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【立会外分売は買いか?】はごろもフーズ(2831) <2022年11月実施>

食品

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから食料品業種のはごろもフーズです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大1,000株まで購入できます。

早ければ11/25(金)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2022 年11 月28 日(月)
分売数量40,000 株
(発行済み株式総数 10,325,365 株の約0.38%
分売値段2,944 円
11/25決定
ディスカウント率3.00 %
11/25決定
申込単位数量100 株
申込上限数量1,000 株
表1:はごろもフーズ 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約0.38%少ない数量※1です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は23百株、25日平均は13百株(11/21時点)で、流動性は低い水準です。

そして、今回の分売数量(400百株)は、1日の出来高(25日平均)の約33倍ですので、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

ご参考までに、この会社は、昨年11月と今年5月にも立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。

分売日分売株数
[万株]
分売値段
[円]
ディス
カウント
[%]
分売日
始値
[円]
(増減率[%])
分売日
終値
[円]
(同)
一週間後の
始値[円]
(日付)
損益[円]
(増減率[%])
2021年
11月22日
3,0123.003,010
(-0.1)
3,005
(-0.2)
2,984
(11/30)
-28
(-0.9)
2022年
5月30日
2,9932.992.995
(+0.1)
2,998
(+0.2)
2,995
(6/6)
+2
(+0.1)
表2:はごろもフーズ 前回と前々回の分売価格とその後の価格

昨年実施の時は、分売値段で購入し、分売日の寄付や大引、分売日1週間後の寄付で売却した場合は損益マイナスでしたが、

今年5月に実施の時は、全ての場合損益プラスの結果でした。(売買手数料は考慮していません。)

ただ、いずれも値動きはほとんどなく、プラスマイナストントンを言ってもいいと思います。

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【ご参考:前回の記事】:【立会外分売は買いか?】はごろもフーズ(2831) <2022年5月>

どんな会社?

ツナ缶でおなじみの『シーチキン』が主力商品で、

缶詰・レトルト食品・ギフト・パスタ・パスタソース・包装米飯などの各種食品の製造・販売をしている会社です。

その他にも、ペットフード・フィッシュミール等の製品を幅広く販売をしています。

事業セグメントは、食品事業の単一セグメントで、

2022年3月期通期の製品群別売上高構成比は、

となっており、「家庭用食品」の「ツナ」が全体の半分弱を占めています。

直近の経営概況

【2023年3月期2Q(2022年4月~9月)の経営成績】

(2022年11月7日発表)

決算期売上高
[億円]
(前期比
[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2022年3月期
2Q累計
355
(0.6)
2,014
(△21.5)
2,195
(△22.1)
1,815
(△12.8)
2023年3月期
2Q累計
356
(0.7)
37
(△98.2)
168
(△92.3)
84
(△95.3)
2023年3月期
通期会社予想
670
(△0.7)
△1,300
(赤字
転落)
△1,000
(赤字
転落)
△1,200
(赤字
転落)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
53.1
表3:はごろもフーズ 2023年3月期2Q経営成績と2023年3月期通期予想

表3の通り、前年同期比 増収減益で、売上高は微増利益面は9割強の減益でした。

2023年3月期通期の業績予想は、2Q決算発表の1週間前に下方修正しており(表5参照)、前期比 減収減益で、微減の減収利益面は赤字転落を予想していて、

その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高は5割程度でそこそこです。

【2023年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

食品業界は、ワクチン接種の進展等により外食需要は回復基調でしたが、原油および穀物相場高騰の影響に起因した原材料やエネルギー価格の上昇による製品の価格改定が続き、顧客の節約志向がさらに強まり引き続き厳しい経営環境が続きました

このような中、同社グループは、中期経営計画の優先課題である信頼感・安心感のある「はごろも」ブランドの確立に取り組み、消費者目線に立った健康志向や簡便性・利便性といった機能性を追求した製品の販売に注力しました。

あわせて、販売促進活動の一つである「シーチキン食堂」のテレビコマーシャルと連携したメニュー提案により、さらなる需要喚起に努めました。

また、販売が伸長しているデザートにおいて「朝からフルーツでモーニングルーティン」のWEB限定のコマーシャル動画を公開し、新たな販売活動を通して新規ユーザーの獲得を図りました。

一方でまぐろ・かつお・小麦粉等原材料価格の高騰にともない、ツナやパスタ等製品の価格改定を実施しました。

この結果、家庭用製品の販売は価格改定による買い控え等の影響を受けて減少しましたが、業務用製品の販売は、各種給食やコンビニエンスストア向けの需要が引き続き順調に回復したこと等により増加したため、当連結累計期間の売上高は356億円(前年同期比0.7%増となりました。

利益面では、原材料価格の高騰や急速な円安の進行等により売上原価率が上昇したこと等から、営業利益は37百万円(同98.2%減

海外関連会社の持分法による投資利益が減少したこと等により、経常利益は168百万円(同92.3%減親会社株主に帰属する四半期純利益は84百万円(同95.3%減となりました。

【製品群別の売上高】

製品群別の売上高は、表4の結果になりました。

製品群製品売上高[億円]
(前期比[%])
構成比[%]
家庭用食品(全体)284
(△0.8)
79.8
ツナ161
(1.5)
45.3
デザート30.8
(5.2)
8.7
パスタ&ソース29.8
(3.2)
8.4
総菜32.6
(△3.9)
9.2
削りぶし・のり
・ふりかけ類
16.2
(△2.8)
4.6
ギフト
・その他食品
13.2
(△2.2)
3.6
業務用食品60.2
(6.1)
16.9
ペットフード
・バイオ他
9.7
(16.3)
2.8
その他1.8
(△8.0)
0.5
表4:2023年3月期2Q 製品群別売上高

主力の「家庭用食品」は、「デザート」と「パスタ&ソース」が前年同期比で増収でしたが、

その他の商品が振るわず、全体で微減の減収となっています。

「業務用食品」と「ペットフード・バイオ他」は前年同期比 増収「その他」は減収となっています。

個別の状況は、以下のようになっています。

ツナ

高たんぱく・低脂質・低糖質という健康面を訴求した「オイル不使用シーチキン」シリーズや、開けやすく後片付けに便利なパウチタイプの「シーチキンSmile」シリーズが好調でしたが、

主力の油漬缶詰がコロナ禍での需要拡大の一服と、価格改定による買い控え等の影響を受けて苦戦し、売上高は前年同期比1.5%減少しました。

デザート

コロナ禍でフルーツ缶詰等の利便性が改めて支持され、引き続き「朝からフルーツ」缶詰やみかん缶詰、さらにフルーツパウチが好調で、売上高は同5.2%増加しました。

パスタ&ソース

パスタはデュラム小麦粉の高騰等による価格改定を実施した中で、コロナ禍でパスタの利便性が認知されていること等により結束タイプのスパゲッティ「ポポロスパ」が伸長し、

さらに8月に新発売した強力粉とデュラムセモリナを配合しもっちり食感を実現した「ポポロスパやんわか8分」が好調でした。

ソースは「ミートソース」シリーズが好調で、売上高は同3.2%増加しました。

総菜

さば・さんま・いわし等の青魚パウチ製品が好調でしたが、

価格改定を実施した調理素材品や「シャキッとコーン」シリーズが低調で、売上高は同3.9%減少しました。

削りぶし・のり・ふりかけ類

ふりかけや味付けのり等は好調でしたが、削りぶしやきざみのりの販売が低調で、売上高は同2.8%減少しました。

ギフト・その他食品

電子レンジで簡単に調理可能な包装米飯「パパッとライス」が引き続き好調でし
たが、

贈答品市場の回復が進まずギフトが低調で、売上高は同2.2%減少しました。

業務用食品

各種給食コンビニエンスストア向けの需要が順調に回復したこと等により、売上高は6.1%増加しました。

ペットフード・バイオ他

引き続きペットフード市場の拡大により、新製品を投入した添加物不使用の
ペットフード「無一物」シリーズが好調
で、売上高は同16.3%増加しました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年3月期2Q末時点で55.2%と前期末(57.0%)から1.8ポイント低下しました。

これは主に、支払手形及び買掛金が25.4億円増加し、流動負債が増加したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2023年3月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2022年3月期2Q累計)のフリーCF(2,278百万円の収入)から3,274百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2023年3月期通期)業績の見通し】

今2Q決算発表の1週間前に、通期業績予想を下方修正しています。

2023年3月期通期の業績予想は表5です。

売上高
[億円]
営業利益
[百万円]
経常利益
[百万円]
当期
純利益
[百万円]
1株当たり
当期純利益
[円]
前回(2022/8/8)
発表予想
6801,5001,8001,200127.52
今回修正予想670△1,300△1,000△1,200△127.52
増減額△100△2,800△2,800△2,400
増減率[%]△1.5
表5:2023年3月期通期業績予想数値の修正(2022年10月31日発表)

前回予想と比べ、売上高は微減利益面は赤字転落に修正をしています。

修正の理由は、

今2Qの売上高は、家庭用製品は価格改定による買い控え等の影響を受けて減少しましたが、業務用製品の販売が回復したこと等により増加しました。

利益面は、原材料価格の高騰等と急激な円安の進行により売上原価率が上昇したこと等により、営業利益等が前回予想を下回りました

2023年3月期通期は、引き続き厳しい経営環境が続くと想定されるため、売上高、利益面ともに前回予想を下回る見込みとしています。

株価指標と動向

【2022/11/21(月)終値時点の数値】

同業で時価総額が近い会社のPERは、マルハニチロ(1333) 6.4倍、日本水産(1332) 9.2倍、ニチモウ(8091) 4.0倍です。

決算期1株当たり
年間配当金(円)
配当性向(%)
2018年3月期3620.4
2019年3月期3634.1
2020年3月期4618.7
2021年3月期5015.8
2022年3月期5023.4
表6:はごろもフーズ 年間配当金推移

配当利回りは1.66%で、東証スタンダードの単純平均2.22%(11/21時点) と比較すると低い水準です。

表6のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり36~50円で推移しており、前期比で同じ年もありますが、基本的には増配傾向です。

配当性向は、15~30%台で推移しています。

この会社は、

財務体質の強化のために内部留保の充実を図るとともに、安定した配当を続けることを基本としています。

内部留保は、一層の品質向上と生産合理化のための投資安定的な配当の維持への備えに充てていく方針です。

また、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。

【株主優待】

この会社は、株主優待制度があり、3月末と9月末の年2回500株以上保有の株主に、

継続保有期間3年未満の場合3,000円相当3年以上の場合5,000円相当の様々な同社製品(缶詰、パスタ等)が進呈されます。

(以下、3,000円相当の優待商品のイメージ写真)

出所:はごろもフーズ 企業サイトより抜粋

500株を3年未満保有の場合、配当金+株主優待(3,000円×年2回=6,000円相当)で利回りは2.06%3年以上保有の場合:2.33%)になります。

少しハードルは高いですが、こちらはうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

ほとんど値動きがなく、下限3,000~上限3,300円のレンジ内で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、9月下旬に高値(3,110円)をつけた後は、3,000~3,100円のレンジ内で推移しています。

今回の立会外分売発表の翌営業日(11/18)も、ほとんど反応はなく、前日比変わらずで終了しました。

今後は、3,000~3,100円のレンジ上抜けるのか下抜けるのか引き続きレンジ内なのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】