって下落していくのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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